歯の色が変わる理由ってなんだろう?その原因と対応について
2022年6月18日
歯の色が変わる理由ってなんだろう?その原因と対応について
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村剛です。
歯科医院では、前歯の色について相談を受けることがよくあります。
その原因は、ほぼ正常な場合から、根の治療の必要な場合までいろいろあり、理由や原因によっては処置内容が大きく異なります。
今回は歯の変色理由とその対応についてお話していきます。
1.内因性の理由の場合
歯の中には「神経」と呼ばれる、歯髄(しずい)があります。
乳歯でも永久歯でも、萌出直後は大変太いです。
歯髄の中には、血管と太めの神経線維が存在し、デリケートな組織です。
歯を強く打った場合
歯を激しく打った場合、歯根の血管などが断裂する場合があります。
つまり黒い色は状態のよくない組織や血の色です。
1-2か月で再生し、変色が改善するケースは、わずかながらあります。
しかし、もとに戻らない場合は、色素が歯に定着して、黒くなります。
神経の処置
神経を処置した場合も、肉眼では完全に除去した場合でも、ミクロな観点では処置しきることは難しいです。
薬剤の色による
また、薬剤の色が反映される場合もあり、グレーかベージュのような色合いになります。
このような場合はまず、神経の処置をきちんと行い、安定的に推移することを目指します。
治療について
乳歯や幼弱永久歯の場合は、しっかりした補綴物で治療することは勧められません。
よって、色がカモフラージュできる、濃い目の歯科用樹脂などで治療することが多いです。
10代後半になると補綴(ほてつ・詰め物とかぶせ物の総称)が可能になり、ご希望であれば、見分けがつかないくらいにきれいに治療することもできます。
その他内因性の変色 テトラサイクリン薬剤によるもの
それ以外の内因性のものに、抗菌剤の一種である、テトラサイクロン系薬剤による変色があります。
テトラサイクリン系薬剤使用による変色は、褐色から濃い灰色になります。
テトラサイクリン系薬剤は、1960-70年ごろまではよく使われていました。
しかし今は、軟膏などに少し入っている程度で、あまり使われていません。
40代以上の方に見られる場合が多いです。
対応として、希望があれば、補綴をするケースが多いです。
2.外因性の場合
虫歯による変色
虫歯になった場合、ある程度進行すると黒くなります。
黒い虫歯の場合、多くは象牙質付近まで進行しているので、麻酔を用いた歯科治療が必要です。
樹脂で虫歯を治療した場合
治療した歯の場合、樹脂で直した場合、その際に着色しやすいことがあります。
また、変色部位付近は虫歯の再発も多いため、程度によっては再治療が必要です。
昔の保険金属アマルガムによる黒変
また、近年はあまり使われていませんが、アマルガムは黒変しやすく、歯牙にも金属が染み出して移りやすいです。
歯に金属が染み出して黒変することをメタルタトゥーと呼びます。
アマルガムには重金属水銀が含まれており、健康被害も報告されています。
この場合、治療をお勧めすることが多いです。
飲食物による着色
また、飲料によって歯が着色しているケースもあります。
これは歯にとっては特に問題ありません。
緑茶やコーヒー、赤ワイン、紅茶・麦茶などをよく飲んでいた場合で、歯に着色しやすくなります。
これらは器具を使えば容易に落ちるので、定期的に落としましょう。
唯一、たばこの場合は大変落ちにくく、また歯周病も進行しやすいので、良くないです。
注意が必要です。
3.完全に健全な場合
特にお子さんの場合ですが、乳歯と永久歯の色合いは違います。
乳歯は青白色で、永久歯は特に日本人の場合は黄色味が強めです。生え変わった直後は気になる場合もありますが、この場合は何も心配はありません。
まとめ
いかがでしたか?
- 歯の変色(色の違い)は内因性の原因の場合、外因性の場合に分けられます。その原因によって治療法が異なります。
- 強く打った場合、血液や組織が変性して黒くなる場合があります。乳歯、永久歯の違いや年齢により治療方法(補綴など)が異なります。また、内因性の原因であれば補綴することが多いです。
- 外因性の場合、原因が虫歯であれば治療が必要です。単なる着色や歯の生え変わりの場合は研磨する程度できれいになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。