小学校の学校歯科健診の話
2018年5月28日
こんにちは!つぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
季節も変わり、暑いぐらいの日も増えてきましたね。
小学校の方でもいろいろな年中行事が実施されている時期だと思います。
その中の一つに歯科健診があり、健診結果を持って帰る場合があります。
今回は、検診結果の中から保護者の方によく聞かれる、わかりにくい用語の解説などを行っていきたいと思います。
そもそも健診と検診はどう違うの?
健診とは
学校健診などの健診は、集団としての健康を維持するということで、病気をもつ方をスクリーニング(選び出す)するということを目的としています。
状態の悪い人を見つけ出すことができれば成功ですので、個々人の状態を対象にしていません。
お口をさっと見るだけですから、小さな見逃しは当然ありえます。
検診とは
一方、検診とは特定の病気を早期に発見し、早期に治療することを目的としています。
がん検診などがそれに当てはまります。
歯科では、口腔内診査し、レントゲンなどで診査した結果、う蝕(むし歯)や歯周病と診断しています。
歯科医院でのお口の一連の診査、それが歯科では検診にあてはまります。
学校健診と歯科医院の検診は目的もやり方も大きく違うため、お口と全身の健康維持のためには、歯科医院での定期的な健康診断がおススメです!
学校健診よく使われるわかりにくい用語
その他、要観察歯と要注意乳歯というものがあります。
要観察歯
要観察歯は、着色などがあって虫歯っぽいけど、よくわからない歯です。
虫歯にも急性う蝕と慢性う蝕があり、着色している虫歯は慢性う蝕が多いです。
しかし鍾乳洞のように中で進行している場合もあり、レントゲン診査が必要です。
要注意乳歯
要注意乳歯は、生え変わりの時期で、乳歯の根がなくなっておりグラグラになっている場合や、歯の生え方が変で横や後ろから永久歯が生えている場合にチェックがつけられます。
虫歯になりそうな乳歯という意味ではありません。
定期的に歯科に受診しているけど、学校検診の紙をもらってしまった!?
学校健診はあくまで簡単なスクリーニングなので、個々の歯科医院の考え方の違いで、紙をもらうケースもあります。
例えば当院の場合、しばらく様子を見たい虫歯の時や削るほどでもない虫歯の場合
(つまり当院のMIの理念により、削ったらもったいないと歯科医師が判断した場合などです)、
サホライドという進行止めを塗布する場合があります。
サホライドを塗った場所は黒く変色しますが、虫歯の進行を止める一定の効果があります。
ただし、学校健診においては未処置歯(=虫歯)の扱いとなります。
当院でも「かかりつけの歯科医院で定期検診に通ってたのに、学校健診で指摘をうけた」
とご相談を受ける場合があります。
お子さまの状況や虫歯の状況から総合的に判断して、主治医があえて経過観察しているケースもありますので、学校健診の紙をもらったら、まずはかかりつけ歯科医院にご相談ください。
その他用語、状況等についてご質問があればお気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 学校健診と歯科医院の検診は、目的もやり方も大きく違います。
- 自分の健康を維持するためには、歯科医院での定期検診がおススメです。
- 要観察歯は虫歯かどうか微妙な状態の歯を指し、要注意乳歯は永久歯の萌出を邪魔しそうな歯を指します。
- かかりつけ歯科医は、お子さまの状況やライフスタイルなどを考え、総合的に判断して治療を進めますので、学校健診の紙をもらうケースもあります。
紙をもらったら、かかりつけ歯科医にまずご相談することをおススメします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。