
当院では、赤ちゃん本人については、歯が生えてきたら受診をお勧めしています。虫歯のリスクが高い年齢ではありませんが、現代ではお子さんの約3割が口腔機能発達不全症と言われているため、離乳食や授乳方法の改善を通して早期に対応した方が良いケースが多いためです。
また、虫歯菌の赤ちゃんへの感染経路はお母さん由来が50%、お父さん由来が30%と言われています。赤ちゃんの歯科デビューに先立ち、保護者の方には「赤ちゃんのマイナス1歳からの予防歯科」として、早めに虫歯チェックや歯周病チェックを受けて、赤ちゃんの歯が生える生後半年までには虫歯治療や歯周病治療を終えておくことが理想的です。
上の前歯が生えてきたら(生後7~11か月)、フッ素塗布を始めることをお勧めします。
上の前歯の唇側は、比較的虫歯になりやすい部位です。さらに、生後7~11カ月には離乳食を食べる機会も増えます。市販の離乳食や赤ちゃん用スナック(どちらにも砂糖が使用されていることが多い)をご利用の場合は特に、虫歯リスクが高くなります。
低年齢児に効果的な虫歯予防法の第一位は飲食習慣の管理で、二位がフッ素塗布による歯質強化と言われています。生えたての歯はフッ素の取り込み量が多いため、低年齢児にとっては歯磨きよりもフッ素塗布の方が虫歯の予防効果は高いのです。早めのフッ素デビューが理想的です。
はい、可能です。全顎的な成人矯正や、咬み合わせが崩壊しているお口の咬合再構成(虫歯や歯周病により咬み合わせが分からなくなってしまっている状態を再建する治療)、顕微鏡を用いての精密根管治療などは、より得意な歯科医師が分担させていただいておりますが、予防や小さな虫歯は担当医の変更なく診療させていただきます。
低年齢で当院に初診され、そのまま管理させていただく場合、口腔崩壊のような事態は予防可能ですので、問題なく担当可能です。
成人矯正治療を希望された場合などは、予防や虫歯は元の担当医が、成人矯正のみ矯正担当医が分担させていただくことはございます。
大丈夫な場合と、そうでない場合があります。大丈夫な場合は、乳歯の後継となる永久歯が「ただゆっくり成長している」という場合です。身長が伸びるのが早い子・遅い子がいるように、歯の成長速度も人それぞれですから、乳歯と永久歯がゆっくり交換しているだけ、という場合は心配いりません。
しかし、後継永久歯の生える方向が、本来の進路と逸れてしまっている場合は問題です。特に乳歯が外傷を受けていたり、大きな虫歯を治した経験があったりすると、永久歯は進路を変えてしまうことがあります。その場合は、乳歯を抜歯する必要があることもあります。
レントゲンで確認することができますので、まずはご相談ください。
乳歯が抜けたのに、永久歯が生えてこない原因は
・永久歯が先天的に無い(先天性欠如)
・永久歯の生える方向・位置が、本来の方向・位置から逸れている(萌出不全・異所萌出)
・乳歯の早期喪失(永久歯は正常)
・単にゆっくり成長しているだけ(正常)
のどれかであることが多いです。
先天性欠如の場合は、保隙装置というスペースキーパーを用いて、身長の伸びが終わったら欠損補綴(ブリッジなど)を行うことが多いです。
萌出不全や異所萌出の場合は、永久歯が生える手伝いを歯科医院で行います。
乳歯の早期喪失(虫歯などによる)の場合は、保隙装置を装着して永久歯が生えるのを待ちます。
単にゆっくりの場合は経過観察を行うことが多いです。
乳歯が抜けていないのに永久歯が生えてくるパターンでは下記があります。
①エスカレーター萌出(下顎の前歯で多い):乳歯の後ろから永久歯が生えてくる現象です。乳歯を抜歯することで、永久歯は舌に押されて歯列に入ることが多いです。
②晩期残存乳歯(乳犬歯~乳臼歯に多い):お子さん本人が上手に歯が抜けないよう食事するなどして、なかなか抜けないでいるだけ…ということが多いです。
③永久歯の異所萌出(乳臼歯に多い):永久歯が生える位置が、本来の位置とズレてしまっているために、乳歯がうまく生え変わらない状態です。程度により、早期抜歯することもあれば、経過観察することもあります。
まずは歯科医院でご相談ください。
10歳までが理想的だと言われています。子供が大人と同じような手首や指の動きをできるようになるのが、その年齢だとされていることや、6歳臼歯(6~7歳に生えてくる永久歯)がとても虫歯になりやすいことなどが、その理由です。ただ、独立心の高いお子さんの場合は、小学校入学後に仕上げ磨きを嫌がることもあります。
その場合でも、上下左右の6歳臼歯だけでも良いので、仕上げ磨きをしていただくことが好ましいです。また、6歳臼歯の虫歯予防処置(フィッシャーシーラント)や定期的なフッ素塗布と組み合わせて、仕上げ磨き卒業年齢を考えてみると良いでしょう。
可能でしたら毎食後が理想的ですが、現実的には難しいことが多いと思われます。幼稚園や保育園、小学校に入学後は昼食後の仕上げ磨きは不可能ですし、忙しい朝も仕上げ磨きをしているご家庭は少ないでしょう。それでも、夕食後と就寝前の歯磨きは仕上げ磨きをしていただくことが好ましいと考えます。
ただし、離乳食開始~保育園・幼稚園入学までは、昼食後の仕上げ磨きを、リビングの一番大きな窓の横でされることをおススメします。一般家庭で最も明るい場所なので、お子さんの口腔内をしっかり見ることができるので、保護者の方の仕上げ磨きスキル上達に役立ちます。
日頃から口を閉じて食事できているか、鼻呼吸ができているかを観察してください。口呼吸や口唇閉鎖不全などがあると、食事に時間がかかるケースが増えます。また、朝食のみ遅い、普段から多動で食事中もソワソワして集中力がない、という場合では、睡眠障害などが隠れていることもあります。
盲点として、「そんなに食べる時間は遅くないけれど、保護者の方がお忙しくて、お子さんの食事を急かしてしまっている」というケースも散見されます。ご心配の場合は、歯科医院で口腔機能発達不全症があるかどうかについて、検査を受けてみてください。
卒乳は1歳半を目標にしましょう。卒乳が遅れる主な理由に、夜間授乳をやめられないことがあげられます。しかし、離乳食が始まってからの夜間授乳は、お子さんの虫歯リスクを高めてしまいます。
夜間に泣くお子さんは必ずしも空腹というわけではなく、多くの場合はお母さんとの触れ合いやスキンシップを求めています。授乳の代わりに、赤ちゃん用の麦茶などを哺乳瓶に入れて与えながら、抱っこやスキンシップを十分に取ってあげると良いでしょう。最初は泣いてしまいますが、3日ほどで卒乳できることが多いです(1週間以上かかるケースはそれほど多くありません)。お子さんの健康のためにも、根気強く取り組んでみてください。
お子さんが仕上げ磨きを嫌がる場合、多くは「痛い歯磨き」を経験したことで、歯磨きに対して恐怖心を持ってしまっていることが原因です。特に注意すべきなのは、上唇と上の前歯の中央を繋ぐヒダ(上唇小帯)です。この上唇小帯は非常に敏感で、歯ブラシが当たると激痛を感じるため、お子さんが「歯磨きは痛いもの」と学習してしまいがちです。痛みを防ぐ簡単な方法として、左手の人差し指で上唇小帯を優しく抑えてガードしながら磨くと効果的です。
このように少しの工夫で、お子さんの歯磨き嫌いを予防することができます。もし具体的なやり方がわからない場合は、ぜひ歯科医院で正しい仕上げ磨きの方法を教えてもらうことをおすすめします。
前歯部分だけ受け口になる子が出始める年齢です。もし歯列不正が出ていたとしても2歳で矯正装置を使用できることは少ないため(矯正装置を理解し、治療に協力できるようになる年齢は早くて2歳半~3歳です)、焦る必要はありません。虫歯予防を兼ねて、まずは歯科医院で一度相談してみると良いでしょう。
お子さんが矯正治療に協力できるようになれば、マウスピースや固定式装置を使って正常な咬合に戻す治療が行えます。装置やお子さんの協力度によりますが、通常、半年から1年程度で歯並びが改善することが期待できます。
指しゃぶりは乳幼児期の自然な発達過程の一部であり、2歳以下では様子を見て問題ありません。3歳で指しゃぶりが続く場合、(歯列不正の原因になっていない場合は、もう少し様子見することもありますが)歯並びやかみ合わせに影響が出始めてしまっている場合は、改善に向けた対応を始めることが好ましいと考えます。
3歳段階では、本人のプライドをくすぐるような声掛けを行う(3歳のお兄ちゃん/お姉ちゃんなら、そろそろ指しゃぶりは止めようね、など)、苦いマニュキュアを爪に塗る、タンクリブという指しゃぶりが難しくなる装置を用いる、などの方法があります。遅くとも5歳までには卒業させることが望ましいでしょう。
現在お子さんに虫歯がなければ、ご家庭でのフッ素配合歯磨き粉の使用や食生活の管理、保護者による仕上げ磨きなどで虫歯予防は可能です。ただし、虫歯がないからこそ、歯医者で痛い治療をされることはなく、楽しくフッ素塗布に通えるようになれば、高い虫歯予防効果を簡単に得られるメリットがあります。
定期的な通院は虫歯のチェックや初期虫歯の管理も含めて行えるため、おすすめです。当院では、保育士によるサポートや、キッズミニチュアハウス待合室、頑張った後にもらえる楽しいお土産など、お子さんが楽しく通院できるような工夫をしていますので、ぜひ一度チャレンジしてみてください。
虫歯は遺伝病ではなく、虫歯菌による感染症と食生活や歯磨き習慣に関連する生活習慣病という二つの側面を持っています。保護者に虫歯がある場合、お子さんが2歳で虫歯になる確率は約75.9%にも上りますが、保護者に虫歯がない場合はわずか24.1%と、約3倍もの差があることがわかっています。
この大きな差は、主に二つの要因、「保護者からお子さんへの虫歯菌の感染」と「家族間で共有される食習慣や歯磨き習慣の影響」によるものです。お子さんの虫歯を効果的に予防するためには、ご家族全員で虫歯の治療と予防に積極的に取り組むことが非常に重要です。家族全員が定期的に歯科検診を受けるなど、家族ぐるみの対策が効果的です。
虫歯に穴が開いてしまった場合、フッ素を塗るだけでは効果がありません。穴の開いた虫歯には、一般的に削って詰める治療が必要です。ただし、初めての歯医者での治療に慣れるために、最初はフッ素塗布のみを行うことはあります。
しかし、穴が開いた歯を放置すると、虫歯が神経に達してしまうため、そのままにしておくことはできません。例外として、生え変わり直前でグラグラしている歯の場合は、虫歯治療をせずに生え変わりを待つか、抜歯することもありますが、ほとんどの場合は治療が必要です。虫歯の進行を防ぐためにも、早めに歯科医院で相談することをお勧めします。
虫歯の程度により、虫歯の進行抑制剤(サホライド)を塗布することで経過観察可能なレベルなのか、初期虫歯なのでフッ素塗布で経過観察可能か、すでに穴が開いているので削る治療が必要かどうかを診断する必要があります。穴が開いていない状態の初期虫歯の管理は抑えずに可能であることが多いです。
しかし、すでに穴が開いている場合は、削って治療する必要があります。2歳の子どもは、治療を理解し協力するにはまだ早く、トレーニングもまだ理解できない年齢です。抑えず、泣かさず治療するには全身麻酔が必要です。当院では全身麻酔での歯科治療は行っておりませんので、全身麻酔が可能な医療機関をご紹介させていただきます。
5歳になると、子どもは治療の必要性を理解し、治療に協力できるようになってきます。しかし、慣れないことや治療内容が理解できないと、パニックになってしまうこともあります。そのため、治療で使用する道具を使ったトレーニングや、絵カードを活用するなどの工夫が有効です。
ただし、歯科医院の取り組みだけでは「抑えない治療」は難しく、お子さんが治療中に暴れたり、手で口をふさがないように協力が必要です。ご家庭でも治療の意味をお子さんに説明し、治療を頑張ることを親子で約束してから来院していただくようお願いしています。
はい、多くの場合で可能です。治療を急ぐ必要がある場合や、早めに治療を進めた方が良い場合には、保護者の同意があれば抑制治療を行っています。当院では、手で抑える方法やタオルを使った抑制、笑気ガスを用いた鎮静治療(ウトウトしながら治療を受ける方法)を実施しています。ただし、レストレーナーと呼ばれる固定抑制器具や網を使用した抑制は行っていません。
当院の抑制治療で治療が難しいケースは多くはありませんが、緊急性が高く、トレーニングなどで治療への協力度を改善する時間が取れない場合、発達障害などのためトレーニングが有効でない場合には、大学病院などへの紹介を行うことがあります。
虫歯治療後に定期的なフッ素塗布を省略し、詰め物が取れた時だけ受診することは可能ですが、虫歯予防の観点からは推奨できません。最終的には、患者さんとご家族で判断されることになると思いますが、低年齢で虫歯ができてしまった背景を放置し、穴が開いたら詰める治療だけを行っても、虫歯の再発を防ぐことは難しいと考えています。
虫歯は感染症と生活習慣病の二つの側面を持っています。歯質をフッ素で強化することや、虫歯になりやすい飲食習慣、歯磨きの癖を見直し、その年齢に合った虫歯予防の知識を得ることで、再発を防ぐことができると考えています。お子様のためにも、定期的なフッ素塗布をお勧めいたします。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。ご興味がある方は下記からお問い合わせください。
料金体系は、料金表をご参照ください。