歯並びが悪いのは遺伝ですか?その2 出っ歯編①指吸癖について
2017年8月12日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
前回は、受け口(下顎前突)についてお話させていただきました。
今回は受け口と並んで歯並びのお悩み相談の多い、出っ歯(上顎前突)についてのお話です。
出っ歯は、受け口同様に遺伝であることもありますし、歯並びを悪くしてしまう「癖」によって出来てしまうこともあります。
遺伝の出っ歯ってどんなもの?
1)骨格性のもの
身長が一人一人異なるように、上顎の骨と下顎の骨の位置関係も人によって異なります。
ただ、生まれつき上顎が下顎より、うんと前に出ている骨格の方は遺伝性の出っ歯(上顎前突:じょうがくぜんとつ)となります。
確率的には、受け口(下顎前突)より遺伝要素は少ないと言われています。
2)歯のサイズと顎のサイズのアンバランスによるもの
骨格的に上顎が前方に出ていない場合でも、顎のサイズに対して歯のサイズが大きい場合、出っ歯になることあります。
顎に歯が並ぶだけのスペースが足りない場合、歯は全体的に前にあふれて出っ歯となるか、折り重なって乱杭歯(らんぐいし)となるのかの、どちらかとなるしかないからです。
これはフレアスカートを想像していただくと分かりやすいかもしれません。
たっぷりの布地のフレアスカートは、スカートを履いている人が立っている時は折り重なってフリルのようになり、クルリと回転すると大きく外に膨らみます。
歯並びの場合、外に膨らもうとしても、頬があるため前側のみに膨らむことになります。
これも、出っ歯の主な原因になります。
出っ歯になってしまうかもしれない、悪い癖とは!?
次は、遺伝以外で出っ歯になってしまう要因についてです。
歯並びを悪くする悪い癖の中でも、最もよく見られるものに「吸指癖(キュウシヘキ)」や「咬唇癖(コウシンヘキ)」、「舌突出癖(ゼツトッシュツヘキ)」などがあります。
吸指癖(キュウシヘキ)がある場合どうすれば良いの?
特に指吸いは赤ちゃんがよくやっていますね。お母さんもよくお悩みになるポイントである様子で、1歳半検診でもよくご質問を受けます。
指吸いは、生まれてすぐにおっぱいを飲めるようになるためのトレーニングとして、赤ちゃんが胎児のときに開始します。
そしてつかまり立ちや伝い歩きを始める頃にだんだんと頻度が減っていき、1~2歳ころになりますと、退屈な時と眠い時のみにみられるようになるのが一般的です。
しかし、何らかの事情で指吸いが3歳近くなっても残るようなら、要注意です。
歯並びを崩してしまう原因となることが多いからです。
年齢別 吸指癖(キュウシヘキ)のやめさせ方
<1歳半>
1歳半検診で「すでに指しゃぶりで歯並びが出っ歯型になってきている」と言われてしまった場合は、大好きなおもちゃ気を引く、寝ている時は可能ならそっと指を外してあげるなど、出来る範囲でやってみてください。
1歳半ですと、ほとんどその程度しか指吸い中止支援はできません。
<2歳>
2歳になったら、「あれあれ?2歳のお兄ちゃん/お姉ちゃんなのにおかしいな?赤ちゃんみたいだな?」と、本人のプライドをくすぐる言い方で本人が自分から指吸いを止めたいと思うように、声かけしてみてください。
<3歳>
3歳になって、指吸いが継続している場合は、3歳時健診やお近くの歯科医院で相談してみましょう。
歯並びに影響が出ていない場合は声かけだけで良いこともありますし、早めに矯正装置を用いた方が良い場合もあります。
矯正治療は3歳から
1~2歳のお子様の保護者の方から、「矯正はまだできませんか?」と聞かれることがありますが、矯正はもっとも発育が早いグループで3歳からと思って頂ければと思います。
1~2歳の赤ちゃんですと、矯正治療を理解できずに装置を入れても壊されてしまったり、ポイされて失くしてしまったりで、そもそも治療にならないからです。
3歳になると保護者の方の「装置をお口に入れないとダメよ」という言いつけは理解できるようになりますので、矯正の早期治療をご希望の方は3歳くらいを目安にすると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
- 出っ歯(上顎前突)には、遺伝性のものと、悪習慣によるものがある
- 悪習慣の一つ吸指癖は、3歳になっても治らないようなら、歯科医院に相談するのが良い
- お子さんの歯列矯正は3歳からがおススメ
今回は指吸いで長くなってしまいましたので、出っ歯になりやすい指吸い以外の悪い癖については次回にお送りしたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。