5歳6か月(5歳半)頃の子どもの歯並びの話(反対咬合を中心に)
2017年11月28日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
現在、学校での歯科健診の中でも歯並びの項目がありますので、最近は歯並びについてよく相談を受けます。
5歳~6歳の早い時期でも、就学時検診などで歯並びについての指摘を受けますが、何を審査しているのでしょうか?
またそんなに早く治療した方がいい歯並びの問題ってあるのでしょうか?
歯並びが悪いと何が問題?
一般的に歯並びが悪いと以下のような問題が生じると言われています。
1.見た目が悪くコンプレックスになる
2.虫歯になりやすくなる
歯並びが悪いと歯垢(プラーク)が残りやすく虫歯になりやすくなってしまいます。
3.歯茎が下がりやすく、歯周病が進行しやすくなる
顎の中に歯が収まっていないと、支える骨が薄く、30代以降に歯周病になりやすく、また悪化することがあります。
4.顎関節症になりやすい
5.歳とともに、より歯並びが悪くなってくる
つぼい歯科クリニックでは、このうち4と5に関わりそうな場合、早めに指摘させていただいています。
上顎と下顎は例えると、靴と足の関係といわれており、靴である上顎と足である下顎は、相互に影響しあって大きくなっていきます。
そして、あまりにもバランスが悪化すると問題を生じます。
早く治療した方が良いケースは?
- 1・2本だけ咬み合わせが逆になっている(部分的な反対咬合:はんたいこうごう)
- 左右で噛み方が異なる(側方交叉咬合)場合
正常
画像:http://www.kyousei-shika.net/
交叉咬合
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反対咬合
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靴擦れのように若年者でも顎関節症を引き起こし、左右差が大きくなって顎自体が変形するため、早期に治療した方がよいです。
そのまま放置すると、大人での矯正を考える際には外科的な手術症例になる場合があります。
- 全体的にかみ合わせが逆になる反対咬合
全体的に咬み合わせが逆になる反対咬合は、遺伝や成長の影響が強く、一番治療や管理が難しいとされ、長期間の治療と管理が必要なことがあります。
そして、一度治療しても成長期に1割から2割ぐらいの方が再発するといわれています。
しかし、治療によって上顎が下顎にかぶされば、上顎がストッパーの役目を果たすため、下顎の成長をコントロールできる可能性が高まります。
- しっかり咬み合えない開咬(かいこう)
開咬
画像:http://www.kyousei-shika.net/
またしっかり咬み合えない開咬などは、舌の癖が原因の場合があります。
ただ、癖が原因で咬み合えないのか、咬み合えないので癖が悪化するのか、ニワトリとタマゴの関係的な問題点が指摘されています。
いずれにしても矯正治療して悪循環を改善することにより、咬み合わせが悪化するのを改善できます。
低年齢児に歯科医が指摘する歯並びは、そのまま成長すると治療がより大変になるケースが多い
このように、低年齢児の症例に関しては、習癖や成長の因子が大きく関係し、そのまま成長すると治療がより困難になる症例が多いです。
ただし、低年齢であれば短期間で改善する場合もあります。
気になる方はお気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 咬み合わせの問題の中には、成長に影響するため特に早めにアプローチした方がよいものがあり、歯科医師は咬み合わせと成長、習癖との関連を診査している。
- 成長に影響を与える悪い咬み合わせには①習癖に関わるもの(開咬)②それ以外(部分的/全体的な反対咬合・交叉咬合)がある。
- 低年齢で指摘する症例は、そのまま成長すると将来より治療が困難になる難症例が多い。ただし、低年齢であれば短期間で改善する場合もある。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。