インビザライン矯正、抜歯する?抜歯しない?
2025年5月10日
こんにちは、医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井です。
今日は、インビザラインの抜歯症例と、非抜歯症例の違いについてのお話です。
1.そもそもどうして矯正治療で抜歯が必要になるの?
口腔内にスペースがないことが原因で、歯並びがガタガタになったり、出っ歯になったりします。
顎骨が成長中のお子さんの場合は、小さい顎を大きく成長させるという手段を使うことができます(小児矯正)。
しかし顎の成長が終わっている成人の場合は、顎を大きくすることは困難です。
すると、歯並びが綺麗に並ぶためのスペースをつくる必要があるのです。
特に、前歯が突出している場合や、顎の大きさに対して歯のサイズが大きい場合(7~8mmのスペース不足がある場合)に抜歯が選ばれることが多くなります。

(治療前)顎のサイズが、横方向に特に小さく、歯のサイズが大きい症例です。
このくらいのスペース不足になると、抜歯して治療する他ありません。

(治療後)前から4番目の歯を抜歯して、歯並びを治療しました。
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主訴:歯のガタガタを綺麗にしたい
治療期間:1年半
治療回数:14回
治療費用:88万円(税込)
リスク・副作用:
・マウスピースを使用する時間が不足した場合は治療が長期化する可能性がある
・適切な口腔衛生管理ができないと虫歯のリスクがある
・歯茎部の歯肉のラインは左右対称にできないことがある
治療内容:マウスピース矯正(インビザライン)による歯列・咬合治療
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2.抜歯せずに治療する場合とは?
歯並びを綺麗に整えるために必要なスペースが7~8mm以下の場合は、抜歯せずに治療することが多いです。
インビザラインは奥歯を、より奥に移動させることができます。
この移動量は、2mm程度までが確実であると言われています。
左右の奥歯を後ろに移動させれば、4mmのスペースを獲得できます。
また、インビザラインではIPR(Inter Proximal Reduction)という、歯と歯の間にあるエナメル質を少し削る処置を行うことが多いです。
隣接する歯の側面を0.1mmから0.5mm程度削ることで、歯が並ぶためのスペースを確保するのです。
歯は片方の顎で合計14本ありますから、IPRの最大量は0.5mm×13か所=6.5mmとなります。
奥歯を後ろに移動させて得る4mmと、IPRで得る6.5mmの合計で10.5mmが、非抜歯で得られるスペースの最大量となります。
しかし、実際は正中を合わせたり、歯根が顎骨からはみ出ない範囲での移動に抑えたりなどの制限がかかります。
以上により当院では、スペース不足が7~8mm以下で、前歯をひっこめる量が4mm以下の症例を非抜歯で治療することが多いです。

(治療前)前歯のガタガタが大きいですが、上の歯だけが前に突出しているわけではなく、糸切り歯(前から3番目の歯)付近の顎の横幅が狭いことが分かります。

(治療後)糸切り歯と、小臼歯(前から4~5番目の歯)を少し傾斜させることで歯並びの横幅を大きくし、さらにIPRと奥歯の移動を合わせて、抜歯せずに歯並びを整えました。
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主訴:反対に噛んでいる前歯を治したい。
歯のガタガタを治したい。
治療期間:1年
治療回数:17回
治療費用:88万円(税込)
リスク・副作用:
・マウスピースを使用する時間が不足した場合は治療が長期化する可能性がある
・適切なこう口腔衛生管理ができないと虫歯のリスクがある
・歯茎部の歯肉のラインは左右対称にできないことがある
治療内容:マウスピース矯正(インビザライン)による歯列・咬合治療
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3.抜歯症例と非抜歯症例で、治療期間に差はあるの?
抜歯か非抜歯かで治療期間が変わるというより、歯の移動量によって治療期間が変わります。
「歯が並ぶスペースが10mm不足しているので抜歯が必要」という場合でも、
「抜歯で歯並びのガタガタを取る」場合、歯の移動量はさほど大きくなりません(左写真)。
一方で「抜歯で前歯をひっこめる」場合は、歯の移動量は大きくなることが多いです(右写真)。

他にも、非抜歯であっても上下の歯の正中を合わせる場合や、奥歯が手前に倒れ込んでいる場合、八重歯の移動量が大きい場合など、時間がかかることが多いケースはたくさんあります。
一般的に、インビザライン治療は約1年から2年程度かかりますが、歯並びの治療プランによって差があるため、抜歯だから長い、非抜歯だから短いということにはなりません。
治療計画ができあがった段階で、個別に担当医にご確認いただくのが一番確実です。
4.抜歯か非抜歯かで、治療費用は変わるの?
矯正治療のための抜歯は、保険が効きません。
当院は抜歯矯正の場合の抜歯料金は無料(当院での矯正治療のみ。
他院で矯正治療される場合は、便宜抜歯費用を申し受けております)。
ですが、医院によっては別途料金が発生する場合があります。
また、矯正で歯を動かす量が小さい症例(前歯の小さな隙間を閉じたい、前歯の小さなガタガタを取りたい、など)の場合はインビザラインGOなどの少ないアライナー枚数で治療する代わりに費用を抑えたプランを選べることがあります。
インビザラインGOでの治療例(治療前)

インビザラインGOでの治療例(治療後)

このように、歯を動かす量が小さい症例では、治療期間が短くなるだけでなく、費用も安くなります。
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主訴:前歯のスキマを閉じたい
治療期間:半年
治療回数:6回
治療費用:44万円(税込)
リスク・副作用:
・マウスピースを使用する時間が不足した場合は治療が長期化する可能性がある。
・アライン社の規定により追加アライナーは1セットに限定されるため、アライナーの使用時間が不足した場合は、最終仕上げがブラケットになることがある。
・適切なこう口腔衛生管理ができないと虫歯のリスクがある。
・歯茎部の歯肉のラインは左右対称にできないことがある。
治療内容:マウスピース矯正(インビザライン)による歯列・咬合治療
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5.まとめ
いかがでしたか?
・矯正において、顎のスペースが足りない量が大きい場合に抜歯が選択されます。
・7~8mm以下のスペース不足の場合は、非抜歯で治療することが多いです。
・治療期間は、抜歯か非抜歯かよりも、歯の移動量で決まります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
最近使われるようになった歯科材料と消えていった歯科材料(金属編)
2025年4月21日
こんにちは。岩国のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 副院長の吉村です。
今回も歯科材料分野のブログ(第3回)です。
歯科材料についての過去の記事はこちら
第1回 詰め物を歯にひっつける「接着」と、なるべく削らない歯科治療:MI(ミニマルインターベンション)
https://tsuboidental.com/blogs/archives/7032
第2回 歯科治療と接着性レジンセメントに求められる性質
https://tsuboidental.com/blogs/archives/7106
これまでのブログで書いてきましたが、歯科材料の進化と、それに伴って消えていく材料というのがあります。
20年前、僕の学生時代に、研究室で眺めたり、話に聞いていた材料が現実の臨床で使われる時代になりました。
最近の歯科材料は『体にやさしい』がキーワードのように思います。
その流れの中で、新たに出現した材料もあれば、消えていった材料があります。
今回はその視点で歯科材料を見ていこうと思います。
今回は金属材料編、次回はその他の材料(主には白い材料)にしようと思います。
1.「保険の銀」の特徴
口腔内は極めて過酷な環境です。
口の中では熱いもの、冷たいものが通過し、また酸性のもの、たまにアルカリ性のものが行きかいます。
また、細菌は多い人であれば1兆個(10の12乗)もいます。
環境が悪いと細菌はメチルカプタンなどの硫化水素化合物を出します。
これは口臭の原因でもある、きわめて酸化力が高い毒ガスです。
噴火口の匂いのあれです。
口の中では、金属は錆びます。
歯科治療でいわゆる「保険の銀歯」と言われる、「金銀パラジウム合金(金パラ)」は、金12%、銀50%、パラジウム20%、銅17%で構成されており、その他にもスズや亜鉛、インジウム、アルミニウムなども含まれています。
金銀パラジウム合金という名前ですが、銀が50%なので、要は銀合金です。
銀は加工性が良く、パラジウムは強度を高める効果があります。
金は耐食性を高めるために配合されていますが、口腔内で合金が科学的に安定するのには金やプラチナの合計が全体の75%以上を占める必要があるので、科学的に少し不安定というデメリットがあります。
銀のカトラリーや、銀のアクセサリーが黒くくすんでしまう現象を見たことがある人は多いかもしれません。
銀は硫化水素やメチルメルカプタンといった硫黄系のガスと結合して真っ黒な硫化銀を作る性質があります。

金銀パラジウム合金は、銀の性質(加工性は良いが科学的に不安定)のために金属イオンを放出しやすく、金属アレルギーの原因になったり、メタルタトゥーといって金属イオンが歯茎や歯に入り込むことで周囲の組織に入れ墨のような変色を起こしたりします。
一方で、加工性が良く、強度があるという優れた特徴も持っているため、詰め物や被せ物、ブリッジ、入れ歯などさまざまな形で使用されています。
2.「保険の銀」金銀パラジウム合金の歴史
金銀パラジウム合金の登場
戦後すぐ(1945~1955)には、日本には国民皆保険制度はありませんでした。
食糧難の中、虫歯になる人もほとんどいません。
しかし戦後の復興期(1955~1960)に国民の砂糖使用量が急増、虫歯も同時に爆発的に増えて「国民病」と言われるようになりました。
歯科治療において、安定した品質で安価に供給できる金属が求められました。
そこで1950年代後半に保険収載金属として登場したのが、金銀パラジウム合金でした。
金に比べると科学的安定性は大幅に劣るものの、当時の銀合金や銅合金に比べるとずっと安定していて、「国民病」となった虫歯の安価な詰め物として普及していきました。
金と比べて科学的に不安定という点については、登場当初から慎重な意見は多くありました。
金銀パラジウム合金の健康に対する慎重な意見と海外での使用状況
例えば『補綴歯科』誌(日本補綴歯科学会発行)1950〜60年代の号において、金パラの腐食性や生体適合性について慎重な意見が記載されています。
当時の補綴学者や材料学者の間では、パラジウムの生体への影響や銀の腐食性を懸念する声が、学術論文や座談会、討論記録の中での発言として多く見られます。
特に1959〜1965年ごろの文献に、「金銀パラジウムはコスト優先であり、理想的な補綴金属とは言い難い」とする記述もあります。
少し遅くに日本で開発された接着レジンは、現在では世界中で使用されています。
しかし、同じく日本で開発された金銀パラジウム合金は、日本以外ではほとんど使われていません。
特にパラジウムの使用については、法規制されている国(スウェーデン、ノルウェーなど)や慎重に検討せよとする国(ドイツなど)もあります。

3. 日本でも「保険の銀」金銀パラジウム合金の歯科での消費量は減少している
では、金銀パラジウム合金の日本国内での使用量はどう変わってきたでしょうか?

※ 上記はあくまで歯科用合金としての使用量の推定値です。
※2024年の推定消費量は10トンと言われています。
参考資料:
厚生労働省「歯科用貴金属材料の使用実態調査」
日本歯科材料工業協同組合 年次報告書
貴金属流通統計(田中貴金属、三井金属など)
金銀パラジウム合金はこの5~6年で6割も消費量が減っています。
他の材料の登場や、金属価格の高騰、虫歯の減少など、さまざまな背景によるものです。
まだまだ現役だけれども、使用量を減らし続けている材料だと言えるでしょう。
4. 消えた材料、水銀化合物「アマルガム」
消えていった材料としてはアマルガムがあります。
アマルガムは水銀化合物という意味で、水銀と銀、銅、スズといった金属の化合物です。
金属なのに常温での取り扱いが可能で(鋳造が不要)、固まってしまえば物理的に安定すると「されていた」ため、昔はよく使われました。

現在使われていない理由はデメリットの多さです。
アマルガムのデメリット
・作業時に有毒な水銀が気化してしまう
・科学的に不安定で着色、金属アレルギーの原因になること
・物理的にも強度が弱く、亀裂や破折が頻繁に起こること
・水銀を使用するため環境負荷が高いこと
・2019年の「水俣条約」施行のため水銀使用に対する法的規制が強化されたこと
・保険収載からも外されたこと
などから、現在では新規治療の際の選択肢としては完全に消えました。
5. 新たに登場した金属「チタン冠」
最近日本で保険算定されるようになった金属には、純チタン冠があります。
チタンは酸化すると科学的に安定する材料で、生体親和性が高く、アレルギーを起こしにくいといった特徴があります。
またとても硬い材料です。
5-1)純チタン冠のメリット・デメリット
メリット
・生体親和性が高く、アレルギーが起きにくい
・腐食に強く、口腔内でも安定
・比較的低コストで保険適用が可能
デメリット
・加工に特殊設備が必要で、鋳造や溶接に技術を要する
・見た目が審美的に劣る(銀色)
・複雑な加工が困難であるため単冠にしか使用できない(インレーや連結冠、ブリッジはNG)
科学的に安定している点は金銀パラジウム合金より優れていて、高精度の加工が困難という点は金銀パラジウム合金より劣っています。
5-2)純チタン冠の日本における使用状況

2004年に保険収載されました。
2020年のロシア・ウクライナ戦争でパラジウムの価格が高騰したため(ロシアは主要なパラジウムの生産国です)金銀パラジウム合金の価格が高騰し、保険での使用が困難になった時期に「金銀パラジウム合金の代替金属」として一気に普及しました。

※ 歯科用チタンインプラントとは別の統計です。
5-3)純チタン冠の世界的な使用は非常に少ない
結論から言うと、「純チタン冠を一般的に、しかも積極的に使用している国は非常に少ない」です。
ほとんどの国では、「インプラント体や義歯フレーム、インフラ構造物(コーピング)」にはチタンが使用されますが、単独クラウン(チタンクラウン)としての使用は限定的です。
ただこれは、「有害だから」ではなく
「加工に難があるのに、わざわざ純チタンを導入する必要ないよね」
「設備投資して作るのが銀色のチタン冠?白いジルコニアで十分だよね」
という感じです。
背景に、「日本は保険で使用する金銀パラジウム合金の代替金属がどうしても必要」という事情があり、
日本以外の国には金銀パラジウム合金は普及しておらず、最初からセラミックやジルコニアが普及していた、という事情があります。

6. 世界最古の歯科用金属で現在も王者、ゴールド
「錆びない。体に優しい。柔らかさもあって扱いも楽。壊れない。そんな材料は存在するのか?」と言われたら、存在します。金です。
昔から使われており、安定性も高く、とても良い材料です。
6-1)歯科用金属としての金の歴史

世界最古にして、現在も最高の歯科用金属、それが金です。
6-2)歯科用金属としての金の特徴
加工性: 非常に高く、鋳造・研磨・適合性に優れる
耐久性: 長期的に安定し、破損・腐食しにくい
生体親和性: アレルギーリスクが低く、安全性が高い
虫歯の再発: 全ての歯科材料の中で最も起こしにくい
審美性: 目立つ
コスト: 高い
非常によい歯科材料ではありますが、「目立つ+高額」という大きな欠点があります。
特に価格面については、政情不安になって為替への信頼性が下がると、金相場は必ず上がってしまいます。

近年のあまりの相場の上昇に、ゴールドを選択する患者さんが「財テクの一種と思うわ」と冗談を仰るほどです。
7.現在の歯科用材料は「体に優しい」がキーワード
かつて歯科用材料として盛んに使用され、現在では使用量が減った材料の特徴の共通点は
以下の通りです。
長所:操作性、加工性が良い(歯医者が扱いやすい)
短所:科学的に安定性が低い(錆びやすさ、アレルギーの原因になる)
現在では「手間暇よりも、少しでも患者さんの体に良いものを」という価値観が、患者さんにとっても歯科医師にとっても、主流の考えになってきたと思います。
もう一つ言うと、
最も安く、安全で、一番良い材料は自分の自前の歯ですよ!
ぜひ、大事にメンテナンスしてくださいね♪
まとめ
いかがでしたか?
・現在の歯科材料は『体に優しい』が重視されるようになりました。
・金は最古の歯科用金属でありながら、現在でも最も高品質な歯科用金属です。
・最も安全で安価で高性能なのは自前の歯です!
最後までお読みくださり、ありがとうございました!
歯科レーザー治療のメリットと注意点とは?
2025年4月5日
こんにちは、つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科の歯科医師 藤東です。
今日は、歯科におけるレーザー治療についてお話しします。
レーザー治療は、虫歯や歯周病の治療、外科処置など、さまざまな場面で活用されている治療法です。
この記事では、レーザー治療の特徴やメリット、注意点 について詳しくご紹介します。

1. 歯科におけるレーザー治療とは?
レーザー治療は、特定の波長の光を利用して、組織を切開・蒸散・凝固する技術 です。
医科の分野では、皮膚科や眼科などでも使用されており、歯科でもさまざまな治療に応用されています。
主に以下のような治療に使われます。
✅ むし歯の治療(小さな虫歯を痛みなく削る)
✅ 歯周病の治療(歯ぐきの炎症を抑え、殺菌する)
✅ 口内炎の治療(痛みを和らげ、治りを早くする)
✅ 知覚過敏の緩和(歯がしみるのを抑える)
✅ 歯ぐきの黒ずみ除去(メラニン色素を除去し、ピンク色の歯ぐきにする)
✅ 根の治療の際の洗浄(蒸散作用を利用して泡の力で洗浄)
*ここでは当院で使用されているエルビウムヤグレーザーについて解説します。

2. レーザー治療のメリット
エルビウムヤグレーザーには、従来の治療方法と比べていくつかのメリットがあります。
2-1)痛みが少ない
レーザーは組織の水分を瞬時に蒸発させながら処置を行うため、神経を刺激しにくく、痛みが軽減されます。
麻酔が必要ない場合もあり、特に歯を削る音や振動が苦手な方に適した治療です。
2-2) 出血が少なく、治りが早い
・止血作用により出血を最小限に抑えられる
・殺菌効果により治療後の感染リスクが低い
・温熱効果によって傷の治りが早い
2-3) 知覚過敏の症状を抑えられる
軽度な知覚過敏に対しては、レーザーを当てることでしみる症状を抑えられる 可能性があります。
ただし、むし歯でしみる場合は削る治療が必要になるため、従来の削って詰める治療が必要です。
2-4) 歯ぐきの黒ずみを改善できる
メラニン色素が沈着して黒ずんだ歯ぐきに対して、レーザーを使用することでピンク色の健康的な歯ぐきを取り戻すことができます。

3. レーザー治療の注意点
レーザー治療には多くのメリットがありますが、すべての症例に適用できるわけではありません。
3-1)深いむし歯には適用できない
レーザーは初期のむし歯や小さな虫歯には有効ですが、象牙質に達したむし歯や神経に近い虫歯には従来の治療が必要になることもあります。
3-2) 保険適用外の治療もある
虫歯や口内炎、歯周病治療など、大半の場合には保険が適用されますが、歯ぐきの黒ずみ除去などは、自由診療(自費診療)となります。
3-3) 金属や詰め物には使用できない
レーザーの種類によっては、金属の詰め物や被せ物に影響を与える可能性 があるため、適用できないケースがあります。
治療前に歯科医師と相談しましょう。
3-4)時間がかかる
レーザーは照射範囲(レーザーの当たる部分)がとても小さく、従来のドリルのような器具に比べて削る力がとても弱いです。
小さな面積で光を当てていくため治療に時間がかかってしまいます。
虫歯治療でレーザーがあまり用いられない最大の理由です。
そのため、お子さんの治療にはあまり向きません(長時間、口を開けて我慢できないことが多いため)。

まとめ
いかがでしたか?
・歯科におけるレーザー治療は、痛みが少なく、出血や感染リスクを抑えられるなど、多くのメリットがあります。
・歯ぐきの治療、知覚過敏の緩和には特に有効です。
・多くの処置にレーザー治療は保険適応で使用できます。
・歯肉の黒ずみ除去は保険適応外になります。
つぼい歯科クリニックではレーザー治療を受けることが可能です。
レーザー治療が気になる方は、お気軽にお尋ねください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
歯科治療と接着性レジンセメントに求められる性質
2025年3月24日
こんにちは!岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 吉村剛です。
今回も歯科材料分野のブログ 第二弾、歯の被せ物の材料と接着セメントについてのお話です。
まだご覧になっていない人はこちらの記事もどうぞ
第一弾 詰め物を歯にひっつける「接着」と、なるべく削らない歯科治療:MI(ミニマルインターベンション)
https://tsuboidental.com/blogs/archives/7032
1. 歴史的な歯の美意識の変化
時と共に、歯の美意識も変わってきました。
大昔、日本の既婚女性の歯はお歯黒というもので黒く染められていました。
この黒は鉄成分で虫歯予防効果や、虫歯を目立たせない効果がありました。

40年ぐらい前になると時代はバブルです。
わざわざ歯を金に置き換えて闇にキラッと光る歯が、お金持ちの象徴とされました。
昔のミュージシャンの動画とか見ると、金歯よく見ます。
平成時代に入ると、時代は真っ白な歯です。
スポーツ選手や芸能人の歯は紙のような白さの歯をめざし、1995年には「芸能人は歯が命」というキャッチコピーが、流行語大賞にも選ばれました。
一本だけ白くしても逆に目立つので、全体のトーンを合わせることが一般的になりました。
令和の現在はそこから変わって、ナチュラルな歯の色が一般的です。
ただし、昔と比べ明らかに全体的に明るい色が好まれるようになり、特に全体のトーン、バランスがとれていることが求められるようになりました。
歯のホワイトニングをする人も、かなり増えました。
ということで、現在の歯の被せ物の材料は、透明感がありながらも、天然の歯の色調を表現できることが重要になりました。
2.現代の歯の詰め物・被せ物の材質

左:ジルコニア冠(クラウン) 右:エステティックジルコニア冠(クラウン)
上の写真はどちらもジルコニアという、見た目が綺麗な被せ物の材料でできています。
左右の画像を見比べてみてください。
右の方は歯の尖端に半透明の部分があります。
天然の歯も、一番外側は半透明なので、より天然の歯に近い見た目になっています。
現代の「審美補綴物(しんびほてつぶつ)」見た目が綺麗とされる材料は多種あるのですが、代表的なものが上の写真のジルコニアを含めたセラミックです。
このセラミックにも、いろいろな種類がありますし、なんならメーカーごと、製品ごとに違いがあります。
基本的にセラミックはお皿などの陶材から進化した材料です。
硬く、白く綺麗で、歯に近い透明感があり、患者さんからはもっとも人気が高い素材の一つです。
代表的な材料と天然の歯、保険の銀との物性の比較は下記の通りです。

弾性率:大きいほど柔軟性がある
曲げ強さ:大きいほど丈夫
圧縮強さ:大きいほど丈夫
モース硬度:大きいほど硬く耐摩耗性がある
破壊靭性:大きいほど亀裂が出来たときに割れにくい
実はセラミックは天然の歯より、柔軟で丈夫で摩耗に強いのです。
ジルコニアは陶器のような見た目なのに金属より柔軟性があり、耐摩耗性が高いため、しっかり鏡面研磨すればジルコニア冠もお向かいの天然の歯も、摩耗しにくいと言われています。
3.昔はセラミックを歯に直接、接合させることができなかった。
いかにセラミックが優れた柔軟性や丈夫さを獲得しても、人の体重とほぼ等しいという圧力を日常的に受ける歯に、1㎜程度の薄さで被せるとなると、耐久性の問題が発生してしまうのです。
歯と完全に一体化できるならば、天然の歯と等しい性能を発揮できます。
しかし、歯とセラミックの間に「歯科用セメント」の層が入ることにより、その性能を発揮できない時代が長くありました。
硬いものと硬いものをセメントで張り付けたものに、力をかければどうなるでしょう?
セメントの接着強度が低ければ、いかに優れた材料であっても、接合面が壊れてしまいます。
セラミックが天然の歯よりも物性に優れているのに、天然の歯より割れやすいのは、この「接合面が弱い」問題があるからです。
逆に天然の歯は「最初から一塊で継ぎ目がない」からこそ、割れにくいのです。
・「接着性レジンセメント」登場前の、セラミックの問題点

セラミック(実は天然の歯も)は、曲げ強くて強度があっても、一定以上の強い力がかかって一部に小さなヒビが入ってしまうと、ヒビが全体に広がって割れてしまいます。
これを脆性破壊と言います。
お茶碗がひび割れるイメージです。
一方で、金属は薄くても、針金のように曲がる性質(延性と塑性)があるので、強い力がかかっても、強い力がかかった部分が歪むことで力を分散し、全体にはひび割れない性質があります。
こうした理由から、セメントの性能が低く歯と被せ物が一体化できない時代は、セラミック単独の被せ物は存在しませんでした。
昔のセラミックの被せ物は、金属の内冠にセラミックを張り付けた陶材焼き付け鋳造冠(メタルボンド)しかなく、20年前は「綺麗な被せ物」というと、これを指しました。

陶材焼き付け鋳造冠(メタルボンド)
今はあまり人気がない被せ物です
4.接着性セメントの登場が「オールセラミック」時代を作った
接着性レジンの発明により状況が変わりました。
セラミックを歯の表面に強固にくっつけることができるようになったのです。
そして初めて、セラミックの「歯に近い透明感・白さ」「歯に近い弾性率」の特徴を生かせるようになりました。
こうして、現在では自由診療の被せ物といえばオールセラミックという時代になりました。
セラミックだけではありません。
保険のCAD/CAM冠(セラミックの粒子を樹脂で固めた白い被せ物、保険の白い冠)はセラミック以上に歯の接着しにくい材質として知られていますが、接着性セメントの進化によって、現在では脱離の問題はずいぶん少なくなっています。

e-MAX冠(ファインセラミック製)
5.金属 VS オールセラミック
接着性レジンセメントの登場で、現代の歯科治療はまさに「脱金属時代」という様相です。
皆さん、白くて綺麗な方が良いっておっしゃいますからね。
ただ、金属もセラミックも、それぞれメリット・デメリットがあります。
そしてそのメリットとデメリットは裏表の特徴であるともいえます。
・金属は強い力がかかっても歪むことで力を分散するため、割れにくい
↔ 金属は中に虫歯ができても外れないため、虫歯の発見が遅れる、虫歯になりやすい。
・セラミックは強い力がかかると脆性破壊が起きる
↔ セラミックは少しでも詰め物の状態が悪くなったら外れることで、セラミックの下は虫歯に非常になりにくい
・金属は塑性変形するため、薄い被せ物でも割れにくい
↔ 金属は科学的・物理的に不安定で摩耗や金属イオンの放出、硫化銀の形成などが起きる。
長期安定性が低く、アレルギーや変色の原因になる。
・セラミックは変形しないため、被せ物にはある程度の厚みが必要
↔ セラミックは科学的・物理的に安定で、アレルギーや変色を起こさない。
・セラミックは歯にしっかりと接着しないと取れやすい。
防湿やタンパク除去などの前処置をしっかりする必要がある。
樹脂含侵層を作るためのプライマー処理が必須。
↔ 少しでも接着が甘い部分があれば外れるので、中に虫歯ができにくい。
樹脂を歯にしみこませた「樹脂含侵層」は虫歯になりにくくなる。
・金属は弱い接着でもとれにくい。
防湿やタンパク除去をちゃんとしなくても歯につく
↔ プライマー処理はされないことが多い。
タンパク除去処理、防湿が不十分なまま歯に装着されると、虫歯の原因になる。

*金(ゴールド 18K以上)は、他の金属とは異なり、虫歯になりやすい、化学的に不安定、変色を引き起こすというデメリットがありません。アレルギーに対しても、他金属と比較すると起こしにくいです。
金属の延性や塑性変化の性質を持ちながらも、最も虫歯になりにくい歯科材料の一つです。
このように、セラミックにも金属にも長所と短所がそれぞれあります。
私たち歯科医師は、まずは患者さんの価値観をまずはしっかり聞かせていただいて、お口の状態を見て、医学的にできること・できないことをすり合わせていくことで、患者さんお一人お一人に合わせた治療計画を立案させていただくことが大事だと思っています。
まとめ
いかがでしたか?
・歯に関する美しさの常識は時代と共に変化しています。
・セラミックは接着性セメントの進化により、適応範囲が広がりました。
・歯科材料は進化していますがそれぞれメリット、デメリットがあります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
歯並びが治れば滑舌が改善する!?~滑舌と歯並びの関係~
2024年9月19日
歯並びと滑舌の関係
1. はじめに
こんにちは、つぼい歯科クリニックの院長 坪井です。
お子さんの滑舌が悪いことで悩んでいるお母さま方へ、今回は歯並びと滑舌の関係についてお話しします。
現代のお子さんの多くが、口唇や舌を正しく使えていないと言われています。
一般的に3割程度のお子さんが、舌や口唇を上手に動かすことが苦手な「口腔機能発達不全症」と言われていますが、小児歯科の臨床に携わる歯科医師の体感としては3割どころではなく、5~7割と感じています。
- 滑舌が悪い
- 舌の可動域が小さい
- 舌を挙上するのが苦手
- 風船を膨らますことができない
- 蝋燭を吹き消せない
- 普段から口が開いている
- 食事がとても時間がかかる
今回は、こうした「小児口腔機能発達不全症」の症状のうち、滑舌と歯並びの関係に焦点を当ててお話しようと思います。
2. 子供の滑舌と歯並び
歯並びが滑舌に与える影響は非常に大きいです。
歯の位置がずれていると、舌が正しい位置に動かず、発音が難しくなります。
例えば、歯並びの横幅が狭く、口蓋(上顎のお椀のような形態)が深い場合、舌を上に持ち上げて上顎に触れさせることが難しくなることがあります。すると「タ行」の発音が難しくなることがあります。
また、上の前歯が前に出っ歯となっていて、下の前歯との距離が大きく空いている場合、舌を上の前歯に擦って音を出す「サ行」が言いにくくなることもあります。
滑舌が悪いと、友達とのコミュニケーションに支障をきたしたり、コンプレックスになったりすることがあるため、可能ならば低年齢のうちに改善したいところです。
3. 歯列矯正の効果
横幅が狭く出っ歯型の歯並びと、正常な歯並びを見比べてみましょう。

横幅が狭く、出っ歯型の歯並び

正常な歯並び
横幅が狭くなってしまった場合、上顎が深くなってしまい、舌を当てるのが難しくなってしまいます。
こうして舌を正常に動かすことが難しい場合、ちょっと籠ったような発音になることが多いです(口蓋化構音)。
歯列矯正治療では前歯を引っ込めたり、(10歳以下の小児の場合は)急速拡大装置と呼ばれる、上顎の横幅をしっかり広げる治療などで、構音が難しくなってしまう原因を治療することができます。

急速拡大装置
4. MFTや言語聴覚士によるトレーニングの併用
歯列矯正だけでなく、筋機能療法(MFT)や言語聴覚士によるトレーニングも有効です。
当院は、口腔機能発達不全症のお子様が矯正治療を行う場合、ほぼMFTも併用しています。
*ただし、お子様の年齢が10歳以上の場合で治療効果が薄いと判断した場合は、ご自宅での簡単なトレーニングの指導のみとさせていただいています。
MFTについては、こちらの記事もご覧ください。
参考リンク:お口の機能発達は10歳までが勝負!
参考リンク:当院のMFTの様子(インスタグラム)
*インスタグラムは音がでますのでご注意ください
5. まとめ
いかがでしたか?
・滑舌と悪い歯並びには関係があり、歯並びを治すことで滑舌が改善することがあります。
・特に「タ行」「サ行」で特に改善が見られます。
・MFTや言語聴覚士によるトレーニングを併用した方が効果的です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
矯正治療は何歳から始めるのが一番良い?
2024年9月3日
矯正治療は何歳から始めるのが一番良い?

こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井文です。
今日は「矯正治療は何歳から始めるのが一番良い?」という話題です。
当院には、2~3歳のお子様から、60代くらいまでの方が矯正治療に通院されています。
大人になってからでも、多くの場合は治療可能です。
しかし、悪い歯並びは子供のうちに治してしまう方がメリットが大きいのも、事実です。
1)小児矯正の重要性
まず、小児矯正についてお話ししましょう。
10歳前後までの時期が対象の小児矯正を行う理由は、成長期を利用して顎の骨を正しい位置に導くことができるからです。
この時期に矯正を行うことで、将来的に抜歯を避けることができる場合もあります。
小児矯正の詳細については、別の記事で詳しく書いていますので、ご興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。
★参考リンク★
成長を利用して治す小児矯正で「非抜歯矯正」!
2)小児矯正のデメリット
一方で、小児矯正にはデメリットも存在します。
例えば、治療期間が長くなることや、装置の管理が難しいことがあります。
また、子供自身が治療に対して積極的でない場合、治療がうまく進まないこともあります。
3)12~13歳以上の矯正治療
では、小児矯正の時期を逃してしまった12~13歳以上の方の場合はどうでしょうか?
人間の頭蓋は10歳前後で成長をほぼ終えるので、「矯正治療で顎を育てることができる」時期は終わっています。
しかし実は、「顎を育てる時期が終わっている12~13歳」でも、早めに治療した方が良い理由があるんです。
今回は、その理由を5つご紹介します。
4)早めに歯列矯正を行うことのメリット
4-1)治療期間が短い・歯が良く動く
思春期の成長期にある12~13歳の段階では、骨や歯が柔らかく、治療に対する反応が良いです。
この時期に矯正治療を開始することで、治療期間を短縮し、歯の動きを促進することが期待できます。
4-2)痛み・違和感が少ない
若い時期に治療を始めると、歯や口腔の状態がまだ柔らかいため、痛みや違和感が少なく、患者が治療に対して快適に適応できます。
4-3)社会生活への影響が小さい
思春期は学業や友情など、社会的な関係が形成される時期です。
この時期に治療を始めると、社会生活への影響が少なく、同世代との交流や自己表現がしやすくなります。
成人後に治療を始めると、仕事や社会生活において制約を受ける可能性があります。
特に飲食業や営業など、外見や口元が重要な職業に従事する場合、治療が難しくなることがあります。
4-4)加速矯正を行える
近年では加速矯正技術が進歩しており、治療期間をより短縮することが可能です。
思春期に始めることで、このような新しい技術を駆使し、より迅速かつ効果的な治療が行えます。
4-5)高校デビュー・大学デビュー・社会人デビューの時には綺麗な歯並びでいられる
思春期に治療を終えると、高校や大学、社会人としての新たなステージに綺麗な歯並びで臨むことができます。
「失った時間は取り戻せない」ため、思春期に治療を受けることで、将来の自分に自信を持って臨むことができます。
5)私の体験談:思春期の思い出を変える矯正治療
5-1)私の生まれつきの歯並びの問題
私は生まれつき、上の2番目の前歯が2本生えていました。
本来1本のところに2本生えているため、その部分の歯並びが乱れていました。
小学生2年生のころ、母に連れられて矯正相談に行ったことを覚えています。
母は矯正治療が保険適用外であることから、治療を受けさせるべきかどうか、非常に悩んでいました。
母は私に「文ちゃん、歯並び、気になる?治したい?」と尋ねました。
当時の私は小学2年生で、外見や歯並びについて何も気にしていない年齢でしたので、
「全然!このままでいいよ!」と答えました。
母が、ホッとした表情をしたのを、よく覚えています。
5-2)思春期の変化
しかし、思春期に入ると外見がそれなりに気になるようになりました。
笑ったときに上の前歯の歯並びが乱れていることがコンプレックスとなって、口元を隠すことが増えました。
小学生のころは、歯を見せて笑っている写真が多く残っていますが、中学生~高校生の頃の写真では、歯を見せて笑っている写真はほとんどありません。
5-3)矯正治療の決断
大学生になった私は矯正治療を受けたいと、強く思うようになりました。
毎日鏡で自分の顔を見るたび、歯並びが気になる…と思うのを辛く感じるようになっていましたし、
歯磨きを頑張っても、歯並びが乱れて歯が重なっている部分には虫歯ができてしまいました。
両親も私の気持ちを汲んで、
「もっと早くに矯正させてあげたら良かった」
と言ってくれて、晴れて歯並びを治療を受けることが出来ました。
5-4)もっと早くにしておけば良かった
治療が終わったとき、私は自分の笑顔に自信を持てるようになりました。
ただ、矯正治療をする前に虫歯になってしまった歯は元には戻りませんし、
口元を隠して過ごした思春期の時間も戻りません。
矯正治療は何歳からでもできますが、どうせやるなら、確かに早めが良かったなと個人的には思っています。
6)矯正治療を考えている方へ
矯正治療は何歳からでも始められます。
しかし、矯正をされる方の多くが、子供か、若い方です。
「どうせやるなら早いうちに始める方が、メリットが大きい」からです。
小児期から始めれば、抜歯を回避できる可能性が高くなり、
思春期から始めれば、治療期間を短縮し、痛みや違和感を軽減することができます。
大学時代から始めれば、社会生活への影響も少なく、将来の自分に自信を持つことができます。
迷っていらっしゃる方は、当院でも無料矯正相談会を毎月開催しておりますので、よろしければ一度相談に知らしてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
・矯正治療は何歳からでも始めることができますが、早めに始めることで多くのメリットがあります。
・治療期間が短縮されます。
・痛みや違和感が軽減されます。
・社会生活への影響が少ないです。
・将来の自分に自信を持つことができます。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
インビザラインのアライナー(マウスピース)の交換頻度は「7日」が基本
2024年3月5日
インビザラインのアライナー(マウスピース)の交換頻度は「7日」が基本
~4日・5日・7日・10日のバリエーションと、その理由~

インビザライン(Invisalign)は、歯列矯正を行う際に用いられる透明なマウスピース型の装置です。
従来の矯正装置であるブラケットやワイヤーと比べて目立たず、日常生活に支障をきたしにくいという利点があります。
インビザライン矯正の特徴については、こちらの記事もぜひお読みください。
参考リンク:マウスピース型矯正とワイヤー矯正の違いとは?
参考リンク:インビザライン矯正の魅力 便宜抜歯を回避できる
アライナー(マウスピース)を使用した矯正治療は、患者さんにとって利便性が高いため、とても人気です。
アライナーを効果的に使用するためには、適切な頻度でアライナーを交換することが重要です。
今回は、インビザライン矯正に関する「よくある疑問」として、アライナーの交換頻度について解説します。
1)アライナー(マウスピース)の交換頻度の基本は7日
一般的に、アライナーの交換頻度は7日間を基準としています。
7日交換の場合、4日間使用して歯を動かし、その後3日間は装着したまま歯を安定させるための期間として機能します。このサイクルを繰り返すことで、徐々に歯並びを整えていきます。
2)加速装置を用いて4~5日交換にできることも!
矯正加速装置は、アライナーを使用する際に歯をより速く動かすための装置です。
症例によっては、この装置を用いて4~5日で交換できることもあります。
矯正加速装置は元はインプラントが顎骨と早く結合させるために開発された機械で、骨のリモデリング(吸収と再生)を特殊な光や振動で活性化させます。
この装置を用いて4日交換で40代の方の矯正治療ができたという症例報告もあります。
ただし、若年者と比べて、30代以上の方はやはり歯が動く速度が遅くなる傾向があり、当院では30歳以上の方にはあまりおススメしておりません。
*30歳以上の方でも、7日交換で使用していただくことは良くあります。
*4日交換できなくても、加速装置を用いることでアライナーの浮き上がりなどが減った結果、トータルの治療期間が短くなることは多いです。
3)症例によっては10日交換となることもある
症例によっては歯をゆっくりと動かした方が良い場合もあります。
そのような場合は、アライナーの交換頻度を10日間に1回に設定することもあります。
以下は、10日交換となる可能性が高い症例の特徴です。
3-1)大きな歯の移動が必要な場合
歯並びを大幅に変える必要がある場合、ゆっくりとした動きが歯を過度に負担から守る必要があることがあります。
3-2)歯の傾きや回転が多い場合
特に、歯肉退縮しやすい症例(前歯をわずかに唇側に拡大しなければならない症例など)で、歯の元の傾きが大きい場合はゆっくり歯を動かす必要があることがあります。
3-3)歯茎や歯槽骨の健康状態が悪い場合
歯茎や歯槽骨の状態が良くない場合、ゆっくりとした動きをすることで、歯を健康に保ちながら歯列を改善することがあります。
これはあくまで当院の話ではありますが、10代~30代の方で10日交換をすることはほぼありません。
4)それ以外に交換頻度が変わることはある?
インビザラインなどのアライナー矯正では、IPR(歯と歯の間をわずかにトリミングすること)を行うタイミングが決まっています。
また、アタッチメントという、歯と同じ色の装置を歯に接着して歯を動かすのですが、何枚目でこのアタッチメントを新たに付ける、というタイミングも最初から決まっています。
この「タイミング」は「アライナー●枚目に交換する前」というタイミングです。
*何枚目でIPRやアタッチメント装着するかは、症例により異なります。
ただ、そのタイミングきっちりに歯医者さんに受診できるかというと…
・通院できるのは土曜だけ
・平日は18時以降しか通院できない
となると、IPRやアタッチメント装着のタイミングの前でアライナー交換が出来ずに、結果として交換頻度が下がってしまうことがあります。
ただ、アライナー矯正は始めた日から全日程が決まっている治療でもあります。
数回先の予定を確認して、複数回の予約をとったり、受診予定日のスケジュール管理をしっかりすることで、7日交換を維持することが出来ます。
IPRの頻度が多い症例の場合、こうした「受診スケジュールの管理」が治療期間を大きく左右することもあるんです。
アライナー矯正は「スケジュール管理」で結果的に治療期間を短くすることができるんです。
5)まとめ
いかがでしたか?
・アライナーの交換頻度は7日が基本です。
・加速装置を用いることで4~5日交換に出来ることもあります。
・症例によっては10日交換となることもあります。
・スケジュール管理をしっかり行うことで、矯正治療を早く終えることができます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
インビザライン矯正のよくある「後悔」と、そのリカバー法
2024年2月20日
インビザライン矯正のよくある「後悔」と、そのリカバー法
こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井です。
今日は「インビザライン矯正をやってみて後悔したこと」をご紹介しようと思います。
よくある後悔と、それに対する対策もありますから、ぜひ最後までお読みくださいね!
1)インビザライン(Invisalign)矯正の特徴
透明なプラスチック製のマウスピース(アライナー)を使って歯並びを調整する方法です。
従来の矯正治療と異なり、歯に金属のワイヤーや複雑な形態の装置が付かない、
食事と歯磨きの際はマウスピースを外せることが特徴です。
インビザラインの利点(長所)
・治療中の見た目が良い
・矯正していることを気づかれないことも多い
・装置が外れたなどで急患受診しなければいけないことが少ない
・マウスピースを外して歯磨きできるので、衛生的
・マウスピースを外して食事ができるので、食事制限が無い
・奥歯を動かすので、抜歯を回避できることも多い
マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いについては
こちらでも解説しています。
マウスピース型矯正とワイヤー矯正の違いとは?
ぜひお読みくださいね✨
しかし、インビザラインがすべての面でワイヤー矯正より優れているというわけではありません。
マウスピース矯正特有の、課題・短所もあります。
以下では、よくある後悔について詳しく説明します。
2)インビザライン矯正の「よくある後悔」

2-1) マウスピースの使用時間が長い
インビザライン矯正において、マウスピースの使用時間は「1日20~22時間」。
使用時間が長いというより、食事と歯磨き中だけ外せるって感じです。
使っていない時間は、歯が動かない時間ではなく「歯が後戻りする時間」です。
それもそのはず、従来のワイヤー矯正は「そもそも自分では外せない」のですから、
外せない、装置が付いている状態が「矯正中の標準の状態」なんです。
それを「食事中と歯磨き中だけは外せるようになった、画期的な矯正法」がインビザラインです。
食事中と歯磨きの時に外せる=「装置が取れにくい」「食事制限が無い」「歯磨きがしやすい」
ですから、矯正中の不快感は非常に少なくなりますし、
装置が外れたことによって急患来院しなくてはいけない回数もかなり減らすことができました。
一方で「装置をサボることが出来てしまう」という欠点も生まれました。
「寝る時だけつけてれば良いんでしょ?」
「1日の半分以上使っていれば十分長い時間頑張ってると思う」
みたいな感じで使ってしまうと、歯は動きません。
インビザラインのよくある失敗談に「装着時間が足りない」というパターンがあります。
お仕事でお料理の味見や、会食の機会が多い方に、この失敗パターンが多い印象があります。
当院でも、料理人の方にはワイヤー矯正の方をおススメしたりしています。
★対処方法
・お仕事で味見などが多い職種の場合は、最初からワイヤー矯正にする。
・外食や会食の機会が多い場合も、何時間もだらだら食事せずに、出来る範囲で食べる時間をコンパクトにする。
・矯正加速装置を併用することで、治療期間そのものを短くする。
★矯正加速装置とは?
歯に振動や光を与えることで、歯の周囲の骨のリモデリング(骨の吸収と再生)を活発化させる装置です。
元はインプラントが骨に結合するのを加速させる目的で開発されました。
若年者の場合は、7日交換のマウスピースを、4日交換にできるほど、矯正が加速されます。
この装置を使えば、1日のマウスピースの使用時間が短くなるわけではありません。
しかし、治療期間を短くすることができますから、「この期間だけは頑張ろう」と予定を立てやすくなります。
2-2) 前歯が思うほど下がらなかった
インビザライン矯正は、前歯を傾斜移動させることで歯並びを整えるため、前歯を後ろに引っ込める量には限界があります。
とはいえ、4㎜程度(条件があえばもっと)は前歯を下げることが可能です。
また、下顎のかみ合わせを前に動かすことで、上下の前歯の差を減らすことで、7~8㎜前歯が引っ込んだように見えます。
ただ、それでもワイヤー矯正よりは歯の移動の自由度が低いというのも事実です。
ですから、インビザライン矯正を行う場合は事前に前歯を引っ込める量をシュミレーションで確認していただいてから、治療を開始することとなります。
当院でもシミュレーションを見た上で「もっと、前歯が下がりませんか?」とおっしゃる患者さんには、便宜抜歯(矯正治療のために歯を抜く)をしたり、より自由度が高いワイヤー矯正に切り替えたりして、患者さんが最終的に目指したいゴールへ到達できる治療方法を選択していただいています。
しかし、PCでシミュレーションを見たときは「こんなに前歯が引っ込むなんて、素敵!」と思ったのに、いざ、治療が進むと「もうちょっと前歯を下げたかった」と後悔してしまう方も稀にいます。
「シュミレーションを見たときは、このくらい治るなら、見た目の悪いワイヤー矯正より目立たないマウスピースが良いと思ったけれど、やっぱり、もっと前歯が下がるプランにしておけばよかった」
せっかく頑張ってきたのだから、後悔は無いようにしたいですよね。
大丈夫です。
対処方法はありますので安心してください。
★対処方法
・ワイヤー矯正(便宜抜歯あり)に切り替える
当院ではこうした場合、目指したいゴール(前歯をどれだけ下げたいか、など)について改めて相談の場を設け、ご希望があれば便宜抜歯(横の歯を間引いく)ありのワイヤー矯正への切り替えをさせていただいております。
3)まとめ
いかがでしたか?
インビザラインは沢山の長所がありますが、
・マウスピース装着時間が長い(20~22時間)こと
・前歯を引っ込めることができる量が、ワイヤー矯正と比べると小さい
という側面があります。
十分な説明やシミュレーションを見て検討した上で治療開始しても
「もっと●●なハズだった」という後悔してしまうことも、無いとは言い切れません。
最初から後悔が無い選択をすることが最も大事ではありますが、
もし「思っていたのと違う」と感じた場合は、当院ではワイヤー矯正への切り替えをおススメしています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
インビザライン矯正の魅力 便宜抜歯を回避できる
2024年1月4日
インビザライン矯正の魅力:便宜抜歯なしで歯並びが綺麗になる矯正治療

こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井です。
最近、歯並びの改善に興味を持っている方や矯正治療を検討している方にとって、歯を抜かずに歯並びを整える方法が注目されています。
その中でも、インビザラインに代表されるマウスピース矯正は便宜抜歯をしなくて済むことが多いという特徴があります。

インビザライン矯正で治っていく様子
写真はすべて、患者さまの同意と許可をいただいて使用しております。
上は、当院のインビザライン症例です。歯を抜かずに歯並びが綺麗になっていることが分かると思います。
これ、旧来のワイヤー矯正ですと抜歯して治す症例に該当します。
インビザラインでは、どうして従来では抜歯して治療する必要がある歯並びを、抜歯せずに治せるのでしょうか?
今回は、その理由について詳しくご説明します。
目次
1.インビザライン矯正とは?
2. 矯正治療のために抜歯する(便宜抜歯)場合
3.インビザライン矯正で便宜抜歯を回避できる理由
4.インビザラインで便宜抜歯する場合
5.まとめ
1.インビザライン矯正とは?
まず初めに、インビザライン矯正について簡単に説明します。
これは透明なマウスピースを用いて歯を移動させ、歯並びを整える方法です。
従来の矯正装置とは異なり、金属製のブラケットやワイヤーがなく、
目立たず快適に治療を進めることができるのが特徴です。
詳しく解説した記事があるので、こちらもご覧ください。
マウスピース矯正の種類(マウスピース矯正に値段の差があるのはどうして?)
マウスピース型矯正とワイヤー矯正の違いとは?
マウスピース型矯正の治療期間と回数の目安
2. 矯正治療のために抜歯する(便宜抜歯)場合
「便宜抜歯」は、健康な歯だけれども矯正治療を行うにあたり、必要があって歯を抜くことを指します。

歯並びがガタガタになったり、出っ歯になったりするには理由があります。
歯が並ぶことができるスペースに対して歯の幅が大きいと、スペース不足となります。
そうすると、歯が全体的に前にあふれると出っ歯に、重なって並ぶことでガタガタの歯並びになります。
そこで便宜抜歯で歯の数を減らすことで、歯が綺麗に並ぶことができるスペースを作るわけです。
しかし、多くの人は
「歯並びを綺麗にするために必要なら仕方ないけど
できれば便宜抜歯せずに歯並びが綺麗になったら嬉しい」
が本音だと思います。
3.インビザライン矯正で便宜抜歯を回避できる理由
ではなぜ、インビザライン矯正は便宜抜歯を回避することができるのでしょうか。
それは、以下の3つの方法でスペースを作るからです。
A. IPR(ディスキング)
*ワイヤー矯正でも行うことがあります
IPRは、ディスキングとも呼ばれ、歯と歯の間にわずかなスペースを作るための方法です。
専用器具を用いて0.2~0.6mm程度のスキマを歯と歯の間をトリミングします。
歯は通常、点接触で隣の歯と接触しているため、0.2~0.6㎜程度のトリミングでは、しみるようになったり歯周病になりやすくなったりはしないと言われています。
B. 歯の移動や回転
*ワイヤー矯正でも行うことがあります
奥歯(特に第一大臼歯)を少し回転させたり、
横の歯を外側に少し傾けたり、
前歯を内側に傾けたりすることで、
スペースをつくったり出っ歯を改善したりします。
C.奥歯を、奥の方に移動させる
*インビザラインが特に得意とする特徴です
インビザラインは奥歯をより奥に移動させてスペースを作ることが得意です。
もう一度、治療過程の動画をご覧ください。
奥歯が、奥に移動していることが分かると思います。

インビザライン矯正で治っていく様子
写真はすべて患者さまの同意と許可をいただいております。
通常のワイヤー矯正でも、アンカーインプラントを併用するなどすれば出来ないこともないのですが、難易度は高い方法になります。
(十代女性の場合はアンカーインプラントが安定しないことも多いです)
インビザラインでは、奥歯をより奥に移動させることが得意なので、歯を抜かずに歯並びを改善することができます。
4.インビザラインで便宜抜歯する場合
では、インビザラインでは抜歯は一切しないのかと言うとそうでもありません。
・親知らずは事前に抜歯することが多い
奥歯をより奥に移動させることでスペースを作る場合、親知らずが治療の邪魔になることがあります。
その場合は親知らずは先に抜歯を済ませます。
・歯の移動量がとても大きい場合は便宜抜歯することもある
奥歯を奥に移動させるだけでは歯並びを整えるだけのスペースを作れない場合は、便宜抜歯を行うこともあります。
5.まとめ
いかがでしたか?
1.インビザライン矯正は、マウスピースで歯を動かす矯正治療です。
2. インビザライン矯正では便宜抜歯をせずに済むことが多いです。
3.親知らずは事前に抜歯することが多いです。
4.歯の移動量が多い場合はインビザラインでも便宜抜歯をすることもあります。
インビザラインで便宜抜歯を行う場合については、また別の機会に詳しく解説します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
歯医者が勧める「ヤニや茶渋」対策3選!~つきにくい・優しく除去~
2023年12月27日
歯医者が勧める「ヤニや茶渋」対策3選!~つきにくい・優しく除去~
こんにちは、つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井です。
毎日の飲食習慣や、たばこなどで歯につく「ヤニ」や「茶渋」。
歯が茶色いと、せっかくのスマイルも輝きに欠けてしまいますよね。
しかし、台所用のメラミンスポンジで歯を擦るのも怖いな…と思う方も多いはず。
今回は安全かつ歯に優しく、ヤニや茶渋を綺麗にする方法についてお話したいと思います♪

目次
1.そもそも「ヤニ」「茶渋」=「ステイン」とは何なのか。
2.対策1:ステインが付着しにくい生活習慣を心がける
3.対策2:ステイン除去効率が高い口腔ケアグッズ
4.対策3:歯医者さんで除去する
5.おまけ:おススメしないステイン除去の方法
1.そもそも「ヤニ」「茶渋」=「ステイン」とは何なのか。
人の歯の表面には、ペリクル(Pellicle)という、唾液由来の薄い生体膜が付着しています。
この膜は、歯の再石灰化という、虫歯予防の機能をもつのですが、
外来色素を吸着しやすいという性質も持っています。
このペリクルに食物由来のタンニンや色素、たばこ由来のニコチン・タールなどが付着したものが「ステイン」です。
歯が着色する代表格の食品・嗜好品は、
・カレー
・コーヒー
・お茶(緑茶/紅茶/ウーロン茶など)
・ワイン
・煙タバコ
など。
これらはホワイトニングをした直後は避けてくださいと名指しするほど、よく着色します。
次点で
・ケチャップ
・キムチ
などが着色しやすいです。
「ヤニや茶渋対策」の最も手軽な方法に、こうした着色性食品・嗜好品を避けていただくという方法があります。
2.対策1:ステインが付着しにくい生活習慣を心がける
コーヒーやお茶をミネラルウォーターや炭酸水に、
ワインを焼酎に、
煙タバコを電子タバコに(本当は禁煙が一番のおススメですけれど)、
カレーは避けてもらう、
などです。
*コーヒーやお茶を、スポーツドリンクなどに変えてしまうと虫歯のリスクがUPします。
お水かフレーバーのついていない炭酸水がおススメです。
*焼酎は、実は数少ない「中性のお酒」で、虫歯になりにくいんですよ。
酸性の飲み物については、こちらの記事もご参照ください。
歯がへこむ!?虫歯じゃないのに歯が溶ける酸蝕症(さんしょくしょう)
他には、だらだらと口の中に着色性の食品を入れている時間が長い、なども歯に着色がしやすくなる原因となります。
仕事や勉強をしながら、デスクにはコーヒーやお茶…
喉が渇いてはちびちび飲む…
というのは、着色しやすい生活習慣と言えるでしょう。
ただ、生活習慣を改めるのって難しいですよね。
何を隠そう私自身、「お砂糖は入っていないお茶をだらだら飲む」生活習慣の持ち主であったりします。
一時期はステインを気にして、フレーバーの無い炭酸水を飲んでいた時期もあるのですが…
物足りないんですよね~
ですから、無理なく生活習慣を変えることが出来る人にはおススメですが、お茶やコーヒーを止めることができないという人には、次の方法「ついたステインを除去する」がおススメです✨
3.対策2:ステイン除去効率が高い口腔ケアグッズ
ついてしまったステインを、物理的・科学的に除去してしまうという作戦です。
今はステイン除去に特化した家庭用歯磨剤も多く発売されています。
「自宅でホワイトニング」「美容院・サロンでホワイトニング」と謳われている歯磨剤が、そのまま「自宅用のステイン除去特化の歯磨剤」です。
ちなみに「歯の漂白」=「歯の内部を白くする」のは歯科医院でしかできません。
自宅やサロン用の口腔ケア商品で言う「ホワイトニング」は、あくまで「ステイン除去」のことです。
自宅・サロンなどのホワイトニングについては、こちらの記事もご参考になさってくださいね。
ご自宅で出来るホワイトニングと、美容院やサロンのホワイトニング
自宅用のステイン除去の方法は
3-1)物理的にステインを除去する
3-2)科学的にステインが浮きやすくする
の2方法があります。
3-1)物理的にステインを除去する
ヤニやタンニンなどの硬いステイン除去に向いています。
研磨剤や研磨成分で歯を物理的に擦るので、歯の表面に細かな傷を作りやすいデメリットがあります。
歯科医院では、硬いステインの除去に荒研磨を行ったら、次は細かい研磨材で仕上げ研磨をして、歯の表面を滑沢にします。そうしないと、荒研磨でついた細かな傷に、またステインが付きやすくなるからです。
自宅で物理的にステインを除去する場合、荒研磨で終わってしまうのが問題です。
特にヤニ落としを謳う歯磨剤や、口腔用メラミンスポンジにはそのデメリットがあります。
口腔用メラミンスポンジを使うことのデメリット
キッチン用メラミンスポンジは製造過程で人体に有害なホルムアルデヒドを用います。
口腔用メラミンスポンジはホルムアルデヒドフリーで製造されたものです。
強固なヤニを落とす能力に優れていますが、歯の表面に細かな傷をつけてしまうデメリットも。
毎日使用するのではなく、特に汚れが強いけれども歯科医院には行けない…という時に限定して使用すると良いでしょう。
3-2)科学的にステインを除去する
厚く硬く付着したステインを除去する効果は低いですが、毎日使用でき、ステイン付着を予防する能力に優れています。
「洗浄剤」「着色除去剤」として
・ポリリン酸
・ポチエチレングリコール
・フィチン酸
・ピロリン酸
・ブルーポリミド
などが配合されたものです。
こうした「科学的にステイン除去」を謳う歯磨きペーストでも、研磨剤成分は配合されています。
代表的な「研磨剤」
・二酸化ケイ素
・リン酸カルシウム
・アルミニウム酸塩
・炭酸カルシウム
・酸化アルミニウム
・炭酸水素Na(重曹)
・ゼオライト(沸石)
・チャコール(木炭)
「研磨剤無配合」と名乗っている歯磨き粉でも、
「ゼオライトが入ってる」
「炭酸カルシウムって書いてある」
のようなことは多いです。
「歯に傷がつくのは嫌。歯に優しい歯みがき粉を使いたい」というニーズに応える商品ですが、
実際は入ってないわけではないんです。
粒子をとても細かくしたり、歯に細かな傷がつきにくくなるよう配慮して、
「研磨剤ではなく清掃剤」と言っている感じです。
完全に研磨剤・研磨類似成分が無配合だとステインがつきやすくなります。
また、粒子の細かい研磨剤は歯の表面を滑沢にすることで、ステインが付きにくくする効果もあります。
*ごくまれに本当に研磨材無配合の製品もあります。
GC社 MIペーストなどです。
こうした製品は「本製品はステイン除去の機能はありません」と説明書に書いてあります。
4.対策3:歯医者さんで除去する
歯科医院での口腔清掃には3つの意味があります。
・自分では見えない・気付かなかった部分を清掃する
・自分では取れない部分を清掃する(歯周ポケットの中など)
・自分では取れなくなったステインや歯石を除去する
歯科衛生士や歯科医師は、口腔内の状況を見て、
必要な研磨剤や薬剤、器具を用いて徹底的に歯面清掃を行うことができます。
これをPMTC(プロフェッショナル メカニカル ティース クリーニング)と言います。
歯科医院でのPMTCに使う研磨剤は、
ジャリジャリするくらい粒子が大きいものから、
ナノ粒子のもの、
研磨剤完全無配合のものまで、
複数種類を取り揃えて、患者さんの歯の状態に
適したものを選んで使用しています。
粒子の大きな研磨剤はステイン除去効果が高いですが、エナメル質への負荷も高いです。
それでも粒子の大きな研磨剤を使わないとステイン除去できない場合は使用しますが、研磨により歯の表面についた細かな傷を滑沢にするために、粒子の細かい研磨剤で仕上げ研磨を行います。
そして、何度も粒子の大きな研磨剤を使わなくて済むように、
・来院間隔を短めにする
・ステインが付着しにくい飲食習慣の案内
・ステイン除去効果が高い歯磨剤の使用
など、対策をおススメしています。
研磨剤の入っていない歯磨剤はエナメル質への負担が少ないです。
しかし、ステイン除去効果はほとんど期待できません。
薬効成分のみで十分な場合には、こちらを用います。
また、歯科医院にもよりますが「エアーフロー」という、風の力で研磨剤を歯に吹き付けて、ステインや汚れを除去する機械もあります。
歯と歯のスキマなど、研磨器具がなかなか届かない部分をスピーディに綺麗にする効果がありまます。
当院では「エリスリトール」というトウモロコシ由来の人工甘味料の一種(虫歯はつくりません)を歯に吹き付けて、ステインを除去しています。
エリスリトールは非常に柔らかく、歯に傷をつけずにステイン除去ができるので、当院の衛生士も気に入って使っています。
5.おまけ:おススメしないステイン除去の方法
おススメしないというか、避けていただきたいのは
「歯科専門職ではない人が、安物の歯石・ステイン除去のツールでステインを除去すること」
よろしければこちらの記事もご覧ください。
家庭用超音波スケーラーは歯をかえって傷つけてしまう危険性がある
H29年に上記の記事を書いたときには、家庭用超音波スケーラーと銘打たれた器具は
2万円程度の価格帯であったようですが、今、Amazonや楽天を確認たら
2000~4000円帯で無数にありますね…。
超音波歯ブラシのブラシをスケーラーチップという金属製パーツに交換しただけの、安直な商品ばかりです。
この器具で、歯を傷つけずに歯石やステインを除去することは、おそらく不可能だと思います。
超音波振動した鋭利な金属を、無注水で歯に当てる。
振動で確かに汚れは落ちるでしょうが、摩擦によって歯が傷つかないはずがありません。
使えは必ず体を傷つけてしまう器具が、良さそうな売り文句で販売されていることが残念です。
この記事をお読みくださった方は、ご使用にならないようにお願いします。
まとめ
いかがでしたか?
・ステインはタンニンや色素の強い食品、煙たばこなどで付着します。
・ステインがつきにくい生活習慣を意識する、ついてしまったら除去することで、白い歯を維持できます。
・優れたステイン除去の口腔ケア用品があるので、おススメです。
・歯医者さんで除去するのもおススメです。
・家庭用超音波スケーラーは歯を傷つけるので使わないようにしてください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!