歯が生えてこない?
2022年3月28日
歯が生えてこない?
こんにちは、つぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
今回は歯の生え変わりをテーマにお話していきます。
つぼい歯科クリニックでは、必要に応じて顎全体を確認できるエックス線写真(パノラマエックス線写真)を撮影します。
X線写真では、虫歯や歯周病、そしてお子さまの場合は歯の生え方について。異常がないかどうかを確認しています。
お子さまの乳歯が抜けた後に、なかなか永久歯が生えてこない場合には、保護者の方も「どうなっているんだろう?」とご心配になりますよね。
乳歯が抜けた後、なかなか永久歯が生えてこない場合には、以下の2パターンがあります。
- 骨の中の永久歯は正常であるけれども、なかなか生えてこない場合
- 何らかの異常があり、問題があって処置が必要な場合
くわしくご説明していきます。
歯の生え変わりは歯によって時期が決まっている
歯の生え変わりの流れ
通常は6歳ごろ、下の前歯(A)から生え変わりはじめます。
次に、上の前歯が続き、第一大臼歯が生えます。
その後、しばらく停滞します(1年~2年)。
9~10歳ごろから乳犬歯、乳臼歯が一気に抜けていきます。
1)永久歯が生えてこなくても様子を見ていい場合
上の乳前歯は指しゃぶりしていたり、何回か打った(ケガをした)ことがあるような場合は早めに抜けてしまうことがあります。
傷は一度完全に治ってしまうと、皮膚や骨が固くなって、1年ぐらい生えてこないこともあります。
定期的なレントゲン検査で、順調に萌出にむかって育っているかはチェックしないといけませんが、経過観察のみの場合も多くあります。
2)スペース確保(=隙を保つ)のための装置が必要な場合
乳臼歯(奥歯の乳歯)が大きな虫歯になった場合、残念ながら早めに抜けてしまうことがあります。
6歳臼歯は隙間があれば前へ移動する性質があります。
つまり、本来あるべき乳歯が早く抜けることで、永久歯が生えてくるために必要なスペースがなくなってしまいます。
よって、早くに抜けてしまった乳歯のスペースに永久歯が生えてこれるように、スペースの確保の治療(保隙:ほげき)が必要になります。
保隙の治療は1本ぐらいの場合は保険が適応となる症例もあります。
また、6歳臼歯が生える方向に問題がある場合、乳歯が悪影響をうけて、乳歯も早めに抜けてしまうことがあります。
後継永久歯がなかなか生えてこない場合、奥歯であれば周囲の歯が動いてしまうので、スペース確保が必要です。
3)永久歯が生えてくるように積極的な処置が必要な場合
永久歯の歯根は、完成するまでは萌出する(ほうしゅつ:歯が生えてくること)力があります。
しかし、歯根が完成してしまうと、萌出する力はなくなります。
宇宙ロケット発射ブースターみたいなイメージですね。
永久歯の萌出はかなり繊細なメカニズムです。
ほんの少しの邪魔がある場合も、なかなか生えないと言われています。
永久歯の萌出する道筋に邪魔がある場合(具体的には異常な乳歯や歯牙種、過剰歯など)や、歯根が完成してしまったけれども、生えてこない場合は、治療が必要となります。
治療は具体的には、
- 邪魔をしている乳歯や過剰歯などの抜歯
- 生えてこない永久歯の上の部分の骨や歯肉に穴をあける(開窓処置)
- 生えてこない永久歯にボタンをつけて、口の中にむけて引っ張ったる(牽引)
などを行います。
いずれにしても、レントゲン検査で1)~3)のどれになるか判定を行います。
「あれ?永久歯が生えてこないな?」と思われる方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
- 乳歯では、歯の萌出には正しい時期と順番があります。
レントゲンの診査によって、経過を見守るのみの場合、スペースを保って様子を見る場合、積極的な処置が必要な場合に分けられます。 - 奥歯の乳歯の早期脱落の場合、なかなか次の永久歯が生えてこないので、スペース確保するための保隙装置が必要な場合があります。
- 永久歯の萌出は、歯根が完成するまでがリミットであり、処置できる時期が限られます。
萌出を邪魔する異常な乳歯、歯牙種、過剰歯などがあった場合、積極的な抜歯や小手術が必要です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。