こんにちは!つぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
突然ですが、お口の中に少し唾液を溜めて、上を向いてみてください。

むせた方…それは「誤嚥」です!

誤嚥って何?

食べ物や飲み物でむせた経験は、あなたにもきっとあると思います。

人間の喉は、途中で食道(食べ物や飲み物を胃に送る道)と気道(空気を肺に送る道)に枝分かれしています。
喉頭蓋という、可動式のフタのような器官が「食べ物が食道に行くように、気道をふさぐ」ために、気管に食べ物や飲み物が行かないのです。

「むせる」とは、食道ではなく気道の方に、食べ物や飲み物が入ってしまったときに、気道から食道にむけて追い出そうとして起こる反応です。

「むせる」ことが出来るので、気管や肺に異物が入り込まないで済むんですね。

では、「むせる」ことが出来ないと、どうなるでしょうか?

気道に異物が入っても、「むせる」ことが上手にできなければ、肺炎になってしまう

高齢者になると、喉の筋力が低下して上手にむせることが出来なくなってしまう方も少なくありません。

肺炎は、高齢者ほど多く、さらに重大な結果を引き起こしてしまいます。

高齢者の肺炎のうち1/3程度が誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)と言われていますから、ご高齢の方にとってはとても身近な病気です。

人間が2足歩行に進化したために「誤嚥(ごえん)」するようになった

「そもそも、どうして食道と気道が合流しているの?」
「ほかの動物がむせているところ、そういえば見たことない…」

そうなんです。

誤嚥は人間が2足歩行となった弊害といえます。

2足歩行によって食べ物と、呼気が同じ所を通るように変化してしまった結果、人間の喉はとても複雑な作りになってしまっているのです。

自分でもできる「誤嚥性肺炎」予防法!

誤嚥(ごえん)により、口腔内細菌などが肺に入ることで起こる肺炎を、誤嚥性肺炎といいます。
歯垢(しこう、プラーク)の中には、大量の細菌が棲息していて、唾や食べ物・飲み物などを誤嚥することで、口腔内の細菌が肺に運ばれてしまうのです。

自分でも出来る「誤嚥性肺炎予防」というと、やはり口腔内の細菌数を減らすことが一番ではないでしょうか。

歯周病なども、口腔内の細菌感染です。

歯を残すことは、もちろんとても大事なのですが(80歳で20本以上の歯が残っている人の、要介護度は低いことがわかっています。
歯を減らさずにおくことは、健康寿命を伸ばすためにも、とても重要です!)

参考リンク:歯科と糖尿病、脳血管障害、要介護度は関係が深い!?あれこれ関わっているお口の病気

 

一方で、歯が多く残っているということは、しっかりとしたケアをしないと、汚れやすい環境を作りやすいと言うことでもあります。

1)誤嚥性肺炎予防は、歯磨きが基本です!

歯磨きの方法、苦手な部分に対する対処方法などを、歯科医院においてレクチャーを受けてみる、というのもおススメです。

歯磨きは子どもの頃からやっていますから、簡単に思っている人は多いのではないでしょうか?
では、あなたのまわりに「虫歯も歯周病も、1本もない!経験したこともない!」という方はおられるでしょうか?

おそらく、めったに居ないはずなのです。

統計上、日本人の8割以上の方が歯肉炎・歯周病を持っていることが分かっています。虫歯を経験した人も入れると、ほぼ100%に近くなると思います。

これらの病気にならないための歯磨きは、大人にとっても、とても難しいのです。

2)細菌数を減らす消毒成分を持つうがい薬もおススメです。

当院では、POICウォーターという次亜塩素酸水や、ネオステリングリーンというベンゼトニウム塩化物製剤のうがい薬を、よく使っていただいております。

3)管理の不十分な入れ歯も、誤嚥性肺炎のリスクとなります。

入れ歯の表面にも、細菌がカビはたくさん繁殖します。
適切なケア、手入れが必要です。

義歯ブラシでの洗浄と、義歯洗浄剤での消毒など、ちゃんとしたお手入れ方法があります。
もし、不安がある方はお気軽にご質問くださいね。

自分で出来ない場合は、プロ(歯科衛生士)に頼む!

介護が必要な方など、自力でのお手入れや、ご家族によるお手入れが難しい場合は歯科医師・歯科衛生士による訪問歯科診療をご利用いただくと良いでしょう。

口腔ケアのあるなしで、誤嚥性肺炎のリスクに違いがあるようです。

お口の中の専門家として、お手伝いできることもあると思いますので、気軽にご相談くださいね。

まとめ

  • ご高齢の方の場合、口の中が汚れていると誤嚥性肺炎になりやすいです。
  • 口腔ケアにより、誤嚥性肺炎のリスクを下げることができます。
  • 歯磨き、うがい薬、入れ歯のケアなどが、口腔内の細菌数を減らすのに有効です。
  • 自力での口腔ケアが難しい場合は、訪問歯科診療をご利用いただくのも良いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。