エナメル質とその形成不全について~治療と原因~
2019年3月25日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
卒業式・入学式のシーズンですね。
桜の話題もちらほら出だしましたが、暖かい日もあれば、まだまだ寒い日もあります。
季節の変わり目ですので、皆さん体調管理には気をつけてくださいね。
さて、つぼい歯科クリニックでは、歯のエナメル質の状態を口腔内カメラなどでご説明することがあります。
また、エナメル質の形成不全を見かけることもよくあります。
今回は、エナメル質とその形成不全をテーマにお話ししていきます。
1)エナメル質とは?
そもそもエナメル質とはなんでしょうか?
歯の表面に厚いところで2ミリぐらいある、人間で最も硬い組織です。
硬さは、水晶並みですが、その代わりに脆く、割れやすい特徴があります。
エナメル質は皮膚と同じ外胚葉由来で、中胚葉由来の象牙質や歯髄とは性質が異なります。
2)エナメル質の破壊について—虫歯
エナメル質は大変硬い、強い組織ですが、いくつかの弱点があります。
その一つが酸に弱いこと、つまりは虫歯です。
虫歯はCの0-4までの5段階で評価されますが、大きな虫歯はC2以上となり、エナメル質内に限るものをC1、エナメル表面の異常(脱灰:白濁、粗造、褐色変化)をC0もしくはCeと表記します。
院内や当院の院長・ドクターブログでは「初期むし歯」とご説明しております。
特にC0段階であれば、フッ素塗布によって治ることがあります。
ですので、
つぼい歯科クリニックではこの段階の患者さまには、積極的に院内でのフッ素塗布やご自宅でのフッ素入り口腔ケアグッズの使用をおススメしています。
写真を撮って説明しているのもこの段階です。
3)エナメル質の破壊について—エナメル質の形成不全
次によくあるのが、エナメル質の形成不全です。
エナメル質形成不全になると、生えてきた歯には様々な異常が見られます。
エナメル質形成不全が起きている歯の特徴
- 濃い白色の部分がある
- 茶色くなっている
- 表面にくぼみや穴がある
特に歯がしみる場合は、エナメル質がすごく薄くなっていることがあり、注意が必要です。
エナメル質形成不全が起こる原因
局所的なものの場合
- 虫歯によって乳歯の根っこに異常がある
- 転倒などによって乳歯をぶつけて損傷した
その後に生えてくる永久歯がエナメル質形成不全を起こす場合があります。
全体的なものの場合
- 全身的な疾患
- 遺伝性
- 外胚葉異形成症や表皮水泡症など、由来が一緒の皮膚にも異常があるもの
遺伝や疾患が原因のものは比率としては1万人に1人ぐらいの頻度です。
また、早産や栄養不良などが原因でエナメル質に形成不全があるものもあります。
4)治療について
エナメル質形成不全の治療も虫歯の治療とほとんど同じです。
程度の軽いものは、フッ素塗布を主体とした経過観察で様子を見る場合が多いです。
程度の重いものは、セメントや樹脂でのコーティングが重要です。
しみてる歯はかなりエナメル質が薄く、生えたての歯は神経が太いです。
よって、修復物が取れやすくなるデメリットはありますが、できる限り歯を削る量を少なくして、エナメル質の代わりになるものを足していくことが大事であると考えます。
まとめ
いかがでしたか?
- エナメル質は歯の表面を覆う、人体で最も硬い組織です。
- エナメル質に異常をおこすものとして、虫歯とエナメル質形成不全症があります。
- エナメル質の形成不全症には部分的なものと全身的な要因が原因のものがあります。
- 治療法は、虫歯治療とほぼ同じで、フッ素塗布や樹脂でコーティングを行います。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください。