糖尿病で、お薬を飲んでいても血糖値が安定しない…それは歯石のせいかもしれません。
2021年3月15日
歯周病と糖尿病の関係
こんにちは、つぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
歯周病と全身疾患の関係について耳にしたことがある方もいらっしゃるかと思います。
今回は糖尿病との関係について考えていきたいと思います。
参考リンク
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歯科と糖尿病、脳血管障害、要介護度は関係が深い!?あれこれ関わっているお口の病気
糖尿病とは?
糖尿病というのは、インスリンの作用不足で慢性的な高血糖状態になり、それが原因でさまざまな合併症を引き起こしてしまう疾患を言います。
糖尿病と歯周病は関係が深い
糖尿病になると、歯周病になりやすく、歯周病があると糖尿病が悪化しやすいことがわかっています。
糖尿病があると歯周病になりやすいのは、なぜ?
- 毛細血管が切れて、血行が悪くなる
- 血行が悪いので細菌感染が起きても白血球による迎撃が十分にできない
- 細菌を抑える力が弱まるので、歯周病になりやすい
- 組織の修復能も下がるので、歯周病になりやすい
糖尿病のコントロールの指標としてHbA1cというものがあります。
このコントロールが良くないと、歯槽骨(歯を支えている骨)の吸収がコントロールが良い人と比べて多いという研究データもあります。
糖尿病が改善したら、歯周病も治る?
糖尿病が無い人でも、歯周病にはなります。
日本人の約8割が歯周病などの歯茎に炎症をもっているという統計もありますから(日本では成人の80%、約8000万人が罹患していると言われています)、糖尿病がなおったからといって歯周病が治るとは限りません。
ただ、糖尿病が改善する前よりは、歯周病も軽度になることが多いと言われています。
糖尿病の有無に関わらず、歯石をとったり、定期的に歯科を受診して悪くなっているところがないかチェックすることは重要です。
歯周病があると、糖尿病が悪化しやすいのはなぜ?
歯周病は慢性の炎症性疾患です。
炎症によって産生された物質は体の中でインスリンを効きにくくしてしまう作用があります。
さらに、歯周病菌の出す内毒素とよばれる物質にもインスリンの働きを妨げてしまう作用があります。
その結果、歯周病を放置すると、糖尿病を悪化させてしまうことが多いのです。
さらには、糖尿病の合併症である心血管病変や腎症の進行に対しても影響を及ぼしてしまう可能性があります。
歯周病を治療すると糖尿病が良くなることが多い?
歯周病が無い状態、もしくは非常に安定した状態で保たれると、血糖値が改善することが多いと報告されています。
「血糖値がなかなか安定しない…」という方は、まずは歯科で、歯周病が無いかチェックしてみることをおススメします。
まとめ
いかがでしたか?
- 糖尿病と歯周病はどちらかが改善すると、もう片方も改善する可能性がある
- 糖尿病と歯周病は、どちらかが悪化すると、もう片方も悪化する可能性がある。
- 糖尿病で血糖値が安定しないとお悩みの方は、歯科治療もぜひ検討してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。