こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
暑い日が続きますね。

今回はお子様のお口ポカンと授乳・卒乳・離乳食の関係について、お話したいと思います。

唇を閉じられない子どもが増えている

最近、診療を通して「唇の力が弱いな」と感じるお子さまも増えています。
また、保護者の方の以下のようなお悩みをよく聞きます

「この子、本当にすぐ風邪をもらっちゃうんです」

「食べるのが本当に遅くて…家族の全員が食べ終わっても、この子だけ食べてるんです」

「よく飲み物を口からこぼすんです」

「食が細くて、あまり食べてくれません。でもお菓子なら完食するんです。」

「うちの子、何か、食べ方が変なんです。飲み込む時に上を向いたり…舌を出したり…」

「お箸の握り方がおかしいんです。どうしても、親指をうまく使えなくて、小指を器用に使って…」

どれも保護者の方にとっては、とても心配ですよね。

このような症状は、
お子様の発達に合わせた授乳・離乳をうまくできなかったことが原因になっていることもあると言われています。

特に「お口ポカン」=口呼吸は、当ブログでも何度も取り上げてきました。
関連記事
歯並びが悪いのは遺伝ですか?その2 出っ歯編②お口ポカンについて

口呼吸は、出っ歯になってしまったり、風邪をひきやすくなる原因にもなります。

平成27年の日本歯科医学会の「子供の食の問題に関する調査」によると、最近のお母さんの心配事、困り事の上位は以下の通りです。

子どもの食に関する保護者の悩み

  • 偏食する
  • 食べるのが遅い
  • 子どもの食べやすい食事の作り方が分からない
  • 忙しくて手をかけてあげられない

共働き家庭が増える中、「子どもの食になかなか時間をかけてあげられない…」という悩みは、珍しくありません。
しかし、その結果、「子どもの口や喉の機能がスムーズに発達できていないケースが増えているのでは?」とも思います。

発達時期に合わせた食事(食べさせ方・食形態・食具)の大切さ

離乳期に保護者がスプーンで口の中に食事を入れると、捕食ができなくなる

捕食とは

摂食嚥下(せっしょくえんげ)は、捕食(ほしょく)⇒咀嚼(そしゃく)⇒嚥下(えんげ)の流れで行われます。

捕食とは食べ物を認識し、口に入れる段階です。
この時は、唇と歯を用います。

食べ物を口に入れたら、唇をしっかり閉じることで咀嚼が始まります。

離乳期にしっかり、唇の力を鍛えてあげるためには「スプーンを口に入れない」ことが大事と言われています。

つまり、

口の中にスプーンを差し込んで、食べ物を口の中に流し込んであげてしまうことは良くないということです。

赤ちゃんの口の中にスプーンを入れて食べ物をあげるリスク
  • 唇の発達が遅れる
  • 接触過敏症といって唇への刺激を嫌がってしまう
  • 舌の運動機能の発達が遅れる

離乳期に口の中に食べ物を流し込んであげてしまい、
そのため唇を閉じることを覚えることができなければ、どうなるでしょうか?

唇をちゃんと閉じることができなければ、舌を上顎に押し付けて飲み込む「成人嚥下」を獲得できません。
すると、授乳期の飲み込み方である、舌を前に突き出して飲み込む「幼児嚥下」がその後も残ってしまうのです。
舌を前に突き出して飲み込む癖を残してしまうと、出っ歯になってしまいます。

また、舌の運動機能の発達が遅れます。
食べ物を喉の方に送りこむことが難しいので、上を向いて、食べ物を重力で喉側に移動させたり、食べるのが遅くなったりすることがあります。

こうした「間違った嚥下法」を誤学習してしまった後で矯正するのは、大変です。

具体的には、嚥下と呼吸を矯正する装置(マイオブレイスやチューイングブラシなど)を用いてトレーニングしないといけない場合もあります。
そうなればお金も手間もかかってしまいます。
最初から正しい発達ができるよう「予防」してあげることが重要です。

チューイングブラシについてはこちらの記事も参考にしてください。

赤ちゃんの捕食能力を育てる食べさせ方

口の前にスプーンを差し出す
上唇の内側をスプーンで軽く刺激する
③赤ちゃんが自分からパクッとスプーンに食いつくように食べさせる

「つかみ食べ」の時期には

「大人のこぶし大の大根の水煮」「大き目の人参やブロッコリーの煮たもの」などもおススメです。

赤ちゃんがつかみ食べするとき、とても散らかしますので、片付けやすいようにマットを敷いてあげると良いでしょう。

大きな大根の水煮がよいワケ

赤ちゃんが大きな大根の水煮をかじる時、以下のトレーニングができます。

口を大きく開ける⇒
唇で食べ物をしっかり認識する⇒
大きく口をあける⇒
かじりついた後、唇を閉じて捕食・嚥下

離乳期に唇をしっかり閉じることや、飲み込む瞬間に舌を上顎にぐっと押し付けることをトレーニングすることで、正常な飲み込みができるようになっていきます。

また、この時期にお野菜の水煮などをつかみ食べさせてあげると、食に積極的になったり、偏食を予防しやすいと言われています。

もっとも、最初はポイ!とされてしまうことも多いと思います。
興味のあるものはどんどん口に運ぶ時期。
歯ぐきでつぶせる硬さに煮た、大き目のお野菜をかじらせてあげることがおすすめです。

手づかみ食べはいつから始めて、いつからスプーンにしたらいいの?

手づかみ食べは生後9か月くらいから2~3歳ころまでスプーンと手づかみの両方で食事させてあげる方が、お子様の発達には良いと言われています。

スプーン⇒フォーク⇒お箸の順に覚えさせる

お箸は「鉛筆持ち」ができるようになった3歳以降で十分!

離乳食は「手づかみ食べ」と「赤ちゃん用のスプーン」からスタートしましょう。

忙しいお母さんが、スプーンをとばして、フォークをお子様に使わせるケースが最近は増えているそうです。
フォークは「すくう」「刺す」ができてしまいます。
フォークはスプーンより食べ物が先端にあります。
スプーンで捕食機能が十分に身についてから挑戦した方が良いでしょう。

また、お箸のスタートは「もっと後」。
人の手の指は、小指から順に発達してきます。

親指が十分に発達していない時期にお箸を覚えさせると、その子の握りやすい形で、お箸を使い始めてしまいます。
大抵、小指を上手に使って、親指をあまり使わなくても食べられるように「誤学習」してしまうのです。

お箸のスタートはいつから?

親指がしっかり使えるようになっていることが前提になります。
スプーンをペングリップ(鉛筆持ち)で握ることができ、親指・人差し指・中指の3本で逆手持ちできるようになってから(多くは3歳以後)」が目安とされています。

食事マナーはいつから覚えさせる?

手づかみ食べを「いつやめる」かは、諸説あります。
いつまでと目標を決めずに自然と止めるのを待つ説
幼稚園や保育園などの集団生活を機にやめる説

多くの人は、3歳を過ぎたころから、それぞれのタイミングで食事マナーを覚えながら卒業していくようです。

まとめ

いかがでしたか?
「離乳食の大事さはよくわかったけど、手づかみ食べって片付け大変じゃないですか…。そんなに手をかけてあげられない…」と思われた方も多いのではないでしょうか。
本当に、ごもっともだと思います。

しかし、想像してみてください。
お子様が食に関する何かの問題が出てしまったとしたら。
それを治すには、もっと手間と時間がかかってしまいます。

お子様の食についてお悩みの方の参考になれば、幸いです。

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