こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。

皆さんの周りに、あるいは皆さんご自身に「顎が鳴る」という方はおられませんか?

実は、私も中学生頃から「コキッ」という音が鳴ります。
「痛くないし、口も開くけれど、音が鳴るので大きく口を開けるのはちょっと抵抗がある…」
これ、実は顎関節症の一種なのです。

今日は、意外にありふれている病気「顎関節症」についてお話していこうと思います。

~進化が招いた顎関節症~

顎関節症とは?

顎の関節にかかわる筋や骨、軟骨に異常を起こす慢性疾患群をまとめて「顎関節症」と呼びます。

顎関節症の症状

  • 痛くないけど音が鳴る
  • 口が開かない
  • 口が開けにくい
  • 顎の筋肉が痛い

顎関節の構造

まず、正常な顎関節を図解しますと下のような感じになっています。

水色の部分が「関節円板」という軟骨で、顎関節の骨の間に挟まって下顎が円滑に滑走する手助けをする

とともに、骨が直接擦れないようにして骨を保護する働きがあります。

 

関節の部分を拡大してみましょう。下顎頭というのは、顎関節の下顎の部分です。

画像参照:©コムネット

 

 

 

 

 

 

 

画像参照:©コムネット

面白いことに、口を大きく開けると下顎頭は関節からいったん外れて、前方に移動します。

 

画像参照:©コムネット

 

 

 

画像参照:©コムネット

普通の関節は、骨は定位置で蝶番運動しますが顎関節はソケットから出て行ってしまいます。

「顎が外れる」といいますが、誰でも大きく口を開ければ顎は外れます。
しかし、口を閉じたらすぐ元に戻ります。
(患者様は自力で戻せなくなった時に、「顎が外れた」と言われますが…)

自力で外して戻せる、不思議な関節が「顎関節」なのです。

顎関節は複雑に動くために、エラーも起こりやすいのです。

 

なんでそんなに複雑に動くの?

画像参照https://www.peppynet.com/library/archive/old/html/12aw_170

上の図は4足歩行の動物(犬)の骨格図です。

4足歩行の犬や猫は、威嚇するときにビックリするくらい大きく口を開けます。

人間はあんなに口は開きません。

 

それは骨格を見ると分かりやすいです。

4足歩行の動物は、思いっきり口を開けても、下顎は首になかなかぶつかりません。

 

対して、人間は口を大きく開けると下顎がすぐに首にぶつかってしまいます。
二足歩行のため、首が垂直に立っているせいです。

画像参照http://mitsunoy.jugem.jp/

でも、もっと口を開けたい!
類人猿や原始人だったころには、ナイフとフォークで切り分けて食べるとか、お箸で一口サイズに取り分けるとか、できなかったでしょうからね。

大きく口を開けてガブっと噛り付くことができる必要があったのです。

 

そこで編み出したのが、「顎を外して前に出す」。

口を一定以上開いて、首にぶつかりそうになったら下顎を前に移動させて、物理的に首と距離を取ります。
そうすれば、もっと口を開くことができます。

 

そして、複雑に動くようになったのはいいのですが、前に動いた下顎や関節円板が上手く戻らなかったり、炎症を起こしたりする「顎関節症」が生まれたのです。

 

まさに「進化が招いた病気」と言えますね。

 

次回は、タイプ別の顎関節症の治療法についてお話します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。