歯科のレーザー治療ってどんなことをしているの?
2022年4月28日
歯科のレーザー治療ってどんなことをしているの?
~音が小さい、痛みが少ない、治癒が早い歯科治療を実現するレーザー治療とは~
こんにちは、つぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
つぼい歯科クリニックではレーザー設備を導入しております。
お子さんの治療でも使うこともあるのですが、従来の治療法と比較して痛みが少なかったり、治癒が早いなど、良い特徴をたくさん持っています。
回は小児歯科範囲が中心ですが、レーザーを用いた治療について解説してみようと思います。
レーザー治療のメカニズム
レーザー治療とは、強い力を持った特殊な光を患部に照射して行う治療です。
組織に吸収された光が熱エネルギーに変化し、分子構造を破壊や変化して患部に作用し、治療効果をもたらします。
かなり強い力で照射した場合、レーザーはそれこそレーザービームとして、皮膚など組織切開や、時間はかかりますが虫歯部分の処置(切削ではなくて蒸散:散らして病原性をなくす)ことができます。
一方で、弱めの力で照射した場合や切開部位の周囲では、温熱・光線作用が働き、止血効果や、細胞の活性化、殺菌作用が期待できます。
人体に作用する治療法には、外科的な方法や、薬物などの内科的な方法だけでなく、温熱、光線などを用いた方法が昔から存在しました。
レーザー治療は温熱・光線療法の良いとこ取りしたような治療法であるといえます。
2)小児歯科でのレーザー治療
①小帯などの切除
小帯が歯並びの悪化の原因(空隙歯列など)の場合、上唇小帯や舌小帯などの筋を切った方がいい場合があります。
レーザーで切開すれば、出血や縫合する量が減らすことが可能で、通常の治療法よりも治癒も早くなります。
②歯を折ってしまった場合
転倒などの事故で歯を折ってしまった場合、神経が少し出てしまっている場合があります。
根が未完成の場合、神経の処置を大きく行うことは勧められません(状況によりますが)。
このような場合にレーザーを用いると、止血効果、殺菌効果、鎮静効果が期待できます。
③根未完成な歯の根の治療
外傷や虫歯の治療の結果、不幸にも、根が未完成にもかかわらず、痛めてしまう場合があります。
一般的に根未完成の治療は直りが悪く、痛みが出やすいです。
その理由は悪い部分は取り除く必要があるが、取りすぎると根周囲の根を完成させる細胞にダメージを与え、そこに細菌が増殖しやすいためです。
お互いが関係しているため、なかなかバランスが取れません。
そこにレーザーを用いると、治癒力が期待できるため、あまり触りすぎずに治せる可能性があります。
④小さな虫歯やしみる部分の処置
乳歯や生えたての幼若永久歯は、完成した永久歯と違って、タンパク成分が多く含まれます。
そのため、歯の象牙細管内での変動が起きやすく、しみたりしやすいです。
また、歯が柔らかいため、虫歯の進行が早いという特徴があります。
そういう部分でタンパク成分を変性させて固定化し、治癒効果を向上させるためにもレーザーは向いています。
子どもにレーザー治療をすると、大人よりも痛みが強く出てしまうケースもある
お子さんの治癒力はかなり驚くべきものがありますが、体がその許容量を超えた場合、一般的に炎症や痛みは大人よりも強く出るという特徴があります。
そのため、炎症や痛みの対策は、可能な限りの工夫や処置が必要です。
レーザーは、通常の器具で虫歯を削るよりも時間がかかかることや、スムーズに削れるわけではないなど、欠点が無いわけではありません。
しかし、メリットも多いため、レーザーを使用した方が良い症例では積極的に取り入れています。
まとめ
- レーザーを用いた治療では、外科的な処置と光線・温熱療法を組み合わせたようなことが可能となり、止血効果、殺菌効果、鎮静効果などが期待できます。
- 小児歯科領域では、外科的な処置、根未完成な歯の処置など適応範囲が多いです。
- 時間がかかるとか、歯など硬組織には適応がやや難しく、なかなか削れないなどのデメリットもありますが、治療においてよい効果が期待できます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。