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MFT特集7 舌癖と歯列不正のメカニズムについて

2024年9月26日

MFT特集7 舌癖と歯列不正のメカニズム~舌の悪い癖と歯並びが悪くなることの関わりについて~

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック、小児歯科専門医の吉村です。

今回は、MFT(口腔筋機能療法)の第7回として、舌癖がどのように歯並びに影響を与えるかを解説します。

第1章 舌癖と歯列不正の関係

舌癖は「舌が正しい位置にない状態」とも言えます。

舌に力が入っていないと、舌の厚みや模様がはっきりしません。

 

舌が正しい位置にあれば、力が入り、舌の模様がはっきりします。

 

例えるなら、牛タンのブロックのように厚みがあり、縦にしっかりとした形が舌の正しい姿です。

舌が弛緩して低位になると、上下前歯の間か、下顎に収まるようになります。

  • ・舌が上下の前歯の間に収まるようになれば、舌突出癖が誘発され、『開咬』になります。
  • ・舌が下顎に収まってしまえば、下顎歯列が拡大されて、『反対咬合』の傾向を呈してきます。
  • ・上顎は舌の刺激が少ないため、横幅が狭く、口蓋が高く(上顎のくぼみが深く)なります。
  • ・低位舌の場合、口輪筋が発達不全をおこし、お口ポカン(口唇閉鎖不全)になりやすくなります。
  • ・お口ポカンになると、前歯は『出っ歯』の状態を呈する場合があります。

第2章 舌癖が発音に与える影響

舌癖は発音にも影響を与えます。

舌が正しい位置にないと、サ行やタ行の発音がくぐもった音になり、ナ行やラ行も正しく発音できなくなることがあります。

話している内容は通じるのですが、もごもごしゃべっている感じとか、飴玉をなめている感じという印象になりやすいです。

 

また、舌癖に関連する他の口腔悪習癖も、改善の難易度に違いがあります。

個人差はありますが、一般的に改善しやすいものとしにくいものに分けられます。

 

◆改善しやすいもの:原因が明確で、その癖を継続している期間が短いもの

  • ・口唇閉鎖不全
  • ・咬合力の低下
  • ・弄舌癖
  • ・口唇癖
  • ・一部の歯列異常(非骨格性のもの)

◆改善しにくいもの:複合的な要因によるもの

  • ・口呼吸
  • ・構音障害
  • ・異常嚥下癖
  • ・長期の指しゃぶりや咬爪癖

複合的な要因によるものは、歯科的なアプローチのみでは治療が難しいことがあります。

舌癖は「舌を自由に動かす」感覚が失われている場合が多いです。

MFTや矯正治療を通じて、自由に動かせる舌と理想的な歯並びを手に入れましょう。

 

まとめ

いかがでしたか?

  • ・舌癖がある舌は力が入っておらず、厚みがなく、模様やしわがはっきりしていないという特徴があります。
  • ・舌が低位である場合、上下前歯の付近に存在すれば開咬となり、下顎に位置すれば下顎前突になりやすいです。
  • ・舌癖がある場合、構音障害(くぐもったような発音)になることがあります。
  • ・舌の習癖には治しやすいものと治しにくいものがあり、舌癖のある期間の長さで治療難易度が変わります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

歯並びが治れば滑舌が改善する!?~滑舌と歯並びの関係~

2024年9月19日

歯並びと滑舌の関係

1. はじめに

こんにちは、つぼい歯科クリニックの院長 坪井です。

お子さんの滑舌が悪いことで悩んでいるお母さま方へ、今回は歯並びと滑舌の関係についてお話しします。

 

現代のお子さんの多くが、口唇や舌を正しく使えていないと言われています。

一般的に3割程度のお子さんが、舌や口唇を上手に動かすことが苦手な「口腔機能発達不全症」と言われていますが、小児歯科の臨床に携わる歯科医師の体感としては3割どころではなく、5~7割と感じています。

 

  • 滑舌が悪い
  • 舌の可動域が小さい
  • 舌を挙上するのが苦手
  • 風船を膨らますことができない
  • 蝋燭を吹き消せない
  • 普段から口が開いている
  • 食事がとても時間がかかる

 

今回は、こうした「小児口腔機能発達不全症」の症状のうち、滑舌と歯並びの関係に焦点を当ててお話しようと思います。

 

2. 子供の滑舌と歯並び

歯並びが滑舌に与える影響は非常に大きいです。

歯の位置がずれていると、舌が正しい位置に動かず、発音が難しくなります。

 

例えば、歯並びの横幅が狭く、口蓋(上顎のお椀のような形態)が深い場合、舌を上に持ち上げて上顎に触れさせることが難しくなることがあります。すると「タ行」の発音が難しくなることがあります。

 

また、上の前歯が前に出っ歯となっていて、下の前歯との距離が大きく空いている場合、舌を上の前歯に擦って音を出す「サ行」が言いにくくなることもあります。

 

滑舌が悪いと、友達とのコミュニケーションに支障をきたしたり、コンプレックスになったりすることがあるため、可能ならば低年齢のうちに改善したいところです。

 

3. 歯列矯正の効果

横幅が狭く出っ歯型の歯並びと、正常な歯並びを見比べてみましょう。

 

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横幅が狭く、出っ歯型の歯並び

岩国、歯医者、矯正

正常な歯並び

横幅が狭くなってしまった場合、上顎が深くなってしまい、舌を当てるのが難しくなってしまいます。

こうして舌を正常に動かすことが難しい場合、ちょっと籠ったような発音になることが多いです(口蓋化構音)。

 

歯列矯正治療では前歯を引っ込めたり、(10歳以下の小児の場合は)急速拡大装置と呼ばれる、上顎の横幅をしっかり広げる治療などで、構音が難しくなってしまう原因を治療することができます。

 

岩国、歯医者、小児矯正

急速拡大装置

 

4. MFTや言語聴覚士によるトレーニングの併用

歯列矯正だけでなく、筋機能療法(MFT)や言語聴覚士によるトレーニングも有効です。

当院は、口腔機能発達不全症のお子様が矯正治療を行う場合、ほぼMFTも併用しています。

*ただし、お子様の年齢が10歳以上の場合で治療効果が薄いと判断した場合は、ご自宅での簡単なトレーニングの指導のみとさせていただいています。

 

MFTについては、こちらの記事もご覧ください。

 

参考リンク:お口の機能発達は10歳までが勝負!

 

参考リンク:当院のMFTの様子(インスタグラム)

*インスタグラムは音がでますのでご注意ください

 

5. まとめ

いかがでしたか?

 

・滑舌と悪い歯並びには関係があり、歯並びを治すことで滑舌が改善することがあります。

・特に「タ行」「サ行」で特に改善が見られます。

・MFTや言語聴覚士によるトレーニングを併用した方が効果的です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

矯正治療は何歳から始めるのが一番良い?

2024年9月3日

矯正治療は何歳から始めるのが一番良い?

中学生

こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井文です。

今日は「矯正治療は何歳から始めるのが一番良い?」という話題です。

 

当院には、2~3歳のお子様から、60代くらいまでの方が矯正治療に通院されています。

大人になってからでも、多くの場合は治療可能です。

しかし、悪い歯並びは子供のうちに治してしまう方がメリットが大きいのも、事実です。

1)小児矯正の重要性

まず、小児矯正についてお話ししましょう。

10歳前後までの時期が対象の小児矯正を行う理由は、成長期を利用して顎の骨を正しい位置に導くことができるからです。

この時期に矯正を行うことで、将来的に抜歯を避けることができる場合もあります。

小児矯正の詳細については、別の記事で詳しく書いていますので、ご興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。

 

★参考リンク★

成長を利用して治す小児矯正で「非抜歯矯正」!

2)小児矯正のデメリット

一方で、小児矯正にはデメリットも存在します。

例えば、治療期間が長くなることや、装置の管理が難しいことがあります。

また、子供自身が治療に対して積極的でない場合、治療がうまく進まないこともあります。

3)12~13歳以上の矯正治療

では、小児矯正の時期を逃してしまった12~13歳以上の方の場合はどうでしょうか?

人間の頭蓋は10歳前後で成長をほぼ終えるので、「矯正治療で顎を育てることができる」時期は終わっています。

しかし実は、「顎を育てる時期が終わっている12~13歳」でも、早めに治療した方が良い理由があるんです。

今回は、その理由を5つご紹介します。

4)早めに歯列矯正を行うことのメリット

4-1)治療期間が短い・歯が良く動く

思春期の成長期にある12~13歳の段階では、骨や歯が柔らかく、治療に対する反応が良いです。
この時期に矯正治療を開始することで、治療期間を短縮し、歯の動きを促進することが期待できます。

4-2)痛み・違和感が少ない

若い時期に治療を始めると、歯や口腔の状態がまだ柔らかいため、痛みや違和感が少なく、患者が治療に対して快適に適応できます。

4-3)社会生活への影響が小さい

思春期は学業や友情など、社会的な関係が形成される時期です。
この時期に治療を始めると、社会生活への影響が少なく、同世代との交流や自己表現がしやすくなります。
成人後に治療を始めると、仕事や社会生活において制約を受ける可能性があります。
特に飲食業や営業など、外見や口元が重要な職業に従事する場合、治療が難しくなることがあります。

4-4)加速矯正を行える

近年では加速矯正技術が進歩しており、治療期間をより短縮することが可能です。
思春期に始めることで、このような新しい技術を駆使し、より迅速かつ効果的な治療が行えます。

4-5)高校デビュー・大学デビュー・社会人デビューの時には綺麗な歯並びでいられる

思春期に治療を終えると、高校や大学、社会人としての新たなステージに綺麗な歯並びで臨むことができます。
「失った時間は取り戻せない」ため、思春期に治療を受けることで、将来の自分に自信を持って臨むことができます。

5)私の体験談:思春期の思い出を変える矯正治療

5-1)私の生まれつきの歯並びの問題

私は生まれつき、上の2番目の前歯が2本生えていました。

本来1本のところに2本生えているため、その部分の歯並びが乱れていました。

小学生2年生のころ、母に連れられて矯正相談に行ったことを覚えています。

 

母は矯正治療が保険適用外であることから、治療を受けさせるべきかどうか、非常に悩んでいました。

母は私に「文ちゃん、歯並び、気になる?治したい?」と尋ねました。

当時の私は小学2年生で、外見や歯並びについて何も気にしていない年齢でしたので、

「全然!このままでいいよ!」と答えました。

母が、ホッとした表情をしたのを、よく覚えています。

5-2)思春期の変化

しかし、思春期に入ると外見がそれなりに気になるようになりました。

笑ったときに上の前歯の歯並びが乱れていることがコンプレックスとなって、口元を隠すことが増えました。

小学生のころは、歯を見せて笑っている写真が多く残っていますが、中学生~高校生の頃の写真では、歯を見せて笑っている写真はほとんどありません。

5-3)矯正治療の決断

大学生になった私は矯正治療を受けたいと、強く思うようになりました。

毎日鏡で自分の顔を見るたび、歯並びが気になる…と思うのを辛く感じるようになっていましたし、

歯磨きを頑張っても、歯並びが乱れて歯が重なっている部分には虫歯ができてしまいました。

 

両親も私の気持ちを汲んで、

「もっと早くに矯正させてあげたら良かった」

と言ってくれて、晴れて歯並びを治療を受けることが出来ました。

5-4)もっと早くにしておけば良かった

治療が終わったとき、私は自分の笑顔に自信を持てるようになりました。

ただ、矯正治療をする前に虫歯になってしまった歯は元には戻りませんし、

口元を隠して過ごした思春期の時間も戻りません。

矯正治療は何歳からでもできますが、どうせやるなら、確かに早めが良かったなと個人的には思っています。

6)矯正治療を考えている方へ

矯正治療は何歳からでも始められます。

しかし、矯正をされる方の多くが、子供か、若い方です。

 

「どうせやるなら早いうちに始める方が、メリットが大きい」からです。

小児期から始めれば、抜歯を回避できる可能性が高くなり、

思春期から始めれば、治療期間を短縮し、痛みや違和感を軽減することができます。

大学時代から始めれば、社会生活への影響も少なく、将来の自分に自信を持つことができます。

迷っていらっしゃる方は、当院でも無料矯正相談会を毎月開催しておりますので、よろしければ一度相談に知らしてくださいね。

まとめ

いかがでしたか?

 

・矯正治療は何歳からでも始めることができますが、早めに始めることで多くのメリットがあります。

・治療期間が短縮されます。
・痛みや違和感が軽減されます。
・社会生活への影響が少ないです。
・将来の自分に自信を持つことができます。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

7月8月合同誕生日会

2024年8月30日

久しぶりのスタッフブログ更新です。

スタッフブログの内容は、インスタグラムの方でよく更新していますので、

ぜひそちらもご覧いただけるとうれしいです!

 

こんにちは!つぼい歯科クリニック スタッフのれなです。

7月と8月のお誕生日会を合同で行いました!

今回お祝いしたのは、院長、チーフ、藤東先生、ちひろちゃん、みゆさんです。

みなさん、お誕生日おめでとうございます♪

 

台風が接近していたにもかかわらず、バッケンモーツアルトさんが開店してくださったおかげで、

美味しいケーキをいただくことができました。

大変な状況の中、本当に感謝です。

 

ケーキはどれも絶品で、みんなで「これがいい!」と選びながら、楽しい時間を過ごしました。

ケーキの甘さが、みんなの笑顔をさらに引き立ててくれました!

★写真はじゃんけん大会です★

みんなでお祝いする時間は、やっぱり特別です。

今日もクリニック一同、患者さまに喜んでいただけるよう頑張ります♪

 

 

MFT特集 その6 矯正手法とMFTについて

2024年8月15日

矯正手法とMFTについて

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科、小児歯科専門医の吉村です。
今回はMFT関連の第6回で、MFTと矯正方法の選択についてのお話です。

 

実は、歯並びやかみ合わせには、筋肉の働きが深く関係しているんです。
今回の記事では、その秘密を解き明かしつつ、どうして矯正治療とMFT(口腔筋機能訓練、マイオファンクショナルセラピー)が大切なのかをお話しします。
お子さんの歯並びが気になる保護者の方は、ぜひお読みください。

 

MTF特集1~5はこちら

MFT特集その1 筋肉量を増やして小児口腔機能発達不全症を治そう

MFT特集その2 「正しい姿勢・咀嚼と嚥下・呼吸」を得るために大事なこと

MFT特集その3 お口の機能発達は10歳までが勝負!

MFT特集その4 お口ポカンの影響と直し方について

MTF特集その5 口呼吸とアレルギー、アデノイド

第一章 なぜ筋肉が歯並びに影響するのか?

筋肉は、歯並びやかみ合わせに大きな影響を与えます。

特に、舌や唇の筋肉が正しく機能しないと、不正咬合が進行することがあります。

この問題を放置すると、後々の治療が難しくなる可能性があります。

  • 舌小帯・上唇小帯の影響:筋肉がその付着点や起始点で異常に働くと、歯が引っ張られ、不正咬合が増悪することがあります。
    例えば、舌小帯や上唇小帯という筋の付着点に問題がある場合、筋肉が正常に機能せず、歯並びが乱れる原因になります。
    舌小帯
    参照リンク 舌小帯・上唇小帯 | 歯科用語 (shika-yogojiten.jp)
    上唇小帯参照リンク 舌小帯・上唇小帯 | 歯科用語 (shika-yogojiten.jp)
    このようなケースでは、小帯切除術と呼ばれる簡単な外科処置で改善が見込まれます。
    最近では、この処置を選ぶ患者さんが増えています。
  • 口や鼻のサイズ:口が小さいと、鼻腔や気道も狭くなることがあります。
    この場合、矯正治療によって上顎の拡大することで、呼吸や気道スペースが確保されます。
    下顎は、上顎の拡大に伴って自然に成長することも多く、矯正による顎の大きさや位置の改善は、呼吸にも良い影響を与えることが報告されています。

第二章 MFTと矯正治療って何?

MFTは、筋肉の働きを改善するための治療法です。これを行うことで、矯正治療がより効果的になります。

  • MFTの役割:MFTは、筋肉のバランスを整え、歯並びを正しく導くサポートをします。筋肉が正常に働くことで、歯が正しい位置に並びやすくなり、矯正治療の効果が高まります。
  • 矯正治療との組み合わせ:矯正治療とMFTを併用することで、歯の動きがスムーズになり、理想的な歯並びが期待できます。これにより、将来的な歯並びの安定性も向上します。

第三章 どうやってMFTと矯正治療を行うのか?

それでは、具体的にどのように治療を進めるのでしょうか?

  • 丸顔の特徴と治療:日本人に多い丸顔の特徴として、咀嚼筋(食べ物を噛む筋肉)が強いことが挙げられます。
    丸顔で咀嚼筋が優位な場合、下顎を成長させる治療法やMFTが向いているとされています。
    具体的には、咬合斜面板、咬合挙上板などの装置が用いられるほか、ある程度はマウスピース矯正でも治療が可能です。
  • 面長の特徴と治療:一方、面長の特徴としては、咀嚼筋が弱く、低活動であることが多いです。
    このような場合、まずは上唇小帯や舌小帯など、筋活動を阻害している因子を取り除くことが重要です。
    その上で、硬いものを食べたりガムを噛んだりして、咀嚼筋を鍛えるMFTが効果的です。さらに、鼻が悪い場合も多いため、鼻呼吸の練習や必要に応じた耳鼻科治療が行われます。
    直接的な影響は少ないとされていますが、上顎の拡大によって副産物的に鼻呼吸が改善されたという報告もあります。
    臼歯部を圧下させる(かみ合わせを低くする)装置も効果的です。
    複数の歯に大きな処置が必要な場合は、マルチブラケットやインビザライン矯正などの本格的な矯正が適しています。

第四章:他に考慮すべきことは?

MFTと矯正治療以外にも、いくつかの重要なポイントがあります。

  • 鼻呼吸の促進:鼻呼吸ができるようにすることも重要です。
    これには耳鼻科治療や鼻の通りを改善するための対策が必要になることがあります。
    拡大によって鼻呼吸が改善することもありますが、専門的な治療が必要なケースも少なくありません。
  • 骨格の改善:骨格的な問題を早期に改善することで、将来的な抜歯や手術が不要になることがあります。
    子供時代に骨格的な不正を指摘し、小児矯正やMFTの結果、改善された場合、抜歯や手術並みの効果が得られることもあります。

まとめ

  • 筋肉の働きは、歯並びに大きな影響を与えます。
  • MFTと矯正治療を組み合わせることで、より効果的な治療が期待できます。
  • 鼻呼吸や骨格の問題も併せて考えることが、より良い結果を生む鍵です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
MFTや矯正について、個別にご相談がある場合は、かかりつけの歯科医院でご相談してください。
当院では、矯正相談での受診や、矯正相談会なども定期的に行っていますので、ご興味がある方はお気軽にお申し込みください。

MFT特集その5 口呼吸とアレルギー、アデノイド

2024年7月3日

口呼吸とアレルギー、アデノイド

 

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

今回はMFT(マイオファンクショナルセラピー)の第5回で、前回に引き続き口唇閉鎖に係わる要素、「鼻呼吸」について考えてみようと思います。

 

参考リンク

MFT特集その1 筋肉量を増やして小児口腔機能発達不全症を治そう

MFT特集その2 「正しい姿勢・咀嚼と嚥下・呼吸」を得るために大事なこと

MFT特集その3 お口の機能発達は10歳までが勝負!

MFT特集その4 お口ポカンの影響と直し方について

 

鼻呼吸について

突然ですが、みなさんは、飲み物を飲みながら鼻で息ができますか?

答えは「できない」。我々人類は、気道と食道が咽頭で交わる構造になっているので、呼吸と嚥下は同時に行うことはできません。気道と食道が交わるので、人間は鼻でも口でも呼吸ができてしまい、また、呼吸と嚥下を同時にはできなくなってしまったんです。

赤ちゃんの場合

では赤ちゃんはどうでしょうか?母乳を10分、15分と吸っている間、ずっと息を止めているのでしょうか?もちろん、ちゃんと呼吸しています。実は赤ちゃんは、気道と食道が完全に分離しているんです。生後6か月以降に喉頭が下降して、成人と同じように気道と食道が交わるようになるんです。つまり新生児のうちは、赤ちゃんは鼻呼吸のみで、呼吸と嚥下を同時に行うことができるんですね。

動物の場合

では、人間以外の動物はどうでしょうか?動物は気道と食道が完全に分

離しており、我々人類の近縁である類人猿ですらも鼻呼吸のみです。犬や猫が暑いときにハアハアやっているのは呼吸ではなく、血管が多い舌を冷やしている行為です。

人類の進化と口呼吸

人類は二足歩行になった結果、口、咽頭、喉頭が大きく広がり、言語を習得して色々な音が出せるようになりましたが、同時に口での呼吸も可能となりました。人間も、二足歩行がまだ出来ない赤ちゃんの頃は気道と食道が完全分離していて、1歳程度で言語を習得するようになると口、咽頭、喉頭あたりが大きくなって、口呼吸も可能になるんです。

免疫系の発達と口呼吸

一方で、1歳前後で卒乳すると母乳由来の免疫が減少し、様々な病原体や物質に巡り合うことにより子供は自分自身での免疫を作るようになります。この時期の免疫系の発達はものすごく、10歳ごろには成人の200%ぐらいの免疫力を持つことになります。

免疫系の発達は生きていく上で非常に重要ですが、この時期に多くのアレルギー反応も生じます。現代社会ではアレルギー反応が強く出る子が多く、鼻詰まりやアデノイド(のどに存在する免疫系の重要な器官)の腫大が多くの子供に見られます。こうした鼻詰まりも口呼吸になってしまう一因となります。

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アデノイドと口呼吸

アデノイドの肥大や鼻詰まりが落ち着くのは、6歳頃です。免疫力のピークと、アデノイド発症のピークが一致しないのは、環境要因や生活習慣など複雑な要因が関係するためですが、問題は1~6歳の間、鼻が通りにくい状態にあることで口呼吸が癖になってしまうことです。この(アデノイドなどの)原因が無くなった後も継続する「癖になってしまった口呼吸」のことを「習慣性口呼吸」と言います。

口呼吸のデメリット

口呼吸のデメリットは、以下のように多岐にわたります。

  • 歯並びへの影響(出っ歯になりやすい)
  • 唾液が前歯に触れないことで唾液による再石灰化作用が弱くなり、虫歯になりやすくなる
  • 咽頭が乾燥する、鼻毛のろ過が行われないためにウィルス性疾患にかかりやすくなる
  • 鼻を呼吸で使わないことにより、鼻が横方向に成長せず、より鼻呼吸がしにくくなる

口呼吸の予防

口呼吸の予防には、以下の対策があります。

  • アデノイドなどがある場合は耳鼻科で処置する
  • アレルギー対策を行う
  • 口唇閉鎖しやすいような生活習慣を取り入れる

3歳までに形成された癖は自力で治すのは難しいです。大人では意識することである程度改善できますが、小さな子供に系統だった努力をさせるのは困難です。簡単な訓練でも、ステップを踏んで地道に習慣化していく必要があります。

 

参考リンク:楽しく筋機能訓練(インスタグラム)

 

まとめ

 

いかがでしたか?

 

1.新生児期の呼吸は鼻呼吸ですが、気道と食道が交差するようになる1歳ころから口呼吸が増え始めます。

2.1歳児からのアレルギーや習慣が原因で口呼吸になってしまう子供が多くいます。

3.アデノイドが落ち着くのは6歳ころからです。これらの症状は耳鼻科での治療が必要になります。

4.癖になった口呼吸は、なかなか自然での改善は望めません。習慣性口呼吸がある場合は筋機能訓練が有効です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

お口ポカンの影響と直し方について

2024年6月21日

お口ポカンの影響と直し方について

こんにちは!岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 小児歯科専門医の吉村剛です。

今回はMFT(マイオファンクショナルセラピー:口腔筋機能訓練)の第4回で、一番よくある症状である口唇閉鎖、つまりお口ぽかんについてお話しします。

 

あなたはお口ポカン(口唇閉鎖不全)について、聞いたことがあるでしょうか?

 

口唇閉鎖不全とは、日常的に口が開いている状態を指します。

2021年の調査では、3歳から12歳の子どもの約30.7%がこの状態でした。

近年非常に増加していて、社会問題になっています。

 

口唇閉鎖不全は口呼吸につながりやすいですが、必ずしも口唇閉鎖不全、イコール、口呼吸を意味するわけではありません。

今回は、口唇閉鎖不全の原因と改善方法についてお話しします。

お口ポカンはなぜ悪い?

口唇閉鎖不全(お口ポカン)とは、日常的に口が開いている状態を指します。

これが口呼吸に繋がることがあります。

口唇閉鎖不全の子ども

お口ポカンの原因

・鼻呼吸ができていない・・・鼻閉やアデノイド肥大などの原因がある場合。

・お口周囲の筋肉の発達が十分でない

・嚥下や発音、呼吸に関連する筋肉の発達が十分でない場合。

 

以上より、お口ポカンを改善するには、下記の対策をしていくことになります。

口唇閉鎖不全(お口ポカン)を改善するには

・鼻呼吸ができているか確認する。

・鼻閉やアデノイド肥大などがあれば、耳鼻科での治療を受ける。

・お口周囲の筋肉を鍛えるためのトレーニング(MFT:口腔筋機能訓練)を行う。

 

お口ポカンに対して何もしなければどうなる?

もしこの問題を放置すると、成長期にさまざまな領域に悪影響を与える可能性があります。

 

例えば、歯並びが悪くなったり、口呼吸になり集中力が維持できなくなったり、スポーツを行う時にその子の本来のポテンシャルが発揮できなくなったり、睡眠障害が起こる原因となります。

 

眠そうな女の子

 

よって、早期の対応が大切です。

 

以上のような対策を講じることで、口唇閉鎖不全を改善し、健康な発育を促すことができます。

何かご不明点があれば、いつでもご相談ください。

 

まとめ

いかがでしたか?

1 口唇閉鎖不全(お口ぽかん)は小児の約30%に見られ、鼻閉や筋肉の弱さが原因で起こります。

2 鼻閉やアデノイド肥大が原因の場合は耳鼻科での治療が必要です。

3 筋機能トレーニング(MFT)で口唇閉鎖不全の改善が可能で、早期対応が重要です

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

歯科用CTで出来ること ~根管治療でCTって必要なの?~

2024年6月6日

歯科用CTで出来ること

~根管治療でCTって必要なの?~

 

こんにちは、医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井です。

 

唐突ですが、歯科医院で使用するX線検査に関するクイズです!

 

CTが100とすると

デンタルレントゲンが55

パノラマレントゲンが28

 

さて、これは何を比較した数字でしょうか!?

 

岩国、歯医者、CT

 

答えは「歯の根尖病巣の検出力」

歯の根っこの先に、膿が溜まったりしてできる根尖病巣ですが、X線撮影の種類で検出力に大きな差があるんです。

 

根尖病巣や根管治療に関しては、こちらの記事をご参考になさってください。

参考リンク:歯医者が「回数がかかる」と言われるワケ ~根管治療の種類~

 

さてさて、最近は歯医者さんでも、ときどき目にする「CT(コンピュータ断層撮影)」

歯科医院においての普及率(導入率)は10~20%と言われています。

 

CTという単語はご存じでも、

・実際に撮影を経験したことは無い

・医科では撮影したことあるけれど歯科では撮影したことが無い、

という方が多いのではないでしょうか?

 

今は歯科領域でも根管治療(歯の根っこの治療)や親知らずの抜歯、小児の歯の萌出不全、矯正治療、インプラント治療など、幅広い分野で活用されています。

 

今回は聞いたことはあるけれど撮影する機会はそれほどない、歯科用CTのお話です。

 

1)CTは何がすごいの?

 

CTはX線を使用して体の断層画像を撮影し、コンピューターを使ってそれらの画像を合成して立体的な画像を作成します。

CT画像は、骨や歯、血管や膿瘍などの内部構造を非常に詳細に観察することができます。

 

従来のレントゲンは3D(立体)のものを2D(平面)で見る、いわば影絵です。

CTは3Dのものを3Dで見ることができるため、病巣の位置や大きさなどを正確に把握することができるのです。

 

だからCTは

小さなフィルムで歯を数本単位で撮影するデンタルレントゲンの約2倍、

顎全体を検査して全体を把握するのに用いるパノラマレントゲンの約3倍もの

診断能力を持つんですね。

 

2)CTとレントゲンの、実際の見え方の違い

まず、パノラマレントゲンでの見え方です。

黄色で囲った部分と、青で囲った部分に注目してください。

 

黄色の方は、歯医者の目で見ても「もしかして根っこの先に根尖病巣があるかも…でも良く分からないな?」という感じ。青の方は、「問題無さそう」に見えます。

 

岩国、歯医者、根管治療

 

ではCTではどのように見えるでしょうか?

 

岩国、歯医者、CT

 

岩国、歯医者、精密根管治療

写真は本人の使用許可を頂いています

 

黄色も青も、どちらにも根尖に透過像(骨の密度が薄くなっている、もしくは骨が無くなっている像)が確認できます。

特に青の方は、病巣が歯の裏側(舌側側)に重なって存在しているため、パノラマレントゲンではまったく分からない、CTでないと検出できない病巣になります。

 

 

3)どうしてCTは他のレントゲンより詳細に分かるの?

 

CT以外のレントゲンは、いわば「影絵」。

被写体の厚みや詳細な形は分からないんです。

 

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歯科医師は、歯の解剖学的な形が頭に入っているので、2Dのレントゲンを見たら「こういう像が写っているということは、きっとこんな感じになっていると思う」という感じで、経験則と統計データをもとに、本来の形を想像しながら治療をしていきます。

 

しかし影絵は影絵です。

 

たとえば、下記のような影絵を見た場合はどうでしょうか?

岩国、歯医者、レントゲン

 

影絵だけを見た場合、

「シルエットからして、テディ・ベアかな?首に何かつけているようだな。テディ・ベアの首についている飾りだから、経験的にチョーカーかリボンかもしれないとは思うけれど。」

くらいは言えるでしょう。

しかし、リボンが蝶々結びされている、と見えているわけではありません。

 

まさにこれが、CTと他のレントゲンとの「見え方の差」なんです。

 

 

4)CT、デンタルレントゲン、パノラマレントゲンの違い

 

では、歯科領域のどんな病気もCTで撮影すべきか!?…というと、そんなことはありません。

それぞれの良い点、悪い点があり、歯科医師は症例によって使い分けています。

4-1)被ばく量とリスク

  • 歯科用CT: 歯科用CTは、一般的なX線撮影よりも被ばく量が高くなります。とはいえ、医科用CTの被ばく量の1/10程度の0.04mSv程度。1年間に自然放射線で受ける被ばく量(平均2.4mSv)の数百分の1の線量になります。
  • パノラマレントゲン: パノラマレントゲンの被ばく線量は、約0.005~0.03mSv程度。
  • デンタルレントゲン: デンタルレントゲンの被ばく線量は、約0.005~0.01μSv(0.000005~0.00001mSv)程度です。非常に低い被ばく量です。

4-2)情報の正確さや情報量

  • 歯科用CT: 歯や顎の詳細な構造を観察することができます。骨の密度や厚さ、歯の位置関係、根尖病巣の詳細は状態、歯にヒビや割れが無いかなど、より詳細な情報を得ることができます。
  • パノラマレントゲン: パノラマレントゲンは全体の歯や口腔の構造を一度に撮影するため、全体像を把握することに適していますが、詳細な情報は得られません。根尖病変もある程度大きさが無いと判定できません。
  • デンタルレントゲン: デンタルレントゲンは特定の歯や歯周組織を詳しく見ることができますが、X線の影絵である以上、CTよりは得られる情報は少ないです。

4-3)被写体の範囲

  • 歯科用CT: 歯を数本だけ、顎骨全体、頭部や咽頭部までと、撮影したい範囲を選ぶことができます。
  • パノラマレントゲン: パノラマレントゲンは口腔内全体~顎骨~顎関節までを撮影することができます。
  • デンタルレントゲン: デンタルレントゲンは特定の歯や歯周組織を対象としており、口腔内の局所的な領域を撮影します。

4-4)保険診療で使用可能かどうか

  • 歯科用CT 保険診療では「3根管以上の複雑な根管を持つ歯」にCTを撮影して良いとされています。前歯の根っこの治療の場合、基本的には保険でCTを撮影することはできません。
  • パノラマレントゲン3部位以上の撮影部位があるときに撮影します。
  • デンタルレントゲン根管治療時に、もっとも一般的に使用されます。

パノラマレントゲンで顎の骨の状態や、虫歯や根尖病巣が無いかを全体的に確認して、

虫歯や根尖病巣を見つけたら、その部分だけデンタルレントゲンで再確認して、

デンタルレントゲンでも分かりにくい3根管の奥歯では必要に応じてCTを撮影する、

というパターンが多いです。

 

保険診療では、パノラマレントゲンやデンタルレントゲンで分からない場合にCTを撮影するので、最初からCTのみを撮影する、というやり方は認められていません。

 

 

5)CT、マイクロスコープ、Ni-Tiファイルは「根管治療の三種の神器」

*私が勝手にそう言っているだけです

 

影絵を経験則で補いながら治療するのと、実際に「見える」のでは、診断力に差がでます。

 

最近は、CT、マイクロスコープ、Ni-Tiファイルなどの先進機器が保険診療でも導入され、治療成績を上げてきています。

 

その他にもバイオセラミックスセメントにバイオアクティブガラス配合シーラーにと(日本で保険診療では使用できないものも含めて)どんどん技術・材料が進歩しています。

 

次回は根管治療とマイクロスコープについて、解説していこうと思います。

 

 

6)まとめ

 

いかがでしたか?

  • CTは他のレントゲンに比べて、根尖病巣の検出精度が高いです。
  • CTは被ばく量が他のレントゲンと比較すると多いです。
  • 歯科用CTは医科用CTの1/10程度の被ばく量です。
  • CT、パノラマレントゲン、デンタルレントゲンは症例に応じて歯科医師が使い分けています。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

MFT(口腔筋機能訓練)特集その3 お口の機能発達は10歳までが勝負!

2024年4月25日

 

MFT(口腔筋機能訓練)特集その3

お口の機能発達は10歳までが勝負!

 

 

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 小児歯科専門医の吉村です。

MFT(マイオ ファンクショナル セラピー:筋機能訓練)の第3回です。

今回は「筋機能訓練は何歳までに始めたら良いの?また、何歳までがリミットなの?」というテーマのお話です。

 

小児歯科、MFT、筋機能訓練

 

1)筋機能訓練(MFT)は10歳までに終えたい

保険診療の小児口腔機能発達不全症は、18歳未満が対象です。

が、実際は10歳までが勝負と言われています。

筋機能訓練を10歳までに行わないと、効果が激減してしまうワケ

人間の咀嚼、嚥下、発音、呼吸などの口腔機能は、成長発育期に日常生活の中で学習して自然に獲得するものです。

口腔機能にとっての成長発育期が、10歳までなんです。

5,6歳から取り組んで(遅くとも8歳から始めて)、10歳までに終わるのが理想です。

 

2)筋機能訓練(MFT)では、何を訓練で改善するの?

MFTで改善するのは、呼吸と嚥下(えんげ)の機能です。

歯並びを悪くする原因でもある「呼吸」「嚥下」のうち、ここでは「嚥下」に焦点をあてて解説しますね。

 

「嚥下」がうまくできない状態(摂食嚥下障害)では、どんなことがおこっているのでしょうか。

嚥下とは、食べる・飲み込むという一連の動作です。

食べ物が実際にある体の「場所」と、食べ物をどう処理するかの「体の働き」がうまく嚙み合っていないと、嚥下はうまくできません。

 

 

詳しく説明していきます。

咀嚼嚥下(そしゃくえんげ:かんで飲み込むこと)は2つのとらえ方があります。

2-1)食べ物がどこにあるかで分ける「相(そう)」

相は「口腔相」「咽頭相」「食道相」に分けられますが、これは食べ物が体のどこにあるか、という分け方です。

 

2-2)認識や筋肉の動きで分ける「期(き)」

期は神経目線の考え方です。

「認知期」「準備期」「口腔期」「咽頭期」「食道期」という流れです。

認知期・・・「食べよう」と思うことにより無意識に食べる心構えをする段階

準備期・・・噛む段階

口腔期・・・飲み込む直前の段階

咽頭期(いんとうき)、食道期・・・食べ物がその場所に来たときに、体が無意識に、オートマチックに動く段階

 

2-3)咀嚼嚥下障害は、相と期が上手くかみ合っていない状態で発生する

MFTの訓練は「期」の中でのそれぞれの改善点をトレーニングする方法とされています。

舌の位置、動き、持久力、可動域、機能

口唇の動き、閉鎖力、可動域、機能

舌や口唇が正しい機能を発揮しやすくする姿勢

など、多岐にわたり、様々なトレーニング方法があります。

 

3)機能は一度獲得出来たら、後戻りはしない

通常、人間は食事するとき、舌の位置とか深く考えずにほぼ無意識に行います。

ですが、「食べよう」「食べ物を口に入れよう」「噛もう」というのは、意識して行います。

この「意識する部分」の訓練を繰り返せば、神経筋機能が刺激、発達して改善できる。これがMFTを行う理論的根拠とされています。

 

また、習得するのは難しいのですが、習得したら無意識レベルまでいくので、後戻りはしないとされる根拠でもあります。

 

4)どうして10歳までに終えたいの?

この記事の冒頭で、筋機能訓練は5,6歳から開始して、10歳までには終えるのが理想的だとお伝えしました。

 

10歳ごろまでは

・乳歯が生える/抜ける、永久歯が生えるなど変化が大きい時期

・顎の成長や口腔のボリューム(容積)の変化が大きい時期

・神経機能が発達しやすい時期

ということもあり、体が「変化を受け入れやすい」「機能獲得に有利な時期」なのです。

 

特に、脳をはじめとした神経系の成長は、10歳前後までに成人の95.6%にまで達します。

この時期は、さまざまな神経回路が形成されます。

よって、神経系の働きを高めるような運動や動作を行うと、発達を促す効果が高いんです。

 

それ以上の年齢では改善しないわけではありません。

しかし、癖を治すのに強い意志が必要となり、発達もゆっくりとなるので、大きなストレスを感じる人も多いです。

 

5)MFTで歯並びが綺麗になるって本当!?

5-1)口腔の機能発達不全が歯並びを悪くする

口呼吸や低位舌(ていいぜつ)、舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)などの口腔機能の発達不全は、出っ歯や歯のガタガタ、受け口の原因になることが知られています。

そのため、歯列矯正と併用して行うケースも多いです。

 

矯正治療で歯並び治療をする時に、歯並びを悪くする癖があれば治療効果が低下します。

そして、せっかく歯並びを治療しても、歯並びを悪くする癖があれば、またすぐに歯並びは悪く戻ってしまうことも多いです。

 

5-2)MFTをすれば全員歯並びが良くなるわけではない

歯並びの悪さの原因が、何かによります。

口腔機能の発達不全が歯並びを悪くしている原因の場合、口腔機能が改善したら歯並びが良くなることもあります。

ただ、それは神経筋機構が改善した結果です。MFTによって、歯並びが直接改善するわけではありません。

 

年齢や歯並びや骨の状態によっては、MFTだけでは歯並びを改善できないこともあります。

その場合は、矯正治療との併用してMFTを行うことも多いです。

 

6)10歳までに機能獲得をするために、8歳までにMFTを始めたい

MFTは2年間くらいトレーニングを行います。

獲得しなければいけない機能不全が、どの程度かによって、期間は前後します。

10歳未満の方であれば、2年のMFT期間で、ほとんどの場合大幅な機能改善が期待できます。

 

MFT期間の目安は2年間ですが、

  • ・症例の重度・軽度
  • ・どのくらいご自宅でトレーニング時間を作れるか
  • ・トレーニングのための通院頻度

などによっても必要とされる期間は変わります。

 

絶対に8歳までに始めなければいけない、ということではありません。

しかし、8歳くらいまでに始めると、「安心」ではあります。

 

7)まとめ

いかがでしたか?

 

  • ・MFTの訓練は「期」の中でのそれぞれの改善点をトレーニングする方法とされ、様々なステップに分けられています。
  • ・口腔機能をMFTによって習得するのは難しいのですが、習得したら一生抜けない技術です。
  • ・ただし、受け入れやすい年齢は上限が決まっており(10歳)、その後では強い意志が必要となります。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

MFT 「正しい姿勢・咀嚼と嚥下・呼吸」を得るために大事なこと

2024年3月6日

MFT(口腔筋機能訓練)特集その2

「正しい姿勢・咀嚼と嚥下・呼吸」を得るために大事なこと

 

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

 

今回はMFT(マイオ ファンクショナル セラピー 口腔筋機能訓練)の第2回です✨

小児の口腔の発達とMFTについて考えようと思います。

 

1)MFTの目標は「正しい姿勢・正しい咀嚼と嚥下・正しい呼吸」

 

正しい姿勢・咀嚼と嚥下・呼吸とは、なんでしょうか?

リンク先は小児歯科学会の啓発ポスターです。

 

参考リンク:口は閉じて食べましょう!

 

正しい姿勢・咀嚼と嚥下・呼吸として大事なことは、

 

・前歯で噛みきり、しっかり噛んで程よいところで飲み込む

・背もたれは使わずに、背筋を伸ばした姿勢で座る

・足置きを用いて、足裏を床につけて食事する

・口を閉じて食べる

 

とされています。

岩国 歯医者 正しい姿勢

さて、あなたのご家庭では、お子さんは普段、どのような姿勢をしていらっしゃるででしょうか?

 

2)現代家庭ではお子さんは「良い姿勢」を習得しにくい

 

ソファーに座ると、子供の場合は足裏が床につかないですし、ソファーだと背もたれにもたれてしまいますよね?

また、ご家族みなさんで食卓を囲むとき、子供は足置きがなけれは足裏が床につかないはずです。

岩国 歯医者 MFT

 

お子さんは足をブラブラ、させていませんか?

背もたれを使っていませんか?

猫背・巻き肩になっていませんか?

岩国 歯医者 よくない姿勢

診療室でお子さんを見ていると、今はほとんどのお子さんが、こうした「悪い姿勢」になってしまっているように感じています。

 

お子さんが普段の生活でソファーや足のつかない椅子を使っていると、良い姿勢をするための筋肉が発達せずに、良い姿勢をすることそのものが難しくなってしまうんです。

 

3)姿勢の維持には筋肉と関節の柔軟性と筋肉量が重要

 

僕も若いころに比べて姿勢が悪いと言われることが増えてきました。

つい気が緩むと猫背になっていたり、椅子に浅く座って足を組んだりしてしまい、女性メンバーに「姿勢が悪い」と注意されてしまいます。

 

姿勢の維持に重要なのは筋肉、関節の柔軟性とある程度の筋肉量です。

使いやすい筋肉ばかり使用し、使っていない(サボっている)筋肉があると、使い続けている筋肉は緊張して固く短縮してより強くなり、サボっている筋肉は伸びて弛緩し、衰え細くなります。それによってさらに姿勢が悪くなったり、体の不調が出てきます。高齢になると骨が曲がったり、傷みが出てくる原因にもなります。

 

特にパソコンやスマホなどをするときは、ストレートネック(首を前方に傾けるような姿勢)になりやすく、首・肩・舌の周囲筋・表情筋などと連動して筋肉が緊張してしまいます。

 

岩国市 歯医者 ストレートネック

 

お子さんだけでなく、成人でも、

「猫背・巻き肩・ストレートネック」になってしまうと、口腔周囲筋の不調和につながって(程度の差はありますが)口腔機能の低下や、TCH(Tooth Contacting Habit:歯列接触癖)や顎関節症などの症状が出てしまうことがあります。

 

予防や症状改善のためには「正しい姿勢」を維持するために、筋肉のトレーニングやストレッチを行うことや、良くない環境を見直すことが有効とされています。

 

 

4)正しい姿勢をするために見直すこと

 

4-1)小児・成人共通

・椅子に座るときには足裏を床につける

・椅子のせもたれやソファーは使用しない

 

4-2)乳幼児

・離乳食は大人のゲンコツサイズの野菜の水煮などを手づかみ食べさせる

・足をブラブラさせない。サイズにあった乳幼児用椅子を用いる

 

4-3)小児

・口腔周囲筋を良く動かすような遊びをする(口笛、吹き矢など)

・足裏が床につかない時は足置き台を用いる

・学習机に向かう時の椅子も、足置き台を足裏が付くようにする

 

4-4)成人

・スマホやパソコンを使うときの姿勢に気を付ける

・巻き肩にならないよう、肩甲骨を寄せる筋トレを行うか、大胸筋や前腕屈筋群、広背筋を伸ばすようなストレッチを行う

・座り時間が長くなりすぎないように気を付ける

 

5)「仕上げ磨き嫌い」や「食事の好き嫌い」も、口腔の発達不全に由来している!?

 

保護者の方の悩みである仕上げ磨き。

実は、仕上げ磨きが嫌いなお子さんは、口腔機能の発達不全があるかもしれません。

 

口腔内の筋肉の動きが悪い部分=筋肉の強い緊張がある部分は、過敏な部位に変化していきます。

歯磨きが苦手なお子様たちの口を観察すると、舌小帯や上唇小帯の短縮症があったり、低位舌などがある場合が多いです。そうした「発達不全の原因」があるために、口腔内が過敏になって、大人に触られるのを嫌がるようになってしまうんです。

 

ですので、MFTのスタートは過敏を除去する、脱感作となります。

口から舌を突き出したりする動きや、口の周囲をトレースさせる動き、舌に歯ブラシを当てる動きなどです。

また、筋肉の発達とともに過敏も落ち着いてくる場合が多いです。

 

MFTは最終的に歯並びの改善に大きく寄与する場合もありますが、第一に目標とすべきは正しい機能の獲得と発達です。歯磨きが苦手、食事が遅い、口を開けて食べる、好き嫌いが多いなどの問題がある場合、口腔領域全体の発達の問題ととらえて見直してみると良いでしょう。

 

6)まとめ

 

いかがでしたか?

 

・MFTの目標は、正しい姿勢で、正しく噛んで飲み込み、正しく呼吸する、ことです。

・口腔周囲筋の不調和があると、口腔機能発達不全の原因となります。

・仕上げ磨きの嫌いな子は不調和に起因する感覚過敏が原因である場合が多いです。

・歯磨きが苦手、食事の好き嫌いなどの問題がある場合、口腔領域全体の発達の問題ととらえて生活習慣を見直すことをおススメします。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

 

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