むせる、飲み込みにくい、舌がもつれる…オーラルフレイルの自己チェックをしてみよう!
2019年5月22日
口の機能の衰え(オーラルフレイル)を自己診断してみよう
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
今回は、年齢とともに下がる口の機能によって、栄養低下を起こし、最終的には体力・筋力の低下につながってしまう…というお話です。
口の機能の衰え(オーラルフレイル)の代表的な症状とは?
口の機能の衰え(オーラルフレイル)の代表的な症状は、以下の通りです。
- 舌がもつれてしまう
- 飲み込みにくい
- むせる
食べにくい、唾でむせる、食事中にむせる、歳をとって滑舌が悪くなった…と感じていらっしゃる方。
それがオーラルフレイルです。
ここまで読んで
「私はオーラルフレイルではないね!」と思ったあなた。
よろしければ簡単なテストをしてみませんか?
テストは簡単です。
お口に少量の水を含んで、20秒、上を向いてください。
いかがでしたか?
むせたあなたは、オーラルフレイル予備軍です。
(*普段からよくむせる方は、危ないので挑戦しないでくださいね)
オーラルフレイルの原因は?
口・喉などの筋肉の衰えが原因です。
人間の喉は鼻と口が咽頭で一度合流し、喉頭蓋(こうとうがい)という弁で気道と食道に再び分けられています。
喉が衰えるとむせる原因に
喉頭蓋(こうとうがい)を動かす筋肉が衰えると、食べ物や飲み物が気道に間違えて入ってしまい(誤嚥:ごえん)、むせてしまいます。
「むせ」というのは、気道に間違えて入った液体や食物を、追い出すためにおこります。
逆に、むせて気道から食道へ誤嚥で入った液体・食べ物を追い出すことができなければ、肺炎になってしまいます。
舌が衰えると舌がもつれたり、食べ物が食べにくくなる原因に
他にも、舌の筋肉が衰えることで滑舌が悪くなります。
舌の筋肉の衰えは、食事にも影響します。
「食べる」という行為は、以下の流れで行われています。
食べるということの流れ
- 食べ物を認識する
- 口の中に食べ物を入れる
- 食べ物を舌で歯の上に乗せる動作をしながら咀嚼し唾液を混ぜ合わせる
- 舌の運動で喉に食べ物を送り込む
- 喉頭蓋の動きで食べ物が食道に入っていく
a⇒b⇒c⇒d⇒e
舌の筋肉が衰えることで、歯の上に食べ物を乗せたり、唾液を混ぜ合わせて「食塊」という飲み込みやすい形にしたり、喉に食べ物を送り込んだりが難しくなるわけですね。
口の機能の低下が、栄養バランスを崩して「やせていないのに栄養失調」「全身の筋力の低下」につながる!
加齢による体力・筋力の衰えを「体のフレイル(虚弱)」と言います。
そして、体のフレイルの引き金となる「口の機能の衰え」を「オーラルフレイル」と言います。
口の機能低下を起こすと、パンやちらし寿司、稲荷寿司など、炭水化物を主に食べ、
肉・魚・野菜はあまり食べない…という方が増えます。
口の機能低下を起こすと、噛み応えのあるもの、しっかり咀嚼しないと飲み込むことができない物が食べににくくなります。
その結果、簡単に唾液と混ざって食べやすく飲み込みやすいものを好むようになります。
このような食生活の方は、炭水化物はしっかり食べることができますので、見た目はやせて見えません。
しかし、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足しがちです。
ですから「やせていないけど栄養失調」という状態になってしまいます。
そして、たんぱく質の不足が、全身の筋力低下を招いてしまうのです。
あなたのお口の機能は大丈夫?自己診断チェックをしてましょう。
歯科医院では、口の機能低下を以下の項目についてチェックして、総合的に判断します。
- 歯がたくさん残っているか
- 口の中が乾燥していないか
- 口の中が汚れていないか
- むせや飲み込み辛さのアンケート
- 構音機能検査(オーラルディアドコキネシス)
- 反復唾液嚥下テスト(RSST)
- 舌を上顎に押し付ける力が弱くないか
など
この中で「舌の運動機能」「反復唾液嚥下テスト」は、簡単に自分でもやってみることができますので、ご興味がおありの方は、ぜひ試してみてくださいね。
構音機能検査
パ、タ、カの3つの音を10秒間、何回言えるかという検査です。
パの音は唇周りの筋肉をチェックできます。10秒に6.8回以上で正常です。
タの音は舌の筋肉をチェックできます。10秒に7.4回以上で正常です。
カの音は下顎の筋肉をチェックできます。10秒に6.7回以上で正常です。
こちらのテストはやってみると分かるのですが、10秒も「タタタタタ…」と言い続けるのはちょっと疲れます。
しかも、真剣に「タタタ…」と言っていると、数を数えるのが大変です。
そこで、スマートフォンなどに向かって「タタタ…」と5秒間言えば、10秒で何回のカウントになるか自動で計算してくれる便利なアプリがあります。
使い方はアプリを起動すると分かります。歯科医院でも愛用されている、便利なアプリです。
反復唾液嚥下テスト
30秒以内に何回、唾液を飲み込めるかという検査です。
30秒間で0~2回しか唾液の飲み込みができないと、嚥下障害を疑います。
簡単に試してみることができますね。
この2つの検査で「口の機能が衰えてる」と医学的に断定できるわけではないのですが、一つの目安にはなります。
このほかにも「飲み込みにくい」「むせる」という症状がある場合は、お近くの歯科医院に相談に行かれることをおススメします。
まとめ
いかがでしたか?
- 口の機能の衰えが、栄養の偏りにつながり、それが体の衰えにつながってしまう。
- 構音検査や、唾液の嚥下テストで、お口の機能低下の目安を知ることができます。
- 「飲み込みにくい」「むせる」が気になる場合は歯科医院にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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