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こどもの反対咬合はプレオルソでどう治る? 実際の症例を紹介

2026年9月20日

岩国市 プレオルソ 反対咬合
岩国市 受け口 プレオルソ
こんにちは。岩国市の医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 小児歯科専門医で副院長の吉村剛です。

前回は、こどもの反対咬合(はんたいこうごう:下の歯が上の歯より前に出て噛み合う状態。受け口とも呼ばれ、下顎前突を伴う場合もあります)の原因や、早期治療を行う目的、プレオルソによる治療が適している症例について解説しました。

参考リンク: プレオルソで、こどもの受け口は治せる?
岩国市 小児矯正 プレオルソ

前回に引き続き、今回は実際にプレオルソで反対咬合を改善した3症例について解説します。

今回ご紹介するのは、姉と二卵性双生児(弟・妹)という、3姉弟の症例です。

同じ「受け口」であっても、反対咬合の原因や歯の傾き、顎の成長方向、舌の位置などは一人ひとり異なります。

そのため、3人に同じ治療を行ったわけではありません。

プレオルソを中心に、必要に応じてリンガルアーチやMFT(口腔筋機能訓練)を組み合わせました。

※掲載する症例は、患者さんと保護者の方の同意を得たうえで、個人が特定されないよう配慮しています。治療結果には個人差があります。

1.家族性の反対咬合

今回のご家族では、お父さんとお母さんには反対咬合がありませんでした。

父方のいとこに受け口の傾向があったそうです。

そして、姉と二卵性双生児の弟妹の3人全員に、反対咬合が認められました。

二卵性双生児だからといって、遺伝情報が完全に同じではありません。

双子の2人に反対咬合があり、年齢の異なる姉にも同じ傾向がみられたため、遺伝的な要因が関係している可能性を考えた症例でした。

ただし、兄弟姉妹で同じ噛み合わせになったからといって、原因や治療方法まで同じとは限りません。

実際に診査すると、前歯の傾き、顎の成長方向、舌や口周りの筋肉の使い方には、それぞれ違いがありました。

2.実際の症例

2-1)症例1 8歳女児 受け口が3か月で正常な噛み合わせに改善
岩国市 小児矯正 プレオルソ初診時年齢:8歳7ヵ月/主な診断:反対咬合/使用した装置:プレオルソとリンガルアーチ(MFT併用)/反対咬合が改善するまでに要した期間:3か月/治療費総額42万円/主なリスク・副作用:装置による痛みや違和感、発音しにくさ、粘膜の傷、装着時間不足による治療の遅延、後戻り、成長に伴う反対咬合の再発など

8歳7ヵ月で、反対咬合の治療をスタートしました。

8歳7ヵ月 プレオルソ+リンガルアーチで矯正スタートです
岩国市 小児矯正 プレオルソ

3か月後 前歯の反対咬合が改善しました
岩国市 小児矯正 プレオルソ

1年後
岩国市 小児矯正 プレオルソ

プレオルソは、歯を一本ずつ移動させる装置ではありません。

上下の歯の噛み合わせや、舌・唇・頬の筋肉のバランスを整えながら、反対咬合の改善をめざす装置です。

姉のお子さんには、上の前歯を積極的に外側へ動かす必要があったため、固定式のリンガルアーチを併用しました。

また、低位舌(ていいぜつ:舌が本来の位置より低いところにあり、舌を上へ持ち上げる動きが苦手な状態)がみられたため、MFT(口腔筋機能訓練)も併用しました。

ただし、現時点で前歯の反対咬合が改善していても、将来の下顎の成長まで確定したわけではありません。

永久歯への生え変わりや思春期の成長を確認するため、治療後も定期的に経過を観察しています。

2-2)症例2 5歳男児 受け口が10か月で正常な噛み合わせに改善
岩国市 小児矯正 プレオルソ初診時年齢:5歳2ヵ月/主な診断:反対咬合/使用した装置:プレオルソとリンガルアーチ(MFT併用)/反対咬合が改善するまでに要した期間:10か月/治療費総額25万円/主なリスク・副作用:装置による痛みや違和感、発音しにくさ、粘膜の傷、装着時間不足による治療の遅延、後戻り、成長に伴う反対咬合の再発など

5歳2ヵ月でプレオルソ+リンガルアーチで治療スタート
岩国市 小児矯正 プレオルソ

6か月後
岩国市 小児矯正 プレオルソ

10か月後 前歯の反対咬合が改善しました
岩国市 小児矯正 プレオルソ

3姉弟の中では、前歯の反対咬合が改善するまでに最も時間を要した症例でした。

このお子さんに対してもMFTを併用しました。

MFTによって舌や口周りの筋肉の使い方が整ったことも、噛み合わせの維持に役立った可能性があります。

その後、上顎の前歯は永久歯に生え変わりましたが、正常な噛み合わせを維持できています。

2-3)症例3 5歳女児 受け口が6か月で正常な噛み合わせに改善
岩国市 小児矯正 プレオルソ初診時年齢:5歳6ヵ月/主な診断:反対咬合/使用した装置:プレオルソとリンガルアーチ(MFT併用)/反対咬合が改善するまでに要した期間:6か月/治療費総額37万円/主なリスク・副作用:装置による痛みや違和感、発音しにくさ、粘膜の傷、装着時間不足による治療の遅延、後戻り、成長に伴う反対咬合の再発など

5歳6ヵ月でプレオルソ+リンガルアーチで治療スタート
岩国市 小児矯正 プレオルソ

3か月後
岩国市 小児矯正 プレオルソ

6か月後 前歯の反対咬合が改善しました
岩国市 小児矯正 プレオルソ

3.3症例を比較して分かること

プレオルソだけでは十分でない症例もある

プレオルソは、噛み合わせと口周りの筋肉のバランスを整えるために有効な選択肢です。

しかし、内側へ傾いた上顎前歯を積極的に動かす必要がある場合などには、リンガルアーチのような固定式装置を併用することがあります。

「受け口にはプレオルソ」と一律に考えるのではなく、歯をどの方向へ、どの程度動かす必要があるのかを診断することが重要です。

歯並びだけでなく、舌や唇の使い方も確認する

装置によって前歯の反対咬合が改善しても、低位舌や口呼吸、口唇閉鎖不全(こうしんへいさふぜん:安静時に唇を自然に閉じにくい状態)などが残っていることがあります。

MFT(口腔筋機能訓練)は、舌、唇、頬などを適切に使うためのトレーニングです。MFTだけで、顎の骨格差が関係する反対咬合を改善することは困難ですが、必要に応じて矯正装置と組み合わせることで、口腔機能の改善をめざします。

4.まとめ

  • ・下顎前突(かがくぜんとつ:下顎が上顎より前方に位置している状態)は、遺伝的な要因が強く関係していることもある不正咬合(ふせいこうごう:歯並びや噛み合わせに問題がある状態)です。
  • ・プレオルソを含むマウスピース型の矯正装置には、骨格の特徴によって向き・不向きがあります。そのため、治療前の診査・診断が重要です。
  • ・当院では、マウスピース、リンガルアーチ、MFTを症状に応じて組み合わせています。遺伝的な要因が関係すると考えられる反対咬合でも、一定の改善がみられる場合があります。

お子様の受け口が気になる方へ

子どもの反対咬合には、歯の傾きが中心となっているもの、顎を前へずらして噛むことで起こるもの、上下の顎の骨格差が関係するものなどがあります。

見た目だけで、プレオルソが適しているかどうかを判断することはできません。

当院では、歯並びや噛み合わせだけでなく、顎の成長方向、永久歯の状態、舌や口周りの筋肉の使い方などを確認したうえで、治療の必要性や開始時期をご説明します。

「乳歯の受け口をそのままにしてよいか分からない」

「兄弟に受け口があり、ほかの子も心配」

「プレオルソだけで治療できるか知りたい」

このような場合は、まずは無料矯正相談をご利用ください。

▶ 無料矯正相談について詳しく見る

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最後までお読みいただき、ありがとうございました!

プレオルソでこどもの受け口は治せる?

2026年9月16日

岩国市 受け口 プレオルソ
岩国市 小児矯正 プレオルソ

こんにちは。医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 副院長の吉村です。

今回は、プレオルソを使ったこどもの反対咬合(はんたいこうごう:下の前歯が上の前歯より前に出ている噛み合わせ)の矯正治療についてお話しします。反対咬合は『受け口』とも呼ばれ、下顎前突(かがくぜんとつ:下顎が上顎より前方に出ている状態)を伴うこともあります。

先に結論を知りたい方へ

プレオルソで改善を目指せる受け口もあります。ただし、すべての反対咬合に適しているわけではありません。

歯の傾き、顎の骨格や成長方向、舌の使い方などを確認したうえで、治療方法を判断します。

知りたい内容から読む

※掲載する症例は、患者さんと保護者の方の同意を得たうえで、個人が特定されないよう配慮しています。治療結果には個人差があります。

1)反対咬合(受け口・下顎前突)は遺伝的な要因が関係することがあります

反対咬合(下顎前突)は、不正咬合(ふせいこうごう:歯並びや噛み合わせに問題がある状態)の中でも遺伝的な要因が関係しやすいと考えられています。

親子や兄弟姉妹など、同じ家族の中に反対咬合の人がいることは珍しくありません。ご両親に受け口がなくても、祖父母や親戚に同じような骨格的特徴がみられることもあります。

反対咬合の家族性を説明するとき、歴史上の有名な例として挙げられるのが、ヨーロッパの王家であるハプスブルク家です。

ハプスブルク家の人々を描いた肖像画には、下唇や下顎が前方へ出て見える特徴的な顔立ちが、何世代にもわたって描かれています。この特徴は、歴史的に「ハプスブルク家の顎(Habsburg jaw)」と呼ばれてきました。
岩国市 受け口 プレオルソ

ハプスブルク家では、王家の血統や領土を維持するため、血縁関係の近い人同士の結婚が繰り返されました。その結果、顎や顔立ちに関する遺伝的な特徴が、家系内で現れやすくなった可能性があると考えられています。実際に、ハプスブルク家15名を描いた66点の肖像画を、複数の顎顔面外科医が評価した研究があります。この研究では、『ハプスブルク家の顎』には下顎前突だけでなく、上顎の成長不足も関係している可能性が示されています。

参考文献:Vilas R, et al. Is the “Habsburg jaw” related to inbreeding? Annals of Human Biology. 2019.

2)反対咬合には、舌の位置や使い方も関係します

多くの反対咬合のお子さんを診察していると、骨格や歯の傾きだけでなく、舌の位置や動かし方にも特徴がみられます。

舌は何もしていないとき、先端が上の前歯のすぐ後ろ付近にあり、舌全体が上顎の内側へ軽く触れている状態が望ましいとされています。

正常
岩国市 小児矯正 プレオルソ

一方、受け口のお子さんでは、舌が低い位置にあり、下の前歯を前方へ押すような動きをしていることがあります。

低位舌(ていいぜつ:舌が本来より低い位置にある状態)
岩国市 小児矯正 プレオルソ

また、話し方や食べ方、飲み込み方は、幼少期に家庭内で身につけていくものでもあります。

顎や舌の形といった遺伝的な要素に、家庭内で身につく発音や食べ方などの環境的な要素が重なることで、兄弟姉妹に似た口の使い方や噛み合わせが現れる可能性があります。

ただし、舌の位置だけが反対咬合の原因とは限りません。骨格や噛み合わせの影響で、結果として舌が低い位置(低位舌)になっていることもあります。

そのため当院では、歯並びだけでなく、舌の位置や動き、飲み込み方、発音なども確認します。必要に応じて、MFT(口腔筋機能訓練)を行っています。
岩国市 小児矯正 プレオルソ

関連記事 MFT特集その7 舌癖と歯列不正のメカニズムについて

https://tsuboidental.com/blogs/archives/6811

3)反対咬合は思春期に悪化することがあります

反対咬合には、思春期に身長や手足が伸びる時期とともに、下顎の成長が目立ってくることがあるという特徴があります。

そのため、思春期を迎える前に前歯の反対咬合を一度改善し、上顎や永久歯が正常に成長しやすい環境を整えておくことは、将来の噛み合わせを考えるうえで大切です。

上下の前歯の噛み合わせがいったん正常になれば、噛むことそのものが「上の歯が下顎を引っ込め、下の歯が上の歯を外側に押す」という矯正力として働くためです。

その後の思春期成長で、反対咬合が再発したとしても、小児期に一度も治療しなかった場合とくらべて軽症で済む可能性が高いのです。その結果、将来的に顎の骨を手術で動かす外科的矯正治療を避けられる場合もあります。

もちろん、幼少期に治療を行えば、将来の骨切り手術(顎の骨を手術で動かす外科的矯正治療)を絶対に回避できるわけではありません。下顎の成長そのものを完全に止めることはできないため、早期に反対咬合が改善しても、思春期以降まで経過を確認する必要があります。

それでも、将来の悪化を少しでも抑えるため、成長期の治療は大切な選択肢だと考えています。

4)反対咬合の特徴をおさらい

反対咬合には、主に次のような要因が関係します。

  • ・上の前歯が内側へ傾いている
  • ・下の前歯が外側へ傾いている
  • ・上顎の成長が小さい
  • ・下顎の成長が強い
  • ・噛み合わせによって下顎が前方へ誘導されている
  • ・舌の位置や口周りの筋肉の使い方に偏りがある

実際には、1つの要因だけでなく、複数の要因が重なっていることもあります。

歯の傾きが中心となっている反対咬合と、上下の顎の骨格差が大きい反対咬合とでは、治療方法も将来の見通しも異なります。そのため、「受け口だから同じ装置で治療する」のではなく、原因を見極めるための診断が重要です。

5)プレオルソとは?

岩国市 小児矯正 プレオルソ

プレオルソは、主に成長期のこどもに使用する、やわらかい素材でできたマウスピース型の矯正装置です。

歯を1本ずつ細かく動かす成人用のマウスピース型矯正装置とは、役割が異なります。プレオルソは、口周りの筋肉や舌の使い方を整えながら、噛み合わせや歯並びの改善を目指します。

一般的には、日中の1〜2時間と寝ている間に装着します。ただし、必要な装着時間や使用期間は、お子さんの年齢、症状、使用する装置によって異なります。

また、プレオルソだけですべての反対咬合を治療できるわけではありません。前歯をより積極的に動かす必要がある場合や、歯列の形を整える必要がある場合には、固定式の装置を併用することがあります。当院でも、プレオルソに加えて、歯の裏側に装着する固定式装置のリンガルアーチや、上顎の歯列を横に広げる固定式装置のクワドヘリックス、MFT(口腔筋機能訓練)を症状に応じて組み合わせることで、より良い成果を上げています。
岩国市 小児矯正 プレオルソ

6)プレオルソと相性のよい反対咬合とは?

顔や顎の成長方向には個人差があります。

矯正歯科では、顔が縦方向に成長する傾向を『ドリコフェイシャル』、横方向の幅があり、噛む力が強く、深い噛み合わせになりやすい傾向を『ブラキフェイシャル』と呼ぶことがあります。

ドリコフェイシャル傾向

  • ・顔が縦長になりやすい
  • ・噛み合わせが浅い、または前歯が噛み合わない開咬になりやすい
  • ・歯が並ぶスペースが不足しやすい
  • ・治療によって噛み合わせの高さが増えすぎないよう注意が必要

ブラキフェイシャル傾向

  • ・顔の横幅が比較的広い
  • ・噛む力が強い傾向がある
  • ・噛み合わせが深くなりやすい
  • ・顎関節や歯に強い力が加わることがある

プレオルソを含むマウスピース型の装置は、深い噛み合わせを浅くすることが得意です。つまり、お子さんがブラキフェイシャル傾向の場合、プレオルソとの相性が良いのです。
岩国市 受け口 プレオルソ

一方、縦方向への成長が強いお子さんでは、噛み合わせがさらに浅くなったり、顔の縦方向の成長が強くなったりしないか、慎重に確認しながら使用する必要があります。

装置がお口の状況に適しているかどうかの選択は、見た目だけでは判断できません。当院では、お口の中の診査やレントゲン検査、必要に応じたセファロ分析(頭部のレントゲン写真を使って、顎の大きさや位置、成長方向などを調べる検査)などをもとに治療方法を検討します。

7)この記事のまとめ

  • ・反対咬合は、下の前歯が上の前歯より前に出ている噛み合わせです。
  • ・反対咬合には、歯の傾き、顎の骨格、遺伝、舌の使い方などが関係します。
  • ・プレオルソだけでなく、リンガルアーチやMFTを組み合わせる必要がある場合があります。
  • ・早期治療には、前歯の噛み合わせや顎の成長環境を整える目的があります。
  • ・治療後も思春期の下顎成長を確認するため、長期的な経過観察が必要です。

8)よくある質問

Q1.こどもの受け口は、自然に治ることがありますか?

乳歯の生え方や噛む位置によって一時的に反対咬合に見えるケースでは、成長や歯の生え変わりに伴って改善することがあります。

しかし、自然に改善するかどうかを家庭で判断するのは困難です。骨格的な要因がある場合や、下顎を前方へずらして噛む習慣がある場合には、早めに診断を受けることをおすすめします。

Q2.何歳から相談するのがいいですか?

乳歯が生えそろい、反対咬合が確認できる3〜5歳頃からご相談いただけます。

ただし、診断を受けたら必ずすぐに装置を使用するわけではありません。お子さんの成長、症状、装置を使用できるかどうかを確認し、治療開始時期を検討します。

Q3.プレオルソだけで受け口を治せますか?

プレオルソだけで改善を目指せる症例もありますが、すべての反対咬合に対応できるわけではありません。

前歯を積極的に動かす必要がある場合には、リンガルアーチなどの固定式装置を併用することがあります。骨格的な問題が大きい場合には、別の治療方法を検討します。

Q4.プレオルソは1日に何時間使用しますか?

一般的には、日中の1〜2時間と寝ている間に使用します。

ただし、具体的な装着時間は、お子さんの症状や治療計画によって異なります。当院では、診断後に使用方法をご説明します。

Q5.治療期間はどのくらいですか?

前歯の反対咬合の改善には、半年〜1年程度かかることがあります。ただし、症状や成長の状態、装置の使用状況によって治療期間は異なります。

前歯の噛み合わせが改善した後も、永久歯への生え変わりや思春期の成長を確認するため、長期的な経過観察が必要です。

Q6.プレオルソの治療は痛いですか?

装置を使い始めた直後には、締めつけられる感じや歯や顎の違和感が生じることがあります。また、唾液が増えたり、話しにくくなったりすることもあります。

通常は使用に慣れるにつれて軽減しますが、強い痛みや粘膜の傷がある場合には、装置の調整が必要です。

Q7.MFTとは何をする治療ですか?

MFTは「口腔筋機能訓練」といい、舌、唇、頬などの筋肉を適切に使うためのトレーニングです。

お子さんの正常な発達を促すために、舌の安静時の位置、飲み込み方、口の閉じ方などを、さまざまなトレーニングを通して身につけていくプログラムです4歳~12歳の間であれば、口呼吸を鼻呼吸に改善したり、矯正の後戻りを引き起こす良くない舌癖などの改善をめざすことができます。MFTだけで骨格的な反対咬合を治すものではなく、必要に応じて矯正装置と組み合わせて行います。

Q8.両親が受け口でなくても、こどもが受け口になることはありますか?

あります。

顎や歯並びに関係する特徴は、両親だけでなく祖父母などから受け継ぐことがあります。また、遺伝以外にも、歯の生え方、顎の成長、舌や口周りの筋肉の使い方などが関係します。

Q9.早く治療すれば、将来の手術を避けられますか?

早期治療によって現在の噛み合わせを改善し、顎が成長しやすい環境を整えることはできますが、将来の外科手術を絶対に避けられるわけではありません。

下顎の成長が非常に強い場合や、上下の顎の骨格差が大きい場合には、成長終了後に外科的矯正治療が必要になることがあります。

Q10.治療後に受け口へ戻ることはありますか?

あります。

とくに骨格的な下顎前突では、思春期の下顎成長によって反対咬合が再び現れることがあります。そのため、前歯の噛み合わせが改善しても、成長終了まで定期的な確認が必要です。

9)お子さんの受け口が気になる方へ

反対咬合は、見た目だけで自然に改善するか、早めに治療を検討した方がよいかを判断することは困難です。

また、同じ受け口でも、プレオルソが適しているお子さんもいれば、別の装置や経過観察が適しているお子さんもいます。

当院では、歯並びだけでなく、顎の成長方向、永久歯の状態、舌や口周りの筋肉の使い方まで確認したうえで、治療の必要性や開始時期をご説明します。

「乳歯だから、まだ様子を見てよいのか分からない」

「家族に受け口の人がいるので心配」

「プレオルソがこどもに合うか知りたい」

このような場合は、まずは無料矯正相談をご利用ください。

無料矯正相談について詳しく見る https://tsuboikyousei.com/soudankai/

当院の小児矯正について詳しく見る https://tsuboidental.com/pediatric/

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

次回は、実際にプレオルソで反対咬合を改善した3症例について、解説します。

ぜひ、次回の記事もご覧ください。

前歯で噛めない「開咬(かいこう)」は小児期の治療が大切です

2026年7月2日


「前歯で麺類が噛み切れない」
「噛んでも、前歯が閉じない」
「いつも口が開いている(お口ポカン)」

このようなお悩みでご相談いただくお子さんが近年増えています。

背景には、食生活の変化や口の筋肉の発達不足、舌の癖など、さまざまな要因が関係していると考えられています。こうした口腔機能の問題は、2018年から口腔機能発達不全症として保険診療の対象となり、多くの歯科医院で診断・指導が行われています。

こんにちは、医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 副院長の吉村です。
今回は、奥歯を噛んだ状態でも前歯が噛めない「開咬(かいこう)」についてご紹介します。

1)開咬(かいこう)とは?

開咬とは、奥歯は噛んでいるのに前歯が噛み合わない状態をいいます。
前歯で食べ物を噛み切ることが難しく、麺類やサンドイッチなどが食べにくいだけでなく、発音や飲み込みにも影響することがあります。
一方で奥歯には強い負担がかかるため、奥歯だけがすり減っているケースもたまに見られます。

2)開咬は大人になってからの治療では大掛かりになることも

永久歯が生えそろった後の重度の開咬では、

  • ・抜歯を伴う矯正治療
  • ・顎の骨を手術で移動する外科矯正

などが必要になることがあります。

しかし、小児期は顎の骨が成長している途中です。
この時期であれば、

  • ・歯並びを適切な方向へ誘導する矯正治療
  • ・舌の癖や飲み込み方を改善する口腔筋機能療法(MFT)

を組み合わせることで、顎の成長を利用しながら改善が期待できる場合があります。

もちろん、すべての症例で手術を回避できるわけではありません。しかし、小児期に適切な治療を早めに行うことで、将来の治療の負担を軽減できる可能性があります。

では、矯正とトレーニングを頑張った結果、改善が見られた実際の症例をご紹介します。

3)実際の症例

3-1)症例1:8歳女児

定期管理で通院されていた患者さんです。
「前歯でパスタなどが噛み切れない」という症状がありました。

術前
岩国市 こども 矯正

術後(2年後)
岩国市 こども 矯正

まず、治療前(術前)の状態をご説明します。
大臼歯(奥歯)の噛み合わせは正常(Ⅰ級咬合)でしたが、舌を前へ押し出す癖(舌突出癖)が強く、それによって前歯が噛めない状態になっていました。また、上唇小帯(前歯の中央にある筋)が強く付着していました。
岩国市 こども 矯正
上唇小帯の付着が強い
岩国市 こども 矯正前歯が噛んでいない

以下の治療を併用しました。

  • ・上唇小帯の処置(ヒダがついている部分を切除する)
  • ・舌の癖を改善する柵付きの取り外し式矯正装置
  • ・下顎の軽度拡大
  • ・口腔筋機能療法(MFT)

下図:使用した装置(タンクリブ付き拡大床装置)

岩国市 矯正 こども

岩国市 矯正 こども

約2年後には前歯がしっかり噛み合うようになりました。
岩国市 矯正 こども

レントゲンによる骨格の比較では、特に上顎前歯の傾きが大きく改善し、成長を利用した良好な変化が得られました。
岩国市 矯正 こども

  • ・緑:術前 上の前歯が唇側に大きく傾斜している
  • ・赤:術後 上の前歯の傾きが改善し、歯並びが良い人の平均値にかなり近い形になった
  • ・青:歯並びが良い人の平均的な形
    岩国市 矯正 こども歯並びが改善しただけでなく、口角が上がるようになりました。
    笑うと前歯がきれいに見えるようになり、笑顔がハツラツとした印象になりました。

3-2)症例2:7歳女児

こちらも定期健診で通院されていた患者さんです。
永久歯への生え変わりとともに開咬がさらに強くなり、矯正相談にいらっしゃいました。
診査では前歯4本がまったく噛み合っておらず、このまま成長すると、将来的に抜歯矯正や外科矯正が必要になる可能性もある状態でした。

術前
岩国市 矯正 こども

2年後
岩国市 矯正 こども

まず治療前(術前)の状態をご説明します。
岩国市 矯正 こども

開咬の原因として、以下が認められました。

  • ・舌突出癖
  • ・上唇小帯の強い付着
  • ・舌小帯の強い付着

次の治療を並行して行いました。

  • ・上唇小帯・舌小帯の処置
  • ・舌の癖を改善する取り外し式矯正装置
  • ・下顎の軽度拡大
  • ・口腔筋機能療法(MFT)

約2年後には前歯が噛み始め、骨格分析でも上顎前歯の角度が大きく改善しました。
岩国市 矯正 こども

*写真はワイヤーが一部外れています。この後、修理しました。

レントゲンによる骨格の比較では、特に上顎前歯の傾きが大きく改善し、成長を利用した良好な変化が得られました。

  • ・黄色:術前 上の前歯が唇側に大きく傾斜している
  • ・緑色:術後 上の前歯の傾きが改善した
    岩国市 矯正 こども

骨格的には大きな変化が見られ、外科的な処置が必要となる可能性は低くなったと考えられます。
現在は上顎の装置を変更して、より深く噛み合うように、矯正と指導を継続しています。

この患者さんには軽度の発達特性があり、矯正装置とトレーニングを継続することは決して簡単ではありませんでした。それでも、ご本人とご家族が一緒に頑張ってくださり、大きな改善につながりました。

4)開咬は「形」と「機能」の両方を治すことが大切です

開咬では、

前歯で噛めないために舌の癖が悪化し、舌の癖によってさらに噛めなくなる

という悪循環が起こります。

歯並びや顎の形(形態)が変われば、お口の使い方(機能)も変わります。
そして、お口の機能が改善すれば、改善した歯並びも安定しやすくなります。

そのため、当院では矯正治療だけでなく、MFT(口腔筋機能療法)も組み合わせながら、お子さん一人ひとりに合わせた治療を行っています。

「前歯で噛めない」
「食べ物が噛み切れない」
「お口がいつも開いている」

このような症状が気になる場合は、お早めにご相談ください。
成長期だからこそできる治療があります。

5)まとめ

  • ✓ 開咬(前歯が噛み合わない状態)は、小児期に改善できる可能性があります。
  • ✓ 原因は歯並びだけではなく、舌の癖や口の筋肉の使い方が大きく関係しています。
  • ✓ 矯正治療と口腔筋機能療法(MFT)を組み合わせることで、顎の成長を利用した改善が期待できます。
  • ✓ 早い時期に治療を始めることで、将来の抜歯矯正や外科手術が必要となる可能性を減らせる場合があります。
  • ✓ 「前歯で噛めない」「食べ物が噛み切れない」「お口ポカン」が気になるお子さんは、一度ご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

小児の部分矯正とは?少数歯を短期間で整える「MTM」について

2026年4月23日

岩国市 歯科 部分矯正

 

こんにちは。岩国市の医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 副院長の吉村です。

今回は、小児の部分矯正についてお話しします。

たとえば、

  • ・この1本だけ、なかなか生えてこない
  • ・12歳臼歯が手前の歯にひっかかって、まっすぐ生えてこない

このように、一部の歯だけにトラブルが起きていることがあります。

こうした場合に行うのが、MTM(マイナー・トゥース・ムーブメント)です。

MTMとは、少数の歯だけを動かして整える部分的な矯正治療のことです。

今回は、実際の症例も交えながら、できるだけわかりやすくご紹介します。

1)全顎矯正と部分矯正

矯正には「全体を整える治療(全顎矯正)」と「一部だけ整える治療(部分矯正)」があります。
岩国市 小児歯科 矯正

1-1)全顎矯正

お口全体のかみ合わせや歯並びを整える治療です。

  • ・ワイヤー矯正
  • ・アライナー矯正(インビザライン、クリアコレクト、SMARTEEなど)
  • ・小児予防矯正(プレオルソ、マイオブレイス、ムーシールドなどの既成マウスピース)
  • ・小児矯正(固定式・取り外し式の拡大装置を用いて、顎の大きさや歯の並ぶスペースを整える治療)

1-2)部分矯正

気になる一部分だけを治療する方法です。

  • ・前歯だけなど、限られた範囲を整える部分矯正
  • ・自然には正しい位置に生えにくい永久歯を、正しい方向へ導く小児部分矯正

2)小児矯正における「全顎矯正」と「部分矯正」の違い

  • お口ぽかん
  • 口呼吸
  • 舌の癖
  • 飲み込み方や姿勢の問題
  • 顎の成長バランス

こうした問題に対して、MFT(口腔筋機能療法)や既成のマウスピース型装置を使いながら、顎全体やお口の機能を育てていく治療は、全体をみる矯正治療にあたります。

一方で、永久歯への生え変わりの時期には、

  • ・歯の生え方のトラブル
  • ・歯が本来と違う場所・向きに生えてくること

といった問題が起こることがあります。

このような場合には、まず特に問題のある1本、あるいは限られた数本の歯を優先して治療することがあります。

全体を一度に動かすのではなく、まずはトラブルの大きい部分を整えることで、その後の治療が進めやすくなることもあるためです。

このような、少数の歯を対象にした矯正治療がMTMです。
岩国市 小児歯科 矯正

3)実際の小児MTM症例

12歳臼歯(第二大臼歯)が斜めに生えてきたケース

ここからは、当院で実際に治療した症例をご紹介します。

この患者さんは、ほかの歯並びやかみ合わせには大きな問題がなかった一方で、12歳臼歯(第二大臼歯)だけが手前の歯にひっかかり、自力ではうまく生えてこられない状態でした。
岩国市 小児歯科 矯正

術前の写真では、12歳臼歯が斜めの方向に傾いたまま生えてきていることがわかります。

このままでは自然な改善が難しいため、その歯だけを対象に矯正治療を行いました。
岩国市 小児歯科 矯正

治療開始から6か月後には、12歳臼歯が起き上がってきて、正しい方向へ近づいています。

この患者さんは、臨床上問題ないレベルまで歯が起き上がったタイミングで装置を取り外し、あとは歯の根っこの完成を見守りつつ、上下の歯が噛み合う中での「噛み合わせの完成」を待つことになりました。

 

僕は大学時代にもよく似た症例を何度も経験しており、実は論文も書いています(大臼歯の近心傾斜および萌出不全に対する効率的な咬合誘導 吉村剛ら 小児歯科学雑誌 47巻5号)。
岩国市 小児歯科 矯正

この症例でも、論文で発表した設計の矯正装置を用いました。
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この装置は、

  • ・シンプル
  • ・歯の裏に装置が来るので目立たない
  • ・歯みがきがしやすい
  • ・違和感が少ない

といった特徴があります。

装置装着後、右側の奥歯は約3か月、左側も約6か月ほどで生える方向が修正されました。

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4)第二大臼歯の近心傾斜は比較的よくみられるトラブル

第二大臼歯の近心傾斜は、決して珍しいものではなく、比較的よく問題になります。

今回は、歯列のガタガタや、受け口、出っ歯といった全体的な歯並びの問題がなかったため、この部分的な治療だけで終了しました。

ただし、患者さんによっては、

  • ・歯が並ぶスペースが足りない
  • ・全体のかみ合わせにも問題がある

といったケースもあります。

その場合は、MTMで一部分の問題を改善したあとに、さらに全体の矯正治療が必要になることもあります。
岩国市 小児歯科 矯正

5)当院の矯正治療について

今回は比較的シンプルな装置で改善できた症例でしたが、矯正治療はいつも同じ方法で対応できるものではありません。

大切なのは、矯正の基本原則を踏まえながら、その患者さんに合った方法を考えることです。

当院では、矯正治療について複数の歯科医師が院内でカンファレンスを行い、それぞれの得意分野や治療経験を持ち寄って、よりよい治療法を検討しています。

「この歯だけ、少し気になる」

「自然に生えてくるのを待っていいのか心配」

そのような場合も、まずは一度ご相談ください。

6)まとめ

いかがでしたか?

  • ・矯正治療には、お口全体を整える全顎矯正と、一部だけを整える部分矯正があります。
  • ・小児では、永久歯の生え変わりの時期に、歯の生え方のトラブルや生える位置のずれが起こることがあります。
  • ・そのような場合、まず問題のある歯だけを優先的に治療する方法があり、これをMTM(少数歯の移動)といいます。
  • ・まずは「様子を見てよいのか」「治療が必要なのか」を確認するためにも、早めの相談がおすすめです。

最後までお読みいただきありがとうございました

こどもの歯並び相談は何歳から? 歯科医が答える0歳〜12歳の年齢別Q and A

2026年3月5日

岩国市 歯科 小児矯正
岩国市 歯科 小児矯正
こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井です。

「うちの子、少し受け口気味かも?」

「周りの子は矯正を始めているけれど、うちはまだ早い?」

 

大切なお子さんの歯並びだからこそ、「最善のタイミングで相談したい」と思うのは自然なことです。

でも、いつ歯科医院に行けばいいのか、迷ってしまう保護者の方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、小児矯正には『その年齢でしかできない治療』があり、相談のタイミングはお子さんの成長段階によって異なります。

本記事では、歯科医師の視点から0歳から12歳までの年齢別に『よくある悩み』と『歯科医院での診断基準』をQ&A形式でまとめました。お子さんの年齢に合わせて、まずは今チェックするポイントを確認してみてくださいね。
岩国市 歯科 小児矯正

1. 【0~2歳】乳歯が生え揃うまでの時期

Q. 下の前歯が出ている(受け口)気がします。すぐに矯正が必要ですか?

A. いいえ、この時期はまだ心配ありません。

0〜1歳頃は、赤ちゃんが遊びで下顎を前に出しているだけのことが多く、骨格的な受け口(反対咬合)と診断するには早い時期です。

本格的な治療は一般的に3歳頃から検討しますので、まずは見守りましょう。
岩国市 歯科 小児矯正

Q. 歯が生えるのが遅いのが心配です。/歯が生える順番が違うようで不安です。

A. 歯が生える時期が半年程度ズレることは問題ありません。

たとえ将来的に歯が足りない(先天性欠如)などの可能性があっても、この年齢ではレントゲン撮影や矯正治療が難しいのが実情です。検査をしても、検査結果によらず経過観察となることが多いです。

まずは3歳を過ぎるまでは、焦らず経過を見ていきましょう。

★この時期のポイント

「お口ポカン」や「口呼吸」の癖がないか確認しましょう。

また、離乳食では「スプーンを口に入れない」「手掴み食べさせる」「食材を大きいまま・長いまま出す」ことで、上唇で捕食する力、噛む力を育てることが大切です。

参考リンク:

授乳や卒乳の方法や時期で、子どもの口呼吸を引き起こしてしまう!?

授乳や卒乳の方法や時期で、子どもの口呼吸を引き起こしてしまう!?


2. 【3~4歳】歯列早期治療の検討期

Q. 「お口ポカン」や「いびき」が気になります。歯並びに関係ありますか?

A. 大いに関係があります。

口呼吸や指しゃぶりのクセは、顎の成長をさまたげ、将来的な歯並びの乱れにつながります。

3歳を過ぎると、マウスピース型の装置などを使って、こうした「悪習癖」を改善する早期治療が可能になります。

また、口腔機能発達不全が認められる場合は、MFT(口腔筋機能訓練)を通して、口腔機能を育てることも重要です。

参考リンク:

MFT特集 その4 お口ポカンの影響と直し方について

MFT特集 その4 お口ポカンの影響と直し方について


Q. 3歳児検診で「反対咬合:はんたいこうごう(受け口)」と言われましたが、治療できますか?

A. はい、治療を開始できる年齢です。

3歳頃になると、部分的な反対咬合(はんたいこうごう)などは装置を使って改善できるケースが増えてきます。まずは歯科医院で「歯並びが正常かどうか」「口腔機能(正しく口が使えているか)」のチェックを受けることをおすすめします。
岩国市 歯科 小児矯正

参考リンク:

低年齢の受け口治療 ~目立たない装置で、短期間で改善する!~

低年齢の受け口治療 ~目立たない装置で、短期間で改善する!~


矯正の早期治療(3歳~)がおススメな症例とは?

矯正の早期治療(3歳~)がおススメな症例とは?


ムーシールドで反対咬合治療(3歳)インスタグラム
https://www.instagram.com/p/C7lcuIAPfgq/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA%3D%3D

 

3. 【5〜6歳】お口のトレーニング(MFT)と歯列早期治療の適齢期

Q. 乳歯の歯と歯の間に隙間がなく、綺麗な歯並びで生えています。その場合、将来歯並びがガタガタになりやすいと聞いたのですが…?

A. その可能性が高いです。今が「顎を育てる」チャンスの年齢です。

乳歯の時期に隙間がない(閉鎖歯列)場合、歯並びより一回り大きなサイズの永久歯が並びきらずに叢生:そうせい(ガタガタ)になるリスクがあります。この時期は、顎を広げる矯正装置や、お口周りの筋肉を鍛えるトレーニング(MFT:口腔筋機能訓練)が最も効果を発揮する時期です。

Q. いつも口が開きっぱなしです。あいうべ体操など、できることは試してみましたが改善しません。どうすれば良いですか?

A. 専門的なトレーニング(MFT)をおススメします。5〜6歳はMFTで「お口を閉じる力」を身につける絶好の時期です。

この年齢になると、お子さんの理解力もぐんと高まり、「なぜこの練習が必要なのか」を自分で意識して取り組めるようになります。セルフケアで効果が出なかった子でも、プロの指導のもとでトレーニングを始めると、劇的に改善するケースも多いです。
岩国市 歯科 小児矯正

Q. 3歳の時に一度マウスピース矯正を試みたのですが、こどもが嫌がって使ってくれませんでした。5歳になって再挑戦しても使ってくれないかもと不安です。

A. 3歳という年齢は、まだ「どうして歯並びを治療しないといけないのか」について理解できず、中には嫌がってしまうお子さんもいます。しかし、3歳でできなかった子でも、5〜6歳になれば「できる」ようになる子がほとんどです。

ただ、「せっかく始めたのに途中で続けられなかった」という経験があると、ご不安になる保護者の方のお気持ちは自然なことです。使用感の良い市販のお試し用装置(矯正する力はありませんが、口唇のトレーニングなどに用いることができます)などもご用意していますので、「うちの子が出来るかどうか不安」という方も、ぜひご相談ください。

参考リンク:

子どもがプレオルソを嫌がる場合、どうしたら良い?

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ムーシールドを嫌がる場合、上手に使うコツは?

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4. 【6〜9歳】小児矯正の「黄金期」

Q. 将来的に歯並びがとても悪くなるなら矯正しないととは思うのですが、軽度の歯のガタガタ程度なら大人になってからでも良いかな?と思っています。将来的にどの程度、歯並びがガタガタになるか、事前に調べることはできますか?

A. ある程度、可能です。上下の前歯が4本揃った時が、最も詳しい分析ができる「黄金期」です。

小野の回帰式という、乳歯から永久歯に生え変わる際、あごの中にどれくらいのスペースが必要かを予測する計算式で、事前にある程度分析することが可能です。まずはご相談ください。

Q. 前歯が生え変わりましたが、乳歯の時よりガタガタして見えます。このまま様子を見ていて大丈夫ですか?

A.大丈夫な場合とそうでない場合があるため、歯科医院でご相談ください。 今がまさに、様子を見るか治療を始めるかの分岐点です。

乳歯よりも大きな永久歯が生えてくるため、この時期に重なりが出るのは自然なことでもあります。しかし、それが「一時的な重なり」なのか「あごのスペースが足りない」のかは、見た目だけでは判断できません。当院ではこの時期に、すでに生えている前歯の横幅から、まだ生えていない奥の歯の大きさをミリ単位で予測する分析を行っています。

Q. 中学生になってからでは遅いですか?なぜ今、相談すべきなのですか?

A. 「歯を抜かずにきれいに並べる」ための土台が作れる、唯一の時期だからです。

中学生になってからの矯正では、すでに成長が終わった顎の中で歯を並べるため、健康な歯を抜いてスペースを作る必要が増えます。
しかし今なら、あごの成長をサポートして「歯が並ぶ十分な広さ」を作ってあげることができます。
この時期を逃すと、あごを広げることは難しくなります。
岩国市 歯科 小児矯正

Q. 「10歳を過ぎると小児矯正は手遅れ」と聞いたことがありますが、本当ですか?

A.手遅れではありませんが、、口腔機能獲得の「トレーニングの効果」が出にくくなるのは事実です。

形態(歯並び)は抜歯などが必要となったとしても、成人してからも治療可能です。
しかし、お口をポカン(口呼吸)の改善や、低位舌などの舌の悪いクセは、10歳を過ぎると改善が非常に難しくなるのです。
「お口を閉じる」「鼻で呼吸する」といった正しい機能を楽に身につけられるのは今がラストチャンスです。

参考リンク:

歯並びが治れば滑舌が改善する!?~滑舌と歯並びの関係~

歯並びが治れば滑舌が改善する!?~滑舌と歯並びの関係~


 

5. 【10~12歳】小児矯正のタイムリミット

Q. もうすぐ中学生ですが、今からでも間に合いますか?

A. 永久歯の生え変わり状況によります。乳犬歯が残っていれば、まだ小児矯正の枠組みで対応できる可能性があります。
もし全ての歯が永久歯に生え変わってしまうと、大人の矯正(成人矯正)として扱うことが一般的です。
その場合は、乳歯と永久歯の生え変わりを見守りながら、成人矯正を始めるタイミングを見極めていきます。

Q. 12歳でMFT(お口のトレーニング)はできますか?ずっと口で呼吸しているので心配です。

A. トレーニング自体は可能ですが、10歳未満の頃のような劇的な変化を出すのが難しい時期に入っています。
そのため、当院では、12歳を過ぎたお子さんに対して、費用や時間をかける「通院して習い事のように継続的に取り組むMFT」は積極的にはおすすめしておりません。

参考リンク:

MFT(口腔筋機能訓練)特集その3 お口の機能発達は10歳までが勝負!

MFT(口腔筋機能訓練)特集その3 お口の機能発達は10歳までが勝負!


 

6. まとめ:迷ったら早めの確認を

お子さんの歯並びは、単に見た目の問題だけでなく、「正しく噛む」「鼻で呼吸する」といった全身の健康に直結する機能の問題でもあります。

以下に年齢ごとのポイントをまとめます。

  • ・0〜2歳:
    お口の癖をチェック
  • ・3〜6歳:
    早期治療やトレーニングを検討
  • ・6〜9歳:
    精密な分析と顎の成長サポート
  • 岩国市 歯科 小児矯正

「まだ早いかな?」と思っても、相談は早すぎることはありません。

適切な時期を逃さないために、お子さんの年齢に合わせたポイントを意識してみてくださいね。

この記事についてくわしく聞きたい、または個別にお子さんのお口の状態を確認したい場合は、お気軽にスタッフまでお声がけください。

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「まだ治療するか決めていない」段階でも大丈夫です。

現状を知ることが第一歩です。

また、治療方法や費用について詳しく知りたい方は、当院の矯正ページもご覧ください。

▶ 当院の矯正治療について

子供の歯並び改善


最後までお読みいただきありがとうございました。

お口のケアで感染症対策。歯磨き習慣とインフルエンザ予防

2026年1月4日

こんにちは。
岩国のつぼい歯科クリニック おとなこども矯正歯科、院長の坪井です。

冬になると毎年話題になるインフルエンザ。
今年も猛威を振るっていますね。

岩国地区でも、学級閉鎖などが頻繁に起きているようです。

インフルエンザ予防と言えば、「手洗い・うがい・マスク・ワクチン」は、多くの方が意識されていることでしょう。

岩国市 歯科 インフルエンザ予防

実は、歯科の立場から強調したい予防策があります。

それが 歯みがきと鼻呼吸(お口ポカン防止) です。

 

今回は

①なぜ歯みがきや歯科ケアがインフルエンザ予防につながるのか?

②口呼吸が感染症にかかるリスクを上げてしまう理由とは?

③おススメの歯磨き・口呼吸を予防するトレーニングはどんなもの?

の3本立てでお話します。

ぜひ最後まで見て、この冬を一緒に快適に乗り切って行きましょう。

1 歯みがき・口腔ケアがインフルエンザ予防につながる理由

1-1)口腔内を清潔に保つことで、インフルエンザの発症リスクが下がる

特に注目されているのが、

• 歯や歯周ポケットに存在する歯周病菌

• それらが形成するバイオフィルム(細菌の膜)

です。

歯周病菌が多い状態では、インフルエンザウィルスが細胞に感染しやすくなってしまうためです。

歯垢(プラーク)は単なる「汚れ」ではなく、複数の細菌、最近が分泌した構造体などの複合体です。

歯垢には、歯周病菌をはじめとした、病原菌が生活しやすいよう、悪い環境を作る性質があります。

岩国市 歯科 インフルエンザ予防

歯垢が作る悪い環境

・うがいなどで洗い流すだけでは除去できない

・薬剤抵抗性を示す(ウガイ薬、飲み薬では除去できない)

これがインフルエンザウィルスにとっても感染の土台となる環境として機能してしまうのです。

歯垢(プラーク・バイオフィルム)に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

https://tsuboidental.com/blogs/archives/7425

1-2)歯みがき+歯科のプロケアで、インフルエンザ発症が「約10分の1」になった

岩国市 歯科 インフルエンザ予防

日本歯科医学会誌に掲載された内容で、口腔内環境を清浄に保つ(歯科衛生士などによる専門的口腔ケアを含む)ことで、インフルエンザ発症率が約10分の1に抑えられたという報告があります。

これは高齢者施設での研究ですので、一般の健康な成人や小児で同じ倍率で予防できると断言はできませんが、歯磨きがインフルエンザに効果的であることは間違いないと言えます。

参考文献

• 日本歯科医学会誌 Vol.25(2006)p.27–33

• Abe S, et al. Professional oral care reduces influenza infection in elderly. Arch Gerontol Geriatr. 2006

2 歯周病の予防は、コロナ感染予防・重症化予防にもなる

他のウィルス性感染症の場合はどうでしょうか?

インフルエンザと並ぶ、流行性ウィルス感染症の新型コロナウィルスについて、解説します。

2-1)新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るっていた時期、歯科医院ではクラスターがほぼ発生しなかった

新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るっていた時期、意外な事実が注目を集めました。
それは、「全国約6.6万軒におよぶ歯科医院において、診療室での集団感染(クラスター)の報告がゼロだった」という点です。

当時、大阪府の吉村知事も、大阪府内の約5500軒の歯科医院で新型コロナウィルスのクラスター(集団感染)が1件も発生していないことに着目し、「感染対策の賜物だと思うが、何かある。
何か?」とツイッターに投稿したことが話題になりました。

 たしかに、もともと歯科業界では、HIVや肝炎ウィルスなどの「ウィルスの水平感染」を防ぐため、非常に厳しい滅菌・消毒の基準を日常的に守り続けてきました。

加えて当時、(当院もですが)換気基準を満たすため換気設備の更新や、スタッフルームの整備をしてランチを「個食」出来るようにした医院も多かったです。

しかし、全国で6.6万軒ある歯科医院のうち院長が60歳以上である歯科医院は46.8%(3万医院以上)、院長が70歳以上である歯科医院が13%(約8600医院)もあり、大規模な設備投資をしなかった医院も多かったはずなのです。

にもかかわらず、診療室でもスタッフルーム(ランチの場所)でも、ほぼクラスターが発生しなかったのは、「患者さんもスタッフも、歯磨き+プロケアがちゃんと出来ていた」からではないか…と、個人的には思っています。

2-2)歯周病になっている人は、コロナウィルスにかかりやすい

岩国市 歯科 インフルエンザ予防

歯周病がある場合、新型コロナへの感染確率は 約 2.8 倍 高まるという報告があります。

歯周ポケット内には、ウイルスが細胞に侵入する際に利用する受容体(ACE2)や酵素(TMPRSS2)が多く発現しており、歯周ポケットが「ウイルスの貯蔵庫(リザーバー)」として機能してしまうと言われています。

また、歯周病菌が持つ「プロテアーゼ」という酵素が、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を切り分け、細胞に侵入しやすくしてしまいます。

岩国市 歯科 インフルエンザ予防

*この感染機序はインフルエンザウィルスとも非常によく似ています。

歯科医院で勤務するスタッフが新型コロナ流行期に感染しにくかったのは、単にマスクをしていたからではなく、『お口の中にウイルスを呼び込む隙(歯周病)を作っていなかったから』とも言えるのです。

3 うがい以上に歯みがきが大切

この考え方を、一般の方にも非常に分かりやすく解説しているのが

日本歯科医師会 8020テレビ の動画です。

日本歯科医師会 8020テレビ「インフルエンザ予防と歯周病菌」https://www.youtube.com/watch?v=Nh71xJ2EovE

この動画では、大阪大学大学院歯学研究科・予防歯科学分野の第一人者である

天野敦雄 教授 が解説されています。

動画の内容をざっくりとご説明すると、以下の通りです。
(詳しくは動画をご覧ください)

• うがいだけでは、歯や歯周ポケットの歯周病菌は十分に除去できない

• 歯周病菌が多いと、インフルエンザウィルスの感染力が高まる可能性がある

• だからこそ、歯みがき・口腔清掃が重要

つまり、歯みがきは

「口の中をきれいにする行為」というより「ウィルスの感染リスクや歯周病菌による炎症のリスクを下げる行為」なのです。

岩国市 歯科 インフルエンザ予防

岩国市 歯科 インフルエンザ予防

4 もう一つの重要ポイント「口呼吸」

ウィルス性感染症の予防を考えるうえで、もう一つ見逃せないのが 口呼吸 です。

「口呼吸をしているとインフルエンザになる」と断定できる研究はありません。

ただし、口呼吸には次のような不利な条件が重なります。

口呼吸が鼻呼吸より感染リスクが高くなる理由
岩国市 歯科 鼻呼吸

• 口腔・咽頭が乾燥しやすい

• 鼻の加湿・加温・ろ過機能が使えない

• 吸い込んだ粒子(ウイルスを含む)が気道に入りやすい

これらは、感染症全般において防御機能が低下しやすい状態と考えられています。

参考リンク:良くない口の習慣、「口呼吸」 ~風邪をひきやすく、虫歯・歯周病・口臭・出っ歯の原因にもなる~

https://tsuboidental.com/blogs/archives/5023

4-1)「私、口呼吸している?」自覚しにくい人のための簡易チェック

口呼吸は、本人に自覚がないケースがとても多いのが特徴です。

次の項目に心当たりはありませんか?

• 冬になると鼻が詰まりやすく、気づけば口で息をしている

• 朝起きたとき、口の中が強く乾燥している

• 寝起きに喉が痛い、イガイガする

• 唇が乾燥で切れやすい

• 口角炎を繰り返す

• 日中、無意識に口が半開きになっている

• いびきを指摘されたことがある

一つでも当てはまる方は、口呼吸が習慣化している可能性があります。

4-2)あいうべ体操は「鼻呼吸に戻すための練習」

あいうべ体操は、

• 舌や口周りの筋肉を動かす

• 口唇閉鎖を意識しやすくする

ことで、鼻呼吸を促すことを目的とした体操です。

簡単で道具も必要ないため、幼稚園や小学校などでインフルエンザ予防のために取り入れられたりしているので、聞いたことがある方もいるかもしれません。

医学的な厳密な比較試験(RCT)はまだ発展途上の分野ですが、福岡県の小学校などの事例では、あいうべ体操を導入した学校において、導入していない学校よりもインフルエンザの発症率が劇的に下がったという報告があります。

これは、口呼吸が鼻呼吸に変わることで、鼻の加湿・加温・除菌フィルター機能が働いた結果と考えられています。

🌟あいうべ体操🌟

岩国市 歯科 あいうべ体操

動き ポイント

①「あー」 口を大きく「楕円形」に開くイメージで!

②「いー」 前歯がしっかり見えるように、口を横に思い切り広げる!

③「うー」 唇を思い切り前に突き出す!

④「べー」 舌をあごの先まで伸ばすつもりで、下に突き出す!

単調に「あいうべ~、あいうべ~」とやっても良いのですが、お気に入りの歌を「あいうべ~」で替え歌にして歌っても、楽しいですよ。

♪あ~あ、いっい~、うっう~べ~ぇ あ~ぁい~う~べ~(水戸黄門のメロディ)

♪あ~あ~い~い~う~う~べ~(キラキラ星のメロディ)

のように、自由に「あいうべアレンジ」をして、毎日2曲歌えば、かなりのトレーニングになるはずです。
コツとしては、歌の練習ではなく筋トレですので、発声よりも、筋肉を大きく動かすことを意識すると良いでしょう。

岩国市 歯科 あいうべ体操

5 まとめ:インフルエンザ対策は「口の中」から始まる

いかがでしたか?

インフルエンザ対策というと、どうしても外からの予防に目が向きがちです。

しかし、内側から防御力を高めることも、とても効果的です。

• 毎日の歯みがき

• 定期的な歯科でのプロケア

• 口呼吸に気づき、鼻呼吸を意識する

こうした日常の積み重ねが、体を守る力につながります。

「毎年インフルエンザが心配」

「冬は体調を崩しやすい」

という方は、ぜひ一度、お口の状態と呼吸のクセを見直してみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

全体の参考文献・資料

• 日本歯科医学会誌 Vol.25(2006)

• Abe S, et al. Professional oral care reduces influenza infection in elderly.

• 日本歯科医師会 8020テレビ「インフルエンザ予防と歯周病菌」

虫歯は減ったのに、なぜ口の病気は世界最大級の健康課題なのか~歯科保健行政が目指しているもの~

2025年12月18日

1) 「虫歯は減った」と言われる時代に、あらためて口腔の健康を考える

こんにちは。岩国市の医療法人つぼい歯科クリニック おとなこども矯正歯科 副院長の吉村です。

「昔に比べて、虫歯は減ったらしいよね」という話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

実際、国が行っている歯科疾患実態調査を見ても、むし歯の罹患状況は全体として大きく改善してきていることが分かっています。

参考リンク:歯科疾患実態調査:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000176912.html

しかし一方で、口腔の病気が社会全体にどの程度の影響を与えているのか、他の病気と比べてどう位置づけられているのかについては、あまり知られていないのが現状です。

そこで今回は、行政を中心とした口腔の健康へのアプローチについて、世界、そして日本の行政がどのように考え、どんな方向性を示しているのかを調べ、その内容を分かりやすく解説していきたいと思います。

2) 世界から見た口腔疾患の現状 ― 虫歯は「最も多い病気」

近年、「世界疾病負担研究(GBD)」という、さまざまな病気の負担を横並びで比較する研究が行われました。その結果、永久歯の未処置う蝕(むし歯)は、300以上の疾患の中で最も多い疾患であると報告されています。

世界疾病負担研究のデータグラフ

また、2022年に公表されたWHO(世界保健機関)のレポートでは、う蝕、歯周病、歯の喪失などの口腔疾患を有する人は約34億7000万人とされました。これは、精神疾患(約9億7000万人)や循環器疾患(約5億2200万人)などと比べても、桁違いに多い数字です。

WHOレポートによる疾患別患者数の比較

この結果から、「虫歯は減っている」というイメージとは裏腹に、口腔疾患は世界規模では依然として最も身近で、最も患者数の多い疾患群であることが明らかになっています。

3)WHOの歴史的決議 ― 口腔疾患は「社会の課題」へ

こうした背景を受け、2021年にWHO第74回保健総会において、「口腔の健康に関する決議」が採択されました。

歯科分野が単独でこのような決議の対象となることは非常に珍しく、歴史的な出来事といわれています。

この決議が目指す方向性は、

「2030年に向けたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)および非感染性疾患(NCD)対策の一環として、より良い口腔保健を達成する」

というものです。

つまり、むし歯や歯周病を単なる感染症として捉えるのではなく、生活習慣や社会環境と深く関わる疾患=生活習慣病に近い存在として位置づけ、社会全体で取り組むべき健康課題として扱おう、という考え方です。

WHO決議の概念図

4)日本の行政の方向性 ―「健康日本21」と歯・口腔の健康づくりプラン

このWHOの流れを受け、日本では2024年に「健康日本21」の歯科分野として、「歯・口腔の健康づくりプラン」が策定されました。

このプランの最上位目標は、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」です。

健康日本21の目標概念図

具体的な取り組みとしては、

  • 学校歯科健診
  • 日常的な歯みがきの実施
  • 歯科保健教育
  • フッ化物の活用
  • ライフコースアプローチ

といった内容が示されています。

ライフコースアプローチとは、乳幼児期、場合によっては胎児期の健康や生活習慣が、成人期・高齢期の健康にまで影響するという考え方です。

5)実は重要な「お子さんへの教育的アプローチ」

こうした背景を踏まえ、歯科医院は(治療をしっかり行うことは当然として)、教育的なアプローチが強く求められていると感じています。

教育的アプローチのイメージ

歯科医院での歯垢の染め出しや食生活指導は、患者さんからすると「少しうるさい」「面倒」と感じられるかもしれません。

実際、これまでの診療の中で、お子さんが日常的にグミやアイス、飴などを口にする習慣があるご家庭の患者さんに対して、食習慣の改善についてお話すると、「言っていることは分かるが、しつこく飴やグミをやめろと言われるのが嫌なので、担当の先生を変えてください」と言われてしまったことも、一度や二度ではありません。

飴やグミなどのお菓子が完全に生活習慣の一部になっている場合や、大袋のお菓子を与えている間はお母さんが家事や育児から一時的に解放される、といった事情がある場合など、「やめられない理由」があることは理解できます。

たばこや過食と同じで、「良くないことは分かっているけれど、やめるのが大変」なんですよね。

そのうえで、それでもなお、お子さんの人生全体を考えたときに「お砂糖たっぷりの市販菓子を日常的に食べることはやめた方が良い」とお伝えするべきだと考えています。

短期的には煙たがられてしまうことがあったとしても、将来の口腔の健康、ひいては全身の健康につながる重要な部分だからこそ、避けて通れない歯科医院の役割だと思っています。

歯科医院の役割イメージ

6) 口腔機能の「貯筋」

小児期にマイオファンクショナルセラピー(MFT:口腔筋機能訓練)によって口腔筋機能を高めることも、正しい嚥下の獲得や歯列・咬合の改善につながるだけでなく、将来的な嚥下機能低下の予防にも寄与すると考えられています。

乳幼児期・学童期に適切な口腔機能を獲得できたかどうかが、成人期・高齢期の口腔機能に大きく影響するためです。

これは、筋肉を若いうちから鍛えて蓄えておくことが老年期の健康寿命を延ばす「貯筋」という考え方と非常によく似ており、口腔機能における“貯筋”と言えるでしょう。

口腔機能の貯筋イメージ

7) フッ素と予防 ― 研究が示す「子どもの頃からの積み重ね」の大切さ

フッ化物の使用も虫歯予防の観点からは非常に効率の良い方法であり、WHO(世界保健機関)やCDC(米国疾病予防管理センター)、そのほか多くの国際歯科・公衆衛生機関が使用を推奨しています。

フッ素予防の重要性イメージ

イギリスの研究では、「子どもの頃に水道水フロリデーション(注1)によるむし歯予防を受けた年数が長いほど、高齢期に残っている歯の本数が多い」ことが示されています。

(注1)水道水フロリデーション:水道水に虫歯予防を目的に自治体がフッ素を添加すること

ちなみに日本では水道水フロリデーションは行われていません。

実は日本でも、第二次世界大戦後のGHQ占領下において、試験的に水道水フロリデーションが行われていました。

しかし1960~1970年ころ、水俣病・イタイイタイ病などの公害や、環境汚染による化学物質への強い不信感が国民レベルで強くなり、水道水フロリデーションに対しても「化学物質を添加するべきではない」という反対運動が起こりました。

その結果、フッ素は個人責任のもと、学校や歯科医院で個別に対応すべきということになった歴史的背景があります。

ですから日本では、虫歯を効果的に予防するために「子どもの頃から歯科医院や自宅でフッ素塗布を行う習慣」を、保護者の方が作ってあげなくてはならないのです。

また、歯磨き習慣についても「子供のころからの積み重ね」は重要です。

ニュージーランドの研究では、「子どもの頃のプラーク付着状況から、成人期のプラーク状況を予測できる」ことが報告されています。

これらの研究からも、小児期からのフッ素習慣や口腔衛生習慣が、将来の口腔健康に明確に寄与していることが分かります。

8) 当院の取り組みと、歯科定期受診の意味

当院では、これまでも

  • 歯みがきなどの教育的指導
  • フッ素塗布
  • MFT(筋機能訓練)

といった、長期的な歯科疾患の予防につながる取り組みを行ってきました。

これらの取り組みには学術的な裏付けがあり、成人期・老年期の口腔健康にまでつながっているということを、ご理解いただけたのではないかと思います。

継続した歯科定期健診は、将来の口腔健康への『投資』です。

ぜひ歯科定期健診をご利用くださいね。

定期健診の案内イメージ

9) まとめ 口腔の健康は「今」だけでなく「将来」をつくる

いかがでしたか?

  • 虫歯は減少傾向にありますが、口腔疾患を有する人数は他の疾患と比べて依然として非常に多い
  • WHOの歴史的決議を受け、日本でも「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」を目標とした歯科保健の指針が策定された
  • 「歯みがき指導」「フッ素」「MFT」をライフコースアプローチで行うことが重要
  • 定期健診は、成人・老後の口腔健康につながるので、ぜひ継続してください

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

参考文献 「歯科保健教育の推進」 日本学校歯科医会会誌 第137号(令和7年度 No1)

MFT特集 その11 リハビリの考え方でアプローチするMFTの実践方法

2025年1月21日

MFT特集 その11 リハビリの考え方でアプローチするMFTの実践方法

こんにちは、つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 小児歯科専門医の吉村です。

今回はMFT特集その11 MFTの実際とその考え方をまとめです。

MFT(筋機能療法)や、小児口腔機能発達不全症について詳しく知りたい方は、ぜひ過去の記事もご覧ください。

 

MTF特集 全リンク(クリックすると、ページに移動します)

 

岩国市 歯医者 MFT当院の筋機能療法(MFT)

1.MFTはリハビリの考え方と似ている

リハビリでは、体の機能がうまく働かなくなったとき、ただ障害された部分を治すだけではなく、他の部分を使って障害された機能を補うことを考えます。

たとえば、私自身の話ですが、よく背中が痛くなることがありました。

症状ケース1

  • ・症状 背中が痛い
  • ・原因 軽度ヘルニア+姿勢や背中の筋肉と腹筋のバランスが悪い
  • ・トレーニング 首の牽引、懸垂運動、背中の筋を意識しながらの運動、腹筋運動などのリハビリ

このように、具体的な動き(トレーニング)を通して体を改善していくのがリハビリの基本です。

リハビリは英語でrehabilitationと言います。

Re(再び)+ habilitate(適応させる、能力を与える)+ion(~すること)で、元は持っていた機能を回復させること、という意味です。

一方でMFTは「ハビリテーションhabilitation」、まだ獲得されていない機能を新たに習得させます。

MFTとリハビリの対比

元あった機能か、まだ獲得されていない機能かの違いで、トレーニングの基本的な考え方は似ているんです。

2.滑舌の問題もリハビリと同じアプローチで

実は、滑舌の問題もリハビリと似た考え方で改善できます。たとえば、「カ行がうまく言えない」という悩みはよくあります。

症状ケース2

  • ・症状 カ行の発音が難しい
  • ・原因 舌の奥を持ち上げる力が弱い
  • ・トレーニング MFT:口腔筋機能療法(舌挙上トレーニング)

トレーニング例

  • ・霧吹きで水を口に含ませて飲み込む練習(サッキングスワロー)

    口を開けたまま水を飲むことで、舌の奥を使う感覚を身につけます。最初はむせてしまうこともありますが、少しずつ慣れていきます。

  • ・ガムを口の中で動かして、上あごに押し広げる練習

    ガムを使うことで、楽しく舌を動かすトレーニングができます。ガムを食べれるので、お子さんにも人気の方法です。

こうした練習を通して、舌の動きを改善し、滑舌を良くしていきます。ただ「舌の奥を鍛えましょう」と言われても難しいですが、具体的な方法を取り入れることで、自然とできるようになるのです。

3.リハビリとMFTの共通点

リハビリの基本は次の5つです:

リハビリの基本

  1. ・できないことをできるまで練習する
  2. ・方法を変えて反復練習する
  3. ・環境を整える
  4. ・補助具を使う
  5. ・できない部分を他の人や道具で補う

これらはMFTにも当てはまります。

たとえば、1~3はMFTの練習そのものですし、4や5は矯正装置を使って歯列を整えることが該当します。

4.MFTの明るい未来

MFTがリハビリよりも希望を感じられるのは、練習を頑張れば、できるようになるお子さんが多いことです。神経や脳の障害で動かなくなった部分を改善するリハビリに比べると、MFTは「コツ」をつかむことが重要です。そのコツさえ伝われば、あとは一気にできるようになることが多いのです。

ただし、お子さんの場合、その「コツ」を伝えるのが少し大変だったりします。

私たちクリニックを挙げて取り組んでいますので、みんなで一緒に頑張っていきましょう!

 

岩国市 歯医者 MFT当院の筋機能療法(MFT)

5.まとめ

いかがでしたか?

  • ・MFTはリハビリの考え方と同じ方法を用います。
  • ・ただ「ここが問題です」と指摘されるだけでは、誰もすぐに改善できるわけではありません。トレーニングを通じて、少しずつ正しい機能を身につけていきます。
  • ・トレーニングを繰り返し行いながら、歯並びを整える矯正治療を組み合わせることで、後戻りが少なく、機能がしっかり整った歯科矯正を実現することができます。

今回でMFT特集は完結です!

長い間お付き合いありがとうございました。

MFT特集 その10「かみ合わせのずれとその原因:正中のずれを考える

2025年1月2日

 

MFT特集 その10 「かみ合わせのずれとその原因:正中のずれを考える」

こんにちは!岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 小児歯科専門医の吉村です。
今回はMFT(口腔筋機能療法)関連の第10回として、「正中のずれ」について考察します。
かみ合わせのずれや偏咀嚼など、いわゆる「ずれ」の原因を探り、その対応方法について解説します。
正中のずれの原因は大きく分けて以下の2つに分類されます。

正中とは?

正中(せいちゅう)とは、歯科においては、主に上下の歯の中心を指し、特に前歯の中心線を意味します。

正中のずれの原因は?

1.構造の問題(萌出や顎の成長などの問題)

2.機能の問題(偏咀嚼や舌癖などの問題)

それぞれの原因に応じた対応方法も異なるため、まずは正中線のずれを確認し、次に上顎と下顎のどちらに問題があるのかを観察することが重要です。

1.構造の問題

1-1 交差咬合

乳犬歯や犬歯のかみ合わせがずれている場合、下顎が偏位することがあります。
上下顎のバランスが悪い場合に多く、特に下顎が大きい(下顎前突傾向)ケースで見られます。
このような場合、上顎を拡大する矯正治療を行うことで改善が期待できます。

交差咬合:上顎の拡大で改善します。

1-2 乳犬歯の早期喪失

顎が歯に対して小さく、歯が並ぶスペースが不足しているお子さんでは、前歯の生え変わりにともない、乳犬歯が早期に抜けてしまうことがあります。
顎が小さなお子さんの場合、下顎側切歯(前から2番目の歯)が生えるときに、本来ならば乳側切歯という、乳歯の前から2番目の歯とだけ入れ替わらなければならないところ、乳犬歯の根っこも同時に溶かしてしまうことが多いのです。
すると、下顎側切歯が生えてくる7歳前後に、乳犬歯を早期に失ってしまうのです。
乳犬歯が早期に抜けると、永久歯の犬歯が生えるスペースを失ってしまい、結果的に犬歯が八重歯になることがあります。

八重歯(犬歯低位唇側傾斜):矯正治療で改善します。

この場合は、軽度であれば小児矯正によって顎を拡大して歯の生えるスペースを確保したり、重度であれば抜歯による成人歯列矯正による改善が必要になります。

2.機能の問題

2-1 偏咀嚼

歯の位置に問題がなくても、舌癖や歯の喪失が原因で偏咀嚼が起こることがあります。
また、歯の痛みや萌出時の早期接触も偏咀嚼の原因となります。
改善方法としては、以下のようなトレーニングが有効です。

  • 普段あまり噛んでいない側(非咀嚼側)での咀嚼トレーニング
  • 鏡を見ながら正中を合わせるトレーニング

これらを繰り返すことで、少しずつ癖を改善することが可能です。
チューイングガムを用いたトレーニングがおススメです。

2-2 普段の姿勢

頬杖やうつ伏せ寝など、日常の姿勢もかみ合わせのずれに影響を与えます。
特に、片側だけで頬杖をつくなどの悪習癖がある場合、かみ合わせだけでなく筋肉の付き方にも歪みが生じます。このような場合、以下の対応が重要です。

  • 悪い癖を治す
  • 周囲の筋肉を正しく鍛える
  • 体幹を鍛えるトレーニング

これにより、悪い状態に戻らないよう予防することができます。
MFT(筋機能療法)ではこうした姿勢の矯正なども行っていきます。

 

岩国市 歯医者 MFT当院の筋機能療法(MFT)

 

まとめ

いかがでしたか?

  • 正中のずれの原因は、構造の問題(交差咬合や乳犬歯の早期喪失)と機能の問題(偏咀嚼や姿勢の悪さ)に分けられます。
  • 交差咬合や乳犬歯の早期喪失など、構造の問題の場合はMFTよりも矯正治療がより有効です。
  • 舌癖や普段の姿勢など、機能の問題の場合はMFTのトレーニングや姿勢改善が効果的です。

偏咀嚼や姿勢の悪さが原因の場合、MFTのガムトレーニングや体幹を意識した筋肉トレーニングを取り入れることで改善が期待できます。

正中のずれを改善するためには、原因を正確に把握し、それに応じた適切な対応を行うことが大切です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

MFT特集 その9 「下唇を噛む癖」咬唇癖ついて考える

2024年11月25日

MFT特集 その9 「下唇を噛む癖」咬唇癖ついて考える

こんにちは。岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村剛です。
MFT関連の第9回である今回は、「咬唇癖」について考えてみようと思います。
これは第8回で触れました深いかみ合わせ(deep bite)に随伴する症状です。

日本人は顔の構造の特徴から、Deep biteな上顎前突の顔の人が増加しているようです。

岩国、歯医者、咬唇癖

 

*画像は同意を得て掲載しています*

MTF特集1~8はこちら(クリックすると、ページに移動します)

1.咬唇癖とは?

口唇癖は上顎前歯の裏に下口唇を咬む癖で、挟み込まれた下口唇が上顎前歯を唇側に押すため、上顎前歯がさらに前突していきます。

岩国、歯医者、上顎前突

出っ歯だから唇を咬み、唇を咬むから出っ歯が悪化するという、悪循環です。

2.咬唇癖を予防するには「3歳未満で止めること」が重要

乳歯列期に唇にあとが残るほど「下唇を吸う」子供がいますが、乳歯の指吸い癖と一緒で、3歳ぐらいまでにやめれれば歯列への影響は少ないとされています。

これらの癖は授乳などと同じような『吸う感覚』を味わうためにするといわれており、3歳以降も続けるようであれば、癖として定着してしまいます。
癖として定着している場合、自力での改善は意識してもなかなか難しいです。
口唇癖はほぼ無意識でする行動で、ストレスがかかったり、緊張するととくに唇を咬む傾向にあります。
指吸い癖もそうですが、『吸う感覚』が心地よい、と感じている場合は辞める動機がなかなかありません。

3.咬唇癖を治す方法

3-1)噛みたいときには別のことをさせる

唇を咬む癖が良くないことであることを本人に説明した上で、噛みたい時には他のこと、お気に入りの玩具で遊ぶなどといった、他の事をさせるよう誘導するという方法があります。
ただ、前述のとおり、いったん癖として定着してしまっていると、これだけで完全に癖を治すことは難しいことが多いです。

3-2)矯正により口腔の形の改善する+口腔機能の発達を促す

顔が丸く、頬の筋肉が強い場合、下顎が奥に押し込まれています。
(詳しくはこちらの記事もご覧ください:MFT特集その8「笑ったときに下顎の前歯が見えない」ディープバイト(Deep Bite)について考える)

こうした場合、マウスピースなどで前歯のかみ合わせを「浅くする」ことにより、下顎の成長を促すことができます。また、上の前歯を矯正によって引っ込め、上下の前歯の間に下口唇を入らないようにすることが有効です。
また、口腔機能の発達不全が背景にある(唇の力が弱い・咬合力が未発達・舌を上に持ち上げる力が弱い、など)ことが多いため、MFT(筋機能訓練)により改善を試みることが重要です。

4.咬唇癖は放置すると悪化する

口の習癖は、様子を見ていても、咬合と筋肉の悪循環の作用により徐々に症状が悪化していく事が多いです。口唇癖はその典型です。
正常な発育を阻害する因子は、なるべく早めに矯正やMFTなどを組み合わせて実施して、形の修正・癖の修正を両面から支援することが重要だと考えます。

岩国市 歯医者 MFT当院の筋機能療法(MFT)

 

まとめ

いかがでしたか?

  • ・上顎前突、Deep biteでは、唇を咬む癖(咬唇癖)が出やすいです。
  • ・唇と咬むから出っ歯が悪化し、出っ歯だから唇を咬む…という悪循環が発生し、咬合と筋肉の作用により悪化していく症例が多く存在します。
  • ・咬む行為が本人にとって心地よい場合、自然にはなかなかやめられません。矯正などによる口腔の形の修正と、MFTなどのトレーニング、本人の発達と理解、を通じて正常な発育を阻害する因子を修正してあげることが重要です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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