思わぬものが危険になる?!こどものお口・歯の事故の傾向
2021年9月24日
おうち時間が増えることで、自宅でのお口の事故にご注意
コロナの第5波、やっと終息の兆しですね。
先日、何かの記事で読みましたが、皆様コロナに完全に嫌気、飽きが来ているものの、緊急事態と言われている昨今、さらに自粛に努めているというデータが出ておりました。お子さん達も、外に出られないので基本家にいますね。大変ですが、頑張りましょう。
先日、「おもちゃの電車の連結部分のパーツがお子さんの歯の間に挟まってしまった!」という受診がありました。おうち時間が増えている最近、歯科に関係する事故も増えている気がします。事故は起きてほしくないものですが、その傾向を知っておくことは大変重要です。そのため、一度ブログにまとめてみることにしました。
1)口に咥えるものでの事故
日本小児歯科学会からの警告でもありますが、咥えるものでの最も危険なものは、1-2歳児での歯ブラシです。
この世代は体のバランスが悪く、すぐに転んでしまいます。
また、歩き始めで自力でウロウロしています。
歯ブラシを咥えたままウロウロしたり、椅子から落ちて口の中を突いてしまいます。
しかも、のどを越えると、薄い骨のすぐ向こうには脳があります。
そして脳の中でも特に大切な脳幹部分に近いので、重篤な事態になった報告もいくつかあります。
小児歯科学会のホームページ等の報告では、この5年で起きた歯ブラシ事故は120件ほどあり、その結果入院にまで至ったのは22%もあるようです。
軽くは考えられない話です。
対策
まずは目を離さないこと。口に歯ブラシを咥えた状態で歩かせてはいけません。
1-2歳児には歯磨きは自分でやらせず、寝転ばせて親の仕上げ磨きを主体に行うこと、が基本です。
子どもは親の感情を(非言語も含めて)読み取ります。
しっかり危機感をもってコントロールしましょう(磨く事もしっかりお願いします!)
喉を歯ブラシでつく事故と類似のものとして、割りばしやスプーンなどでも起きています。
対策として、柄が曲がる歯ブラシや柔らかい器具が販売されていますが、まずはリスクを少なくさせる仕組みを考え、目を離さないのが大事ですね。
2)小さいものでの事故
次にあるのが、小さいものでの事故です。
上に書いた玩具の事故もそうですが、歯と歯の間に挟んでしまって…というパターンが多いようです。
小児歯科ではたまに報告されるのですが、ストローの先をかみちぎってモグモグしていたら、ストローの直径が歯のサイズとぴったりで丁度かぶさってしまった、というのがあります。
この事故は起きた直後は痛みを感じない様ですが、かぶさってしまった歯の周囲にひどい炎症が起き、歯槽骨が抜歯に至るほど吸収した事例が報告されています。
見た目には分かりにくい事例ではありますが、注意が必要です。
また、誤嚥も非常によく起きる事故です。
乳幼児の口の直径はおよそ30ミリ-40ミリ程度もあります。(おおよそトイレットペーパーの芯程度)そこにはまるものであれば飲み込むリスクは常にある、と思っておいて下さい。
余談にはなりますが、歯科治療での器具はほぼすべて、誤嚥リスクのあるサイズになるので、つぼい歯科ではお子さんの治療などでは必要に応じてラバーダム(ゴムのマスク)を誤嚥防止のために使用しています。
しかし、100%絶対というものはありませんので、そんな処置が必要な虫歯にまずならないこと!これが最も安全で、大事と思っております。
これもまた大変ですが、頑張りましょう。
まとめ
いかがでしたか?
- 咥えるものでの事故で、歯科に最も関連が深いのは歯ブラシです。子どもの「歯ブラシ咥え歩き」は、絶対にやめさせてください。
- 小さいものでの事故は、歯に挟むもの・挟まれるもので起きやすく、典型例ではストローなどがあります。
歯冠にはまり込んでしまい、歯周組織に対するダメージが報告されています。 - 誤嚥は39ミリ以下のもので起きます。
歯科での処置は器具が小さく、安全性に配慮していますが、飲み込むリスクはゼロではありません。まずはそんな器具を使用して治療するような虫歯にならないように、予防を頑張りましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。