こんにちは♪岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。

今回は、健康に良いと思って毎日実践していることが、実は歯にとっては良くないケースもある、という内容をお話ししていきます。

 健康に良いと思って続けている食習慣が引き起こすこともある「酸蝕症(さんしょくしょう)」

さて、唐突ですがクイズです!

ヨーグルト、黒酢飲料、フルーツと野菜のスムージー、ざくろドリンク、アサイージュース、乳酸菌飲料、ワイン…

共通点は何でしょうか?

 

何となく、健康に良さそうなイメージがありますね。

ワインはともかく、他のものは朝食代わりや朝食のお供に毎日続けている方も多いのではないでしょうか。

 

では次に、上記の食品を日常的に摂取される習慣をお持ちの方のお口の写真が、こちらです。

黒酢やヨーグルト、スムージーなどの体に良いが酸性の飲料を飲むことで酸触症になった歯
酸触症で歯がへこんでいる部位を矢印で示した図

いかがですか?すこし、歯の形が普通と違うところがわかりますか?

酸触症の部位を矢印で示した図

黄色矢印の部分が大きく凹んでいるんです。
虫歯ではありません。
これは「酸蝕症」と呼ばれる病気です。

 

ここで冒頭のクイズに戻りましょう。
答え 共通点は「酸性」
であること。

しかも、健康に良い印象があることから、日常的に摂取されることが多い食品達です。

以前、歯を溶かす飲み物についてお話していますので、興味がおありの方はぜひそちらもご覧ください。

歯磨きをちゃんとしていても歯が溶けてしまう病気、酸蝕症(サンショクショウ)とは?

歯は、カルシウムを主成分としています。
カルシウムは酸に溶ける性質があります。

小学生のころ、貝殻をお酢につけると泡が出る…という実験を理科の授業でされた方は、ピンとくると思います。

当院の内覧会においで下さった方は、お酢につけてゴムボールのようになった生卵の殻の展示物を思い出してください。

歯も貝殻も卵の殻も、石灰化物と呼ばれるカルシウムを主成分にしていて、お酢などの酸には溶けてしまうのです。
そう、酸。
酸性の飲み物や食品には、歯は溶けてしまうのです。

ジュースやコーラのように甘酸っぱくて「いかにも体に悪そう」な飲み物や食品の場合は、皆さん注意されるのですが…酸蝕症は健康に気遣って体に良い習慣を頑張っておられる方にとって盲点のような病気なのです。

健康習慣は続けながら、酸蝕症を防ぐには?

さて、健康に良いこれらの食習慣をお持ちの方、全員が酸蝕症になっているかといいますと、もちろん違います。

食べ方・飲み方を工夫することで酸蝕症は防ぐことができます。

酸蝕症にならない工夫

  • だらだら飲まない。飲んだ後、お茶や水などの中性のものを飲む、うがいする。
    最も手軽な方法です。
    酸性の食べ物・飲み物がお口の中に長く滞在しないよう、だらだらと飲まないこと。
    また、早めに洗い流してしまうことで歯が酸に晒される時間が減ります。
  • 飲食後、すぐに歯を磨かない。
    サッとうがいして、30分程度、時間をあけてから歯磨きする。
    酸性度の強い飲食物をとったあと、歯の表面はわずかに溶けて、粗造になっています。
    その弱った状態の歯を歯ブラシでゴシゴシ磨くと、歯の表面が削れてしまいます。

「食後すぐに歯みがきすると歯が傷ついてしまうという」報道について

少し前に「食後すぐに歯磨きすると歯が傷ついてしまう」というフレーズが盛んに言われた時期がありました。
日本では「食後早めに歯磨きしましょう」というのが常識とされていただけに、この研究報告はショッキングに報道されました。

この研究報告は、食事のお供に炭酸飲料を飲む習慣が盛んなアメリカのものです。

実験の手順は、
まず「実験用の歯のかけら」を炭酸飲料に90秒間浸します。

この「実験用の歯のかけら」を人の歯に貼り付けて、直後に歯磨きする群と、時間が経ってから歯磨きする群に分けます。
そして、この二つの群のそれぞれの「実験用の歯のかけら」の傷み具合を比較しました。

結果は、直後に歯磨きをした群の方が歯が傷ついたというものになりました。

この「実験用の歯のかけら」は、「象牙質(ぞうげしつ)」という歯の中身の部分を切り出したもので、お口の中の歯と全く同じものとは言えません。
また、実験の背景にある、日本とアメリカの食習慣の差を無視して、アメリカの研究報告を日本に当てはめるのも適切でないと思います。

しかし、日本でも「酸性の飲み物を習慣的に飲む」習慣のある方に関しては、話が別となります。

酸蝕症の人は歯みがきを食事の30分後にした方が良い

もう一度、酸蝕症の歯を見てみましょう。黄色の矢印の先に、少し暗い色合いの凹みがありますね。

酸触症により象牙質が露出して色合いが暗く、歯もへこんでいる図

酸によって歯の内側の構造である「象牙質」が露出してしまっている状態です。
(象牙質は歯の表面のエナメル質と比べて、色が黄色く暗めの色合いです)。

酸蝕症の方は、アメリカの実験の通り、むき出しになった象牙質が酸にさらされる状態になることがあるので、酸性の飲食物を口にした場合、歯磨きは30分ほど後にした方が良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

  • 健康によい飲み物でも、酸性の飲み物は歯を溶かしてしまうことがあるので注意が必要
  • 健康に良い酸性の飲料を習慣的に飲むためには、酸蝕症にならないために工夫が必要

自分が酸蝕症になっているか不安、という方は一度、ご相談にいらしてくださいね。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。