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MFT特集 その9 「下唇を噛む癖」咬唇癖ついて考える

2024年11月25日

MFT特集 その9 「下唇を噛む癖」咬唇癖ついて考える

こんにちは。岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村剛です。
MFT関連の第9回である今回は、「咬唇癖」について考えてみようと思います。
これは第8回で触れました深いかみ合わせ(deep bite)に随伴する症状です。

日本人は顔の構造の特徴から、Deep biteな上顎前突の顔の人が増加しているようです。

岩国、歯医者、咬唇癖

 

*画像は同意を得て掲載しています*

MTF特集1~8はこちら(クリックすると、ページに移動します)

1.咬唇癖とは?

口唇癖は上顎前歯の裏に下口唇を咬む癖で、挟み込まれた下口唇が上顎前歯を唇側に押すため、上顎前歯がさらに前突していきます。

岩国、歯医者、上顎前突

出っ歯だから唇を咬み、唇を咬むから出っ歯が悪化するという、悪循環です。

2.咬唇癖を予防するには「3歳未満で止めること」が重要

乳歯列期に唇にあとが残るほど「下唇を吸う」子供がいますが、乳歯の指吸い癖と一緒で、3歳ぐらいまでにやめれれば歯列への影響は少ないとされています。

これらの癖は授乳などと同じような『吸う感覚』を味わうためにするといわれており、3歳以降も続けるようであれば、癖として定着してしまいます。
癖として定着している場合、自力での改善は意識してもなかなか難しいです。
口唇癖はほぼ無意識でする行動で、ストレスがかかったり、緊張するととくに唇を咬む傾向にあります。
指吸い癖もそうですが、『吸う感覚』が心地よい、と感じている場合は辞める動機がなかなかありません。

3.咬唇癖を治す方法

3-1)噛みたいときには別のことをさせる

唇を咬む癖が良くないことであることを本人に説明した上で、噛みたい時には他のこと、お気に入りの玩具で遊ぶなどといった、他の事をさせるよう誘導するという方法があります。
ただ、前述のとおり、いったん癖として定着してしまっていると、これだけで完全に癖を治すことは難しいことが多いです。

3-2)矯正により口腔の形の改善する+口腔機能の発達を促す

顔が丸く、頬の筋肉が強い場合、下顎が奥に押し込まれています。
(詳しくはこちらの記事もご覧ください:MFT特集その8「笑ったときに下顎の前歯が見えない」ディープバイト(Deep Bite)について考える)

こうした場合、マウスピースなどで前歯のかみ合わせを「浅くする」ことにより、下顎の成長を促すことができます。また、上の前歯を矯正によって引っ込め、上下の前歯の間に下口唇を入らないようにすることが有効です。
また、口腔機能の発達不全が背景にある(唇の力が弱い・咬合力が未発達・舌を上に持ち上げる力が弱い、など)ことが多いため、MFT(筋機能訓練)により改善を試みることが重要です。

4.咬唇癖は放置すると悪化する

口の習癖は、様子を見ていても、咬合と筋肉の悪循環の作用により徐々に症状が悪化していく事が多いです。口唇癖はその典型です。
正常な発育を阻害する因子は、なるべく早めに矯正やMFTなどを組み合わせて実施して、形の修正・癖の修正を両面から支援することが重要だと考えます。

まとめ

いかがでしたか?

  • ・上顎前突、Deep biteでは、唇を咬む癖(咬唇癖)が出やすいです。
  • ・唇と咬むから出っ歯が悪化し、出っ歯だから唇を咬む…という悪循環が発生し、咬合と筋肉の作用により悪化していく症例が多く存在します。
  • ・咬む行為が本人にとって心地よい場合、自然にはなかなかやめられません。矯正などによる口腔の形の修正と、MFTなどのトレーニング、本人の発達と理解、を通じて正常な発育を阻害する因子を修正してあげることが重要です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「30代入れ歯女子」 その入れ歯治療は正しい?

2024年11月11日

「30代入れ歯女子」 その入れ歯治療は正しい?

こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井です。
最近、「30代入れ歯女子」というキーワードを耳にすることが増えてきました。

「30代で入れ歯かぁ…お気の毒に。いっぱい虫歯を作ってしまったのかな?30代で重度歯周病でも無いだろうし…」と思って、どんなことが検索されているのか調べてみました。

なんと驚くべきことに、「歯並びや歯の形が悪いのを、入れ歯で手早く綺麗に」というニュアンスの記事も多いんですね。

もちろん、ご自身の体験や、歯科医院の症例紹介などでは「ああ、これは抜歯も仕方なかったんだろうな」という症例も多いです。

しかし、「審美目的で」安易な抜歯を前提にしていると思われるコメントも散見されるため、今回は啓発の気持ちも込めて「その抜歯→入れ歯治療は正しいか、正しいとは言えないか」というお話をさせていただきたいと思います。

1. そもそも正しい歯科治療とは?

その人の健康寿命を延ばす治療であることが重要です。

抜歯は、歯の状態が悪く保存が難しい状態である場合や、目指すかみ合わせ・歯並びを達成するために止むを得ない場合のみに行うものです。

画像は同意を得て使用しております。

例えば、上記のような、骨に埋まっている部分が少なすぎて、手で触っても抜けそうなくらい揺れている歯は抜くしかありません。
いつ抜けるか分からない状態の歯を残すと、最終的な入れ歯やインプラントなどの「失った歯の代わりに入る補綴物」を新しく入れた直後に、残っていた歯を失う…ということになってしまうことがあります。そんなことになれば、せっかく作った補綴物が無駄になってしまいます。

こうした「もう助けられる状態を過ぎてしまった歯」を抜歯して、新たに「長く持つ、噛める入れ歯やインプラント」を入れることで、しっかり食事が出来るようにすることは、医学的に理にかなっています。

また、歯並びが悪くて、歯が並ぶスペースが無い場合、抜歯してスペースを作るしかない場合もあります。歯を間引くことでスペースをつくり、そのスペースで綺麗な歯並びにすることで、口を閉じることが出来るようになったり、虫歯や歯周病のリスクを下げることができたり、笑顔に自信が持てるようになったります。

画像は許可を得て使用しております。

もちろん抜歯せずに綺麗な歯並びにできるなら、抜歯すべきではありません。
歯を抜くデメリットと、歯を抜いた結果得られるメリットを十分に検討して、歯を抜いた方が予後良好と判断されるときのみ、抜歯矯正を行うことになります。

2.入れ歯を検討するときに抜歯が必要になる歯

  • ・虫歯や歯周病が進行し、治療が困難な場合
  • ・歯根が破折している場合
  • ・歯の根が排膿していて、治療困難な場合

多くの歯科医院では、機能している歯はできるだけ残す、と言う方針で治療を提案していると思います。

3. 入れ歯と天然歯の「噛む力」の差

義歯の咬合力は天然歯と比較して大幅に低下します。

部分床義歯

天然歯の30~50%程度の咬合力

総義歯(総入れ歯)

天然歯の10~20%程度の咬合力

入れ歯は天然の歯よりは噛む力は弱いです。

しかし、ぐらぐらしている歯や、割れている歯に比べると咬みやすい、それが入れ歯。

ちなみにインプラントは天然歯の100%の咬合力(噛む力が変わらない)と言われています。
見た目の改善だけのために健康な歯を抜いて、入れ歯にすることは、「見た目は綺麗になって、食事も今までと変わらず」…ではない、ということです。

ちなみに、総入れ歯の高齢者の「よくある悩み」に、

  • ・家族と同じものが食べられない
  • ・旅先で食べれるものがあるか不安なので旅行を躊躇する

というものがあります。
合う入れ歯を作ること、定期的にメンテナンスを行うことで解決可能な悩みではあると思います。
しかし、それでも「お餅」「たくあん」などは、食べにくいとおっしゃる方が多いです。

4. 歯がないと、歳をとってから苦労する

80歳で歯が20本無い人は、ある人に比べて

  • ・要介護になる可能性が9.9倍も高い
  • ・認知症になる可能性が1.9倍も高い
  • ・転倒リスクが2.5倍も高い
  • ・健康寿命が短い

私達は人生100年時代に生きています。

今、手っ取り早く、安く見た目を綺麗にするより、将来にわたって豊かな暮らしを維持できるよう、歯を大事にすることをおススメします。

5.「歯や歯並びの見た目を綺麗にしたい」なら矯正治療や審美補綴(セラミック矯正)を選ぼう

歯列矯正(ワイヤー矯正・マウスピース矯正)

歯列不正を改善するための第一選択としておススメです。

歯のガタガタや出っ歯の程度が大きい場合は抜歯が必要になることもありますが、残った歯への負荷が小さく、仕上がりも綺麗です。
ただ、治療期間が長いこと、費用が高くなりやすいデメリットがあります。

審美補綴(セラミック矯正)

被せ物で見た目を改善する方法です。

歯を削るため、矯正治療よりは歯に負荷がかかります。
歯の根の位置は変えられないため、仕上がりは矯正治療より劣ります。
しかし、3つメリットがあります。

矯正治療より短期間で治療が終わります。
治療中も仮歯を使用することで見た目や食事はいつも通りで過ごせます。
費用が矯正治療よりは安価です。

6. 健康な歯の安易な抜歯は避けましょう

歯は一生もの。
自然な歯を大切にし、健康的な状態で保つことが理想です。
入れ歯は、自然な歯を失った後の選択肢ではありますが、できれば入れ歯を使わなくて済むようにしたいものです。

せっかくの健康な歯を抜いて、入れ歯にしてしまうのは止めましょう!
確かにお手軽に見た目は綺麗になるかもしれませんが、その後の健康や機能面でのデメリットがあまりに大きすぎるのです。

7.まとめ

いかがでしたか?

  • ・抜歯は必要最小限に留めるべきです
  • ・入れ歯の咬合力は天然歯より弱いです
  • ・歯の喪失は将来の健康リスクを高めます
  • ・審美目的なら矯正や審美補綴を検討しましょう

最後までお読みくださり、ありがとうございました!

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