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小児歯科とアレルギーについて 

2021年12月13日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村剛です。

最近、アレルギー体質の方が多く来院されています。
当院も、様々な配慮をしつつ歯科治療を行っています。
もしアレルギーが起きた場合の酸素設備やエピペンという薬剤を常備し、緊急時の対応研修等も定期的に行っています。

歯科医療では多くの薬品や材料を使います。
日本全体でアレルギー体質の方が増え、色々なものに対してアレルギーを出す人が増えてきている印象です。

そこで今回は小児歯科とアレルギーについて、お話していきます。

1)アレルギー反応の種類

ひと口にアレルギーといってもその種類・症状は様々です。

抗原(アレルゲン)の種類によって、引き起こされるアレルギー症状も違ってくるからです。

代表的なアレルゲン

  • 食物
  • 薬物
  • ハウスダスト(ペット類の毛やダニなど)
  • 花粉

代表的なアレルギー症状

  • じんましん
  • 皮膚炎
  • ぜん息
  • 発熱
  • 喉頭浮腫(呼吸困難を起こします)

また、アレルギーの種類は、IgE抗体によって起こるⅠ型から、Ⅳ型までの4種類に分けられます。
それぞれ免疫機構や抗体の種類などの違いによって発症する病気も違ってきます。

アレルギー疾患の発症には遺伝的な体質も関わっているといわれます。
アレルギー体質・アトピー素因とよばれるもので、こういった人たちはIgE抗体がつくられやすい体質です。

アレルギー反応はその程度、状態によって分けられます。

程度の低いものはアレルギー反応と呼ばれ、じんましんや皮膚炎など。
呼吸器症状や血圧にまで影響する重篤なものは、アナフィラキシー(ショック)と呼ばれ、エピペンなどの使用が必要となる場合があります。

2)アレルギーと歯科で使う薬品・材料

平成20年の皮膚科学会の調査によると、日本のアナフィラキーショックの多い原因は抗ガン剤、造影剤、血液製剤、抗菌薬です。

それ以下のものとして、痛み止めに用いられる非ステロイド系の鎮痛薬(代表的なものとして、ロキソプロフェンなどの痛み止め。カロナール/アセトアミノフェンは少し作用機序が異なり、アレルギーは比較的出しにくいと言われています)、麻酔薬も挙げられています。
これらのうち、抗菌薬、非ステロイド系鎮痛薬、麻酔薬は歯科でよく使います。
麻酔薬でのアナフィラキシーの頻度は1%程度と言われています。

以上のような薬品は使うべきでないという意見もあるかもしれませんが、医療はメリットとデメリットの両面があり、メリットが上回れば、薬品は適正に使用すべきと考えられています。

フッ素はアレルギーを起こすか

歯科でよく用いられるフッ素は、アレルギーの可能性はゼロではないものの、非常に稀です。
アレルギー症状は起きない、とアメリカの皮膚科学会でも定義されています。

ただ、歯磨き剤でのアレルギー反応の報告はいくつかあります。
原因は、添加されている他の材料と考えられています。

詰め物、被せ物による金属アレルギー

詰め物、被せ物による金属アレルギーは、その反応に時間を要すアレルギーⅣ型と言われています。
金属が長い時間で溶けてイオン化して発症します。

金属ではアナフィラキシーショックは起こりずらいと考えられます。
しかし、全身に吸収されて遠隔部位に皮疹が生じる全身性接触皮膚炎(全身型金属アレルギー)なので、アトピー性皮膚炎の悪化や、皮膚炎が治らない時、原因が歯科金属であることがわかりにくいことが問題となっています。

対策としては、金属から非金属の詰め物、被せものに変更することで、徐々に改善していきます。

アレルギーを起こさない最大の防御法は、虫歯を作らないこと

小児受診をされると、初めてのこと、行為が多く、ご心配な点は多いかと思います。
使われる薬剤や材料によるアレルギーがご心配な方は、『虫歯にならない』『予防をがんばる』これが最大の対策だと思います。

アレルギー体質の方も増加しています。
ご心配な方、重篤な方は、アレルギー科や皮膚科、大学病院での検査や加療が必要な場合があります。
口腔内の状態を含め、ベストの方法を考えましょう。

まとめ

いかがでしたか?

  • アレルギー反応は食物、薬、ハウスダストなど様々な原因で発症し、体質や素因で反応の出方が異なります。
    急激に発症し、重篤なものには、アナフィラキシー(ショック)があります。
  • 歯科で用いる抗菌薬、非ステロイド系鎮痛薬、麻酔薬などでもアレルギー反応が出るリスクはあります。
    治療上のメリットが多ければ使うケースもあります。
  • 金属アレルギーと直後のアレルギー反応は、発症の仕組みが異なります。

虫歯にならないことが最大の対策です。頑張って予防していきましょう。

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