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外傷歯の治療について(シリーズ3)

2022年10月27日

外傷歯の治療について(シリーズ3)

 

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

小学校低学年(6~8歳)のお子さんの永久歯の根っこは、まだ完成していません。

こういう「根っこが完成していない永久歯」のことを「根未完成歯」と言います。

 

根未完成歯の外傷の治療はなかなか難しく、治療の考え方も普通の「根完成歯」と大きく異なります。

外傷シリーズ第3弾の今回は、根未完成歯の根の治療について解説していこうと思います。

 

 

Ⅽくんは、8歳の男の子。

スポーツ少年団でハンドボールを頑張っています。

試合形式の練習中にゴールポストと激突し、前歯を打ちました。

前歯は永久歯で、明らかに歯が大きく欠けていて、折れている様です。

 

1)根完成歯と根未完成歯の違い

永久歯の根は一般的に、歯が生えて2-3年後に完成します。

この時期の歯根はラッパ状の形態とか、穴の開いたバケツのような姿をしています。

この時期の根先端はかなり繊細です。

 

2)根未完成歯の治療法

根未完成歯の場合、根尖をふさぐ必要があります。

炎症を起こしている正常でない部分を取り除き、水酸化カルシウム製剤と呼ばれる材料で緊密に充填します。ある程度完成している歯の場合、薬の刺激で根っこの先がふさがります。

 

根が全く完成していない歯の場合、根尖付近をできるだけ触ることなく、正常な部分と判断できる部分に水酸化カルシウム製剤で緊密に蓋をします。

その結果、根の先端に炎症がなくなれば根が改めて成長し、完成します。

 

根が全く完成してない歯の場合、通常の根幹治療では上手くいきません。

ある程度生体の治癒力を期待しながら処置します。

 

近年、水酸化カルシウム製剤に加え、MTAと呼ばれるセメントやレーザーの使用によりこれらの処置法の成功率が上がってきています。

つぼい歯科でも両方を使用し、成功率が高く無い、困難な病状の歯でも、治癒を期待して処置しています。

 

こうした、根っこが完成していない外傷歯の治療は、数か月ごとの再治療が2~3回必要となります。

つまり、時間がかかってしまいます。

 

3)外傷以外でも、根未完成歯で根っこの治療が必要になるケースがある

 

・乳児・幼児が虫歯になりやすい食習慣・飲み物の習慣を持つ場合

 

生えた途端にすごい虫歯になる場合も依然あり、残念ながら根治に至るケースもあります。

・歯の中央の、本来凹んでいるはずの部分に歯の突起が生えている状態(中心結節)

突起が折れたりして、根治に至ることがあります。

 

・歯の中に空洞のような虫歯になりやすい構造(歯内歯)

 

食習慣や歯磨き習慣は普通なのに、気づけば大きな虫歯になっていて、根治しないといけなくなってしまうケースがあります。

 

ただし、上記のいずれも、予防することが可能です。

 

食習慣・飲み物習慣を虫歯になりにくいものにしていただいたり、突起があると分かった時点で、あらかじめプラスチックで補強しておいたり、シーラントという予防処置を事前にしておくなど、定期的に歯科医院に通院していただければ、歯の根っこの処置を回避することが可能です。

 

 

まとめ

 

いかがでしたか?

 

・根未完成歯の外傷治療では、まずは根を完成させることを目的とした処置が必要になります。

・外傷以外でもこのような処置が必要となる場合がありますが、定期的に歯科医院に通院していただければ、いずれも予防が可能です。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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