ドライマウス(口腔乾燥症)の原因と自分での治し方
2019年4月20日
こんにちは♪岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
前回・前々回と2回連続で「口臭の原因と対処法」についてお話ししました。
参考 口臭の原因と、自分でできる口臭チェックについて
参考 口臭の原因と対策について
前回のまとめ
口臭は気になるが、歯科医院に行けていない人
「自分でも口臭が気になってはいたんだけど、歯科医院に行く時間がなくって…」
という方は、口臭の原因の最多要因である「口腔領域の病気」の治療で解決することが多いです。
口臭の原因の多くが、口腔領域の病気(歯周病、虫歯、歯石や古い歯垢、傷んだ歯の詰め物など)であるからです。
定期的に歯科医院で検診や歯石除去をしているが、口臭が気になる時がある人
「ずっと悩んでいて、歯科医院に定期的に歯石取りにいっています。
歯科医院でも『虫歯もない』って言われてるんですけど…。
歯医者さんに行った時は、自分でもニオイがあまり気にならないことも多いです。
そして、先生や衛生士さんにも『ニオイはないですけどねぇ』って言われちゃうんです。
でも、ニオイが気になる時もあるんです…」
とおっしゃる方はの場合、生理的な口臭・ストレスによる口臭であることが多いです。
この生理的な口臭・ストレスによる口臭に大きな影響があるのが、「唾液の分泌量」低下です。
口臭は特に気にならないという方も、唾液の分泌量低下・口腔乾燥症(ドライマウス)は大きな問題となることがあります。
ドライマウス(口腔乾燥症)の症状
- 「口が渇いて、しゃべっていると咳が出る」
- 「口の中がパサパサして、不快感が強い」
- 「食事が飲み込みにくい」
- 「口が渇いているので、入れ歯が擦れて痛い」
- 「朝起きると口の中がネバついていて、ニオイが気になる」
- 「若いころと比べて、すぐに虫歯ができるようになった」
- 「口がパサパサして、味が分からないのでお醤油たっぷりかけたくなる」
唾液は多くの機能を持ち、口が渇くことで様々な問題が発生します。
唾液の機能
自浄作用
口の中を自動的に綺麗に保つ作用
抗菌作用
ばい菌の増殖を抑える作用
緩衝作用
虫歯が出来にくいようにお口を中性に保つ作用
消化作用
唾液中の酵素がデンプンの消化を助ける作用
潤滑作用
粘膜を守り、発生をスムーズにする作用
溶解・凝集作用
味を感じたり、食事を飲み込みやすくする作用
ドライマウス(口腔乾燥症)の原因と改善法
口腔乾燥症は原因は以下のものがあります。
薬剤性
他の持病の治療用のお薬の副作用で唾液の分泌が悪くなる
病気によるもの
シェーングレン症候群などの病気によって口が乾きます
加齢によるもの
口の周りの筋力や歯の衰えから咀嚼力が下がることで唾液の分泌が減ります
口呼吸によるもの
口が開いていることで、唾液が蒸発して口が乾きます。
口呼吸によるもの以外は、主に対症療法を行います。
ドライマウス対策
1)保湿用口腔化粧品を用いる
保湿用口腔化粧品は様々な種類は市販されています。
歯科医院専売のものも、ドラッグストアや通販で入手可能なものもあります。
グリセリンやヒアルロン酸などの保湿成分でお口に潤いを足すものや、酸味により唾液の分泌を助けるもの、ジェルタイプやマウスウォッシュタイプ、スプレータイプなど様々な形状のものがあります。
保湿用口腔化粧品を選ぶ時の注意点
強めの酸味で唾液分泌を促すタイプは総入れ歯の方向けです。
歯がある方が使用すると、歯が溶けてしまいます。
ご不安な方は、お使いの口腔化粧品をもって歯科医院に相談にいかれるか、歯科医院で選んでもらうと良いでしょう。
2)唾液腺マッサージを行う
唾液線をマッサージで刺激して、唾液の分泌を促す方法です。
三大唾液腺と言われる耳下腺、顎下腺、舌下腺を指でゆっくり押し上げると、お口の中にじゅわ~っと唾液があふれてきますので、お試しくださいね。
唾液の種類は二つある
唾液には唾液は味覚や咀嚼など食事が関係したときに出てくる「刺激時唾液」と、
何もしていない時にお口を潤わせる「安静時唾液」があります。
この唾液腺マッサージは特に「安静時唾液」が少ない方に効果が高く、マッサージを6か月継続したら口渇感が改善される人が多かったという研究結果もあります。
この研究をされた神戸常磐大学短期大学部口腔保健学科の原教授が開発された唾液腺マッサージの方法を、当院でも患者様におススメしております。
唾液腺マッサージのやり方について、わかりやすい動画がありましたので、参考にしてください。
3)口呼吸を鼻呼吸に改めるための筋トレを行う
さて、最後に口呼吸についてです。
口で息をすると唾液が乾燥してしまいますので口腔乾燥症になりやすいのです。
- 「でも、花粉症で鼻がつまっているから、治したくても難しい」
- 「子供のころからの癖で、今更改められる気がしない…」
- 「歯並びが悪いので、唇を閉じることが難しいから、鼻呼吸がしにくい…」
無意識で行う呼吸を、口から鼻に帰るのはとても難しいので即効性はありませんが、地道な努力で少しずつ改善することが可能です。
あいうべ体操
口呼吸を改善する方法として有名なものに「あいうべ体操」があります。
「あ」「い」「う」「べ」と大きく口を動かしながら、最後の「べ」では舌を大きく突き出してみましょう。
口の周りの筋肉を大きく動かすことで、口を閉じて鼻で息がしやすくなっていきます。
チューイングブラシを使う
「チューイングブラシ」というマウスピースを口に入れて、呼吸方法を整えていく方法もあります。
チューインブラシは「装置中央で裂けてくる」まで噛むのが正しい使い方。
しっかり使えば月1個、中央が裂けて交換が必要になります。
「壊してしまうのはもったいない」と思わずに、どんどん「装置中央が裂けてくるように」噛んでいきましょう。
裂けてくる「中央部分」
あいうべ体操も、チューイングブラシも、口呼吸を鼻呼吸に変えるためのトレーニングなのですが、小さなお子さまから介護が必要なお年寄りまで、幅広く使っていただけるトレーニング法です。
やってみたいけれど筋トレ法を文章で言われてもちょっとピンと来ない…という方は、当院スタッフまで、お気軽にご質問くださいね。
まとめ
いかがでしたか?
- ドライマウスが口臭を起こしている可能性もあります
- ドライマウスの原因は、薬剤性・病気によるもの・加齢・口呼吸があります
- ドライマウスの治療としては、保湿用口腔化粧品・唾液腺マッサージ・鼻呼吸にするための筋トレなどがあります
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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