口腔崩壊とは?学校歯科検診結果で治療が必要な子どもの半数が受診していない日テレの報道について
2018年6月8日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
6月7日の日テレニュース24で、『学校歯科健診で治療が必要と判断された子どものうち半数以上が、その後歯科に通っていなかった』という報道がありました。
歯科医としては、とても残念なニュースです。
原因としては、歯科医院に通院する時間を捻出することができなかったり、医療費を捻出することができないなど、ご家庭のやむを得ない状況が反映されているものと思われます。
また、部活や習い事などでお子さん本人がお忙しい場合もあるかと思います。
大人の方の場合、日本のほとんどの地方自治体で節目検診として歯科健診を無料で受けることができます。
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しかし、無料の歯科健診を受けられる方は全体の4.3パーセント程度( 平成27年の推定)と言われています。
無料でも、痛みがないのに歯の健診に時間の割くことが難しい社会人の方が多いのではないかと思います。
今回は、口腔崩壊をテーマにお話ししていきたいと思います。
口腔崩壊ってどのような状態?
さて、このニュースでは口腔崩壊という言葉が登場します。
奥歯が虫歯だらけになってしまった、あるいは根っこだけの状態になってしまった場合などで、本来の咬み合わせが分からなくなってしまった状態を、我々歯科の業界では咬合(コウゴウ、咬み合わせ)が崩壊したと言ったり、咬合が喪失した状態と言います。
番組では、これを一般の方に分かりやすく言い換えたのでしょう。
番組では子どもの口腔崩壊をテーマにしていましたが、口腔崩壊は全年齢に当てはまります。
口腔崩壊を起こしてしまったらどんなデメリットがあるの?
治療費がかかる/治療期間が長くかかる
口腔崩壊と言う状態まで行ってしまうと、治すのは大変です。
まず元の噛み合わせの高さが分からなくなっていますので、たくさんの歯を治療しながら、仮歯を使って咬み合わせを戻す治療を行います。
治療する歯の本数が10〜15本の場合、保険診療でも数万円かかってしまうことも珍しくありません。
(歯科の詰め物、被せ物は貴金属を使用していることが多いです。よって保険診療でも被せ物が3割負担でもで5000円程度してしまいます。)
また、治療期間も半年ほどもかかってしまうことも…。
子どもの口腔崩壊のリスクとは?
大人と異なり、子どもは歯が生え変わります。
しかし、乳歯に大きな虫歯ができると、以下のことが起こる可能性があります。
- 永久歯が変色や変形をしている状態(ターナー歯)で生える。
- 永久歯の生える方向がズレてしまったり、生えるスペースが失われて歯並びが崩れてしまう。
乳歯は生え変わりますが、永久歯や大人になってからの歯並びに重大な影響を及ぼすのです。
歯科健診、今は痛くないし時間もないし…
けれど、悪くなってからだと時間も費用ももっともっとかかってしまいます。
何より、一度失った歯は2度と戻りません。
時間も費用も歯も、みんなもったいないですよね。
病気を悪化させて痛くなってから治療するより、痛くないうちに検診で悪いところがないかチェックする、あるいは軽微なうちに治してしまうことをおススメします。
まとめ
- 学校歯科健診の紙をもらっても歯科受診しない子どもの割合が多く、口腔崩壊の一つの原因となっている
- 大人の場合も自治体の歯科健診を受けている人はまだまだ少ない
- 口腔崩壊を起こすと、治療費がかさんだり、治療期間が長くなるリスクがある
- 子どもの口腔崩壊は永久歯や大人になってからの歯並びに悪影響を及ぼすリスクがある
- 早期発見早期治療がおススメです。