
MFT(口腔筋機能療法)は、別名「お口の筋トレ」とも呼ばれる、お口の周りの筋肉(舌や唇、頬など)の働きを改善するトレーニングです。具体的には、正しい舌の位置や飲み込み方、鼻呼吸の練習、姿勢指導などを行い、飲み込む力や噛む力、発音など日常のお口の動きをスムーズにします。結果として、歯並びや顎(あご)の発達にも良い影響を与えることが期待できます。また、口呼吸・猫背といった悪習癖の改善も同時に行うことができます。遊び感覚の簡単な体操を通じて、痛みもなく楽しくお口の筋肉を鍛えて機能を向上させます。
MFTは、口呼吸や舌の癖などでお口の機能が十分に発達していない状態(小児口腔機能発達不全症)の改善に適したトレーニングです。例えば、いつも口が開いている(口呼吸、お口ポカン)、いつも上の前歯が見えている、食事に非常に時間がかかる、発音が不明瞭といった症状があるお子様が対象となります。また、指しゃぶりや唇を噛む癖などが原因で歯並びや噛み合わせに影響が出ている場合にもMFTは有効です。これらの問題を抱えるお子様の口腔機能を改善し、健康的な成長をサポートするのがMFTの目的です。これにより、将来的な歯並びの乱れや発音への悪影響を予防する効果も期待できます。
MFTの開始時期はお子さまの発達や理解度にもよりますが、一般的にはお子様がトレーニングの指示を理解できるようになる5歳前後から、9歳半くらいまでに始めることをおすすめしています。
3~4歳のお子さまの場合は、集中して練習するのが難しいため、もう少し成長を待ってから開始することが多いです。また、口腔機能の効果的な獲得には年齢制限があり、10歳ごろまでが好ましいとされています。
もちろん個人差があり、10歳を過ぎてからでもMFTの効果が期待できる場合もありますので、口呼吸、口を開けて食事する、いつでも口が開いている、食べるのが遅いなどが気になる場合は、お気軽にご相談ください。
口腔機能発達不全症が疑われる場合、口唇閉鎖試験や舌圧検査、問診型のスクリーニング検査などを行うことが可能です。その結果、口腔機能発達不全症と診断された場合、保険で簡単な指導を受けることは可能です。
当院の場合、プリントを用いて自宅で簡単にできる遊びを通したトレーニングや、自宅で取り入れていただきたい食事や勉強の姿勢などの指導(数分程度)を行っております。
しかし、MFTの本格的なトレーニング(約40分のマンツーマン個別指導)は保険適応外になります。訓練を受けたトレーナーや歯科医師の管理の下で、40分のレッスンは保険診療ではカバーされておりません。
歯科医院でのMFTは、トレーナーがお子さまの筋機能の状態を随時把握しながら、適切な課題を自宅で再現できるようご本人と保護者の方にレッスンします。歯科医師のアドバイスも受けつつ、次のレッスンで課題の進捗と新しい課題を取り組むという流れになります。保護者の方が筋機能の状態を把握したり、適切なレッスンを理解していない状態で独自にMFTを行うことは、なかなか困難であると思われます。しかし、1人目のお子さまで筋機能の状態の把握やレッスンのやり方を保護者の方がマスターされた場合において、2人目のお子さまのMFTが自宅で行う、というのは大変おすすめです。
MFTの効果を十分に得るためには、ある程度の期間継続することが大切です。当院では通常、月に1回程度のペースで通院していただき、約2年間(24回)かけてトレーニングを行うケースが多く見られます。ただし、お口の状態や癖の程度によって必要な期間は異なります。また、9歳を過ぎたお子様であれば月2回のレッスンで進めることもあります。目安として2年前後を想定していますが、お子様の進捗を見ながら最適な通院期間をご提案します。
はい、鼻炎などで鼻が詰まりやすいお子様の場合、MFTと並行して耳鼻科での鼻炎治療も行うことをおすすめします。実際、MFTでは鼻呼吸の練習も行いますが、鼻がつまっているとせっかくの練習効果が十分に発揮できません。口で呼吸する癖の大きな原因が鼻づまりにあることが多いため、鼻の通りを良くしてあげることが大切です。耳鼻科などで鼻炎の治療を受け、鼻呼吸がしやすい状態を整えることで、MFTのトレーニング効果も高まり、よりスムーズにお口の機能改善が進みます。
また、鼻腔が横に狭い場合、矯正治療により副鼻腔を広げることで鼻呼吸しやすくなることもあります。まずはご相談ください。
約2年間のトレーニングで多くの場合、口腔機能の著しい改善が期待できますが、「完治」するかどうかはお子様の症状の程度や練習状況によって異なります。同じ塾に通っても成績にはバラつきが出るように、ご家庭での取り組みの程度差や、お子様の重度・軽度の差、矯正治療や耳鼻科治療の併用の必要性、スタートする年齢などによっても差がでます。しかし、塾に通って自宅で課題をしているにもかかわらず成績が全く変わらないということがまれであるように、多くの場合で改善が期待できます。改善の程度は、完治というより「口呼吸100%だったお子様が、口呼吸30%+鼻呼吸70%になった」といった段階的な変化になることもあります。
あらゆる病気で言えることですが、完治を保証することはできません。また、習い事では自宅での取り組みが最も大きな成功要因となるため、完治できそうな好条件が揃っていても、自宅で一切取り組みしなければ症状は改善しません。そのため、恐れ入りますが、治療結果に対する保証制度(金銭的な返金等)は設けておりません。これは、トレーニングによる治療の性質上、結果を100%保証することが難しいためです。ただし、お子様の状況に合わせて最善の対応を継続的にご提案し、目標達成に向けて全力でサポートしてまいります。 完治に至らない場合は、補習を数回程度行うこともあります。
MFTを途中で止めたり、習得したばかりの正しい舌や口の使い方を意識しなくなったりしてしまうと、元の癖に戻ってしまう可能性はあります。特に、十分に新しい習慣が身についていない段階で中断すると、後戻りしやすくなります。しかし、一度正しい使い方が日常生活で定着すれば、後戻りはしにくくなります。
ですから、トレーニングは十分な期間継続し、身につけた良い習慣を維持することが大切です。また、トレーニング終了後も、定期的に正しいお口の使い方を意識し続けることで、後戻りの防止につながります。
大人の方でもMFTの効果は期待できます。10歳以下のお子様と比べると、改善効果はどうしても低くなってしまいますが、お口周りの筋肉は年齢に関係なくトレーニングによって機能を向上させることが可能です。睡眠時呼吸症候群の改善のためにMFTを用いるなどの試みをしている医療機関も国内外に存在します。正しい舌の位置や鼻呼吸の習慣を身につけることで、発音の改善、いびきや歯ぎしりの軽減、矯正治療後の歯並びの安定など、大人にもさまざまなメリットがあります。
ただし、当院のMFTプログラムはお子様用に特化して組まれておりますため、現在は成人のMFTは受け付けておりません。ご了承ください。
はい、矯正治療(歯列矯正)とMFTを併用することはよくあります。歯並びを整えるだけでなく、舌や唇の正しい使い方を身につけることで、矯正治療の効果をより安定させるためです。例えば、舌で歯を押す癖があると矯正後に歯並びが後戻りしやすくなりますが、MFTでその癖を改善すれば矯正の後戻りを防ぐことが期待できます。また、矯正治療前にMFTで悪い癖を直しておくことで、場合によっては矯正装置による治療期間が短縮できることもあります。歯並びの改善と口腔機能の訓練を並行して行うことで、より総合的な治療効果が得られます。当院でも、必要に応じて矯正治療の過程でMFTを取り入れることがありますので、ご希望の際はご相談ください。
・24回(月1通院で2年間分)の回数券の一括購入(最もコストパフォーマンスが良いため最も人気があります。1回5,500円×24回で総額税込み132,000円)
・お試しで1回分のトレーニングチケットを購入(1回税込み6,600円)
など、ライフスタイルに合わせてお支払いいただくことが可能です。
お子様が続けられるか心配な場合は都度払いで始めてみると良いでしょう。
なお、購入済みの回数券の途中解約される場合は、使用したチケット枚数を定価6,600円で換算し、差額分を返金させて頂くことも可能ですので、ご安心ください。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。ご興味がある方は下記からお問い合わせください。
料金体系は、料金表をご参照ください。