歯医者が勧める「ヤニや茶渋」対策3選!~つきにくい・優しく除去~
2023年12月27日
歯医者が勧める「ヤニや茶渋」対策3選!~つきにくい・優しく除去~
こんにちは、つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井です。
毎日の飲食習慣や、たばこなどで歯につく「ヤニ」や「茶渋」。
歯が茶色いと、せっかくのスマイルも輝きに欠けてしまいますよね。
しかし、台所用のメラミンスポンジで歯を擦るのも怖いな…と思う方も多いはず。
今回は安全かつ歯に優しく、ヤニや茶渋を綺麗にする方法についてお話したいと思います♪
目次
1.そもそも「ヤニ」「茶渋」=「ステイン」とは何なのか。
2.対策1:ステインが付着しにくい生活習慣を心がける
3.対策2:ステイン除去効率が高い口腔ケアグッズ
4.対策3:歯医者さんで除去する
5.おまけ:おススメしないステイン除去の方法
1.そもそも「ヤニ」「茶渋」=「ステイン」とは何なのか。
人の歯の表面には、ペリクル(Pellicle)という、唾液由来の薄い生体膜が付着しています。
この膜は、歯の再石灰化という、虫歯予防の機能をもつのですが、
外来色素を吸着しやすいという性質も持っています。
このペリクルに食物由来のタンニンや色素、たばこ由来のニコチン・タールなどが付着したものが「ステイン」です。
歯が着色する代表格の食品・嗜好品は、
・カレー
・コーヒー
・お茶(緑茶/紅茶/ウーロン茶など)
・ワイン
・煙タバコ
など。
これらはホワイトニングをした直後は避けてくださいと名指しするほど、よく着色します。
次点で
・ケチャップ
・キムチ
などが着色しやすいです。
「ヤニや茶渋対策」の最も手軽な方法に、こうした着色性食品・嗜好品を避けていただくという方法があります。
2.対策1:ステインが付着しにくい生活習慣を心がける
コーヒーやお茶をミネラルウォーターや炭酸水に、
ワインを焼酎に、
煙タバコを電子タバコに(本当は禁煙が一番のおススメですけれど)、
カレーは避けてもらう、
などです。
*コーヒーやお茶を、スポーツドリンクなどに変えてしまうと虫歯のリスクがUPします。
お水かフレーバーのついていない炭酸水がおススメです。
*焼酎は、実は数少ない「中性のお酒」で、虫歯になりにくいんですよ。
酸性の飲み物については、こちらの記事もご参照ください。
歯がへこむ!?虫歯じゃないのに歯が溶ける酸蝕症(さんしょくしょう)
他には、だらだらと口の中に着色性の食品を入れている時間が長い、なども歯に着色がしやすくなる原因となります。
仕事や勉強をしながら、デスクにはコーヒーやお茶…
喉が渇いてはちびちび飲む…
というのは、着色しやすい生活習慣と言えるでしょう。
ただ、生活習慣を改めるのって難しいですよね。
何を隠そう私自身、「お砂糖は入っていないお茶をだらだら飲む」生活習慣の持ち主であったりします。
一時期はステインを気にして、フレーバーの無い炭酸水を飲んでいた時期もあるのですが…
物足りないんですよね~
ですから、無理なく生活習慣を変えることが出来る人にはおススメですが、お茶やコーヒーを止めることができないという人には、次の方法「ついたステインを除去する」がおススメです✨
3.対策2:ステイン除去効率が高い口腔ケアグッズ
ついてしまったステインを、物理的・科学的に除去してしまうという作戦です。
今はステイン除去に特化した家庭用歯磨剤も多く発売されています。
「自宅でホワイトニング」「美容院・サロンでホワイトニング」と謳われている歯磨剤が、そのまま「自宅用のステイン除去特化の歯磨剤」です。
ちなみに「歯の漂白」=「歯の内部を白くする」のは歯科医院でしかできません。
自宅やサロン用の口腔ケア商品で言う「ホワイトニング」は、あくまで「ステイン除去」のことです。
自宅・サロンなどのホワイトニングについては、こちらの記事もご参考になさってくださいね。
ご自宅で出来るホワイトニングと、美容院やサロンのホワイトニング
自宅用のステイン除去の方法は
3-1)物理的にステインを除去する
3-2)科学的にステインが浮きやすくする
の2方法があります。
3-1)物理的にステインを除去する
ヤニやタンニンなどの硬いステイン除去に向いています。
研磨剤や研磨成分で歯を物理的に擦るので、歯の表面に細かな傷を作りやすいデメリットがあります。
歯科医院では、硬いステインの除去に荒研磨を行ったら、次は細かい研磨材で仕上げ研磨をして、歯の表面を滑沢にします。そうしないと、荒研磨でついた細かな傷に、またステインが付きやすくなるからです。
自宅で物理的にステインを除去する場合、荒研磨で終わってしまうのが問題です。
特にヤニ落としを謳う歯磨剤や、口腔用メラミンスポンジにはそのデメリットがあります。
口腔用メラミンスポンジを使うことのデメリット
キッチン用メラミンスポンジは製造過程で人体に有害なホルムアルデヒドを用います。
口腔用メラミンスポンジはホルムアルデヒドフリーで製造されたものです。
強固なヤニを落とす能力に優れていますが、歯の表面に細かな傷をつけてしまうデメリットも。
毎日使用するのではなく、特に汚れが強いけれども歯科医院には行けない…という時に限定して使用すると良いでしょう。
3-2)科学的にステインを除去する
厚く硬く付着したステインを除去する効果は低いですが、毎日使用でき、ステイン付着を予防する能力に優れています。
「洗浄剤」「着色除去剤」として
・ポリリン酸
・ポチエチレングリコール
・フィチン酸
・ピロリン酸
・ブルーポリミド
などが配合されたものです。
こうした「科学的にステイン除去」を謳う歯磨きペーストでも、研磨剤成分は配合されています。
代表的な「研磨剤」
・二酸化ケイ素
・リン酸カルシウム
・アルミニウム酸塩
・炭酸カルシウム
・酸化アルミニウム
・炭酸水素Na(重曹)
・ゼオライト(沸石)
・チャコール(木炭)
「研磨剤無配合」と名乗っている歯磨き粉でも、
「ゼオライトが入ってる」
「炭酸カルシウムって書いてある」
のようなことは多いです。
「歯に傷がつくのは嫌。歯に優しい歯みがき粉を使いたい」というニーズに応える商品ですが、
実際は入ってないわけではないんです。
粒子をとても細かくしたり、歯に細かな傷がつきにくくなるよう配慮して、
「研磨剤ではなく清掃剤」と言っている感じです。
完全に研磨剤・研磨類似成分が無配合だとステインがつきやすくなります。
また、粒子の細かい研磨剤は歯の表面を滑沢にすることで、ステインが付きにくくする効果もあります。
*ごくまれに本当に研磨材無配合の製品もあります。
GC社 MIペーストなどです。
こうした製品は「本製品はステイン除去の機能はありません」と説明書に書いてあります。
4.対策3:歯医者さんで除去する
歯科医院での口腔清掃には3つの意味があります。
・自分では見えない・気付かなかった部分を清掃する
・自分では取れない部分を清掃する(歯周ポケットの中など)
・自分では取れなくなったステインや歯石を除去する
歯科衛生士や歯科医師は、口腔内の状況を見て、
必要な研磨剤や薬剤、器具を用いて徹底的に歯面清掃を行うことができます。
これをPMTC(プロフェッショナル メカニカル ティース クリーニング)と言います。
歯科医院でのPMTCに使う研磨剤は、
ジャリジャリするくらい粒子が大きいものから、
ナノ粒子のもの、
研磨剤完全無配合のものまで、
複数種類を取り揃えて、患者さんの歯の状態に
適したものを選んで使用しています。
粒子の大きな研磨剤はステイン除去効果が高いですが、エナメル質への負荷も高いです。
それでも粒子の大きな研磨剤を使わないとステイン除去できない場合は使用しますが、研磨により歯の表面についた細かな傷を滑沢にするために、粒子の細かい研磨剤で仕上げ研磨を行います。
そして、何度も粒子の大きな研磨剤を使わなくて済むように、
・来院間隔を短めにする
・ステインが付着しにくい飲食習慣の案内
・ステイン除去効果が高い歯磨剤の使用
など、対策をおススメしています。
研磨剤の入っていない歯磨剤はエナメル質への負担が少ないです。
しかし、ステイン除去効果はほとんど期待できません。
薬効成分のみで十分な場合には、こちらを用います。
また、歯科医院にもよりますが「エアーフロー」という、風の力で研磨剤を歯に吹き付けて、ステインや汚れを除去する機械もあります。
歯と歯のスキマなど、研磨器具がなかなか届かない部分をスピーディに綺麗にする効果がありまます。
当院では「エリスリトール」というトウモロコシ由来の人工甘味料の一種(虫歯はつくりません)を歯に吹き付けて、ステインを除去しています。
エリスリトールは非常に柔らかく、歯に傷をつけずにステイン除去ができるので、当院の衛生士も気に入って使っています。
5.おまけ:おススメしないステイン除去の方法
おススメしないというか、避けていただきたいのは
「歯科専門職ではない人が、安物の歯石・ステイン除去のツールでステインを除去すること」
よろしければこちらの記事もご覧ください。
家庭用超音波スケーラーは歯をかえって傷つけてしまう危険性がある
H29年に上記の記事を書いたときには、家庭用超音波スケーラーと銘打たれた器具は
2万円程度の価格帯であったようですが、今、Amazonや楽天を確認たら
2000~4000円帯で無数にありますね…。
超音波歯ブラシのブラシをスケーラーチップという金属製パーツに交換しただけの、安直な商品ばかりです。
この器具で、歯を傷つけずに歯石やステインを除去することは、おそらく不可能だと思います。
超音波振動した鋭利な金属を、無注水で歯に当てる。
振動で確かに汚れは落ちるでしょうが、摩擦によって歯が傷つかないはずがありません。
使えは必ず体を傷つけてしまう器具が、良さそうな売り文句で販売されていることが残念です。
この記事をお読みくださった方は、ご使用にならないようにお願いします。
まとめ
いかがでしたか?
・ステインはタンニンや色素の強い食品、煙たばこなどで付着します。
・ステインがつきにくい生活習慣を意識する、ついてしまったら除去することで、白い歯を維持できます。
・優れたステイン除去の口腔ケア用品があるので、おススメです。
・歯医者さんで除去するのもおススメです。
・家庭用超音波スケーラーは歯を傷つけるので使わないようにしてください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!