こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
どうなるかと思っていた東京オリンピックが、無事に終わりましたね。

最近、診療室で生まれつき永久歯の本数が足りない、という症例について患者さんにご説明をすることがよくあります。
永久歯の歯の数のトラブルについては、一度ブログでも書いたことがあります。

参考リンク

永久歯の本数のトラブル(先天性欠損歯や過剰歯)について

今回は、歯の本数が少なかった時の対処法などについてのお話です。

人間の歯は退化している!

歯は人間の歴史においては退化傾向にあります。

縄文時代人の歯を見ると、親知らずと言われる第3大臼歯までしっかり咬んでいます。
しかも現代人より歯のサイズも顎のサイズも、全体的に大きいです。

旧人類に近いほど歯の山の部分(咬頭)が多く、大きく、複雑な形をしています。

現代人では親知らずがある人でも咬頭が少なく、小さくなっていく傾向(5咬頭→3→1に減少)にあります。
また、親知らず自体が生まれつきない人もいます。

それ以外では、前から2番目の前歯、5番目の小臼歯の欠損が多いです。
そして、上顎よりも下顎が先天性欠損は多い傾向にあります(2010年の日本小児歯科学会の調査による)。

画像引用 朝日新聞(2011年3月7日)

同調査によりますと、何らかの形で1本以上の歯がないお子様は現在10人に1人程度の比率となっています。
2018-19年に僕が当院で調べた時も、比率は同様でした。

10人に1人ですから、クラスに数人は歯の先天性欠損のお子さんがいる感じですね。

実際僕の近しい肉親にも永久歯が欠損している人がいます。
なので、歯の退化傾向をまさに実感しています。
原因は基本的にはわかりません。
遺伝、薬物(抗がん剤などの強力なもの)、栄養状態などが考えられています。

歯の先天性欠損の治療法や考え方(部位や本数別に)

1)乳歯の本数が足りない場合

乳歯でも先天性欠損はたまに見かけますが、基本的には様子を見ます。

顎は歯が押し合いながら大きくなっていきます。
よって、欠損があった場合、欠損がある側の顎が小さくなる傾向が確認されています。

2)永久歯の本数が足りない場合

・下顎の2番目の歯の場合

下顎の前歯の場合は、上下で顎の正中が合わなくなる、という欠点はあります。
しかし、そこまで目立たないということもあり、経過を観察する場合が多いです。

・上顎の2番目の歯の場合

上顎前歯は正中が合わないと、やや目立ちます。
矯正をおすすめすることが多いと思います。

・上下の5番目の歯の場合

小臼歯の欠損の場合は、先行乳歯が抜けないように保存することが大切です。

虫歯にさえならなければ、乳歯といえども根がしっかりしているので、30代ぐらいまではもつ場合が多いです。
歯並びが悪い場合は、残った乳歯を抜歯して、歯並びを整えることもあります。
ただし、歯並びが良い場合は、乳歯が抜けて出来たスペースを矯正で埋めきることが難しいこともあります。

・6本以上、歯の数が不足する場合

6本以上の多数歯欠損の場合、大学病院などに代表される、国の指定医療機関であれば矯正を行います。
2020年からはインプラントも条件によっては保険治療が可能となりました。

しかし、これだけの多数歯であれば矯正+補綴の治療を効率よく組み合わせる必要があります。
また、インプラントも矯正も子どものうちは出来ない治療です。
ある程度の年齢になるまで乳歯を使って、そのうえで長期的な治療プランを立てることになります。

「乳歯を使う」という選択肢が無くならないように、先天性欠損の場合は最終的な治療が出来るようになるまで乳歯を無傷で残す努力が必要です。

誰にでも起こりうる事態ですので「乳歯は生え変わるから」と軽く考えずに、赤ちゃんの頃から大事にしていきましょう。

・大人になってから永久歯の代わりに使っていた乳歯が抜けた場合

虫歯や歯周病で歯を失った場合と同じようにブリッジ、インプラント、義歯の治療を行うことになります。

まとめ

いかがでしたか?

  • 永久歯の先天性欠損は近年増加傾向にあります。
    10人に1人ぐらいは観察されています。その治療法や考え方は歯のない部位(欠損部)で異なります。
  • 乳歯は大事に使えば長くもつ場合もあります。
    また、多数歯がない場合は保険がきく症例も稀にあります(指定医療機関に限る)。
    各個人の状況・時期によりベストな治療法が異なります。

歯が生え変わらない理由には、他にも「ただ単に生え変わりが非常にゆっくりなだけ」というケースもあります。
気になる場合は歯科医院で相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。