犬の口臭い原因!ペットも歯周病になるの?ケアの方法は?
2019年8月30日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
今日は、ペットの口腔ケアの話題です。
犬の口臭を気にしている人が増えている!?
最近私の周りでは、ワンちゃんの口臭について気にしている人が結構います。
「ウチの犬の口が臭いんです…」
「(歯医者の友人)私、自分とこのワンコの歯石除去やってるよ~。もちろん、自分の犬だけだけど。」
「ペットの口臭治療グッズって、今いろんなの出てますけど、どれが良いんですか?」
実際、「犬(猫) 歯石」については多くの方が検索していらっしゃるようで、ケア用品もたくさん発売されているようですね。
当院でも、「自分の診療のついでに…」という感じでペットの口腔ケアについてご質問をいただくことがあります。
とは申しましても、私はペットの治療をしているわけでも、ペット用のオーラルケアグッズを扱っているわけでもありませんので、今回は「犬の口腔ケアを自分でやっている」という友人(歯医者)に聞いた話と、一般論でお話させてください。
Q. ペットにも歯石はつくの?
A. 犬や猫はもちろん、歯を持つ地上動物の多くにつくはずです。
歯を持つ動物の中でも、水の中で暮らす生き物や、歯の代わりに嘴(くちばし)がある鳥などには、歯石がつきようがないと思います。
しかし、地上の歯を持つ動物なら、理論上歯石がつくはずです。
ただ、野生の生き物の場合は「歯石が問題になるほど長生きしない」という側面があります。
例えば、人間が歯周病で歯を失うリスクがぐっと高くなるのが40歳以降。
人間が野生だったころの寿命も40~50歳程度と言われていますから、「野生では歯がダメになってくる年齢=寿命」とも言えるのです。
30年ほど昔の「犬の寿命は7~8年」と言われた時代には、歯石はあまり問題になりませんでした。
犬の7~8歳というと、人間で換算すると44~48歳になるそうですから、人間の歯周病リスクがうんと高くなる時期と近いですね。
きっと、人間が野生だったころに歯石が問題にならなかったのと同じ事情で、30年前は犬の歯石を気にする人はほとんどいませんでした。
今は人間80~100年、ワンちゃん15~20年というのが普通になってきた時代です。
長生きする場合、お口のケアも長生き仕様にしていかないといけないんですね。
Q.ペットも虫歯になるの?
A. 犬や猫はもちろん、歯を持つ動物が「糖質」過多の食生活をすると虫歯にはなります。
野生の生活は糖質を食べることが非常に少ないので虫歯になりません。
しかし、イモ類やとトウモロコシなどをおやつに与える動物園では、飼育員さんは飼育している動物の虫歯チェックをしているそうです。動物は虫歯治療が理解できませんから、もし虫歯が見つかったなら全身麻酔で治療することになります。
Q.ペットの歯石を取るには、どうしたら良いの?
A. 歯石は、お薬や栄養剤などでは除去できません。人間同様、物理的に除去するしかありません。
歯石はお口のバクテリアの死骸が、唾液の中のカルシウムによって石のように固まったものです。
スケーラーという専用の器具でないと取り除くことができません。
関連記事 歯石って何?どうしてほっといてはいけないの?
歯周病は骨が溶けている!?自宅でできる治療法とは
歯石除去の方法は人間も動物も同じですが、歯の形は異なります。
犬用スケーラーとしてヒト用とは異なる形のものが売られているようです。
ヒト用の方が細やかに取れるでしょうが、訓練を受けていない一般の方が簡易的にペットのワンちゃんの歯石を取るなら、平ノミ型の方が取りやすいのかもしれません(ちょっと滑ったりすると、怪我してしまいそうで、動かないワンちゃん専用だとは思いますが…)。
犬用にスケーラーをご使用になる場合、以下の点はご注意ください。
犬用のスケーラーご使用に関する注意点
- 飼い主とペットが同じスケーラーを使うのはNG
- 洗って共有使用するのもNG。
滅菌設備の無い家庭で「洗う」程度では血液を媒介した感染症のウィルスを完全に除去することはできません。
人畜共通感染症のリスクもありますので、ワンちゃん用のスケーラーはワンちゃん専用にしてご使用ください。
これは歯医者の感覚かもしれませんが、どうも…訓練もなしに歯石除去というと、滑っちゃったりしないか、間違えて歯茎を傷つけはしないかと、心配になってしまいます。
できれば、歯ブラシで歯垢をなるべく綺麗に落としてあげて、自宅で行う歯石除去は軽くで済ませ、重度の歯石は動物病院にお任せした方が良い気がします。
なお、ジェルやスプレータイプのものは、人間のオーラルケア用品で言うと「歯を白くする歯磨き粉」とかと同じジャンルで、軽度の汚れを取ったりはするかもしれませんが、歯石を取る能力はありません。
Q. ペットの口臭ケア用品として、色々なものが売られているけど、どれが良いの?
A. 口臭の原因によって、ケア用品を選んだ方が良いでしょう。
口臭と言っても、口は消化管の入り口ですから、ニオイの発生源は口、喉、胃、腸とさまざま。
関連記事 口臭の原因と、自分でできる口臭チェック(ポケットブレスチェッカー)について
また、ニオイの原因も、虫歯や歯周病といった口腔内の病気に由来するもの、体の病気に由来するもの、食べ物によるもの、生理的なものとさまざまです。
まずは口腔内・体の病気でないか獣医さんに診てもらってください。
その上で、病気でなかった・病気を治した後に、まだ口臭が気になる場合は、口腔常在菌や腸内環境を整えるバクテリアセラピー(細菌による予防・治療。主に乳酸菌などの善玉菌を使って悪玉菌に対抗する細菌療法)を考えてみても良いかもしれません。
ペットのバクテリアセラピー(細菌療法)について
ペット用のプロバイオティクス用品は非常にたくさん発売されています。
錠剤型、粉末状や液体状のサプリメントとして入手することができます。
犬と人間は口腔内のPHに差があるので(人は中性、犬はアルカリ性)、その差を考慮したものや、犬の好む味付けにしたもの、普通にそのまま人間にも犬にも使えるものなど、種類もとても豊富です。
この辺は、ペットショップや動物病院でおススメを聞いた方が良いかもしれませんね。
ちなみに、私が愛用しているロイテリ菌を用いた虫歯予防・歯周病予防・整腸作用・口臭予防に有効なサプリメントも、犬用を出していました。
営業の方に「中身はどう違うんですか?」と質問したら、「中身は同じです」と言っていました。
ペット用のプロバイオティクス製品は、ロイテリ菌、乳酸菌、ブリス菌などが用いられており、これもヒトと同じです。
…というより、先にヒト用のプロバイオティクス商品があり、後で犬用にパッケージや味やPHを変えて商品を作っている感じですね。
プロバイオティクスの考え方
プロバイオティクス(バクテリアセラピー)の考え方は、善玉菌を助けるスーパー乳酸菌と呼ばれる菌を摂取することで、悪玉菌の活動を抑え、善玉菌を優勢にすることで体の調子を整えたり、歯周病や虫歯など悪玉菌が原因で起きる病気になりにくくしたりします。
まとめ
- ペットも歯石がたまるし、虫歯にもなる
- 歯石の除去も人間と同じで、物理的な方法でしか取り除けない
- 口臭が身体の病気でない場合は、バクテリアセラピーも試す価値がある
次回は、プロバイオティクスと口腔ケアについて、お話したいと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。