歯がしみる! ~冷たいもので、甘いもので、歯ブラシの毛先で。知覚過敏の話~
2023年3月26日
こんにちは、つぼい歯科クリニック勤務医の荒田です。
本日は案外多くの人が悩まされている
知覚過敏についての話をしようと思います。
一口に知覚過敏と言っても、原因は様々あります。
1)知覚過敏の原因
・歯磨きの時の力が強い
・歯周病で歯茎が下がった
・かみ合わせが悪くて歯茎が下がった
・食いしばりや、上下の歯を接触させる癖による
・体調やホルモンバランスが乱れ
2)なぜ知覚過敏は起こるのか
<歯の構造>
歯は外側から
・エナメル質…硬い外殻
・象牙質…少し柔らかめの中層
・歯髄…神経や血管が通っている
に分けることが出来ます。
通常口の中で見えている歯はすべてエナメル質の部分であり
よっぽど強い衝撃や、激しい冷温差でなければ
知覚過敏が起こることは稀です。
<歯が刺激を感じる理由>
中層にあたる象牙質の表面には
『象牙細管』という約1μm(1mmの1/1000)程の
微小な穴が開いており、歯髄とつながっています。
『象牙細管』の内部には水分が入っており、
この水分が歯への刺激を歯髄に伝えます。
<知覚過敏の原因>
通常冷たい飲み物や歯ブラシが当たっても、
エナメル質が刺激をブロックします。
しかし、加齢や過剰な食いしばり、
歯ブラシの圧が強いことなどにより歯茎が下がり、
象牙質の表面が口の中に露出してしまうと、
刺激を直接的に受け取ってしまうことにより
知覚過敏が生じるのです。
3)知覚過敏の原因(歯茎が下がる)は治せる?
歯茎が下がってしまったことが原因で
知覚過敏が起きるならばのならば
下がった歯茎を元にもどせばいいじゃないかと
考える方もいらっしゃるかと思います。
しかし現実的には一度下がってしまった歯茎を
元に戻すことは困難です。
歯周再生療法(外科的手術)で回復できるケースもありますが
全体的に広範囲に歯茎が下がっている場合は
回復することは非常に困難です。
だからこそ、最初から歯茎が下がらないように
歯磨きや定期的なクリーニングを行うことが重要です。
4)知覚過敏の治療法
~基本戦略は露出した『象牙細管』の入り口をふさぐこと~
<自然治癒>
唾液の中には大量のカルシウムが含まれており、
知覚過敏が軽度なら、唾液の作用で
象牙細管の入り口がふさがれ、しみなくなっていきます。
また、人体には自分が害になる刺激を受け続けると
それを遮断しようとする働きがあります。
歯も刺激を受けると、象牙細管事態を細くしていき、
刺激を受けたとしても大きく反応することが
ないようなっていきます。
<薬液の塗布>
自然治癒が見込めない中等度以上ですと
薬液で象牙細管の入り口をふさいでしまいます。
<しみにくくなる歯磨き粉の使用>
神経が刺激に反応しにくくなる歯磨き粉も
市販されており、薬液の塗布との併用を
おすすめすることもあります。
まとめ
1.そもそもの原因を生まないように衛生を保つ努力をしましょう
2.知覚過敏が最終的には収まってくるので、それまでは強い刺激を与えないようにしましょう
知覚過敏が起きる原因など少しでもわかっていただければ幸いです。
最後になりますが、今回説明した内容だけが
知覚過敏の原因となる訳ではありません。
様々な要因により生じる病気でもありますので、
知覚過敏が強く出るようになってきたな、など
感じましたら歯科にかかることをお勧めします。
最後までお読みいただきありがとうございました。