5歳ぐらいの子どもの歯並びと舌の話
2017年8月25日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
本日は5歳くらいのお子さんの歯の話をしていきたいと思います。
五歳ぐらいになると早い子では乳歯から永久歯に生え変わってきます。
下の前歯から生え変わってくるのですが、永久歯が乳歯の少し後ろから生えてくることが多いので、皆さんからよくご相談を受けます。
乳歯の少し後ろから大人の歯が生えてきたら、歯科医院で抜いた方がいいの?
あえて抜く必要はないケース
下の前歯の交換に関しては、歯科関係者は『エスカレーター交換』と呼び、このような生え方がすべて異常というわけではありません。
下の図は、乳前歯の一般的な交換様式です。
この場合の前方に残っている乳歯を抜くか、抜かないかは、レントゲン検査の結果によります。
乳歯がもうすぐに抜けてしまうほどグラグラしている場合(つまり歯根が骨とくっついていない場合)、あえて抜く必要はないと考えます。
抜いた方が良いケース
しかしながらそうではない場合、乳歯はなるべく早期に抜く必要があります。
その場合、永久歯はやや後ろにありますが、スペースがあれば舌などにおされていい位置(適正な位置)に移動しますので、さほど心配ない場合が多いです。
舌の動きに問題があると、永久歯ににも問題が起こることがある
上や下の乳前歯が抜け落ちると一時的にしゃべりにくかったり飲み込みにくかったりしますが、舌の動き等に問題がなければ永久歯の萌出とともにすぐに改善します。
ただ、舌の動きに問題があったりした場合、永久歯にも問題が起こることが多くあります。
例えば、出っ歯になったり、前歯できちんと噛み切れない等、問題が明らかになることがあります。
舌の癖はいろいろなパターンがあるので、一度拝見させていただかないとわからない場合が多いのですが、なぜかチロチロと舌が見えるとか、ゲームに集中していると舌が出てしまっているとか、ラーメンやそばがすすれないとか、錠剤を飲み込むのが苦手で、むせてしまうなどが、生活でよくあるようであれば、舌の機能に問題がある場合があります。
さらに指が絡む、指しゃぶりや爪噛み等があれば問題があることがほぼ確実です。
舌や指が歯にかけている力とは?
舌や指が顎や歯にどれくらい力をかけているのでしょうか?
いろいろな報告がありますが、おおむね500-800グラムぐらいといわれています。
歯科での矯正の力は100グラムぐらいのことが多く、舌や指が歯を動かす力であることは一目瞭然ですね。
ただ治療となると大変です。人間はほぼ無意識で舌を動かしていますので、意識してその位置を修正していくか、矯正装置等で誘導していくかになります。
ここで実験です。
みなさん水を口に含み、上顎に触れることなく飲み込んでください。
・・・ほぼ間違いなくむせますよね。。
この逆を習得するわけなので、筋肉の動きを大きく変化させることになります。
このような話は高齢の方の嚥下やむせにも当てはまる場合もありますので、ご興味がありましたら、一度ご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 5-6歳で下の前歯から永久歯に生え変わるが、乳歯の後ろから生えてくることがある。
- 交換後、スペースがあれば舌等に押され正しい位置に動くので問題ないことが多い。
- 舌に癖があると歯並びに影響する場合がある。
- 舌の動きは歯並びだけでなく嚥下にも関係があるので、正しい位置に誘導するほうが良い。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
歯並びが悪いのは遺伝ですか?その2 出っ歯編①指吸癖について
2017年8月12日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
前回は、受け口(下顎前突)についてお話させていただきました。
今回は受け口と並んで歯並びのお悩み相談の多い、出っ歯(上顎前突)についてのお話です。
出っ歯は、受け口同様に遺伝であることもありますし、歯並びを悪くしてしまう「癖」によって出来てしまうこともあります。
遺伝の出っ歯ってどんなもの?
1)骨格性のもの
身長が一人一人異なるように、上顎の骨と下顎の骨の位置関係も人によって異なります。
ただ、生まれつき上顎が下顎より、うんと前に出ている骨格の方は遺伝性の出っ歯(上顎前突:じょうがくぜんとつ)となります。
確率的には、受け口(下顎前突)より遺伝要素は少ないと言われています。
2)歯のサイズと顎のサイズのアンバランスによるもの
骨格的に上顎が前方に出ていない場合でも、顎のサイズに対して歯のサイズが大きい場合、出っ歯になることあります。
顎に歯が並ぶだけのスペースが足りない場合、歯は全体的に前にあふれて出っ歯となるか、折り重なって乱杭歯(らんぐいし)となるのかの、どちらかとなるしかないからです。
←乱杭歯
これはフレアスカートを想像していただくと分かりやすいかもしれません。
たっぷりの布地のフレアスカートは、スカートを履いている人が立っている時は折り重なってフリルのようになり、クルリと回転すると大きく外に膨らみます。
歯並びの場合、外に膨らもうとしても、頬があるため前側のみに膨らむことになります。
これも、出っ歯の主な原因になります。
出っ歯になってしまうかもしれない、悪い癖とは!?
次は、遺伝以外で出っ歯になってしまう要因についてです。
歯並びを悪くする悪い癖の中でも、最もよく見られるものに「吸指癖(キュウシヘキ)」や「咬唇癖(コウシンヘキ)」、「舌突出癖(ゼツトッシュツヘキ)」などがあります。
- 吸指癖(キュウシヘキ)・・・指を吸う
- 咬唇癖(コウシンヘキ)・・・下唇を咬む(かむ)
- 舌突出癖(ゼツトッシュツヘキ)・・・飲み込む時に舌で前歯を押す
吸指癖(キュウシヘキ)がある場合どうすれば良いの?
特に指吸いは赤ちゃんがよくやっていますね。お母さんもよくお悩みになるポイントである様子で、1歳半検診でもよくご質問を受けます。
指吸いは、生まれてすぐにおっぱいを飲めるようになるためのトレーニングとして、赤ちゃんが胎児のときに開始します。
そしてつかまり立ちや伝い歩きを始める頃にだんだんと頻度が減っていき、1~2歳ころになりますと、退屈な時と眠い時のみにみられるようになるのが一般的です。
しかし、何らかの事情で指吸いが3歳近くなっても残るようなら、要注意です。
歯並びを崩してしまう原因となることが多いからです。
年齢別 吸指癖(キュウシヘキ)のやめさせ方
<1歳半>
1歳半検診で「すでに指しゃぶりで歯並びが出っ歯型になってきている」と言われてしまった場合は、大好きなおもちゃ気を引く、寝ている時は可能ならそっと指を外してあげるなど、出来る範囲でやってみてください。
1歳半ですと、ほとんどその程度しか指吸い中止支援はできません。
<2歳>
2歳になったら、「あれあれ?2歳のお兄ちゃん/お姉ちゃんなのにおかしいな?赤ちゃんみたいだな?」と、本人のプライドをくすぐる言い方で本人が自分から指吸いを止めたいと思うように、声かけしてみてください。
<3歳>
3歳になって、指吸いが継続している場合は、3歳時健診やお近くの歯科医院で相談してみましょう。
歯並びに影響が出ていない場合は声かけだけで良いこともありますし、早めに矯正装置を用いた方が良い場合もあります。
矯正治療は3歳から
1~2歳のお子様の保護者の方から、「矯正はまだできませんか?」と聞かれることがありますが、矯正はもっとも発育が早いグループで3歳からと思って頂ければと思います。
1~2歳の赤ちゃんですと、矯正治療を理解できずに装置を入れても壊されてしまったり、ポイされて失くしてしまったりで、そもそも治療にならないからです。
3歳になると保護者の方の「装置をお口に入れないとダメよ」という言いつけは理解できるようになりますので、矯正の早期治療をご希望の方は3歳くらいを目安にすると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
- 出っ歯(上顎前突)には、遺伝性のものと、悪習慣によるものがある
- 悪習慣の一つ吸指癖は、3歳になっても治らないようなら、歯科医院に相談するのが良い
- お子さんの歯列矯正は3歳からがおススメ
今回は指吸いで長くなってしまいましたので、出っ歯になりやすい指吸い以外の悪い癖については次回にお送りしたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
子どものマウスピース矯正~お子様の歯並びを取り外しできるマウスピースで治す~
2017年3月24日
乳歯がある時期のプチな矯正「マウスピース矯正」
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
新学期間近の季節ということで、当院でも歯列矯正を希望される方が多いです。
以前、矯正の種類についてご説明しましたが、
参照 歯列矯正はどんなものがあるの?
お子様の治療は「Ⅰ期矯正」でまとめてしまっていました。
本日は、お子様の矯正治療(Ⅰ期矯正)のうち、いちばんお手軽な既成のマウスピースを用いた治療についてご説明したいと思います。
お手軽と言っても、適応症例であれば非常に効果的に歯並びを治すことができます。
この写真はご本人の同意を得て使用しています
こちらは4歳の受け口のお子さまの写真です。
噛んだ状態で、上の歯の前に下の歯が出ています。
受け口ではありましたが、骨格的な問題がまだ無い状態です。
受け口を治すため、半年間、ムーシールドという受け口のお子様用のマウスピースを用いて頂きました。
写真はムーシールドというマウスピースです。
こちらは半年後の写真です。
綺麗に受け口が治りました。
※全てのお子様の受け口がこの装置1つで治るというわけではありません※
お子様のマウスピース矯正の種類
目的や年齢などによって、様々な種類から装置を選択します。
選択のポイントは以下の通りになります。
- 受け口を治す装置、顎を広げる装置、噛み合わせを浅くする装置など目的の違い
- ソフトシリコン製のマウスピースから、芯有りシリコンタイプ、ハードタイプなど、材質の違い
- 既成のもの、型取りしてオーダーメイドで作る物
- そのまま使用するだけのもの、ネジが埋め込まれているもの
お子様のマウスピース矯正の特徴
長所
- 取り外しできるので、食事制限が無い
- 外した状態で食事ができる
- 外して歯磨きできるので衛生的
- 人と会う時は装置を外せるので見た目が綺麗なままでいられる
短所
- 正しい使用法で装着しないと効果が無い
- サボることができてしまう⇒サボると治らない
- 本人の根気が必要
ちゃんと使用しさえすれば効果が出る!という症例でも、ご本人の協力が得られずに結局固定式に変更…というケースも無いわけではありません。
お子様ご本人は歯並びを気にしているわけじゃありませんから、大人の矯正のようにはいきません。
固定式はその点、お子様本人の意思では装置を外すことができませんので、本人の努力や協力に頼らずにすむ利点があります。
小児矯正は、当院の小児歯科専門医も得意としている治療ですので、ご興味をお持ちの方はお気軽におたずねください。
まとめ
小児矯正の1種であるマウスピース矯正は、適応症例の方に正しく使用していただくと非常に効果的に歯並びを治すことができる。
適応症例かどうかを知りたい方は、お気軽にご相談ください。
歯列矯正はどんなものがあるの?
2016年9月27日
こんにちは!岩国市のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
当院は矯正歯科もしているため、色々な矯正を希望される患者さまが来られます。
かなり具体的に調べて来られる方から、
「学校検診で言われたので来たんですけど、そもそも矯正ってどんなものですか?」
という方までいらっしゃいます。
今回は、歯列矯正の種類をテーマに、特に質問の多い成人矯正についてお話しします。
歯列矯正の種類
小児矯正(Ⅰ期治療)
乳歯が残っている時期に行います。
成人矯正(Ⅱ期治療)
すべて永久歯になってから行います。
小児矯正も成人矯正も、それぞれ様々な特徴を持つ治療法、治療装置があります。
成人矯正
フルブラケット法
多くの方が「歯列矯正」と聞いて思い浮かべるのがこの治療法です。
奥歯などを固定源にして、歯並び全体を治す治療が一般的です。
基本的に歯の表側に「ブラケット」と呼ばれる装置を付けて治します。
口元をひっこめたい場合や、ガタガタが大きい場合にも使用できます。
ブラケットの種類
メタルブラケット
金属製の装置で遠目にも目立ちますが、丈夫で格安という利点があります。
画像http://www.hanarabi-smile.jp/
セラミックブラケット
セラミック製の装置で目立ちにくい利点があります。
画像http://www.hanarabi-smile.jp/
前歯だけの部分矯正
フルブラケット法と同じく「ブラケット」を歯の表面に付けますが、治したい前歯の部分だけに付けて治す方法です。
フルブラケットの半額以下の費用で、半年程度の治療期間で治る利点がある一方、歯のガタガタが大きい場合や、口元が出っ張っているのを治したい場合、糸切り歯の位置を治したい場合、前歯以外の歯の位置移動などには使用できません。
前歯をちょっとだけ治したい場合の「プチ」な矯正です。
ブラケットはメタルブラケットとセラミックブラケットから選ぶことができます。
マウスピース矯正
目立たない透明マウスピースで歯並びを治す、非常に審美的な治療法です。
画像http://www.invisalign.co.jp/
マウスピースが取り外し可能なので、食事も歯磨きもとても楽です。
しかし、取り外しが可能であるがゆえに、しっかり装置を使って頂かないと治療期間が長引く傾向があります。
また、歯並びのガタガタが大きい場合や、骨格の問題で噛み合わせに問題がある症例には使用できません。
装置がすべて外注となるため、他の治療と比べて費用が割高となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
まとめますと、
フルブラケット法
ほとんどの症例に使用可能。
セラミックブラケットを選べば目立ちにくい。
前歯だけの「プチ」な矯正
前歯だけ治したい場合に安価で短期間で治せる。
部分矯正の適応症例にあてはまらなければ治療をすることができない。
(部分矯正を希望されても、部分矯正では無理な症例も多い)
セラミックブラケットを選べば目立ちにくい。
マウスピース矯正
つけている姿が一番自然。
しっかり装置を使わないと治療が長引いてしまう。
費用は割高な傾向。
希望されても、適応症例に当てはまらず、できないことも多々ある。
歯列矯正にご興味のある方はお気軽にご相談ください。
セカンドオピニオンも承っています。
岩国のやさしい歯医者さん つぼい歯科クリニック
〒740-0034
山口県岩国市南岩国町2丁目78-36
診療時間(予約制) 月~土 9時~12時、14時~18時 水9時~12時
日・祝・水曜午後 休診
矯正相談のみ(完全予約制)18時以降も承ります。
電話 0827-32-7506
お電話受付時間 月~土 9時~20時、水9時~13時
[no_toc]
マルチブラケット矯正装置の装着後に注意した方が良い 5つのこと
2016年9月26日
こんにちは!岩国市のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
今日はマルチブラケット矯正装置を入れた後の方に注意していただきたいことをまとめました。
画像http://www.sato.or.jp/about/index4.html
初めてワイヤーを入れた後や、ワイヤー交換を行った後は一過性に不快感が出ます。
・個人差はありますが、1週間程度で落ち着いてきます。
・不快感が強いときは硬めの食品は避けてください。
・痛みが気になるときは、痛み止めを飲んでいただいてかまいません。
歯みがきは丁寧に行ってください。
歯みがきが足りない状態が続くと、装置の周りの歯が虫歯になってしまうことがあります。
矯正装置の周囲が虫歯になると、装置が外れやすくなります。
その結果、治療期間が延長したり、矯正終了後に虫歯治療が必要となる原因になります。
<おすすめの歯みがき方法>
・歯みがきした後に、フッ素のうがい薬を併用する
画像https://www.triple-farm.com/
・ときどき歯垢を赤く染めて、チェックしながら歯みがきをする
画像http://vtec8764.blog.fc2.com/
歯並びが治ってくると、ワイヤーの端が余って頬にあたりやすくなります。
ワイヤーがチクチクとして気になる場合は、飲み込んでも大丈夫なクッション材をお渡しします。
飲食をされるときはクッション材を外してください。
矯正装置が外れてしまったときはご連絡ください。
以下の食べ物は避けてください。
・ひっつきやすく粘り気のある食品
おもち、ガム、キャラメル、ヌガー、ハイチューなど
装置に入り込んで取れなくなったり、装置を壊す原因となります。
・前歯で咬み切らないといけない大きめの食品
<前歯の装置が壊れる原因になりやすい>
トウモロコシ丸茹で、リンゴ丸かじり、骨付きフライドチキンなど
<前歯に痛みが出る原因>
食パンにかぶりつく、おせんべいを前歯で割る
ひっつきやすく粘り気のある食品以外は、ほとんどの食品を食べることができます。
大きいサイズの食品を食べる時、前歯でかみ切る動作をします。
その結果、前歯が前後に揺さぶられやすく、痛みの原因になります。
<大きな食べ物はこうやって食べればOK!>
トウモロコシはバラバラにはずす
リンゴは一口サイズにカットする
パンは一口サイズに手でちぎる
おせんべいは手で割ってから食べる
・矯正用のゴムに色移りしやすい食品(特にセラミックブラケットをつけている方)
カレー、コーヒー、ミートソースなど
ワイヤーを装置に固定しているゴムに着色し、ゴムが目立つようになってしまいます。
色移りが気になる方は、来院前日などにお召し上がりください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ポイントさえおさえたら、あまり制限なくお食事を楽しめます。
その他、わからないことがありましたら、受診時スタッフにお尋ねください。
岩国のやさしい歯医者さん つぼい歯科クリニック
〒740-0034 山口県岩国市南岩国町2丁目78-36
診療時間 月~土 9時~12時、14時~18時、水 9時~12時
休診:日・祝 水曜午後 診療予約制
0827-32-7506
お電話の受付時間
月~土 9時~20時、水 9時~13時
休診:日・祝 水曜午後
[no_toc]