歯ぐきに出来るコブ「骨隆起」を見つけたら気を付けること
2023年12月21日
歯ぐきに出来るコブ「骨隆起」を見つけたら気を付けること
![岩国市 歯医者 骨隆起](https://tsuboidental.com/blogs/wp-content/uploads/sites/3/2023/12/2023-12-21.jpg)
こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 歯科医師の藤東です。
あなたの口の中には、下顎の内側や上顎の中央などにコブのような硬い膨らみがありませんか?
・痛くない
・表面はつるつるしている
・硬くて大きい
・膿や出血は無い
・若いころには無かった
これらの特徴をすべて満たしているなら、
それは「骨隆起」かもしれません。
1)骨隆起の種類
・下の顎に出来る『下顎隆起』
![岩国市 歯医者 骨隆起](https://tsuboidental.com/blogs/wp-content/uploads/sites/3/2023/12/image_2023_12_14-300x300.png)
・上の顎の中心近くにできる『口蓋隆起』
![岩国市 歯医者 骨隆起](https://tsuboidental.com/blogs/wp-content/uploads/sites/3/2023/12/image_2023_12_4-300x300.png)
・歯を支えている骨にできる『歯槽隆起』
![岩国市 歯医者 骨隆起](https://tsuboidental.com/blogs/wp-content/uploads/sites/3/2023/12/image_202_14-300x300.png)
骨隆起は、どの場所にできるにしても、ゆっくり骨が成長して出来ていきます。
ですから、歯医者の受診の際に指摘されて初めて気がつくことが多いです。
骨の過成長によものなので体に悪影響は無く、大きくなったとしても害はありません。
2)骨隆起ができる原因
骨隆起は噛む力から顎を守る防御反応
骨隆起は噛む力が強くかかる部分にできます。
噛む力による負荷に顎の骨が耐えられるように、骨が過成長したもの、それが骨隆起の正体です。
人間のグッと食いしばる力は70kg近くあるので、この力に耐えられるように骨が大きくなるんですね。
3)骨隆起ができやすい人
・力仕事をする方
・スポーツ選手
・長時間のPC作業や、下を向いて行う作業がある方
・食いしばりや歯軋りのある方
ぎゅっと噛みしめたり、上下の歯を長時間接触させる癖がある方に、多く見られます。
逆に、骨隆起の発見から、ご自身では気がついていなかった睡眠時の食いしばりや歯ぎしりが発覚につながることも珍しくありません。
食いしばりや歯ぎしりなどは以前の記事にも記載していますので、こちらもご覧ください。
噛みしめると歯が痛い!?くいしばりを改善する方法
4)骨隆起を見つけたら気を付けること
骨隆起そのものは、基本的には処置は不要です。
ただし、
・背景に歯と顎への過度の負担がある。
・長期間に渡る歯への負荷のため、歯が折れたり、詰め物が割れたりする原因となる。
・将来的に歯を失って義歯を使用しなくてはいけなくなった場合、骨隆起の出っ張りが邪魔になる。
・骨が出っ張った部分に、口内炎ができやすいことがある。
などの問題につながることがあります。
ですから、骨隆起の背景となった過度の負荷を軽減することは考えた方がよいでしょう。
5)骨隆起につながる顎の力をコントロールする方法
過剰な「噛む力」と「噛む時間の長さ」が原因となっているので、
予防策は「大きな負担を歯や顎にかけないこと」になります。
5-1)スポーツスプリントや歯ぎしり用マウスピースの使用
プラスチック製のマウスピースに噛む力を一部吸収させ、歯や骨にすべての力がかからないようにする方法です。
特にウェイトリフティングや野球(バッター)、ラグビーなど、パワーを出す時に臼歯部を強く噛みしめるスポーツでは、スポーツスプリントがクッションとなって歯や骨に伝わる衝撃・負荷を軽減することで、より強いパフォーマンスを発揮できるようになります。
歯や顎を守りながら、パフォーマンスも伸ばせるため
5-2)上下の歯があたっている時間をコントロールする
噛む力はさほど強く無くても、噛んでいる時間が長時間であれば、歯と顎に負荷がかかります。
そこで、「噛む時間をコントロールする」という視点も重要です。
長時間、上下の歯を接触してしまう癖の改善方法は
・下を向く時間を短くする(特にスマホ、PCの閲覧で長時間化しやすい)
・上下の歯が噛んでいたら意識して離すよう意識する
・姿勢が崩れやすいので、椅子の背もたれを使わないようにする
などが効果的だとされています。
詳しくは、以前の記事をご参照ください。
歯医者で「歯ぎしりか食いしばりがありそうですね」と言われたけれど、思い当たる節がない…それは、TCH(歯列接触癖)かも!?
まとめ
いかがでしたか?
・骨隆起は噛む力が強い方に多く発現します
・基本的には処置は必要無く経過観察をすることが多いです
・骨隆起が出来る生活習慣の改善はした方が良いです。
治療は不要と言われる骨隆起、されど骨隆起が起きる習慣の改善は大事です。
ぜひ、試してみてくださいね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
噛みしめると歯が痛い!?くいしばりを改善する方法
2023年8月14日
こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 歯科医師の藤東です。
今回は「噛みしめ」「食いしばり」「何もしていないのに歯が痛い/しみる」
そんな方にぜひ読んでいただきたいテーマです。
![岩国市 歯医者 くいしばり](https://tsuboidental.com/blogs/wp-content/uploads/sites/3/2023/08/2023-08-16.jpg)
あなたはこんな症状・経験はありませんか?
「顎が痛い」
「歯がしみるので歯医者に行ったのに、虫歯じゃないと言われた」
「頬や頭の横の筋肉が痛い・疲れている」
「歯がとてもすり減っていると言われた」
「気づけばキュッと噛みしめている」
上記に一つでも当てはまる方は、ぜひこの記事を最後まで読んでください。
実はこれ、すべてTCH (Tooth Contacting Habit=歯の接触癖)の症状。
TCHとは、上下の歯を接触させてしまう時間が、一般より長いという癖のことです。
![TCH](https://tsuboidental.com/blogs/wp-content/uploads/sites/3/2023/08/tch05-1-300x300.png)
TCH(ティーシーエイチ:上下の歯をくっつけてしまう良くない習慣)
あなたは、何もしていないとき、上下の歯はくっついているでしょうか?
それとも、すき間がありますか?
一般的に「上下の歯が接触している時間つまり歯と歯が触れ合っている時間」は、どのくらいの時間なんでしょうか?
正解はなんと「17分」!
食事や睡眠中も含めた24時間の中で、たったの『17分』と言われているんです。
当院にも、TCHによって引き起こされる症状でお困りの方が、たくさん受診されています。
今回は、どうしてTCHが起きるのか、筋肉やかみ合わせの話と合わせて解説してきます。
1.正常な状態では、上下の歯の間に「安静空隙(あんせいくうげき):すき間」がある
通常、力を抜いてリラックスした場合、歯と歯の間には2〜3mmの空間があります。
この空間は安静空隙(あんせいくうげき)と呼ばれ、安静時には歯と歯が当たらないようにメカニズムされているのです。
唇は閉じているけど歯と歯は当たっていない そんな状況ですね。
2.TCHになると起きること
歯と歯が接触しているTCH(歯の接触癖)があると、以下の様々なトラブルがおこります。
・顎関節症
・頭痛
・首や肩こり
・歯のすり減り
・歯周病の悪化
歯のすり減りはイメージがしやすいと思います。
TCHによって、頭痛、肩こりは、なぜ起きてしまうんでしょうか?
TCHによって、肩こりや頭痛が起こるメカニズム
下の顎には咀嚼(物を噛む動作)に使うための大きな筋肉がついています。
筋肉は単独で存在しているのではなく、全身つながっています。
噛んだままという事は、この筋肉たちがリラックスした状態ではなく、常に緊張している状態になっています。
つまり筋肉をずっと使い続けている状態になります。
使い続けている筋肉は、縮みます。
顔や頭の筋肉が固く縮むことで、その筋肉とくっついている首の筋肉は、引っ張られ、伸ばされます。
これが肩こりの原因になります。
頭痛も同様に、筋肉が固く短く縮むことが原因で起こります。
3.TCHに関わる筋肉
咀嚼に使う筋肉は沢山ありますが、大きなものに咬筋(こうきん)・側頭筋(そくとうきん)・内側翼突筋(ないそくよくとつきん)・外側翼突筋(がいそくよくとつきん) の四つがあります。
『咬筋(こうきん)』は顎に手を置いてグッとかみしめると膨らむので触れてみるとわかりやすいです。
『側頭筋(そくとうきん)』はこめかみを触りながら、軽く上下の歯を触れ合わせるだけでも、筋肉の張りを確認することができます。
![咀嚼筋](https://tsuboidental.com/blogs/wp-content/uploads/sites/3/2023/08/1824529-300x233.png)
内側翼突筋と外側翼突筋は、外側から触れることは出来ません。
口を開けたり閉じたりする時に使用されています。
側頭筋は、頭についている筋肉の中でもかなり範囲が広い筋肉です。
この筋肉がリラックスできていない状況下であれば、頭痛を引き起こすこともあります。
4.TCHかな?と思ったら「リラックスして、歯と歯を離す」
もしも集中しているときやスマホなどをみている際、歯と歯が接触しているなと感じたら、以下のことをしてみてください。
・まず、深呼吸をしたり、深く息を吐いて、リラックスする
・次に、2~3mmの隙間を意識する。
すでに「歯がしみる」「顎が痛い」といったお悩みがある場合は「リラックスして、歯を離す」と書いた付箋を、目につくところに貼っておきましょう。
「付箋が目に入ったら、まず深い呼吸をしてリラックスして、それから歯と歯を離す」を意識する、という方法がおススメです。
この付箋の写真を、PCやスマホの壁紙にするのも良い方法です。この付箋法はTCHの改善に効果があると論文で確認されている方法です。
![「歯を離す」とメモされた付箋](https://tsuboidental.com/blogs/wp-content/uploads/sites/3/2023/08/9082661f1fc8080a0f7d8fdee7b82988-300x264.png)
ポイントとしては、「歯を離す」よりも「呼吸とリラックス」を重視すること。
TCHのある方は、非常に全身の筋肉が緊張しやすい状態(交感神経優位な状態)になっています。
「歯を離すんだ!」と意識しすぎると、逆に口を開く方に力が入る可能性があります。
寝る前のメディテーション(瞑想)や腕の内側のマッサージなどもリラックスには有効です。
症状が既にある方は、ぜひお試しくださいね。
まとめ
・上下の歯を長時間接触させてしまう癖をTCH(ティーシーエイチ)と言い、様々な症状の原因となります。
・安静時は、上下の歯は2~3㎜の隙間が空いているのが正常です。
・つい、長時間上下の歯を触れさせてしまう人は、付箋などを用いて「リラックスして、歯と歯を離す」ように意識しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
どうして歯ぎしり・食いしばりをしてしまうの? ~歯ぎしり・食いしばりの原因と治療法について~
2022年12月31日
どうして歯ぎしり・食いしばりをしてしまうの?
~歯ぎしり・食いしばりの原因と治療法について~
こんにちは、つぼい歯科医師の荒田です。
本日は歯ぎしりや、食いしばりが及ぼす
影響などについて話していこうと思います。
人に言われるまで全く気付かないこともある
歯ぎしりや食いしばり。
朝起きるとやけに歯が痛かったり、
顎がだるくなっているような経験を
された方も多いのではないでしょうか。
そうなっても、往々にして
放置してしまうことが多い歯ぎしりや食いしばりですが、
歯周病などと合わさると
歯が抜ける一つの原因となることもあります。
歯を残していくために、基本的な知識や、
対策について知っておくのはとても重要です。
①なぜ歯ぎしりや食いしばりをしてしまうのか
単純に噛み合わせが少し悪くて、
無意識化でそれが気になって生じるものや、
ストレス性、精神的に不安定な状態、
長年の癖など、多種多様の原因があります。
それらが複合的に絡み合って、
歯ぎしりや食いしばりを起こしている場合も多くあり、
根本的に症状をなくす、というのは
中々難しいのが現状です。
治療にするにしても、
すぐ治療の効果が出ない場合も多いのです。
②歯ぎしりや食いしばりによっておこる症状
・噛むと痛みを感じるようになる(歯根膜炎)
歯は顎の骨に埋まっているのですが、
実は歯と骨との間に薄いクッションのようなものがあります。
このクッションは噛むときの力を受け止めたり、
歯が痛まないように
噛む力を調整したりする優れものなのですが、
歯ぎしりや食いしばりなどで過剰な力がかかると
このクッションが痛むことになるのです。
そうすると、噛むと痛むようになってしまいます。
・歯周病などがある場合、歯が抜けてしまうこともある
歯周病で骨が溶け始めているような方だと、
場合によっては歯が抜ける原因にもなります。
例として砂山の頂上に棒を立て、
その棒を前後左右にゆするイメージをしてみましょう。
適度な力ならばたいしたことはありませんが、
大きく動かせば動かすほど砂山は崩れ、
最終的に棒は抜けることになります。
本来人間の骨は砂山ほど崩れやすくはありませんが、
骨が溶け始めていると歯が抜ける原因になりかねない、
というのはなんとなくわかっていただけるかと思います。
・歯が削れてしまう(咬耗)
一般的に、上の歯と下の歯が触れる時間は、
食事や会話の時間も入れて
1日20分未満だといわれています。
![](https://tsuboidental.com/blogs/wp-content/uploads/sites/3/2022/12/image_2022_12_31-300x300.png)
それが、歯ぎしりや食いしばりをする方の場合は、
何倍も噛む時間が長くなってしまうので
歯が削れていってしまうことが多いです。
下の写真は削れてしまった歯の状態です。
![](https://tsuboidental.com/blogs/wp-content/uploads/sites/3/2022/12/image_2022_12_31-1-300x222.png)
歯が削れると、歯の長さが短くなって
かみ合わせが変わってしまったり、
歯がしみたりすることがあります。
・詰め物が取れる、詰め物を入れた歯が欠ける
歯に詰め物が入っていた場合、
歯が削れてしまうほどの強い力が
歯にかかってしまうと、
詰め物が取れたり
歯が欠けたりしてしまうことがあります。
④治療に関して
もし直接的な原因がはっきりとしている
ようであればそれを取り除くのですが、
ストレスや生活習慣などが原因の場合は
簡単にはいきません。
代表的な治療法
・歯や詰め物を守る必要があるときには、マウスピースを用いて、ダメージを軽減する。
・かみ合わせが強くなりやすい姿勢を改善する。
・咬み合わせが悪い原因(歯周病や、治療していない虫歯、歯が抜けたあと放置した隙間など)がある場合は、先にそこを治療する。
・食いしばる癖を改善するための行動変容療法を試す
などがあります。
まとめ
1.歯ぎしりや食いしばりは放置せずにまず、相談しましょう
2.口周りの健康の維持の為、対策をしましょう
歯ぎしりや食いしばりによって
おこる症状と治療法を説明してきましたが、
実際には更に多岐に渡ります。
頭痛や肩こりなどの症状の原因の一つが、
実は食いしばりだった、ということも
珍しくはありません。
逆に、腰痛の原因となる姿勢が
食いしばりを起こしていた、と
いうことも多いです。
今まで気づいていなくても、
気づくきっかけがあったならば
検診のつもりで歯科受診されてみては
いかがでしょうか?