ギネスブックに登録された「世界一多い病気」とは?
2017年6月12日
地域で、ご家庭で、かかりつけクリニックで!〇〇〇から歯を守ろう
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
6月は学校歯科健診も始まり、当院にも「学校で健診の紙をもらったので」というお子さまが多く来院されています。
お子さまが、切り取り線のついている歯科健診結果の紙を持って帰ってくると
「わー、またかー。面倒だな~」と思われる保護者の方も多いと思います。
★学校で歯科健診の紙を貰った保護者の方のよくある疑問★
- 「痛がってないし、口の中を覗き込んでも黒くなってる歯もないけれど、歯医者に行った方がいいの?」
- 「歯肉炎に〇がついているけれど子供の歯肉炎って放っておいちゃいけないの?」
- 「3か月前にも歯医者に行って虫歯は無いって言われたけど、それでも行かなきゃダメなの?」
お子様から健診結果の紙を受け取った保護者の方なら、皆さん一度はそう思われたことがあるかもしれません。
今回はそんな保護者の方の疑問にお答えしていきたいと思います。
ギネスブックに登録された「世界一多い病気」とは!?
さて、ここでクイズです!
「世界一多い病気とはなんでしょうか?」
「世界一多い病気」…実は、日本一多い病気でもあります。
国民病というか、全人類病ですね。
2001年にギネスブックに登録されて以来、ずっと首位の座を保っています。
下の4つから選んでください。
- 癌
- 虫歯
- インフルエンザ
- 歯周病
答えは……4)歯周病(ししゅうびょう)でした!
歯周病にはどれぐらいの人がかかっているの?
日本では成人の80%、約8000万人が罹患していると言われています。
小児の罹患率は?
5~9歳で35%、10~14歳で45%、15~19歳で69%の子どもに、何らかの歯肉炎の所見があると報告されています(平成23年 歯科疾患実態調査)。
びっくりな数字でしょう?
歯周病は虫歯より、ずっとありふれた病気なのです。
歯周病は歯周病菌が引き起こす「感染症」
歯周病とは?
そもそも、歯周病とは何でしょうか。
歯周病とは、歯垢の中に棲みついている歯周病菌と呼ばれる「歯肉など、歯の周りの組織を腫れさせる菌」が引き起こす病気です。
歯周病には段階があります。
以下の図を見ながらご説明していきます。
①は健康な状態です。②から順に右へ行くほど進行しています。
- 健康な歯肉…5~9歳の子供で65%、成人の20%程度の人がこの状態です。
- 子どもの多くがこの状態です。
骨には影響がまだ無く、歯肉が腫れている「歯肉炎」。
虫歯が無いのに学校歯科健診で受診を勧められるのはこの「歯肉炎」があるから、ということが多いです。歯みがきがちゃんとできていて、汚れが少ないから歯周炎まではいかず歯肉炎でとどまっている、という訳ではありません。
転んで擦りむいてもアッと言う間に治ってしまう、子どもの高い回復力に支えられて、重症化を免れているケースが多いです。 - 30~40代になると、骨に影響が出てしまう「歯周炎(ししゅうえん)」に進行してしまう人が多くなります。
- 重症化して中等度の歯周炎になると、歯が揺れてきて、硬いものを噛むと痛みが出たりします。
- 重度の歯周炎まで進行してしまうと、いつも歯が揺れていて、食事が難しくなったり、歯が抜けてしまうこともあります。
初期は「歯茎が腫れるだけ(歯肉炎:しにくえん)」として、歯磨きしたときにじんわり血が出たりする程度ですし、子どもは回復力が非常に高いので悪化することは稀です(子どもでも歯周病を引き起こす基礎疾患を持つ場合は、その限りでありません)。
しかし、歯周炎より悪化することが少ないからと言って、ほっておくと、お子さんが将来歯みがきをがんばっても虫歯になりやすく、歯を失いやすくなってしまいます。
歯肉炎って、なぜほっておいてはいけないの?
ではここで、冒頭の保護者の方の疑問にお答えしていきたいと思います。
- 「痛がってないし、口の中を覗き込んでも黒くなってる歯もないけれど、歯医者に行った方がいいの?」
- 「歯肉炎に〇がついているけれど子どもの歯肉炎って放っておいちゃいけないの?」
- 「3か月前にも歯医者に行って虫歯は無いって言われたけど、それでも行かなきゃダメなの?」
まず、子どもの虫歯は痛みが出ないことも少なくありませんし、急性う蝕(きゅうせいうしょく)といって進行が速いタイプの虫歯は黒くなりません。
ですから、学校検診の虫歯の欄にチェックが入っていた方は急いで治しましょう。
子供の歯肉炎については、非常に旺盛な回復力に支えられて重症化はあまりしないことが一般的です。
しかし、歯肉炎になったということは、歯垢(しこう・プラーク)が十分に取れていないという証明でもあります。
歯垢の中には虫歯菌や歯周病菌がたくさん含まれています。
当然、虫歯リスクや歯肉炎リスクは高いままになります。
また、子供のころに虫歯菌や歯周病菌をたくさんお口の中で「飼っている」と、大人になっても歯垢の構成はそのまま維持されてしまうので、大人になってから虫歯や歯周病で苦労することになる可能性が高くなってしまうのです。
参考:
こどもの口の中のむし歯菌はどこからくるの?
乳歯の虫歯を予防するために気を付けたい3つのこと
定期的にメンテナンスに通っているけど、歯肉炎に〇がついてしまった…どうして?
では、3か月前に歯科医院でお口のクリーニングをした、というお子さまはどうでしょうか。
歯科健診で「歯肉炎」の判定が出たということは、クリーニングしたけど、ご自宅でのセルフケアが不十分なため再び歯のお掃除が必要なくらい歯茎が腫れてしまった、ということです。
お家でのお手入れ方法や食生活を見直す必要があります。
歯科受診して、適切なお家でのケアの方法をご相談ください。
学校歯科健診の結果で、歯科医院への受診をおススメします♪
まとめ
いかがでしたか?
- 世界で一番多い病気は「歯周病」
- 子供のころ、虫歯や歯肉炎が多いと大人になってからも歯で苦労する
- 学校歯科健診の結果で歯科受診を指示されたら、今痛みがなくても受診しましょう