キシリトールガムが危険ってホント?
2018年7月14日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
今日はキシリトールガムの話題です。
キシリトールってすごいですよね、甘いのに虫歯を作らないなんて!
皆さんはキシリトールと聞くと、何を連想されますか?
ネットではキシリトールの危険性について調べていらっしゃる方が多いようです。
今回はキシリトールとはそもそもどんな物質で、危険性の噂が本当かどうかについてお話していきます。
キシリトールってそもそも何?
キシリトールとは、糖アルコールと呼ばれる物質の一つです。
簡単に言うと糖に近い分子構造を持っているので甘く感じるけれど、虫歯菌が消化出来ず、人間も消化しにくい甘味料です。
危険性は無いのですが、消化に悪いものを一度にたくさん食べると、下痢を起こしやすくなります。
キシリトールガムやキシリトールのど飴などに「一度にたくさん食べると、お腹が緩くなることがあります」と書いてあるのは、この理由からです。
糖アルコールは人間も消化しにくい甘味料なので、虫歯予防の他にダイエットや糖尿病の方の食べられる甘味料としても利用されています。ドラッグストアなどで売られているエリスリトールなども、糖アルコールです。
エリスリトールはキシリトールと比べて下痢を起こしにくいため、家庭用の代用糖として袋売りできるんですね。
キシリトールを「天然素材」「天然由来甘味料」と解説されているウェブサイトをたまに見かけますが、天然にあるものを抽出して売られているわけではありません。白樺やトウモロコシの芯を原料にキシランという成分を抽出し、それを加工することでキシリトールが作られます。キシリトールは非常に安全性が高く、摂取上限も特にありません。
分類で言うと、「糖質系甘味料」の仲間です。
人工甘味料は危険!?
さて、太らない・虫歯にならない・糖尿病の方も安心というキシリトールですが、どうして「危険」説があるのでしょうか?
これは憶測になるのですが、人工甘味料にまつわるいくつかのエピソードが関係していると思っています。
キシリトールは人工甘味料の分類ではなく、糖質系甘味料の一種ですが、人工的に加工された甘味料ですので、混同されているのですね。
「人工甘味料」と聞いて「健康的!子どもに食べさせたい!」というイメージ、…あんまりないですよね。
これは「サッカリン」「アスパルテーム」という、物議をかもしたことがある人工甘味料によって、人工甘味料全体のイメージが悪くなってしまったことによるかと思います。
サッカリン…1960年代以前に、代用糖と言えばコレ!というくらいに人気があった人工甘味料。
1960年代に発がん性があるというセンセーショナルな実験結果が出て、大騒ぎになりました。日本では1973年に食品への使用が禁止されました。
アスパルテーム…ペットボトル飲料や市販のお菓子に現在でもよく使用されています。
コーヒーシュガーとしても良く使用され、家庭用では「パルスウィート」という商品名等で袋売りされています。
フェニルアラニンとアスパラギン酸というアミノ酸からできている人工甘味料で、発がん性は現在のところ確認されていません。
一方で、自然な食事では起こりえない、単一のアミノ酸を特別に多く摂取する生活を長期間続けることへの懸念は、今でも払拭されていません(安全だ、という論文もたくさんあります)。
この二つの人工甘味料はあちこちで批判されましたので、人工甘味料や代用糖そのもののイメージを大きく損なう原因となりました。
しかし、人工甘味料や代用糖そのものが悪いというわけでは無く、安全な物を選んで使用することは賢い選択だと思います。
出典:https://sugar.alic.go.jp/japan/fromalic/fa_0707c.htm
その他の代用糖(特に手軽に入手できるもの)
還元水飴…糖アルコールの一種。虫歯を作らない。市販のキシリトールガムやノンシュガー飴によく使われている。糖アルコールなので虫歯を作らず低カロリー。
羅漢果(らかんか)…ウリ科の植物の実を乾燥させたもの。100%羅漢果粉末はなかなかお目にかかれませんが、エリスリトールとブレンドしたものがドラッグストアで売られています(商品名:ラカントなど)
マルチトール…これも糖アルコールの一種です。
スクラロース…安全性の高い人工甘味料と言われていて、よくお菓子や清涼飲料水に含まれています。
また、これらの人工甘味料の原材料が気になるという意見もよくあります。
ただ、個人的な意見では、原材料の問題は人工甘味料だけに言えることではなく、市販の加工食品やおかし、パンなど全般的に言えることだと思います。市販のお菓子やパンやジュースをお子さまに与える場合、同じように原材料の問題は発生します。
もちろん、「砂糖=悪」ではない!
カロリーが高いというのは言い換えると栄養価が高いということですし、虫歯になりやすい一方で消化によく、お砂糖がすなわち悪、というわけではありません。
取り方さえ間違えなければ、問題ありません。
歯科に関係することでは、歯にやさしいお砂糖の摂り方は、だらだらとお砂糖の入ったお菓子やジュースを飲んだり食べたりせず、時間を決めて食べる。
食べた後は歯みがきするなどです。
大切なのことは、メリット・デメリットを理解した上で選んだり、上手に組み合わせることだと思います。
まとめ
- キシリトールもキシリトールガムも安全であるが、一度にたくさん食べるとお腹が緩くなることがある。
- 甘味料にはたくさんの種類があり、虫歯になりにくいもの、カロリーが少ないものなどもある。
- お砂糖と甘味料を、上手に使い分けましょう!