10-15歳ぐらいの子どもと口腔崩壊について
2018年11月27日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
秋もふかまり、車や衣服など、冬に対する準備が必要になってきました。
11月8日は何の日かご存知ですか?
そうです!
118(いいは)いい歯の日です。
春の、歯とお口の健康週間(6月4日:昔の虫歯予防デー)ともに、歯に気をつけようということで、歯とお口の話題がテレビやネットで出てきます。
それによると、近年の各自治体の調査で、全体の虫歯は減っているのに、一部の子供で口腔崩壊が起きているなんて報道がされていました。
このインパクト抜群のワード、「口腔崩壊」。
どういった状態を指すのでしょうか?
口腔崩壊とは?
調べてみると、明確な定義はないのですが、10本以上の虫歯や歯根しかないような未処置の歯が何本もあり、食べ物をうまくかめない状態を指しているようです。
歯科業界では正しくはランパントカリエス(汎発性う蝕)と言います。
虫歯がある子の虫歯の経験歯数を表すDMFTと言われる指数がかなり昔からあるのですが、12歳のDMFTは昭和50年代(現在40歳から50歳)の5.9本をピークに、減少を重ね、最新の調査では全国平均0.82で1本以下になりました。
(ちなみに、山口は0.7で10位タイ:いい方です!!)
その一方で、
口腔崩壊と言われるような状態のお子さんも半数以上の学校で存在することが明らかになっています。
つまりは虫歯が全くないお子さんも多い一方で、虫歯がある子には大量に虫歯が存在する、そういった2極分化が明確になってきているという事なんですね。
ただ、小学校での調査によると、経済的な理由というよりは、治療や通院の困難さ、スポーツ少年団活動など、本人や保護者の日常の忙しさ等の理由で、歯科医院にいけないという訴えが多いといったことが指摘されています。
実際、治療に関しても半年~1年近くかかることも…。
口腔崩壊状態によって引き起こされる、二次的なリスクや悪影響は以下のようなものがあります。
口腔崩壊状態による悪影響とは?
- さらなる虫歯や歯周病を引き起こす
- 口臭の原因となる
- ひどい場合その部位から感染症に発展する
- 顎がしっかり発達せず、永久歯の歯並びが悪くなる、
- 虫歯の痛みなどで物事に集中できなくなる
- 硬いものが噛めなくなるため食事内容が偏り、お菓子やジュースなど軟らかいものが中心の食生活になってしまう
- 外見を気にして他人とコミュニケーションをとることが減る、いじめの原因などになる可能性がある
こうして見ると、口腔崩壊と一言で片付けられないくらいの二次的な影響が多くあることがわかります。
虫歯は感染症
虫歯は感染症です。
そのため虫歯を放置しておくと、感染源の遮断が永遠にできないので、最大のう蝕(虫歯)リスクとなります。
私の大学時代の実験でも、活動的な虫歯がある人の菌は、大量(1000倍~1億倍までも計算上あり得ます)かつ、性質も強いことが明らかになりました。
菌は指数対数的に一気に増えるので、そのため虫歯も一気にふえます。
だからこそ治療、そしてその後は口腔内環境を維持する、このサイクルが重要なんです。
虫歯が多い人は一度頑張って治療し、その後はそれが維持できるようにしていきましょう。
我々の歯科医院は皆様の口腔の健康、そして維持、それを強く望んでいます。
まとめ
いかがでしたか?
- 近年虫歯の経験歯数は減少する一方で、口腔崩壊といわれるぐらいの多くの虫歯を有する子もおり、2極分化されている。
- 口腔崩壊によって引き起こされることは、虫歯のみに限っておらず、ダメージが大きい。
- 虫歯の治療は、今後の歯を守る最大の予防ともなり大変重要である。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。