噛みしめると歯が痛い!?くいしばりを改善する方法
2023年8月14日
こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 歯科医師の藤東です。
今回は「噛みしめ」「食いしばり」「何もしていないのに歯が痛い/しみる」
そんな方にぜひ読んでいただきたいテーマです。
あなたはこんな症状・経験はありませんか?
「顎が痛い」
「歯がしみるので歯医者に行ったのに、虫歯じゃないと言われた」
「頬や頭の横の筋肉が痛い・疲れている」
「歯がとてもすり減っていると言われた」
「気づけばキュッと噛みしめている」
上記に一つでも当てはまる方は、ぜひこの記事を最後まで読んでください。
実はこれ、すべてTCH (Tooth Contacting Habit=歯の接触癖)の症状。
TCHとは、上下の歯を接触させてしまう時間が、一般より長いという癖のことです。
TCH(ティーシーエイチ:上下の歯をくっつけてしまう良くない習慣)
あなたは、何もしていないとき、上下の歯はくっついているでしょうか?
それとも、すき間がありますか?
一般的に「上下の歯が接触している時間つまり歯と歯が触れ合っている時間」は、どのくらいの時間なんでしょうか?
正解はなんと「17分」!
食事や睡眠中も含めた24時間の中で、たったの『17分』と言われているんです。
当院にも、TCHによって引き起こされる症状でお困りの方が、たくさん受診されています。
今回は、どうしてTCHが起きるのか、筋肉やかみ合わせの話と合わせて解説してきます。
1.正常な状態では、上下の歯の間に「安静空隙(あんせいくうげき):すき間」がある
通常、力を抜いてリラックスした場合、歯と歯の間には2〜3mmの空間があります。
この空間は安静空隙(あんせいくうげき)と呼ばれ、安静時には歯と歯が当たらないようにメカニズムされているのです。
唇は閉じているけど歯と歯は当たっていない そんな状況ですね。
2.TCHになると起きること
歯と歯が接触しているTCH(歯の接触癖)があると、以下の様々なトラブルがおこります。
・顎関節症
・頭痛
・首や肩こり
・歯のすり減り
・歯周病の悪化
歯のすり減りはイメージがしやすいと思います。
TCHによって、頭痛、肩こりは、なぜ起きてしまうんでしょうか?
TCHによって、肩こりや頭痛が起こるメカニズム
下の顎には咀嚼(物を噛む動作)に使うための大きな筋肉がついています。
筋肉は単独で存在しているのではなく、全身つながっています。
噛んだままという事は、この筋肉たちがリラックスした状態ではなく、常に緊張している状態になっています。
つまり筋肉をずっと使い続けている状態になります。
使い続けている筋肉は、縮みます。
顔や頭の筋肉が固く縮むことで、その筋肉とくっついている首の筋肉は、引っ張られ、伸ばされます。
これが肩こりの原因になります。
頭痛も同様に、筋肉が固く短く縮むことが原因で起こります。
3.TCHに関わる筋肉
咀嚼に使う筋肉は沢山ありますが、大きなものに咬筋(こうきん)・側頭筋(そくとうきん)・内側翼突筋(ないそくよくとつきん)・外側翼突筋(がいそくよくとつきん) の四つがあります。
『咬筋(こうきん)』は顎に手を置いてグッとかみしめると膨らむので触れてみるとわかりやすいです。
『側頭筋(そくとうきん)』はこめかみを触りながら、軽く上下の歯を触れ合わせるだけでも、筋肉の張りを確認することができます。
内側翼突筋と外側翼突筋は、外側から触れることは出来ません。
口を開けたり閉じたりする時に使用されています。
側頭筋は、頭についている筋肉の中でもかなり範囲が広い筋肉です。
この筋肉がリラックスできていない状況下であれば、頭痛を引き起こすこともあります。
4.TCHかな?と思ったら「リラックスして、歯と歯を離す」
もしも集中しているときやスマホなどをみている際、歯と歯が接触しているなと感じたら、以下のことをしてみてください。
・まず、深呼吸をしたり、深く息を吐いて、リラックスする
・次に、2~3mmの隙間を意識する。
すでに「歯がしみる」「顎が痛い」といったお悩みがある場合は「リラックスして、歯を離す」と書いた付箋を、目につくところに貼っておきましょう。
「付箋が目に入ったら、まず深い呼吸をしてリラックスして、それから歯と歯を離す」を意識する、という方法がおススメです。
この付箋の写真を、PCやスマホの壁紙にするのも良い方法です。この付箋法はTCHの改善に効果があると論文で確認されている方法です。
ポイントとしては、「歯を離す」よりも「呼吸とリラックス」を重視すること。
TCHのある方は、非常に全身の筋肉が緊張しやすい状態(交感神経優位な状態)になっています。
「歯を離すんだ!」と意識しすぎると、逆に口を開く方に力が入る可能性があります。
寝る前のメディテーション(瞑想)や腕の内側のマッサージなどもリラックスには有効です。
症状が既にある方は、ぜひお試しくださいね。
まとめ
・上下の歯を長時間接触させてしまう癖をTCH(ティーシーエイチ)と言い、様々な症状の原因となります。
・安静時は、上下の歯は2~3㎜の隙間が空いているのが正常です。
・つい、長時間上下の歯を触れさせてしまう人は、付箋などを用いて「リラックスして、歯と歯を離す」ように意識しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。