歯医者がおススメしたい歯ブラシとは?~選び方のポイント~
2023年4月16日
こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニック
歯科医師の荒田です。
本日は歯ブラシのお話です。
種類と選び方、使い方についてお話します。
ドラッグストアの歯ブラシコーナーに行くと、
様々な形の歯ブラシで
あふれかえっていると思います。
毛先の固さや、形、ヘッドの形状が
特殊なものまで含めれば
その種類は多岐にわたるでしょう。
なんとなく、パッケージを見て
適当に選んでいませんか?
この記事を読めば、自分に合った
歯ブラシを選ぶ方法で
もう迷うことはなくなります♪
1)歯ブラシの種類
普通の歯ブラシ |
こだわりがなければコレ
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薄型ヘッド歯ブラシ |
奥歯が磨きやすい。
親知らずがある人の必須アイテム。
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小型歯ブラシ |
部分入れ歯をしている人におススメ。
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特殊毛歯ブラシ |
帯電していて汚れを集めるとか、
超微細毛が汚れをからめとるとか、
色々ある。
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動物毛歯ブラシ |
高級ブタ毛使用、など。
不衛生なのでおススメしない。
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ギザギザカット面歯ブラシ |
なぞるだけで磨ける、など謳うが、
プラーク除去効率はフラットカットに劣る。
おススメしない。
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小児用歯ブラシ |
年齢に応じたものを使用しましょう。
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仕上げ磨き用歯ブラシ |
子供の自分磨きブラシとは分けて、
仕上げ磨き専用の歯ブラシを
使いましょう。
その方がずっと磨きやすいです。
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電動歯ブラシ |
歯磨きがうまい人がやれば、
上手に時短できます。 |
1-1)普通の歯ブラシ
ヘッド面は平坦、毛先は指先で押せば
軽い抵抗感を感じる程度の固さで、
長さはおおよそ15cm前後。
ナイロン製のラウンド毛という、
毛先が丸くなっているものを
「普通」と言うことが多いです。
当院の歯磨き指導の時に、お渡し
している歯ブラシもこのタイプです。
基本的にはこの歯ブラシを
しっかりと使用してもらえれば、
殆どの汚れを落とすことができます。
1-2)薄型・小型歯ブラシ
ヘッドが小さいものや、薄いものがあります。
親知らずがある人の場合、
ヘッドが通常の厚みがあると
なかなか上手に磨けません。
当院採用歯ブラシの、
左からバトラー#025、
デントマキシマ、
バリュー歯ブラシの3種です。
左のバリュー歯ブラシは「普通の歯ブラシ」です。
右と真ん中の2本は、薄型ヘッド歯ブラシです。
ヘッドが薄いのが見てわかるかと思います。
「普通の歯ブラシ」と比べると
若干割高ではありますが、
奥歯が磨きやすいのが特徴です。
他には「小さい」歯ブラシもあります。
細かいところが磨きやすいのが特徴です。
部分入れ歯をお使いの方に向いています。
当院の採用歯ブラシですと
「アシストmini」がこれにあたります。
1-3)特殊毛歯ブラシ
歯垢は、一般的にマイナスに帯電しています。
この性質を利用して、電気的に
歯から歯垢が離れやすくしたり
歯ブラシに引き寄せられたり
するようなものがあります。
当院の採用歯ブラシですと
マルケン歯ブラシがこれにあたります。
他にも、重度の歯周病がある人向けに
特別に毛が柔らかい、極細毛を
用いた歯ブラシがあります。
やわらかい毛=プラーク除去効率が低いのを、
超密集毛で補ってあったりします。
1-4)おススメしない歯ブラシ
動物毛のものや、ギザギザカットの
歯ブラシがありますが、
どちらもおススメできません。
歯垢の除去効率は普通の歯ブラシに劣り、
また動物毛は不衛生になりやすい一面があります。
1-5)小児用歯ブラシ、仕上げ磨き用歯ブラシ
持ち手の長さ、太さ、ヘッドの大きさなど
年齢に応じたものを使用した方が
子供にとって歯磨きしやすいです。
ただ、これは「子供が自分磨き」する前提のもの。
仕上げ磨きには仕上げ磨き用の
歯ブラシを用いた方が
磨き残しは少ないです。
仕上げ磨き用は、子供口の中が見やすい
ネックが細長く、ヘッドが小さく作られています。
子供は歯ブラシを噛んでしまったり
強い力でゴシゴシしたりして
歯ブラシを早めに傷めてしまいます。
毛先が傷んで開いてしまうと、
上手に磨くことはできません。
ですので、子供の本人磨き用と、
保護者の方の仕上げ磨き用は
分けるようにしてくださいね。
2)歯ブラシの毛の硬さ
基本的には「ふつう」がおススメ
硬すぎる毛は、歯や歯肉を傷めやすいですし
柔らかすぎる毛は、歯垢の除去効率が低く
磨き残しやすくなってしまいます。
まとめ
1. わからなければ、普通の歯ブラシを選ぶ
2. 動物毛やギザカット加工されたものは避ける
3. 用途別の歯ブラシもあるので、自分にあった歯ブラシを選ぶ
歯磨きの癖や、磨きにくい部位について
自分ではなかなか分からないものです。
おススメの歯ブラシも、磨き残しの癖によって
変わってきたりもします。
歯石を取ったついでに、
歯科衛生士さんに「自分にあった歯ブラシ」を
教えてもらうというのがおススメです♪
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
歯周病安定期治療ってな~んだ!?定期的に歯石除去をした方が良い理由。
2023年4月2日
1)どうして、定期的に歯医者さんで歯石除去をした方が良いのか?
こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニック歯科医師の荒田です。
当院に限らず多くの歯科医院で、
虫歯治療が終わり歯医者から解放されたと
思ったタイミングで
「定期的に、歯石を取りに来てくださいね」と
言われる経験をされたことはありませんか?
当院でも同様に、患者さんの歯茎の状態によって
必要な感覚で歯茎の安定期治療を
おススメしています。
2)歯茎の安定期治療って何!?
歯周病は、歯石によって引き起こされる病気です。
では歯石を除去したら
きれいさっぱり完治するか!?
…というと、なかなかそうもいかないのです。
一度、歯槽骨(歯の周りの骨)が
溶けてしまうと、、炎症が治まっても
歯周ポケットが3〜4mm以下に戻らず
汚れが再付着したり、免疫力が下がった時に
再び腫れたりすることがあります。
ですから、歯茎が安定した状態を
長く保てるように
定期的に汚れを除去したり
再付着した歯石を取り除いたり
した方が良いのです。
歯石については、こちらの記事を
ご参考にしていただけると嬉しいです。
歯石は古い歯垢が石灰化したものであり、
磨き残しを少なくして
歯石が付きにくくすることや、
定期的に歯石除去を行うことが大切です。
3)歯周安定期治療なんて言葉、言われたことないけれど!?
ごもっともな感想です。
以前から、定期的に歯石は取った方が
良いということは分かっており、
昔は保険の
「スケーリング」
「再スケーリング」
「SRP」
「再SRP」
などの項目で行われていましたが、
現在は一定のルールの元
「歯周安定期治療」という項目で
まとめられました。
要は、ただの保険制度の問題なので、
どこの医院でも
「定期的に歯の汚れを取りにきてくださいね」とか
「次回は〇月に歯石を取りに来てくださいね」とか
患者さんには説明していると思います。
4)歯周安定期治療で受診したときに一緒にやっていること
一番の目的は、歯茎が
再度炎症を起こさないよう、
歯石や歯垢を除去することではありますが
同時に以下のようなこともしています。
・歯周病検査
・虫歯チェック
・詰め物が劣化していないか、浮いていないかなどのチェック
・削らなくて良い範囲の初期虫歯の管理やフッ素塗布
・機械的歯面清掃
・歯磨き指導
・粘膜チェック(口腔癌や口腔粘膜疾患が無いかのチェック)
・口腔機能のチェック(噛む能力や、飲み込む能力は問題ないか)
結構、いろんなことをチェックしているんですよ。
削らなくてよい初期虫歯については、こちらもご覧ください。
削らなくても治る虫歯があるって本当?
5)歯科衛生士による歯磨き指導
前述の「一緒にやっているアレコレ」の中で
最も大事なのは歯磨き指導です。
歯周病の予防には日々の歯磨きが
非常に大きなウェイトを占めます。
そのため、歯科医院で定期的に
歯石や歯垢を除去するだけでなく、
ご自身の磨き方の「癖」を直したり
どこに汚れが付きやすいかをご確認いただいたり
といったことが、とても大事です。
歯科衛生士は一人ひとりに合わせた
アドバイスをさせていただいておりますから
ぜひ、日々の歯磨きに取り入れてみてくださいね。
まとめ
・定期的に歯石や歯垢を歯科医院で取り除きましょう
・日々の歯磨きに、歯科衛生士のアドバイスを生かしましょう
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
老いは口から始まる。歯医者が教える要介護にならないためのポイント!
2023年4月1日
医科・歯科・介護の世界で注目されている「口腔機能低下症」。
別名「オーラルフレイル」と言います。
あなたはこの言葉を聞いたことがありますか?
あんまり記憶にない単語なのではないでしょうか。
こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニック 歯科医師の荒田です。
今日は「老いは口から始まる。老いを防ぐためのポイント」について
お話ししていこうと思います。
1)人は口から老いる
口腔機能低下症とは、加齢に伴い
噛む、飲み込む、話すなどの機能が低下する症状のことです。
口周りの筋肉や舌の運動能力や筋力が低下するため、
ムセや誤嚥、咀嚼が不十分などの症状が重なって現れます。
自覚症状としては、
・むせることが増えた
・飲み込みが困難になった
・噛みにくくなったと
いった感覚があります。
機能が低下し続けると、栄養状態が悪化し、
口腔機能だけでなく全身の機能も低下してきて
しまいます。
この、全身の機能が老いにより低下した状態を
フレイルと言います。
つまり、フレイルの前段階がオーラルフレイルなのです。
まさに「人は口から老いる」のです。
2)人は口から若返る
*ただしトレーニングすればの話
フレイルという状態は、訓練で回復可能であるとされていますが、
身体の機能障害まで進行してしまうと、回復は非常に困難になります。
逆に言えば、「フレイル」の前段階である「オーラルフレイル」の状態になりかけたら、
訓練して回復することで、老いによる要介護の状態になりにくくなるのです。
ですから、「口腔機能低下症」の検査や訓練が
健康保険でカバーされているんですね。
口腔機能低下症はセルフチェックできますから、
よろしければ試してみてくださいね。
むせる、飲み込みにくい、舌がもつれる…オーラルフレイルの自己チェックをしてみよう!
https://tsuboidental.com/blogs/archives/date/2019/05
3)噛むということ、飲み込むということ
噛むためには、口を上下左右に動かし、
適切な力で噛むための筋肉が必要です。
また、食物を歯の上に送るための舌の動きや、
食べ物を唾液と混ぜ合わせて塊にする舌の動きなどが必要です。
そして魚の骨などを察知するための反射反応や、
歯で噛んですりつぶすための歯(または入れ歯)が必要になります。
これらの機能が連動して初めて「噛む」が成立します。
では、飲み込むということはどうでしょうか。
食べ物を唾液と混ぜ合わせて
塊にしたものを喉の奥に送る舌の動きや、
食べ物を食道に送るための
咽頭や喉頭蓋の動きが必要です。
さらに、気道に誤って食べ物が
入らないようにするために、
ムセることで誤嚥を防ぐ働きがあります。
食べることはとても複雑な機能が組み合わさって成立しています。
そして、どれかの機能が低下すると、
他の機能も低下してしまいがちです。
だからこそ、
「最近ムセるなぁ」
「飲み込むのが難しい」
「食べられないものができてきた」
と思ったら、歯医者さんに相談していただきたいのです。
4)検査と訓練、そして対策
歯科臨床では、様々な問診や検査を行い、
どの機能がどう低下しているかを判断し
症状に応じたトレーニングをカスタマイズします。
しかしながら、ご自宅でも
簡単なセルフチェックやトレーニングを
行うことで効果的な予防ができます。
無料のスマホアプリで、
チェックとトレーニングができるものもあります。
例えば、「毎日パタカラ」は、
舌や口唇などの筋肉の機能をチェックするアプリです。
毎日パタカラ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.sunstar.jp.patakara&hl=ja&gl=US
また、オーラルフレイル対策のための
口腔体操(日本歯科医師会)も、
自分で簡単に実践できるためおすすめです。
オーラルフレイル対策のための口腔体操
https://www.jda.or.jp/oral_frail/gymnastics/
まとめ
・口腔機能は一つ機能が低下すれば、それにつられて他の機能も低下する
・自分の状態を把握して、訓練や対策を行うことで元気に長生きできる
最後までお読みいただき、ありがとうございました。