消化管の入り口を守る門番! ~唾液の働きについて~
2020年12月11日
こんにちは!つぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
新型コロナの影響で、マスクがエチケットとして定着しましたね。
はじめに
マスクによって口呼吸になりやすい
マスクは感染防御にとても重要ですが、一方でマスクをしている間は鼻ではなく口で息をする人が多くなると言われています。
特にお子さんが口呼吸の癖をつけてしまうと、悪い歯並びの原因になることも多いので、注意をお願いします。
そしてもう一つ、口呼吸を悪癖として身に着けてしまうと、良く起きるのが「唾液が乾燥しやすくなる」こと。唾液には様々は効果があるため、口呼吸により乾燥してしまうと困ったことになってしまいます。
今回は、「唾液の働き」についてお話していこうと思います。
唾液の種類
唾液には漿液性、粘液性といった種類があります。
漿液性の唾液
サラサラした唾液で、アミラーゼなどの消化酵素を多く含みます。食事を助ける働きがあり、飲み込みやすくしたりします。
副交感神経が優位な状態、つまりリラックス時に分泌されやすくなります。
粘液性の唾液
ネバネバとしただ液で、細菌に対抗する成分を含みます。
他にも、お口の中の粘膜を保護する成分を含み、保湿に重要な役割を果たします。
交感神経が優位な状態、つまり興奮時、緊張時に分泌されやすくなします。
自律神経の支配を受ける唾液
前述の通り、興奮すると粘液性の唾液が増え、漿液性の唾液は増えません。
緊張したときにお口の中はカラカラのネバネバといった状態になった経験はありませんか?
リラックスしている時や、食事中なんかは、逆にサラサラの唾液が多く分泌され消化を助けたりします。
唾液が作られる場所 ~唾液腺~
お口の中には唾液が作られる部位が複数あります。
主だった部位が3つあり、耳下腺、顎下腺、舌下腺と呼ばれています。
耳下腺
耳の前あたりにあり、サラサラの唾液が分泌されます。
顎下腺
下顎の下側にあり、サラサラ・ネバネバの両方の唾液が分泌されます。
舌下腺
舌の下にあり、ネバネバの唾液が分泌されます。
他には、小唾液腺と呼ばれる米粒ほどのサイズの小さな唾液腺が、お口の中に多数存在しています。
緊張してお口がカラカラ、あるいは口腔乾燥症で口が渇いて…という時は、耳下腺・顎下腺・舌下腺という3つの大きな唾液腺をマッサージすると、口の中に唾液がジワ~っと口の中に出てきます。
参考リンク:ドライマウス対策
ドライマウス(口腔乾燥症)の原因と自分での治し方
唾液の作用
唾液には、さまざまな効果・作用があります。
参考リンク:唾液の機能
https://tsuboidental.com/2019/04/20/incho-61/#i-3
その中でも、最も重要な機能の一つに、「虫歯の予防効果」があります。
- 再石灰化能:虫歯になりそうな状態の歯を修復する
- 緩衝能:虫歯になりそうな口の環境(酸性の状態)を、なりにくい状態(中性)に戻す
むし歯は虫歯菌の作用で、歯が溶けることで起こるんですけど、それを防ぐ作用や修復作用が唾液に備わっています。
酸の作用で歯の表面から溶けていきます。酸性に傾いたお口の中の状態を中性に戻す作用があります。これを緩衝作用(かんしょうさよう)と言います。
表面が溶けてしまった歯は進行するとむし歯になっていきますが、唾液の中に含まれるカルシウムやリンなどによって修復されます。
これが再石灰化と呼ばれる作用です。
唾液が少なくなってくると、今までむし歯になったことがあまりない人でもむし歯になってしまう可能性が増してしまいます。
唾液の少なくなってしまう原因としては、以下のものがあります。
- ストレス
- 糖尿病
- シェーグレン症候群といった疾患
- 加齢
- お薬の影響
もし、お口の乾燥を気になる方は、上のリンクのページの動画を参考に唾液腺マッサージをしてみてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
- 唾液は、漿液性と粘液性の2種類があり、自律神経によってコントロールされている。
- 口腔乾燥症の方は、唾液腺マッサージを試してみると良いでしょう。
- 唾液には、虫歯を予防する重要な効果があります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。