どうして歯ぎしり・食いしばりをしてしまうの? ~歯ぎしり・食いしばりの原因と治療法について~
2022年12月31日
どうして歯ぎしり・食いしばりをしてしまうの?
~歯ぎしり・食いしばりの原因と治療法について~
こんにちは、つぼい歯科医師の荒田です。
本日は歯ぎしりや、食いしばりが及ぼす
影響などについて話していこうと思います。
人に言われるまで全く気付かないこともある
歯ぎしりや食いしばり。
朝起きるとやけに歯が痛かったり、
顎がだるくなっているような経験を
された方も多いのではないでしょうか。
そうなっても、往々にして
放置してしまうことが多い歯ぎしりや食いしばりですが、
歯周病などと合わさると
歯が抜ける一つの原因となることもあります。
歯を残していくために、基本的な知識や、
対策について知っておくのはとても重要です。
①なぜ歯ぎしりや食いしばりをしてしまうのか
単純に噛み合わせが少し悪くて、
無意識化でそれが気になって生じるものや、
ストレス性、精神的に不安定な状態、
長年の癖など、多種多様の原因があります。
それらが複合的に絡み合って、
歯ぎしりや食いしばりを起こしている場合も多くあり、
根本的に症状をなくす、というのは
中々難しいのが現状です。
治療にするにしても、
すぐ治療の効果が出ない場合も多いのです。
②歯ぎしりや食いしばりによっておこる症状
・噛むと痛みを感じるようになる(歯根膜炎)
歯は顎の骨に埋まっているのですが、
実は歯と骨との間に薄いクッションのようなものがあります。
このクッションは噛むときの力を受け止めたり、
歯が痛まないように
噛む力を調整したりする優れものなのですが、
歯ぎしりや食いしばりなどで過剰な力がかかると
このクッションが痛むことになるのです。
そうすると、噛むと痛むようになってしまいます。
・歯周病などがある場合、歯が抜けてしまうこともある
歯周病で骨が溶け始めているような方だと、
場合によっては歯が抜ける原因にもなります。
例として砂山の頂上に棒を立て、
その棒を前後左右にゆするイメージをしてみましょう。
適度な力ならばたいしたことはありませんが、
大きく動かせば動かすほど砂山は崩れ、
最終的に棒は抜けることになります。
本来人間の骨は砂山ほど崩れやすくはありませんが、
骨が溶け始めていると歯が抜ける原因になりかねない、
というのはなんとなくわかっていただけるかと思います。
・歯が削れてしまう(咬耗)
一般的に、上の歯と下の歯が触れる時間は、
食事や会話の時間も入れて
1日20分未満だといわれています。
それが、歯ぎしりや食いしばりをする方の場合は、
何倍も噛む時間が長くなってしまうので
歯が削れていってしまうことが多いです。
下の写真は削れてしまった歯の状態です。
歯が削れると、歯の長さが短くなって
かみ合わせが変わってしまったり、
歯がしみたりすることがあります。
・詰め物が取れる、詰め物を入れた歯が欠ける
歯に詰め物が入っていた場合、
歯が削れてしまうほどの強い力が
歯にかかってしまうと、
詰め物が取れたり
歯が欠けたりしてしまうことがあります。
④治療に関して
もし直接的な原因がはっきりとしている
ようであればそれを取り除くのですが、
ストレスや生活習慣などが原因の場合は
簡単にはいきません。
代表的な治療法
・歯や詰め物を守る必要があるときには、マウスピースを用いて、ダメージを軽減する。
・かみ合わせが強くなりやすい姿勢を改善する。
・咬み合わせが悪い原因(歯周病や、治療していない虫歯、歯が抜けたあと放置した隙間など)がある場合は、先にそこを治療する。
・食いしばる癖を改善するための行動変容療法を試す
などがあります。
まとめ
1.歯ぎしりや食いしばりは放置せずにまず、相談しましょう
2.口周りの健康の維持の為、対策をしましょう
歯ぎしりや食いしばりによって
おこる症状と治療法を説明してきましたが、
実際には更に多岐に渡ります。
頭痛や肩こりなどの症状の原因の一つが、
実は食いしばりだった、ということも
珍しくはありません。
逆に、腰痛の原因となる姿勢が
食いしばりを起こしていた、と
いうことも多いです。
今まで気づいていなくても、
気づくきっかけがあったならば
検診のつもりで歯科受診されてみては
いかがでしょうか?