こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

先日、家の近くで赤とんぼを見かけました。秋も少しずつ近づいて来てますね。

今回は、お子さんの虫歯予防でよく用いられるフッ素について、説明していきます。

フッ化物(ふっかぶつ)について

歯科スタッフや保護者の方が「フッ素塗りますね」「フッ素を塗ってください」と言うことがよくありますが、フッ素は気体なので、歯科医や歯科衛生士は同業者内ではより正確に、フッ素の化合物/フッ化物と呼んでいます。

歯科医院のホームページでは、『フッ素』という言葉を使って説明しているところもあれば、『フッ化物』という言葉を使って説明している所もあります。

患者さんにわかりやすいように、便宜上、フッ素と言っている歯科医院の方がやや多いかな、という印象です。
歯科医院のホームページ上では同じものをさしています。
このページでもわかりやすいように、フッ素と呼んでいきます。

フッ素ってどんなもの?

フッ素は自然界のどこにでもある物質で、海藻、お茶、じゃがいも、牛肉等にも含まれています。

虫歯予防のためのフッ素の作用は、フッ素が歯の表面のエナメル質に取り込まれ酸に対して強く硬い歯の質に変化することを利用しています。特に生え始めの歯によく取り込まれます。

フッ素塗付は、効果が高く、科学的根拠に基づく安全なむし歯予防法ですが、インターネット等で検索すると反対意見も見かけます。

よくあるフッ素に対する疑問について

よく見かけるフッ素に対する疑問は、要約すると以下のようになります。

  1. 効果を疑問視する専門家もいる。最近フッ素洗口の効果を聞かない。
  2. フッ素を大量摂取すると急性中毒症状が起きる。
  3. 低濃度で長期間摂取するとあらわれる害がある。ガンにもなる。

1フッ素の効果を疑問視する専門家がいるという点に関して

最近の研究発表でも、科学的に効果があるという発表があります。
最新の結晶構造解析でもやはり、フッ素が取り込まれていて歯が酸に溶かされにくくなっているいう内容でした。

また別の論文では、飲み水にフッ素をたくさん含む地域で育った人の歯を調べたところ、フッ素症による白斑が少しできている歯は、普通より耐酸性(酸で溶けにくい性質)が高いという結果がでていました。

つまり、多くの実験結果がフッ素を歯に作用させると歯の中に取り込まれて酸に対して溶けにくくなっていた、という結果でした。

フッ素洗口について

また、フッ素洗口ですが、近年は小児人口と虫歯の減少により、研究者の興味がなくなっているのが現状のようで、確かに論文の数はさほど増えていません。
ただ、効果は確実にあるようです。

2.フッ素を大量摂取すると急性中毒症状が起きる、とういう点に関して

中毒は、摂る量によります。塩でも砂糖でも大量に摂れば中毒になります。
お醤油を一升瓶ごと全部一気飲みしたら、命の危険もあります。

中毒を起こすフッ素の量って?

ちなみに、急性中毒症状起こすぐらいフッ素を摂取しようとすればどのぐらい歯磨き粉を飲み込めばいいのかというと、約20kgの6歳児であれば、歯磨き剤のチューブ(950ppm 60g)を1.7本を一気飲みしなければ中毒を起こせません。60kgの大人であれば5本ほどです。

3.低濃度で長期間摂取するとあらわれる害について

斑状歯、骨硬化症、と言われる症状がフッ素の取りすぎによる害です。

これは昔から知られており、歯科医は大学でも詳しく習います。

 

そもそも薬は微量だと薬として働き、大量だと毒として働きます。

そのため適切な使用量というものが設定されています。

WHOの水質基準ではフッ素濃度1.5ppm以下、我が国の水質基準では0.8ppm以下となっています。
ちなみに、変色したり変形したりしている歯牙フッ素症の写真は、井戸水などにものすごくたくさんのフッ素が含まれている地区で起こったものです。

実際、世界にはフッ素濃度が日本の約20倍である15ppmなんて井戸もあるみたいです。

また、フッ素とガン、ADHD、ダウン症との関連を探った論文もありましたが、どれも煮え切らない感じ(関係ありとはいえない)か、関係なしという結論が出ています。

フッ素は歯質を強化するが、結局体に悪いの?どうなの?

「基準値を超えた大量のフッ化物を含む飲料水をガブガブ飲むと何らかの影響があるかも知れないし、ないかも知れない」というのが現在の科学の世界の共通認識です。

歯磨き粉で何かが起きるというのは、あまりにも量が少なすぎて現実的には有害なことは起こらないと思われます。

過剰な量の全身適用(服用)と、ごく微量の局所適用(歯を磨いて、うがいをして流す。歯に塗布する)を混同しているのが、そもそもの間違いです。

 

私は絶対的なフッ素推進派ではありません。
しかし、フッ素を使用してむし歯「予防」をすることと、フッ素を利用しないでむし歯「治療」をすることを天秤にかけたら、格段にむし歯治療の方がリスクが大きいです。

すべての薬品は毒にも薬にもなり得ます。

フッ素も「薬」として効果的に用いて、お子さんの健康を安全に維持していきましょう。

まとめ

いかがでしたか?

  • フッ素は自然のどこにでもある物質で、改装・お茶・じゃがいも等にも含まれています。
  • フッ素は歯質強化の面で、虫歯予防に効果的でよく用いられます。
  • 基準値を超えたフッ素入りの水を毎日ガブガブ飲むのでなければ心配いりません。
  • フッ素入り歯磨き剤や歯科医院でたまに塗るフッ素ぐらいでは、中毒も、ガンも、心配する必要はありません。

ご不明点は受診時等にお気軽にお問合せ下さい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。