歯を失ってしまった場合の治療について
2019年10月20日
こんにちは。岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
今日は、残念ながらながら歯を抜かなければならなくなった、失ってしまった場合の治療についてのお話をしていこうと思います。
歯を抜けたままにしておくと、反対側の歯が伸びたり、周りの歯が倒れてきたり、その結果、かみ合わせが変わることもあり、かみ合わせが変わることで顎の痛みなどの症状を起こしてしまったり、噛む能力も低下したり、色々と健康にとって良くないです。
よって、抜けた部分に何かは入れる必要があります。
基本的には、3パターンの治療法が挙げられると思います。
①入れ歯
まずは入れ歯。義歯ですね。
まだ自分の歯が残っている人に入れる部分入れ歯と、完全に自分の歯がない人用の総入れ歯があります。
部分入れ歯
部分入れ歯では留め金などで自分の歯に入れ歯をひっかけて、入れ歯を動きにくくしたり沈みにくくします。
総入れ歯
総入れ歯では、口の中の粘膜で入れ歯を支えます。
②ブリッジ
次に、残った歯を用いて、無くなった歯の部分を支える治療です。
ダミーの歯の両サイドに、土台になる歯がくる形が「橋」に似ていますね。
ブリッジとは、両サイドの歯を削って土台にし、歯がない部分に入れる偽物の歯と土台の歯に被せる被せ物を連結させることで、偽物の歯を固定します 。
③インプラント
もう一つがインプラント治療。
人工の土台を骨に埋め込んで差し歯を入れるといったものですね。
①②③それぞれ利点、欠点があります。
入れ歯について
今回は入れ歯、義歯による治療について、少しくわしくお話をしてみようと思います。
<良い点>
- 歯を失ったほとんどのケースに治療が可能
入れ歯による治療はあらゆるケースに対応、失った歯の本数、部位など様々なケースに対応可能な治療法と言えると思います。 - 健康な歯を削らなくて良い
ブリッジによる治療と比べると、残った歯を削る量は少ないという良い点もあります。
取り外しができるので入れ歯に関して言えば手入れは容易と言えるかもしれません。
<良くない点>
- 留め具をかけた自分の歯に負担がかかり、抜ける原因になりうる
入れ歯は、留め金のようなものを残った歯にかけて入れ歯の動きを抑制するので、その歯への負担がかかります。
力のバランスなどには注意して作らないといけないのですが、歯の残った部位や、ご本人の希望により、そうも言っていられないケースもあるのも事実ですね…。
歯を失った部分の骨などは減っていく傾向にあります。
入れ歯を入れると年間ほんの少しずつ骨が下がります。
口の中の粘膜も徐々に変化していくので、定期的な調整をしなければ必ず合わなくなってきます。
入れ歯自体もすり減っていくので消耗品と考えてもらう方が正しいかもしれません。
入れ歯を使う場合、慣れが必要であることも、デメリットかもしれません。
入れ歯の患者さんが診療中よく言われる言葉にこんなものがあります。
『「違和感がある」「合わない」から今は入れ歯を使っていない』
『食事の時だけ入れ歯を入れている』
上記のことを仰る患者さんは、足に力が入りにくく、転倒・寝たきりのリスクも高くなります。
他の治療も慣れは必要ではありますが、入れ歯は特に慣れてもらうこと、きちんと使用してもらうことが重要になります。
入れ歯に口を合わせることはできませんから、入れ歯を使いながら、入れ歯を口に合わせていく必要があります。
よって、新しく作った入れ歯を徐々に調整していって、問題なく使えるようにしていくという作業が必要です。
歯科医院で新しい入れ歯を渡された時、「入れ歯治療が終わった」と思われる患者さんが多いのですが、新しい入れ歯を渡された時は「入れ歯トレーニングが始まった」時なのです。
咬む能力や咬み心地という点では、ブリッジやインプラント治療に軍配が上がるかもしれません。
他の治療もメリット、デメリットはやはりありますので、またお伝えしていこうと思います。
まとめ
いかがでしたか?
- 歯は抜けたままにしておくと健康に良くない
- 抜けた部分には、入れ歯、ブリッジ、インプラントの選択肢があり、それぞれメリットデメリットがある
- 義歯は作って終わりではなく、義歯に慣れることが大事
最後までお読みいただき、ありがとうございました。