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2歳ぐらいのこどもの虫歯の話

2018年1月25日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

2歳から3歳ぐらいのお子さまの保護者の方から、「歯に着色している」と相談を受けることがあります。
実際、お茶などによる着色で歯を磨いて様子を見る、という場合も多いのですが、残念ながら虫歯がすすんでいる、といった場合もあります。

今回は2歳~3歳のお子さまの虫歯治療と予防についてお話ししたいと思います。

2歳前後の子どもの虫歯の治療と予防

虫歯は感染症と生活習慣病の2つの要素があるのですが、低年齢児ではとくに生活習慣病の要素が強いです。
小児歯科学会などの報告によりますと、低年齢児の虫歯予防については以下の3つが有効とされています。

  • 甘みの摂取量の制限
  • フッ素塗布
  • シーラント(歯の溝の予防的な処置)

特に砂糖の量と虫歯の数には強い相関関係があります。

低年齢児の虫歯の原因とは?

低年齢児で明らかな虫歯、となると原因は大きく2つと考えられます。

  • 過去もしくは現在までの哺乳(母乳を含む)状態
  • 現在の食生活

低年齢児の虫歯治療

まずは食習慣を見直しましょう

低年齢児で明らかなむし歯がある場合は、まずジュースやおやつなどの食生活習慣を見直していただくことが第一となります。

歯科医院で行う治療

歯の表面(エナメル質)だけの初期むし歯ならまずフッ素による進行止め

低年齢児の虫歯は、カルシウムが抜けてチョークのように割れやすく、欠けやすい状態であることが多いです。
食生活習慣の改善を行った上で、フッ化ナトリウムを何度か塗って、歯を強くします。

少し進行した歯の表面の虫歯にはサホライドによる進行止め

もう少し虫歯が進行してくると、サホライド(フッ化ジアミン銀)による進行止めをおすすめすることがあります。

サホライドを塗ると、歯に銀が定着して黒くなるものの、進行が抑えられる場合があります。

サホライド(フッ化ジアミン銀)でも進行が抑えられない大きさの虫歯は削ったりする治療が必要

フッ化ジアミン銀で進行を抑えられないくらいの大きさの虫歯となると、歯を削るような治療が必要になります。
2歳―3歳はエナメル質や象牙質が薄く、いざ治療となる場合、皆さんが考えるよりも状態が良くない場合が多いです。

子どもでも神経まで達している虫歯の治療はした方がいいの?

神経に達しているような大きな虫歯の場合はお子さんであっても、歯のことだけを考えてみると治療はした方が良いでしょう。

虫歯には大腸内と同レベル、あるいはそれ以上の細菌が存在します。
乳歯の奥歯や、今後生えてくる永久歯のことを考えると、虫歯を治療することが、新たなむし歯への予防策となりますので、治療をおすすめしています。

低年齢児の大きな虫歯治療は、お子さま、保護者の方、歯科スタッフの全員にとって大変!!

① 治療期間が長くなる

小さなお子さまの治療を安全に行うことは、歯科医院にとって容易ではありません。
1回は使用する器具などを説明し、トレーニングしますが、2-3歳ではあまり効果がない場合もあります。

② 麻酔を使うリスクがある

そして大きな虫歯の場合、麻酔を使用します。
つぼい歯科クリニックでは最新の電動の浸潤麻酔機器を使うことが多いので、痛みには配慮していますが、完全に無痛にはできません。

③ 安全性に配慮するために、人員が必要となり、予約が取りにくくなる

つぼい歯科クリニックでは、安全に、またお子さまになるべく楽に治療を受けていただくために、ベテランの保育士も診療室に同伴し、お子さまへのお声がけや安全管理を行うなど、人手を多く使うことがあります。

他の治療の患者さまと比較して2倍以上のアシスタントがいないと安全に治療が行えない、つまり、他の患者さまの治療と同じようにどの枠でもすぐに予約が取れる、というわけにはいかなくなります。

その他、パルスオキシメーターをつけた状態で診療を行い、血中の酸素飽和度をチェックしながら行うことで安全性に配慮していますが、大泣き大暴れのお子さまではつけてもすぐはずしてしまうこともあります。

治療の緊急性が高く、かつ、当院にはない設備による治療(薬を用いた鎮静など)が適する場合は、大学病院等の高度専門機関をご紹介することもあります。

④ 保護者の方が歯科医院にお子さまを連れてくることが大変になる

お子さまにとって歯科が「痛いことをされる場所」「押さえつけられる場所」になってしまうと、歯科医院に連れてくることそのものが大変になります。

歯科医院側もお子さまのために通常の診療の2倍の人員を確保していたのに、お子さんがぐずって来られないことが何度か続くと、「他のご予約を希望される患者さまにご迷惑をかけられないので、影響の少ないこの時間帯で…」となり、保護者の方はさらにお子さんを医院に連れてくるのが大変になります。

上記のような治療中心ではじまった歯科医院との出会いは、お互いにとって厳しい面もありますが、一方で、通院を重ねて治療が終了し定期健診に移行した場合、当院にも慣れて楽しく通院が出来るようになったお子さんも多くおられます。
また新たに治療が必要となった場合もスムーズな場合が多いです。

低年齢のお子さんは虫歯を作らず検診で通院してもらうと治療になってもスムーズ、みんなハッピー

虫歯ができる前に、虫歯ができないよう予防するために通院し、歯科医院が「ほめられるところ」「楽しく歯みがきするところ」となると、お子さまも保護者の方にも負荷がより少ないことは言うまでもありません。
当院では小さなお子さまにこそ、予防歯科をおすすめしています。

まとめ

いかがでしたか?

・ 小さなお子さまの場合、歯磨きも重要ですが、食生活習慣の方がもっと大事です。
・ まずはフッ素を用いた歯質強化や虫歯の進行抑制から試みます。
・ 象牙質まで至った虫歯の場合、進行が速いので治療した方がよいです。
・ 小さなお子さまの治療は最も大変なので、安全性の確保を含め、様々な準備が必要です。

虫歯がなく、削らないこと、それがかかりつけ歯科医の一番の幸せです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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