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原点にもどって歯磨きの話

2020年2月27日

 こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
本年度最初のブログ記事なので、原点に立ち返って歯磨きや歯垢染色液について説明していきたいと思います。

1)歯磨きをする前に

「歯磨き、完璧です!」という方は少ないと思います。
習得するのはなかなか難しいですね。

そもそもプラーク(歯垢)は、食べ残しというわけではなく、口腔内の虫歯の原因菌を含む常在菌が、食べ物(特に糖分)を分解・代謝して歯の表面に作った菌と代謝物のかたまりです。

想像してみてください。
甘いものを食べると、古いプラークの上に新しいプラークが雪だるま式に増えていくイメージです。
表面と内側の古いプラークは酸性度などの性質も異なり、古いプラークの下では虫歯がおきています。


ですので、基本的にはまず「質の悪い虫歯になるプラークを増やさない!」というのが最初の戦略となります。
具体的には、糖分の摂取量を減らす、これが大前提です。

実際3歳までは、「虫歯の原因は歯磨きよりも食生活習慣の影響が大きい」という調査結果がいくつも出ています。

2)歯ブラシを選ぶ前に

歯磨きというのは結局のところ、質の悪い古いプラークを取り除くことに尽きます。

「小さめの歯ブラシで丁寧に時間をかけて」、と、我々歯科医師は患者さんにお伝えしますが、きちんとできる人は少ないです。

最近特に思うのは、口頭での説明だけでは、プラークの付きやすい位置はわかりづらく、こちらの危機感はなかなか伝わらないなあ、ということです(特にお子さん)。

ですので、最近は家庭でも歯垢染色液の使用をおすすめしています。
歯垢染色液は食紅等の染色液を溶かしただけの単純なものですが、液体歯みがき剤と歯垢染色液が一体化したものが特におすすめです。歯科医院で使用する歯垢染色剤より染まった色は薄めなのですが、その分、お母さんの洗面台のお掃除が楽です。
もし、うがいの後で赤い色があちこちに飛び散っても、濡れた布やティッシュでサッと一拭きするだけで色が落ちます。
受診時に染色液で染めてから歯磨きしてもらうと、お子さんでもすぐに汚れが取り除けます。見える化は大事ですね。

3)歯磨き粉を選ぶ前に

昭和の頃の歯磨きは、粉(研磨剤)を多くして歯垢を取り除く効率を上げようという戦略が小児でもとられていました。
しかし現在は、薬効成分を多く含む、粉を含まないゲルのものにほとんど変わっています。
薬効成分の代表的なものがフッ素です。


ブラッシング後、一定時間、一定濃度以上のフッ素をお口の中に残しておくことがポイントです。
ですので、仕上げのうがいはほとんどしなくてよいです。
フッ素の濃度が有効性に関連しますが、ブラッシング時に通常量使う場合、400ppm未満は虫歯予防効果が期待できないというデータがあります。
最近の商品は500ppm~1450ppmの範囲となっており、年齢が上がるにしたがって濃度も高い製品をお勧めしています。

最近、乳酸菌入りの歯磨き剤も出ていますが、虫歯があったり、なりかけている状態でに対しての効果は不十分です。

たしかに乳酸菌を使うことで、虫歯の原因となるミュータンス菌が歯に定着するのを防ぐ効果はあります。
しかし、そもそも、再定着を防ことができるのは、虫歯を作る部位である溝や小窩、歯と歯の間の隣接面からミュータンス菌を完全に取り除けた場合にのみという報告があります。

乳酸菌を虫歯にならないくらい効率よく歯に定着させるためには、歯科医院で使っている器具レベルで細かいところの除菌が必要そうです。(まあ、そこまでしたらそもそも虫歯にならないかも。。)
あまり現実的ではないかもしれませんね。

まとめ

いかがでしたか?

  • 歯磨きを頑張る前に、まず食生活習慣を見直しましょう。
  • 歯磨きの前に、まず取り除くべき歯垢の確認、磨かないといけない場所をよく知りましょう。
  • 歯磨き粉は薬効性が多いもの(代表的にはフッ素)を使いましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ネット通販でセルフケア用に売られているオーラルケア用品、 買って良いもの・ダメなもの

2020年2月10日

こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井です。

最近は、楽天やAmazonなどの通販サイトで、色々なオーラルケア用品を購入することができますね。

ット通販のオーラルケア用品は良いものから悪いものまで色々

ネット通販では、スーパーなどでも購入できるケア用品から高品質の歯科医院でしか売れないものまで購入できます。
そして歯科医師として絶対に使ってほしくない物、プロが使うならまだしも素人の方は危険でしょう…という「絶対買ったらダメな物」まで、幅広く売られています。

以前、家庭用超音波スケーラーのお話をしましたが、これも「歯科医師としてはおススメできない、危ない」ものの一つだと思っています。

参考リンク:家庭用超音波スケーラーは歯をかえって傷つけてしまう危険性がある

歯科医師として、ネット通販での購入が問題ないと思うオーラルケア用品

歯磨き粉と歯ブラシ

ほとんどの歯磨き粉、歯ブラシなどは問題ありません。

歯科卸業者から購入できる小売業の方が介在していると思いますが、歯科医院専売の高品質なものや、歯科医院が患者さんに使うために購入する業務用の歯ブラシまで、実に多彩に品ぞろえされています。

包装や梱包がちゃんとしていて、使用期限が問題ないお店のものなら、スーパーで購入するのと変わらないと思います。
ただ、スーパーと違って使用期限や包装の状態を直接手に取って確認することはできませんので、信用できそうなお店か、商品に不備があるようなら返品できるお店を選ぶとよいでしょう。

「自分の歯や口にあったオーラルケア用品をプロに選んで欲しい!」という場合は歯科医院の窓口が手っ取り早いですが、歯科医院に通う頻度よりオーラルケア用品の消費ペースが早いというご家庭の場合、選択肢としてあっても良いと思います。

口腔ケア用品選びに歯科医院を活用して欲しいワケ

歯科医院には歯磨き粉や歯ブラシの新商品が出たらサンプルが送られてきますし、気になるケア用品があれば、歯科ディーラーに頼めば持ってきてもらえます。
歯科医師や歯科衛生士は、学会や歯科展示会などで、歯ブラシや歯磨き粉などのオーラルケア用品を、とにかくたくさん貰います。

そのなかで、歯科医師・歯科衛生士が、自分たちで使ってみて、良かったものをメインに品揃えしている医院が多いと思います。

また、歯科スタッフは無数にあるオーラルケア用品の中から、あなたの歯のスキマや歯磨きの癖から「最適な歯ブラシ」「おススメの歯磨き粉」を選ぶプロでもあります。

ですから、歯科医師としては出来れば、オーラルケア用品を選ぶ際には、歯科の専門家の意見を取り入れていただけたらな…と思います。

その上で、通院頻度を補ったりする意味でネット通販も併用されてはいかがでしょうか。

個人的には、歯間ブラシは、歯のスキマのサイズがじわじわと変わることが多いので、定期的にプロが選んだ方が安全だと思っています。

小さすぎる歯間ブラシは磨き残しに作ってしまいますし、大きすぎる歯間ブラシは歯茎に擦り傷をつくってしまうためです。

歯科医師として、ネット通販での購入が問題ないと思うオーラルケア用品

フッ素洗口剤

通販したくても薬事法で歯科医院以外での販売が規制されているものもあります。粉末タイプのフッ素ウガイ薬(®ミラノール)が代表格です。

昔は粉の状態で患者さんに販売している医院もありましたが、自宅で水に溶かすとなると、濃度をどのようにも作れてしまいますので、現在では禁止されています。

ボトルを使いまわして(当院は衛生面を考えて容器の使いまわしには対応しておりませんが)、粉だけ歯科医院で販売というのも、歯科医院側が水に溶かして渡すなら合法です。
粉だけ買って、ご自宅で水に溶かすのは違法ですので、ご注意ください。

歯科医院では、ミラノールを粉の状態で仕入れるので、コストパフォーマンスの良い価格で窓口販売が可能です。
当院でも、毎回新品の滅菌済ボトルにお作りして、600円+税で販売しています。

例外として、製造メーカーが液体状態で販売しているフッ素ウガイ薬を購入する場合、通販サイトで購入可能です。

ミラノールよりちょっと割高(同等のフッ素洗口液で、1000円前後が多いようです)ですけれど、歯科医院に定期管理で通院する間隔と、ミラノールの消費ペースが合わない、という場合は便利かもしれません。

品物による、避けた方が良い商品もあれば、問題ない商品もある領域

歯の消しゴム、歯のクリーナー、など

メラミンスポンジで歯をクリーニングすると、綺麗になるけれど細かい傷がつく…って良く言われますよね?

メラミンで出来た多孔質のスポンジは全てメラミンクリーナーの名で販売されますが、製造工程でホルマリンなどの有害物質を使用するものがあるので、掃除用のメラミンクリーナーで歯をお掃除するのは止めてくださいね。

お掃除用のメラミンクリーナーは論外

では、口腔ケア用メラミンクリーナーや、シリコン製の歯のクリーナーは?

口腔ケア用のメラミンスポンジの場合、”ホルマリンフリー”、”有害物質を含んでいません”と記載されていることが多いです。

口腔ケア用で販売しているからと言って、必ずしも安全というわけではないと思いますが(規制する法律も無いと思いますので)、一つの判断材料にはなるかもしれません。
研磨剤を使用する以上、歯に細かな傷が全くつかない…ということは、難しい場合が多いです。

歯科医院で歯を研磨するときでも、研磨剤を使っていて、電子顕微鏡で見たら細かな傷が多少はついています。それを、粗めの研磨の後に仕上げ研磨して、表面の細かな傷を磨き上げて消しています。

ですが、メラミンクリーナーは歯の表面を粗研磨して終わるようなもので、日常的に使用すると歯の表面にたくさんの傷がつくことで、かえって汚れが付きやすくなってしまいます。

例えば
「明日、お出かけするのに歯のステインを落としに歯科医院に行けなかった…!」という時のレスキュー用には良いと思いますが、日常的にメラミンスポンジのみで歯をクリーニングしていると、歯の表面に粗目の傷がついたままついたままになってしまいます。
また、自分で見えやすい所以外にはステインが付いたままになってしまいます。

定期的に、歯科医院で仕上げ研磨を受けた方がよいでしょう。

歯のお掃除用シリコンも同じで、家庭用のものは研磨粒子径が粗く、粗研磨で終わっていることが多いと思います。

というのも、歯科医院では高額な業務用ハンドエンジンで研磨用カップを回転させます。
業務用のハンドエンジンは圧力をかけても回転数が安定している(トルクが大きい)ので、粒子が小さい研磨剤でも綺麗に研磨できます。

回転数も2000~40000rpmと、幅広く調節可能で、短時間で大抵の物をピカピカに研磨できてしまいます。

それに比べて、ホームケア用シリコンは、手で磨くか、電池で動く程度の回転器具を用います。
粒子径の小さな研磨剤ですと、短時間で汚れを落とすことはできません。
そして、自宅でステイン落としに20~30分もかかるような商品は、売れませんよね…。

ですから、家庭用ステイン落としクリーナーは「レスキュー用」

定期的に歯科医院で仕上げ研磨を受ける前提でなら、使用しても良いとのではと思います。

危険!!絶対に手を出さないでください。

歯石除去用スケーラー

ネットで「歯石除去をセルフケアで!」と販売されているのに気付いた時、歯科医師として言いようのない怒りを感じたのがコレです。

Amazonでも楽天でも大量に出品されていますね。

これらの商品は、ホームケア用に作られたものではなく、途上国で廉価な道具として製造されているものを、輸入転売しているようです。

日本の歯科医院で使われている一流メーカー品でも3200~3800円程度ですから、別にそこまで安いわけでもありません。

一流メーカー製は、歯石の感触が指に伝わりやすいとか、切れ味が長持ちするとか、滑りにくいホルダーとか、歯周ポケット内での操作性が良いとか、プロだけに分かるこだわりの塊ですが、そういった工夫なく作ればハンドスケーラーなど1000円前後で出来るでしょうね、という感じです。

「セルフケア用に」と書かれて販売されていたら、「セルフケアできる商品があるんだ~!」って思いますよね。

そんなものはありません。

普通の、低品質のハンドスケーラーです。
技術なく適当に使えば、歯や歯茎を傷つけてしまいます。

これらを用いて歯石を取っても、すぐに問題を感じたりはしないでしょう。
その時は、歯医者に行く手間が数回減らせて楽になった!と思われるかもしれません。
しかし、素人の方がセルフケアで、歯や歯茎に傷をつけずに歯石が取れるとは思えません。基礎知識も技能も無しにハンドスケーラーで歯石を取るくらいなら、取らずにそのままにしておいた方がマシなのでは…?と思うくらい、歯医者の私からするとあり得ない物です。

ハンドスケーラーは刃物ですが、あの構造のどこに刃がついているかも、一般の方には分からないと思われるからです。

ちなみに当院では、専門学校で3年間学び国家試験に合格した、新卒歯科衛生士にも、卒後すぐにはハンドスケーラー使用を許可していません。
なぜなら、模型で練習するのを隣でチェックしても、初回から正しく安全なスケーリング(歯石除去)ができる新卒は、ほぼいないからです。

まず、歯の解剖学を覚え、歯周検査と超音波スケーラー(こちらは刃物ではありません)をちゃんと扱えるようになるまで毎日練習し、さらに模型とマネキンで何度も練習して、技量を確認してから、刃物であるハンドスケーラーを使用するという流れで教育を行っています。

本当に危ないので、買わないようにしてくださいね。

まとめ

いかがでしたか?

  • 歯磨き粉と歯ブラシは、ネット通販でも良いと思います。
  • 口腔ケア用品選びには、歯科医院を活用していただくのがおススメです。
  • 歯のクリーナーは、セルフケア用は粗研磨と思ってください。
  • 定期的に歯科医院で仕上げ研磨しましょう。
  • 家庭用スケーラーなどは実質存在しません。セルフでのスケーリング(歯石除去)は危険です。

便利なネット通販ですが、
「わ!これ、便利だな!」というものを見つけても、一度立ち止まって「それは本当に安全なの?」と考えるようにしていただければと思います。

ネットで見かけたセルフケア用品で、
「これは便利に見えるけど、安全かどうか知りたいなぁ」と思ったら、お気軽に当院スタッフまでお尋ねください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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