電話でのお問い合わせ 0827-32-7506

〒740-0034 山口県岩国市南岩国町2-78-36

診療時間
09:00 ~ 12:00 / / /
14:00 ~ 18:00 / / /
WEB予約
キービジュアル

menu

糖尿病で、お薬を飲んでいても血糖値が安定しない…それは歯石のせいかもしれません。

2021年3月15日

歯周病と糖尿病の関係

こんにちは、つぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
歯周病と全身疾患の関係について耳にしたことがある方もいらっしゃるかと思います。
今回は糖尿病との関係について考えていきたいと思います。

参考リンク 

認知症と歯周病

歯科と糖尿病、脳血管障害、要介護度は関係が深い!?あれこれ関わっているお口の病気

糖尿病とは?

糖尿病というのは、インスリンの作用不足で慢性的な高血糖状態になり、それが原因でさまざまな合併症を引き起こしてしまう疾患を言います。

糖尿病と歯周病は関係が深い

糖尿病になると、歯周病になりやすく、歯周病があると糖尿病が悪化しやすいことがわかっています。

糖尿病があると歯周病になりやすいのは、なぜ?

  • 毛細血管が切れて、血行が悪くなる
  • 血行が悪いので細菌感染が起きても白血球による迎撃が十分にできない
  • 細菌を抑える力が弱まるので、歯周病になりやすい
  • 組織の修復能も下がるので、歯周病になりやすい

糖尿病のコントロールの指標としてHbA1cというものがあります。

このコントロールが良くないと、歯槽骨(歯を支えている骨)の吸収がコントロールが良い人と比べて多いという研究データもあります。

糖尿病が改善したら、歯周病も治る?

糖尿病が無い人でも、歯周病にはなります。

日本人の約8割が歯周病などの歯茎に炎症をもっているという統計もありますから(日本では成人の80%、約8000万人が罹患していると言われています)、糖尿病がなおったからといって歯周病が治るとは限りません。

ただ、糖尿病が改善する前よりは、歯周病も軽度になることが多いと言われています。

糖尿病の有無に関わらず、歯石をとったり、定期的に歯科を受診して悪くなっているところがないかチェックすることは重要です。

歯周病があると、糖尿病が悪化しやすいのはなぜ?

歯周病は慢性の炎症性疾患です。

炎症によって産生された物質は体の中でインスリンを効きにくくしてしまう作用があります。
さらに、歯周病菌の出す内毒素とよばれる物質にもインスリンの働きを妨げてしまう作用があります。
その結果、歯周病を放置すると、糖尿病を悪化させてしまうことが多いのです。

さらには、糖尿病の合併症である心血管病変や腎症の進行に対しても影響を及ぼしてしまう可能性があります。

歯周病を治療すると糖尿病が良くなることが多い?

歯周病が無い状態、もしくは非常に安定した状態で保たれると、血糖値が改善することが多いと報告されています。

「血糖値がなかなか安定しない…」という方は、まずは歯科で、歯周病が無いかチェックしてみることをおススメします。

まとめ

いかがでしたか?

  • 糖尿病と歯周病はどちらかが改善すると、もう片方も改善する可能性がある
  • 糖尿病と歯周病は、どちらかが悪化すると、もう片方も悪化する可能性がある。
  • 糖尿病で血糖値が安定しないとお悩みの方は、歯科治療もぜひ検討してみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

口の中が汚れていると、熱を出しやすくなってしまう!?「誤嚥性肺炎」のおはなし

2020年8月9日

こんにちは!つぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
突然ですが、お口の中に少し唾液を溜めて、上を向いてみてください。

むせた方…それは「誤嚥」です!

誤嚥って何?

食べ物や飲み物でむせた経験は、あなたにもきっとあると思います。

人間の喉は、途中で食道(食べ物や飲み物を胃に送る道)と気道(空気を肺に送る道)に枝分かれしています。
喉頭蓋という、可動式のフタのような器官が「食べ物が食道に行くように、気道をふさぐ」ために、気管に食べ物や飲み物が行かないのです。

「むせる」とは、食道ではなく気道の方に、食べ物や飲み物が入ってしまったときに、気道から食道にむけて追い出そうとして起こる反応です。

「むせる」ことが出来るので、気管や肺に異物が入り込まないで済むんですね。

では、「むせる」ことが出来ないと、どうなるでしょうか?

気道に異物が入っても、「むせる」ことが上手にできなければ、肺炎になってしまう

高齢者になると、喉の筋力が低下して上手にむせることが出来なくなってしまう方も少なくありません。

肺炎は、高齢者ほど多く、さらに重大な結果を引き起こしてしまいます。

高齢者の肺炎のうち1/3程度が誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)と言われていますから、ご高齢の方にとってはとても身近な病気です。

人間が2足歩行に進化したために「誤嚥(ごえん)」するようになった

「そもそも、どうして食道と気道が合流しているの?」
「ほかの動物がむせているところ、そういえば見たことない…」

そうなんです。

誤嚥は人間が2足歩行となった弊害といえます。

2足歩行によって食べ物と、呼気が同じ所を通るように変化してしまった結果、人間の喉はとても複雑な作りになってしまっているのです。

自分でもできる「誤嚥性肺炎」予防法!

誤嚥(ごえん)により、口腔内細菌などが肺に入ることで起こる肺炎を、誤嚥性肺炎といいます。
歯垢(しこう、プラーク)の中には、大量の細菌が棲息していて、唾や食べ物・飲み物などを誤嚥することで、口腔内の細菌が肺に運ばれてしまうのです。

自分でも出来る「誤嚥性肺炎予防」というと、やはり口腔内の細菌数を減らすことが一番ではないでしょうか。

歯周病なども、口腔内の細菌感染です。

歯を残すことは、もちろんとても大事なのですが(80歳で20本以上の歯が残っている人の、要介護度は低いことがわかっています。
歯を減らさずにおくことは、健康寿命を伸ばすためにも、とても重要です!)

参考リンク:歯科と糖尿病、脳血管障害、要介護度は関係が深い!?あれこれ関わっているお口の病気

 

一方で、歯が多く残っているということは、しっかりとしたケアをしないと、汚れやすい環境を作りやすいと言うことでもあります。

1)誤嚥性肺炎予防は、歯磨きが基本です!

歯磨きの方法、苦手な部分に対する対処方法などを、歯科医院においてレクチャーを受けてみる、というのもおススメです。

歯磨きは子どもの頃からやっていますから、簡単に思っている人は多いのではないでしょうか?
では、あなたのまわりに「虫歯も歯周病も、1本もない!経験したこともない!」という方はおられるでしょうか?

おそらく、めったに居ないはずなのです。

統計上、日本人の8割以上の方が歯肉炎・歯周病を持っていることが分かっています。虫歯を経験した人も入れると、ほぼ100%に近くなると思います。

これらの病気にならないための歯磨きは、大人にとっても、とても難しいのです。

2)細菌数を減らす消毒成分を持つうがい薬もおススメです。

当院では、POICウォーターという次亜塩素酸水や、ネオステリングリーンというベンゼトニウム塩化物製剤のうがい薬を、よく使っていただいております。

3)管理の不十分な入れ歯も、誤嚥性肺炎のリスクとなります。

入れ歯の表面にも、細菌がカビはたくさん繁殖します。
適切なケア、手入れが必要です。

義歯ブラシでの洗浄と、義歯洗浄剤での消毒など、ちゃんとしたお手入れ方法があります。
もし、不安がある方はお気軽にご質問くださいね。

自分で出来ない場合は、プロ(歯科衛生士)に頼む!

介護が必要な方など、自力でのお手入れや、ご家族によるお手入れが難しい場合は歯科医師・歯科衛生士による訪問歯科診療をご利用いただくと良いでしょう。

口腔ケアのあるなしで、誤嚥性肺炎のリスクに違いがあるようです。

お口の中の専門家として、お手伝いできることもあると思いますので、気軽にご相談くださいね。

まとめ

  • ご高齢の方の場合、口の中が汚れていると誤嚥性肺炎になりやすいです。
  • 口腔ケアにより、誤嚥性肺炎のリスクを下げることができます。
  • 歯磨き、うがい薬、入れ歯のケアなどが、口腔内の細菌数を減らすのに有効です。
  • 自力での口腔ケアが難しい場合は、訪問歯科診療をご利用いただくのも良いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

心臓に疾患がある方の歯科診療の話 

2020年4月10日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

今年はインフルエンザの流行時期も早かったですし、新型コロナウイルスも流行っており、病気の流行もなにかいつもと違います。
こういう時は何が起こるかわかりませんので、いつも以上に積極的に予防(手洗い、うがい、歯磨き)しましょう。特に、基礎疾患のある方は、要注意です。

当院にも、基礎疾患をお持ちのご高齢の方はもちろん、心臓に疾患のあるお子さんなどもご通院されています。
基礎疾患、特に心臓病をお持ちの方の歯科治療に関しては、大阪大学などの研究であらたに判明したこともあるので、それも踏まえて診療上の注意点など整理してみることにしました。

口の中の細菌は、心臓の病気の原因になることがある

人間も含めたすべての動物は、菌と共に生きています。
口腔を含めた消化管には、大量の細菌が棲んでいます。

血管の中までは細菌はあまり入りませんが、入ってしまった場合、脾臓、肝臓などで細菌がすみやかに除去されるメカニズムがあります。
ただ、血管内に傷や弱い部分があった場合、血管の表面に菌とフィブリン(血中の繊維成分)のかたまりを作ってしまうことがあります。
それが最も起きやすいのが心臓であり、感染性心内膜炎と言います。

感染性心内膜炎

感染性心内膜炎は全患者の4分の1以上が、60歳以上の高齢者が発症し、男性が女性の全ての年齢層において2倍です。
お子さんでこのような症状が起きる方は、先天的に弁奇形などの心臓疾患があり、血流に何らかのよどみや弱い部分がある方です。
成人の方でも、心臓手術をした人やステントなどの人工物が入った人は、そうでない人と比べてリスクが高いです。

染性心内膜炎と口の中のかかわり

菌が塊を造って歯の表面にくっつく、これは歯科医師にとってはおなじみの虫歯をおこすプラークの構造です。
心内膜炎に口腔連鎖球菌が関わっているという研究は昔からありましたが、大阪大学小児歯科の最近の研究結果で、ある特定のミュータンス菌(虫歯原因菌)の一群が心内膜炎と大きな関りを持つことが明らかになりました。

ですので、心内膜炎の予防対策としては、

  • 口腔内洗浄
  • 定期的な歯科受診
  • 正しい口腔ケアの知識を得ること

が必要と言われています。

膿が出るような状態の虫歯になることが、心臓にとって最も良くない事態ですから、まずは虫歯の予防が最も重要です。

驚くべきことに、歯磨きだけでも23%の人が菌血症(細菌が血流に入り込む状態)になるようです。

歯科での外科処置(抜歯、切開など)が関わると当然100%になってしまいますので、そうならないのが大事です。

心内膜炎の歯科診療のガイドライン

心内膜炎は治療のガイドラインがあり、歯科に関係する指示もたくさんあります。具体的には抗生物質の予防投与で、治療前に抗生物質をたくさん摂取する必要が述べられています。

最近の改変は2017年で、以前よりも少し緩和されました。
以前はリスクのある患者さん全員が適用でしたが、現在では、経過観察中の軽度の異常(心臓に縮小傾向の穴がある程度)であれば、よっぽどのことがない限り何もしなくても大丈夫となっています。

ただ、医科でハイリスクと診断された患者さん(弁置換や心臓―肺に関わるオペ、心内膜炎などの既往がある方)は抗生剤の事前投与が必要となりましたので注意が必要です。

予防投与においてはアモキシリンという抗生物質を他の疾患の時の処方量よりも大量に飲みます。成人で2g、小児であれば体重1kgに対して50mgです。2gは錠剤8錠分ですので、ほとんどの患者さんはその量にびっくりされます。大変ですが、必要と診断されたら必ず服用してくださいね。

錠剤が飲めないお子さんの場合は、「この粉の量を、どうやって飲ませれば良いのですか…!?」とお母さんに聞かれることがあります。

小さなお子さんの場合、最終手段として粉薬の抗生剤をチョコアイスに混ぜてしまうと、無理なく飲めることが多いようです。
ただ、チョコアイスにはお砂糖がたくさん入っていますので、後で歯磨きをお忘れなく!

まとめ

  • 歯科に関わる心臓疾患として、感染性心内膜炎があげられます。
  • 心内膜炎をおこす原因菌として、虫歯の原因菌が挙げられています。したがって基本的な対策としては、虫歯予防と日ごろのケアが最も重要です。
  • 心内膜炎のガイドラインは最近少し緩められましたが、ハイリスクの患者さんに対してはより厳しい抗生物質の予防投与が求められています。量も多いですが、必要ならばしっかり服用しましょう。

ご不明の点があれば、お気軽に当院スタッフまでお尋ねください。

むせる、飲み込みにくい、舌がもつれる…オーラルフレイルの自己チェックをしてみよう!

2019年5月22日

口の機能の衰え(オーラルフレイル)を自己診断してみよう

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
今回は、年齢とともに下がる口の機能によって、栄養低下を起こし、最終的には体力・筋力の低下につながってしまう…というお話です。

口の機能の衰え(オーラルフレイル)の代表的な症状とは?

口の機能の衰え(オーラルフレイル)の代表的な症状は、以下の通りです。

  • 舌がもつれてしまう
  • 飲み込みにくい
  • むせる

食べにくい、唾でむせる、食事中にむせる、歳をとって滑舌が悪くなった…と感じていらっしゃる方。
それがオーラルフレイルです。

ここまで読んで

「私はオーラルフレイルではないね!」と思ったあなた。

よろしければ簡単なテストをしてみませんか?

 

テストは簡単です。

お口に少量の水を含んで、20秒、上を向いてください。

いかがでしたか?

むせたあなたは、オーラルフレイル予備軍です。

(*普段からよくむせる方は、危ないので挑戦しないでくださいね)

オーラルフレイルの原因は?

口・喉などの筋肉の衰えが原因です。

人間の喉は鼻と口が咽頭で一度合流し、喉頭蓋(こうとうがい)という弁で気道と食道に再び分けられています。

喉が衰えるとむせる原因に

喉頭蓋(こうとうがい)を動かす筋肉が衰えると、食べ物や飲み物が気道に間違えて入ってしまい(誤嚥:ごえん)、むせてしまいます。
「むせ」というのは、気道に間違えて入った液体や食物を、追い出すためにおこります。

逆に、むせて気道から食道へ誤嚥で入った液体・食べ物を追い出すことができなければ、肺炎になってしまいます。

舌が衰えると舌がもつれたり、食べ物が食べにくくなる原因に

他にも、舌の筋肉が衰えることで滑舌が悪くなります。
舌の筋肉の衰えは、食事にも影響します。

「食べる」という行為は、以下の流れで行われています。

食べるということの流れ
  1. 食べ物を認識する
  2. 口の中に食べ物を入れる
  3. 食べ物を舌で歯の上に乗せる動作をしながら咀嚼し唾液を混ぜ合わせる
  4. 舌の運動で喉に食べ物を送り込む
  5. 喉頭蓋の動きで食べ物が食道に入っていく

a⇒b⇒c⇒d⇒e

舌の筋肉が衰えることで、歯の上に食べ物を乗せたり、唾液を混ぜ合わせて「食塊」という飲み込みやすい形にしたり、喉に食べ物を送り込んだりが難しくなるわけですね。

口の機能の低下が、栄養バランスを崩して「やせていないのに栄養失調」「全身の筋力の低下」につながる!

加齢による体力・筋力の衰えを「体のフレイル(虚弱)」と言います。
そして、体のフレイルの引き金となる「口の機能の衰え」を「オーラルフレイル」と言います。

口の機能低下を起こすと、パンやちらし寿司、稲荷寿司など、炭水化物を主に食べ、
肉・魚・野菜はあまり食べない…という方が増えます。

口の機能低下を起こすと、噛み応えのあるもの、しっかり咀嚼しないと飲み込むことができない物が食べににくくなります。
その結果、簡単に唾液と混ざって食べやすく飲み込みやすいものを好むようになります。

このような食生活の方は、炭水化物はしっかり食べることができますので、見た目はやせて見えません。
しかし、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足しがちです。

ですから「やせていないけど栄養失調」という状態になってしまいます。
そして、たんぱく質の不足が、全身の筋力低下を招いてしまうのです。

あなたのお口の機能は大丈夫?自己診断チェックをしてましょう。

歯科医院では、口の機能低下を以下の項目についてチェックして、総合的に判断します。

  • 歯がたくさん残っているか
  • 口の中が乾燥していないか
  • 口の中が汚れていないか
  • むせや飲み込み辛さのアンケート
  • 構音機能検査(オーラルディアドコキネシス)
  • 反復唾液嚥下テスト(RSST)
  • 舌を上顎に押し付ける力が弱くないか

など

この中で「舌の運動機能」「反復唾液嚥下テスト」は、簡単に自分でもやってみることができますので、ご興味がおありの方は、ぜひ試してみてくださいね。

構音機能検査

パ、タ、カの3つの音を10秒間、何回言えるかという検査です。

パの音は唇周りの筋肉をチェックできます。10秒に6.8回以上で正常です。

タの音は舌の筋肉をチェックできます。10秒に7.4回以上で正常です。

カの音は下顎の筋肉をチェックできます。10秒に6.7回以上で正常です。

 

こちらのテストはやってみると分かるのですが、10秒も「タタタタタ…」と言い続けるのはちょっと疲れます。
しかも、真剣に「タタタ…」と言っていると、数を数えるのが大変です。

そこで、スマートフォンなどに向かって「タタタ…」と5秒間言えば、10秒で何回のカウントになるか自動で計算してくれる便利なアプリがあります。

毎日パタカラ(サンスター)

くちけん(桐生市歯科医師会)

使い方はアプリを起動すると分かります。歯科医院でも愛用されている、便利なアプリです。

反復唾液嚥下テスト

30秒以内に何回、唾液を飲み込めるかという検査です。
30秒間で0~2回しか唾液の飲み込みができないと、嚥下障害を疑います。
簡単に試してみることができますね。

この2つの検査で「口の機能が衰えてる」と医学的に断定できるわけではないのですが、一つの目安にはなります。
このほかにも「飲み込みにくい」「むせる」という症状がある場合は、お近くの歯科医院に相談に行かれることをおススメします。

まとめ

いかがでしたか?

  • 口の機能の衰えが、栄養の偏りにつながり、それが体の衰えにつながってしまう。
  • 構音検査や、唾液の嚥下テストで、お口の機能低下の目安を知ることができます。
  • 「飲み込みにくい」「むせる」が気になる場合は歯科医院にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
院長ブログ一覧

歯周病が認知症を悪化させる!?アルツハイマーを悪化させる歯周病菌

2018年1月15日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。

今回はH30年1月5日の朝日新聞デジタル版で報じられた、ちょっとホットな話題をご紹介します。

歯周病が認知症の症状を悪化させる仕組み

認知症の6割を占めるアルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞の中にアミロイドβという「ゴミ」が溜まることでダメージを受け、このダメージの蓄積が認知症の症状につながると言われています。

今回の報道は、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)、名古屋市立大学などの研究グループが、アルツハイマー病を持つマウスが歯周病により脳のアミロイドβ量が増え、認知能力も低下したというもの。

歯周病菌が直接アミロイドβを分泌するわけではなく、歯周病菌を攻撃するために体の免疫細胞がサイトカインというタンパク質を分泌し、これがアミロイドβを増やす原因になっていると予測されるようです。

歯周病の予防や治療で、アルツハイマー病の予防や進行抑制ができる!?

実は、今までも統計上

「歯が少ない、無い人は認知症の発症率が高い」
「歯を失くして入れ歯を使っていない人は認知症になりやすい」
「歯が無い人は転倒リスクが高い」
ということは知られていました。

  • 歯は膨大な情報を脳に送る感覚器官でもあり、歯がないことで脳に送られる情報が減ることによって認知症になりやすくなるのかも
  • 歯がないと転びやすくなるので、転んで骨折などを機に認知症になる人が多いもかも

などと予測されていました。

今回の研究では、新たに歯周病菌そのものがアルツハイマー型認知症の原因因子になっている可能性があるとのことです。
いずれにしても、生活習慣病である歯周病を予防することで、認知症の発症や進行をできるだけ少なくすることができるんですね。

他にも、「歯周病によって悪化する可能性が高い病気、なりやすくなる病気」には糖尿病、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、関節炎や腎炎などが知られています。
関連記事:歯科と糖尿病、脳血管障害、要介護度は関係が深い!?あれこれ関わっているお口の病気

これらの恐~い病気を、歯周病という「予防できる病気」が招いてしまったり、悪化させてしまうというだなんて…とても残念なことです。

「俺の若いころは誰もそんなの教えてくれなかったよ。歯周病になって歯を失くした後にそんなこと言われてもなぁ~…」

 

お気持ちは良く分かります。
昔は、歯周病と全身疾患の関係はあまりよく分かっていなかったとはいえ、歯を失くしてしまってから知ってしまうと、とても残念ですよね。

でも大丈夫。
歯周病は「管理できる」病気でもあります。

すでに失くしてしまった歯や、保存できないほど悪化した歯はやむを得ない場合は抜いて、入れ歯やブリッジなどで補う

関連記事:歯を失ってしまった後、どんな治療法があるの?

重度の歯周病は手術で治す、軽度~中等度の歯周病は毎日のセルフケアと定期的なブロフェッショナルケアで治す、自分が歯周病かどうか分からないときは自治体の無料検診でチェックする

関連記事:歯科の妊婦健診や、おとなの歯科健診って何のためにあるの?

歯周病はいろんな方法で「治療」「管理」をすることができるのです。

歯周病は治療より予防の方が、重症より軽症の方が通院回数が少なくてすみ、費用も安い

重度の歯周病の治療法で「手術」と書きましたが、一般の方は「歯周病の治療のために手術する」と聞くと驚かれる方が多いです。
当院でも歯周ポケットが5~6㎜ある場合で、一般的な歯石取りをしてもあまり改善せず、かつ手術により大きな改善が期待できそうな場合は症例によりお勧めすることがあります。

しかし、患者さまによってはかなり勇気が必要な方もおられるようです。
歯周病が軽度であればあるほど、治療の痛みも少なく、通院回数も少なく、治療費用も安くなります。
どんな病気も「早期発見・早期治療」が一番良いということですね。

まとめ

いかがでしたか?

  • 歯周病により糖尿病、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、関節炎や腎炎など様々な病気が悪くなると言われている
  • 歯周病は「管理できる」病気である

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

院長ブログ一覧

歯科と糖尿病、脳血管障害、要介護度は関係が深い!?あれこれ関わっているお口の病気

2017年1月10日

こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
前回まで2回に渡って「MI=なるべく削らずに済む歯科治療」についてお話させていただきました。

 

究極のMI(ミニマルインターベンション できるだけ歯を残す治療)は予防歯科、そもそも虫歯を作らないようにすることが大事…ということで、定期的に歯科医院でプロケアを受けることをお勧めします。

※プロケアとはお家でのむし歯・歯周病対策のホームケアに対して、歯科医院で行うケアのことです。詳しくは別の機会にお話ししていこうと思います。※

MI(ミニマルインターベンション)そう・・・たとえお忙しい会社員さんでも、主婦の方でも!お子様からお年寄りまで、皆さんに歯科検診を受けて頂きたい、そして虫歯や歯周病で歯がなくならないようにしたい

 

皆さまが歯科検診を受けたくなるように、今日はちょっと怖~いお話をしていこうと思います。

「歯の定期健診を受ければ良かった」と歳をとってから後悔する人が多い日本 

PRESIDENT 2012年11月12月号に「リタイア前にやるべきだった……」後悔トップ20という興味深い記事が掲載されました。
55~74歳の男女1000人にアンケートを行い、人生の先輩方の「後悔していること」と教えて頂くという内容です。

%ef%bc%91%ef%bc%94

 

 

 

 

 

画像:http://president.jp/

健康部門で「歯の定期健診を受ければ良かった」が1位!

どうしてこんなに皆さん後悔していらっしゃるんでしょうか。

歯の定期健診を受ける習慣の有無で変わる、歯の本数

前回の記事で歯の定期健診の習慣がある人が多い国では歯を失う本数が少なく、日本のように歯の定期健診が普及していない国では歯を失う本数が多いというお話をしました。

特にスウェーデンは、キシリトールガムのCMなどでも出てくるので、何となく歯の予防に力を入れていそうなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

スウェーデンも昔は日本と同じく虫歯や歯周病が多い国でしたが、1970年代に「セルフケアとプロフェッショナルケアを併用した方が歯科疾患を防げる」という研究がなされたあと、国家をあげて予防歯科に取り組みました

19歳までの歯科治療を無料にし、全国民が歯科定期健診を受けられる体制を整え、代わりに成人の歯科治療費をうんと高額にしました。結果、スウェーデン国民のほとんどが積極的に歯科定期健診を受け、予防歯科に取り組むようになり、80歳の平均の歯の本数が25本(日本は8.8本)という素晴らしい歯科先進国となったのです。

日本のリタイア世代の方の後悔「歯の定期健診を受ければ良かった」は、歯の本数が減ってしまってからの後悔と思われます

では、歯を失うとどんなことが起きるのでしょうか。

歯を失って噛めなくなるのは、要介護への入り口

東京都医師会連盟のサイトからの引用ですが、介護が必要になった主な原因は認知症と骨折・転倒で全体の25%を占めますが、その認知症、骨折・転倒ともに歯の数が減ったり、入れ歯を使っていなかったりするとリスクが増すことが示されています。

1

 

 

 

 

 

2

 

 

 

 

 

3

 

 

 

 

画像は全てhttp://toshiren.or.tv/pdf/dmt_11.pdfより引用

 

つまり、咬めない(かめない)ことは要介護への入り口と言えるのです。

 

本日この日記を書いていたら、タイムリーな話題が。

「歯が全くない人」は、「歯が20本以上ある人」に比べて1.28倍、抑うつ状態になるリスクが高い

こちらもニュースになっていますね。
食べる楽しみが失われると、毎日の刺激も減りますね。

お家で実験していただきたいのですが、

①まず片方の側だけでご飯を食べてみてください。

次に
②普通にご飯を食べてみてください。

ごはんの味が全く違うはずです。

普通に食べると舌の上に食べ物を転がしながら食べるので味がよりわかりますが、片方の側だけで食べると舌に対して触れないので味が薄く感じます。

私もやってみましたが、甘みも塩味もすごく薄く感じました。
なので、片方で食べるだけでも食事が濃い味付けになって、高血圧になる方もいらっしゃるそうです。

また、口の中は手の次に神経の多い部位ですから、歯がなくなり、噛めなくなり、食べることを忘れると、認知症が悪化し、一日中意識がはっきりしない・・・なんてことになります。

そんな方に噛める入れ歯を入れただけで、噛んで飲み込む本能を思い出して、寝たきりの人が普通に生活できるまで戻ることもあるそうです。

入れ歯が入っただけでも、もちろん入れ歯も入れない人に比べると劇的に差がありますが、入れ歯と自前の歯でも全然違います。

部分入れ歯になっただけでも、『びっくりするほどご飯がおいしくなくなった』と仰る方も多いです。

 

メタボリックシンドロームと歯周病の深い関係

歯周病は、歯石によって起きる病気です。
参考 歯石って何?どうしてほっといてはいけないの?

特に糖尿病とは相互関係が強く、糖尿病が悪化すれば歯周病も悪化しやすく、また歯周病が悪化すると糖尿病も悪化するという関係にあります。
他にも心臓病の手術をした人や、心臓の弁膜などに障害がある人の場合、歯周病菌が原因で心内膜炎を起こすことがありますので、注意が必要です。

また、歯を失い十分に咬め(かめ)ないことから満腹感が得られず、食べ過ぎて肥満になったり、お肉や野菜が食べにくいことから炭水化物ばかりを食べて「痩せてないのに栄養失調(カロリーは取れているけど、ビタミン・ミネラル・たんぱく質が欠乏する高齢者の新型栄養失調)」になったりと、歯とメタボリックシンドロームは深い関係にあるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

  • 歯の本数を維持することは、生涯おいしくごはんを食べられるだけでなく、糖尿病、認知症、骨折、心臓、脳血管、メタボリックシンドロームなどを悪化させないという意味でも大切。
  • 歯を失わないように予防するのが一番!

もし、すでに歯を何本か失ってしまっているならば、これ以上失わずに済むように治療とメンテナンスが必要です。しばらく歯科医院に受診していないな・・・という方は、歯科健診を受けることをお勧めいたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

がん治療の前に歯科受診を勧められるワケ 

2016年10月14日

がん治療の前には、歯周病治療を済ませておくことをお勧めします

こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
今日は、がんの治療と歯科のお話をしていきたいと思います。

 

私は広島大学病院在籍時代、がん患者さんの口腔ケアを研究していました。
このテーマで博士号を取得しております。

がんと口腔ケアの関係の研究を始めたきっかけは、がん治療中の患者さんの上気道炎を何とか減らすことはできないか、と考えたことでした。

口の中が汚れていると、唾液から感染を起こす

478df7b2a864560bf5beea2bd175443d_s

 

 

 

 

 

どんな方でも、口の中の唾液には雑菌がたくさんいます。

がんの治療中には免疫力がとても下がります。
そのせいで、自分の唾液を誤嚥(食道ではなく気管の方に飲み込んでしまうこと)すると、唾液に含まれる雑菌が原因で上気道炎を起こしてしまう方が多かったのです。

fe34b8b55a96e08e4d07041fb28d265f_s

 

 

 

また、がん治療中の方は薬の副作用によって口内炎ができやすく、口の中が痛くて、食事がとれなくなる人も少なくありませんでした。

その場合は点滴で栄養を取ることになります。

128227af79f7c92b2bf465bc963174ad_s

 

 

 

 

近年、「腸活」という言葉も聞いたりしますが、腸と免疫力には密接な関係があることがわかっています。

口から食事を取らない=腸管を使わないと、免疫力が下がります。
がん患者さんの免疫力をさらに下げてしまう原因となります。

がん化学療法と口内炎と口腔ケア

28b33a54eacbe8d455f92ec66ad65133_s

 

 

 

 

 

私は大学病院の入院病棟で、抗がん剤による化学療法を「受ける前」、「受けている最中」、「受けた後」、それぞれの段階の患者さんに口腔ケアを行っていました。
すると、口腔ケアを化学療法前にした患者さんは、化学療法を受けている途中や受けた後の口内炎の発生率が少ないのことに気づきました。

そこで口腔ケアと3DSというマウスピースを使用した方法で、口腔細菌を化学療法前に減らしてからがん治療をされた患者さんと、そうでない患者さんで、口内炎の発生率を比較するという研究を行いました。
結果は、事前に口腔細菌を減らした患者さんの方が口内炎の発生率が少ないという結果になりました。

今では他のグループの研究で、がん治療をする前に「歯周病治療=歯石や歯垢を綺麗に落としておくこと」で、前述の上気道炎リスクを大幅に下げることができることが分かっています。

また、がん化学療法前に歯周病治療をしてからがん治療を行ったグループは、そうでないグループと比べて退院までの期間が短いことが分かっています。

口腔ケアをすることで、誤嚥によって上気道炎などを起こし、熱が下がらないので入院期間が延びる、ということが予防できたと考えられています。

 

こういった研究の結果を受けて、今では医科と歯科が連携して、がん治療の最中および前後に口腔機能を保つことを目的とした「周術期口腔機能管理」が勧められています。

f4c67b1216a34b66b59992db125a25cf_s

 

 

 

 

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

  • がん治療に先立って歯周病治療をしておくと、上気道炎や口内炎などの発生率が下がる
  • がん検査を受けたら、歯科検診も忘れずに

次回は「歯科ではよくレントゲンを撮るけれど、大丈夫?歯科レントゲンの被ばく量とは」をテーマにお送りします。

 

 

岩国のやさしい歯医者さん つぼい歯科クリニック

〒740-0034

山口県岩国市南岩国町2丁目78-36

診療時間(予約制) 月~土 9時~12時、14時~18時 水9時~12時

日・祝・水曜午後 休診

矯正相談のみ(完全予約制)18時以降も承ります。

電話 0827-32-7506

お電話受付時間 月~土 9時~20時、水9時~13時

[no_toc]

初診「個別」相談へのご案内

当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。ご興味がある方は下記からお問い合わせください。

0827-32-7506

24時間WEB予約

医院住所
〒740-0034
山口県岩国市南岩国町2-78-36

このページのトップへ