こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

当院の場合、多くの患者さんに定期健診でご来院いただいているのですが、『痛くなってから歯医者に行く、僕の小さいころとは違うなあ』と言われる場合があります。今回は定期健診の意義と間隔についてまとめてみました。

学校検診と歯科医院、結果が違った!これって見逃し!?

検診と健診はそもそも対象が異なります。

検診は、学校、職場など、大きな集団の健康を維持することを目的にしている

どんな集団でも状態がいい人と悪い人が存在します。検診は大きな集団では特に悪い人の検出して、その方に「医療機関へ受診された方が良いですよ」とご案内することを目的にしているのです。

学校検診や職場の検診では、歯医者さんは勉強用のスタンドライトや、懐中電灯、ペンライト、日光などの明かりで口の中を診ます。当然、小さい虫歯は見えないこともあります。しかし、集団の中で重症の方や、早く歯科医院へ受診された方が良い方を検出することが目的ですから、問題とされません。

健診は個々の患者さんの健康増進を目的にしている

診療室での健診は、無影灯という特別に明るいライトで口の中を照らし、また唾液や歯垢で見えない部分があれば器具を用いて歯が良く見える状態にして、チェックしますし、必要があればレントゲン検査や、透照診といって光を透かして歯を検査したり、歯の揺れぐあいなどを検査したりします。学校検診や職場の検診とは、まったく違うものなのです。

健診申し込み期間の目安が「3か月」と言われることが多いワケ

1960~1970年代のスウェーデンでの研究がベースになっています。

1960年より前のスウェーデンは世界でも有数の砂糖消費国でした。
午後のおやつの習慣はイギリスがイメージ強いですが、北欧各国にもその習慣があり、虫歯も非常に多かったそうです。
そこで、スウェーデンでは1960年代に虫歯とそのリスク因子について大々的な調査が行われ、「虫歯を減らす政策」を実行したのでした。

その時に健診の期間についての議論がなされ、主に歯周病の観点で「健診は3か月間隔」とされました。
現在では、スウェーデンは予防歯科先進国として、80歳の平均の歯の数は21本(スウェーデンは2015年の報告データ。ちなみに日本は、2017年のデータで、80歳で13本が平均)という、非常に素晴らしい結果を出しています。
日本では、このスウェーデンの成果を参考に、3か月間隔がおススメされることが多いのです。ちなみに小児に関しては、その後の研究で、おおむねそれに準ずる期間が勧められています。

歯科健診が必要なワケ

子供の虫歯は進行が速い

虫歯には、慢性のものと、急性のものがあります。
慢性う蝕はその名の通り、数年単位で進行するもので、壮年期に多くみられます。

一方、急性う蝕は数か月~半年単位で進むもので、乳歯や弱若永久歯など、小児期に多くみられます。したがって、子供の虫歯は進行がとても早いのです。

う蝕を確定診断するのはレントゲン検査が必要ですが、数か月で治療の必要が出てくるようなものは間違いなく急性う蝕です。

急性う蝕は

  • 歯が生えたてで弱い時期である
  • 歯の質に問題がある
  • 菌の活性状態(当然食生活が大きく影響します)に問題がある

などの条件があれば発生しやすいです。

詰め物も長持ちする

 つぼい歯科クリニックでは、虫歯の治療の場合、虫歯を残さず取りきれるように、ただし削りすぎないように、う蝕検知液を用いています。

 虫歯の部分だけが染まる染色液に、虫歯を染めながら治療するんですね。

ただ、虫歯を取り切った場合でも、詰め物の維持できる期間は、その後の口腔衛生状態によります。

歯と詰め物が完全に同じ硬さ、完全に同じ弾性を持つ…ということは無く、違う素材をくっつけている以上、継ぎ目が傷みやすいという性質があります。

継ぎ目がわずかに傷んだあと、いつも磨き残しが少ない口と、いつも磨き残しが多い口では、詰め物の状態が変わってしまうんです。

定期健診を行った場合、岡山大学の研究結果では乳歯の場合も、大幅に詰め物を良い状態に保てた期間が延びたという研究結果が出ています。

歯科医院専用フッ素を定期的に塗った方が良い

フッ素は1900年代にアメリカで有効性が確認された薬物です。薬物といっても、じゃがいもや海藻、牛肉などにも含まれる成分ですが、人工的に薬物として一定以上の濃度を精製している以上、当然いい面と悪い面があるんです。

良い面…虫歯予防効果が高い!

悪い面…一度に大量に摂取すると、中毒になることもある。

フッ素については、こちらに詳しく書いていますので、よろしければ読んでくださいね。

参考 ドクターズブログ:

フッ素は危険?3歳~6歳ぐらいの子どものフッ素についての話

中毒と聞いてびっくりされた方もいると思いますが、市販のフッ素ジェルは濃度が低く作ってありますので、めったな量では中毒にはなりません。
ただ、歯科医院用のフッ素ジェルの場合、歯科医師や歯科衛生士が「安全性の高い量」を患者さんに使うことが出来るため、ずっと高濃度になっています。

「フッ素は家庭用ジェルだけじゃダメなの?」

ダメということは無いのですが、歯科医院用と家庭用のフッ素ジェルを併用した方が、効果が高いので、併用をおススメしています。

実は、同じフッ素ジェルでも、家庭用と歯科医院用では作用機序が異なります。

高濃度の歯科医院用フッ素は「弱い虫歯予防効果が、長時間続く」

歯科医院用の高濃度フッ素は、濃度が高いためにいきなり歯に入っていかずに、歯のあちこちに「フッ化カルシウム」という形で沈着します。
このフッ化カルシウムが、口の中が酸性に傾いた時(虫歯になりやすい環境の時)に再度溶けて、低濃度のフッ素イオンが作られ、そのフッ素イオンが歯を修復します。

低濃度の家庭用フッ素は「強い虫歯予防効果が、ジェルを口にいれたその時間だけ発揮される」

家庭用の低濃度フッ素は、口の中でフッ素イオンに分離して歯を直接修復しますが、歯の表面に留まらないため、効果は一瞬で終わります。

予防効果は高い方が、もちろん良いですが、家庭用フッ素を1日に何度も塗りますか?
さすがに摂取しすぎになってしまいますし、現実的でもありません。

歯科医院用の「長く効く」フッ素に1日歯を守って貰って、就寝前の歯磨き後に家庭用フッ素で「その日の歯のダメージをリセット」するのが効果的だと思います。

定期的に歯磨きの悪い癖を見直す

お子さんの場合、ある程度の年齢になると、自分でしっかり磨けるように歯科医院でも歯磨き指導をしていきます。
実をいうと、この観点では定期健診の間隔は全く足りない気がします。

お子さんの習い事の多くは1回1時間以上でだいたい毎週ありますよね?

その意味では年4回ぐらいでは軽い刺激ぐらいにしかなっていません。
キチンとした歯磨きを習得するなら毎月、いや毎週でも指導する必要がありますが…そのペースでの歯科医院通いは現実的ではありませんよね。

ですから保護者の方には、ご家庭での復習や仕上げ磨きをぜひ、頑張っていただけたらと思います。

まとめ

  • 学校などで状態の悪い人を見出す検診と個人の健康を診査する健診は、目的が違います。個人の健康維持には定期的な健診が重要です。
  • 1960年頃の研究結果から、3か月に1回の定期健診が勧められています。小児では急性う蝕が多い事、またフッ素の使用の観点から、そのくらいの時間での検診が最も妥当だと思われます。
  • 歯科医院でも指導しますが、定期健診のみの間隔では歯磨きテクニックの習得はなかなか大変です。家庭でも復習、仕上げ磨きをお願い致します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。