なるべく削らない、抜かない治療を目指して
2017年1月5日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
今日は当院の治療理念の一つでもあります「MI=Minimal Intervention ミニマルインターベンション」についてお話していこうと思います。
いきなり横文字が出てきましたが、要は「なるべく削らずに歯を残したい!」という考えのことです。
ミニマルインターベーションって何?
MIが登場する前の歯科治療
虫歯の穴がすでに開いてしまっている場合、まず、虫歯は取り除かねばなりません。そして開いた穴を埋めていきます。
昔は「接着技術(歯と詰め物を科学的にひっつける技術)」が未発達だったため、詰め物は機械的な凹凸にはまり込んでくっつける「合着(ごうちゃく)」という方法でつけるしかありませんでした。
合着は力が弱いので、詰め物が取れないように様々な工夫がなされました。
虫歯を取り除き終えた後に詰め物が取れにくいように「保持形態(とれにくい形)」を削っておく、などが代表例です。
これは釘を使わずに木をくっつける大工さんの技法ととても良く似ています。
画像:http://ameblo.jp/ghostripon/entry-11953176433.html
接着技術の向上とともにMI時代が幕開けた
1977年、ついに歯科界に接着技術が日本のクラレ社から登場します。
初めて歯と詰め物が、科学的にひっつくようになったのです。
接着で詰め物が外れないなら保持形態を削らなくて良いのでは?と、この時の多くの歯医者さんが考えたのではないかと思います(ちなみに当時、私はまだ生まれておりません)。
虫歯になってしまった部分は仕方ないとしましても、虫歯じゃない部分でできれば削りたくないですからね。
しかし実際は、すぐには普及しませんでした。まだまだ接着の力が弱く、接着させるための作業も煩雑だったのです。
けれど接着技術の登場を機に、MI=なるべく削らなくて済む治療を目指して、世界中の研究者と歯科メーカーと歯科医師の努力の結果、接着技術はどんどん向上していきました。
いまでは保持形態は必要最小限、どうしても必要と思われる症例のみ、最小限にとどめる形で使わる程度になりました。
接着だけではMIは達成できない!
さて、接着技術の進歩により虫歯でない部分まで余分に削る必要は少なくなりました。
しかしそれではまだ不十分なのです。
まだ、削りすぎなのです。
もっともっと、削らずに済む方法があるのです。
それは・・・
- 神経に近いところまで進行したむし歯でも、神経をなるべく残す治療を試みること
- 削る量を最小限にするための詰め物の材質を選ぶこと
- 初期むし歯はあえて削らず、食習慣・歯磨き習慣の改善とフッ素で修復させること
- そもそもむし歯にしないようにする=予防歯科こそが究極のMI!
次回は、さらなるMIを進めるための4つのポイントについてお話いたします。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。