3歳ぐらいの子どもが食べるのが遅すぎる、というお悩みについて
2019年1月24日
こんにちは。岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
最近、お子さまの日ごろの様子をお伺いする中で、よく出る話題が、
「うちの子、食べるのがおそいんです。」というのがあります。
また近年、歯科の学会でも「食」の話題はよく出てきます。
「食」は口腔機能が大きくかかわっており、なかなか奥深い世界です。
低年齢児と高校生ぐらいだと、口や嚥下の仕組みも大きく変わってきますので、今回は悩みの多い3歳ぐらいを中心にお話していきます。
「食べる」という行為は以下の7つの流れを経て、初めてできます。
食べるという行為の流れ
認知期(にんちき)
①食べ物を認識し、食べたいと思う
咀嚼期(そしゃくき)
②箸やスプーンで食べ物をつかむ⇒③唇まで食べ物を持って行く⇒④口があき⇒⑤歯で咬んである程度の大きさにする
嚥下期(えんげき)
⑥舌の上に乗せて喉付近までもっていき⇒⑦咽頭部で食道の方に流れていく
①~⑦のどこかに問題があると、食事が遅い、難しいという結果になります。
3歳ぐらいのお子さんの「食べるのが遅い」原因とは?
1.そもそもおなかがあまり減っていない
3歳ぐらいでは、体が小さく、あまり遊ばなかった場合、おなかがすかないことも多いです。
その場合、食べる欲求や認知がうまくいっていません。
食べムラがある場合も多いですが、間食を減らしお腹のすくような生活を心がけましょう。
2.集中できない、姿勢がよくない
テレビ等がついていると、食事に集中しないため、食べることが遅くなります。
また、足の裏が安定しない高い椅子だと、姿勢が悪くなり、掻っ込むような体制で食べやすくなります。
3.一口量がわかっていない
一口量がわからず、掻き込んで食べるお子さんはかなり多いです。
一口量が多すぎると、飲み込めないため、嚥下までの時間が長くなります。
コントラストの強いお皿で、一口量を示すことも重要です。
また、箸は習得できる時期がありますので、手掴み食べなどの時期は練習期間と思って無理させないことも大事です。
4.唇が敏感すぎる、鈍感すぎる
食物を認知し、口付近までもってきたら、いよいよ口に入ります。
その際、まず上唇が伸びて捕食体制になるのですが、唇に問題がある場合があります。
上唇が適切に動いていないと、口が開いてくちゃくちゃと食べる状態になります。
唇が過敏な場合が原因である場合が多いので、唇のマッサージや運動などを行って、適切に発達させることが有効です。
5.歯で咬めていない
歯で咬めない原因には、指しゃぶりなどの影響で前歯が噛んでおらず咬めない、歯並びの場合と、虫歯等で噛めない場合があります。
虫歯が4-5本もあると、咬む力は1/4程度まで低下するという報告もあります。
6.喉の付近までもっていけない
歯並びの影響などで前歯が噛んでいない場合、舌の動きが通常と異なります。
唇と歯で口の開口部を閉じ、陰圧にすることで食物を喉付近までもってくるのですが、前歯が開いていると、何とかして閉じないと飲み込めないので、代わりに舌を前に持ってくることになります。
結果、食事時に舌がちろちろ見える状態になります。
7.喉付近が狭く、飲み込みにくい
3歳ぐらいの場合、アデノイドと呼ばれる喉付近の免疫組織が異常に大きいお子様も多く、喉が狭く、食物が飲み込みにくい場合があります。このような場合、鼻も詰まっていることが多く、いびきや睡眠時無呼吸などがみられる場合があります。
小さなお子さんにとって、食事と発達は最も大事なことです。
食事の問題は、家庭で解決できること、歯科で解決できること、耳鼻科や小児科などで相談すべきことが混在しています。
保護者の方で判断が難しいケースも多いかと思います。
「お子さまの食事のことでご心配がある」という保護者の方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 食事は認知期、咀嚼期、嚥下期にわけられる。
- 3歳ぐらいで各時期の発達や状態によって、トラブルが起きる場合がある。
- それらのトラブルは家庭で解決できること、歯科で解決できること、耳鼻科や小児科など専門的機関で相談すべきことが混在している。お気軽にご相談ください。
最後までおよみくださり、ありがとうございました。