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お子さんの歯並びと8020(ハチマルニイマル)

2020年7月22日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
新型コロナウイルスの流行期、マスクをする時間が増えた方が多いのではないでしょうか?

マスクをしていると、口呼吸になりやすい

「マスクをすると口呼吸になりやすい」とよく言われています。
子どもの頃からこんなに長期間、マスクをする羽目になってしまった今のお子さん達が心配です。

顎や頭の骨が成長している最中の子どもが、口呼吸の癖をつけてしまうと、鼻(正確に言えば「副鼻腔」という、鼻と連結した空洞です)が十分に発達しません。
そのため、上顎が横に成長することができなくなり、
その結果、歯が前にあふれてしまう…。

つまり出っ歯さんになりやすくなってしまうのです。

歯並びが悪いと何が起こるのか、矯正のタイミングなどの質問にお答えします!

1)年をとった時に、自分の歯を残せない歯並びとは?

みなさんは8020(ハチマルニイマル)という標語はご存じですか?

「80歳で20本の歯を残しましょう!」という意味の言葉です。

なぜ80歳の時に20本歯が残っているのが良いのか?
80歳で20本の歯が残っている人は、そうでない人と比べて、要介護度が低く、高齢でも自活できる人の割合が高いと言われています。

東北大学の研究で、80歳で歯が20本以上ある人と0本の人を比較すると、寿命だけでなく、健康寿命を比較しても、男性で92日、女性で70日の差が出ました。
健康寿命というのは、寝たきりなどにならずに、自分の力で日常制限を受けずに生活できる寿命です。

また、20本歯が残っていれば、たいていのものを食べることができると言われています。

8020を達成しにくい歯並び

8020を達成しにくい歯並びの人がいることがわかっています。

反対咬合・開咬

2000年の東京文京区と千葉市の結果ですが、
反対咬合(はんたいこうごう:受け口)と開咬(かいこう:前歯が咬んでいない咬み合わせ)の人の8020達成率は驚異的に低く、ほぼ0%です。

反対咬合

 

開咬

共通しているのは、
奥歯で、すべての咬合力をほぼ支える咬み合わせであるという事です。

奥歯が抜けると徐々に前に…という負のスパイラルを生じやすいのです。

叢生

次点で問題のある咬み合わせは、
いわゆる叢生(そうせい:ガタガタの歯並び)です。

叢生は虫歯リスクの高さと関係があるようですが、個人差も大きい印象です。

叢生

2)お口ポカンを防ぎたい!噛み合わせを鍛える時期とは?

お口ポカンはなぜ悪い?

近年、お口がよく開いているお子さんが増えています。
お口がポカンと開きっぱなしになっていても、口呼吸になってしまいます。
また、歯並びが崩れてしまいます。
「お口ポカン」も、防ぎたい「悪い口の癖」と言えます。

前回の小児歯科学会学術大会でも、そのような報告が多くされています。

お口ポカンの原因は口輪筋の発達不全

お口周りの筋(口輪筋:こうりんきん)の強さが、その能力に大きく関係していると言われています。

研究によると、
口輪筋の強さは、3歳児では3ニュートン(N)、6歳児で6N、11歳で8Nまで上がりますが、12歳では8.5Nで、それ以降はあまり伸びていかないことが報告されています。

つまりは口輪筋の発達は、3歳から6歳が最も旺盛で、11歳ぐらいでその成長は落ち着いてしまうということです。その成長のピークに合わしてトレーニングするのが最も効率的と言われています。

口輪筋を鍛えてお口ポカンを改善する

お口ポカンを防ぐトレーニングについては、過去の記事をご覧くださいね。

あいうべ体操

3)子供時代に口腔機能の能力をしっかり高めて、高齢になっても機能低下しにくい口をつくっておく

 口腔機能は乳幼児期で一気に発達し、成人期では変化が少なく、高齢期で低下します。

よって、まずすべきことは、
小児期(3歳~6歳、遅くとも11歳)ぐらいまでに口腔機能をできるだけ鍛え、ピークを上げることです。

将来的に問題が出やすい咬み合わせ(反対咬合、開咬、叢生)の治療も、そのころまでに治しておくことが、正常な発達の上で重要です。

高齢期で機能を落とさないやり方はいくつかありますが、最も大事なことは、歯と筋肉をなくさない、これに尽きます。

できるだけピークを上げて、成人期~高齢期ではメンテナンスを行い、機能を落とさないようにしていきましょう。

まとめ

  • 口腔機能を保つためには、まず発達時期に適切に機能を発達させることと、そのピークを落とさないことが重要です。
  • お子さんの口の機能の発達は、3歳から6歳までが最も旺盛で、11歳ぐらいまでは成長がみられますが、そこからは変化が少なくなります。
  • 8020を達成しにくい咬み合わせは、奥歯で多くの負担をかけている開咬と反対咬合です。可能であれば11歳ぐらいまでに治療を行いましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

良くない口の習慣、「口呼吸」 ~風邪をひきやすく、虫歯・歯周病・口臭・出っ歯の原因にもなる~

2020年1月31日

こんにちは、つぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
あなたは、口呼吸と言う言葉を聞いたことがあるでしょうか?

対する言葉としては、鼻呼吸です。

鼻で呼吸するということはどういうことでしょうか?
鼻には体を守る色々な作用が備わっています。
加湿作用や、粘膜によるウイルス、細菌に対する防御作用などです。

口呼吸のデメリットはよく言われているように思います。

口で呼吸するので、鼻での作用の恩恵が受けられませんから、当然ながら感染しやすかったり、乾燥の原因となったりするようです。

口呼吸のデメリット…その1 口の乾燥

口の乾燥も、色々なリスクとなります。

虫歯ができやすくなる

唾液にはカルシウムが豊富に含まれ、口の中が虫歯になりやすい環境になったときに、歯を補修する働きがあります。

参考リンク:削らなくても治る虫歯があるって本当?

 

唾液が少なくなると、むし歯ができやすくなるのですが、同じように口呼吸による乾燥でもむし歯になりやすくなります。

歯周病になりやすくなる

歯周病も感染症です。唾液の抗菌作用が、口の乾燥によって低下してしまうので歯周病の危険が増してしまいます。

口臭が出やすくなる

口臭についても乾燥の影響で強くなってしまうようです。

参考リンク ドライマウス(口腔乾燥症)の原因と自分での治し方

歯への着色が起こりやすい

口呼吸をされる方は、ちょうど前歯の唇が当たらない部分に、着色が起こりやすいです。

唾液の作用っていろいろな面に作用していて大きいのです。

口呼吸のデメリット…その2:歯並びが悪くなる

口呼吸は、歯ならびにも関係してきます。
口で呼吸しているということは、当然ながら口は開いているんですよね。
口を閉じるのは口の周りの筋肉(口輪筋)の作用ですので、この力が弱いのです。

舌の位置についても鼻で呼吸するのとは違い、口で呼吸しやすい位置に舌が移動してしまいます。

参考リンク:いつでもお口がポカンと開いている「口呼吸」

歯ならび、歯列というのは外からの力、頬や唇ですね。それと内からの力、舌の力のバランスによって大きく影響を受けます。
つまり、口で呼吸しているというのは、歯ならびが悪くなるリスクになるのです。
矯正治療をする場合でも「後戻り」の大きなリスクとなることがあります。

長い期間をかけて歯並びをキレイに整えて行くのが矯正治療ですが、歯に(骨に)力をかけることで歯が動いていきます。

矯正治療が終わった後でも、歯に力がかかっていると、当然歯は動いてしまいます。つまり、後戻りのリスクがあるとも言えます(後戻りのリスクが高いと判断される場合は、後戻り防止装置が外せないこともあります)。

力のバランスが取れていないと、治療した歯並びが変化してしまうということが起こってしまうのです。

鼻呼吸で、感染や歯並びのリスクを予防しましょう!

口で呼吸することにはデメリットがいっぱい。
可能であれば意識して鼻で呼吸するようにしていきましょう。

テレビを見るときなど、ボーッとしていてもお口はつむっているようにしていただくことが大事です。とはいえ…夢中になっている時に、意識できない…という声もあるかと思います。

口の周りの筋肉(口輪筋)が十分に発達していないと、口を閉じ続けるのが難しいことがあるのです。そんなときは、「口の周りの筋肉の筋トレ」が必要です。

参考リンク:口呼吸を改善する!「あいうべ体操」

筋トレなので、すぐに効果が出るわけではありませんが、「インフルエンザ予防に効果がある」として、取り入れている小学校も多い体操です。

歯科医師としてもおススメです!

まとめ

  • 口呼吸は、デメリットが多いので止めましょう
  • 口呼吸のデメリットとして、風邪をひきやすくなる、虫歯・歯周病・着色・口臭などの原因となることがあります。
  • 口呼吸は、出っ歯や矯正治療後の後戻りの原因となることがあります。
  • 鼻呼吸トレーニングとして「あいうべ体操」がおススメです。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

普通だけれども普通に見えない・・醜いアヒルの子の時期? ~子どもの前歯の隙間~

2019年12月12日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

寒いですね。すっかり冬になりました。

最近保護者の方からのご相談で多い、お子さんの状態で正常だけれどもそうは見えにくく、不安を思われているケースがいくつかありましたので、お話していきたいと思います。

1)前歯がすきっ歯に見えます。

 永久歯、特に上の前歯は顎の狭いところに折り重なって控えているので、乳歯と比べ、やや八の字で生えてきます。

そのため、前歯部ではすきっ歯な感じで生えてきます。

その後、2番目の前歯(側切歯)、犬歯が生える時に、前歯を押し込む方向に力が働くので、気が付けばきれいな歯並びになっていきます。

この時期は焦らず、歯が生えるのを待ってみましょう。

小児歯科ではugly dukling stage『みにくいアヒルの子の時期』と言います。

画像引用:医歯薬出版 デンタルハイジーン別冊コミュニケーションから歯科処置までを”つかむ”

いずれは白鳥になるっていう意味ですが、考えた先生は洒落がきいてますね。

 

ちなみに、アヒル、ガチョウにはすごい歯(歯ではないが髭の一部らしいです。構造学的には。)があります。

なかなか衝撃的ですので、興味がある人は動物園とかで見てみてください。


画像引用:buzzfeed

2)下の前歯がかなり奥(乳歯の後ろ)から生えてきてます

下の前歯は一番最初に揺れはじめて、最初に永久歯に生え変わりますが、ここだけ他の歯とは異なる特徴があります。

ここもやはり後継永久歯の控えるスペースがないため、永久歯は乳歯のやや後ろに位置しており、生えてくるのは乳歯のやや後ろである場合が多くあります。

これは『エスカレーター式交換』といいます。

この時期も焦らず待っておくと、生えてきた歯が舌に押されて前にいき、唇と舌の筋肉の圧が折り合うところに落ち着きます(図参照)。

両方とも、乳歯よりも1.5倍程度も大きな永久歯が、出生前後の小さな頭蓋骨の時期に形作られるために体が作った巧妙な仕組みです。

最初の乳歯の生え変わり時期に起こることなので、心配になりますが、状態をよく見ながら経過を観察してください。

うまくいかない場合もまれにあり、その場合は抜歯や矯正等必要になる場合があります。

まとめ

いかがでしたか?

  • 生え変わりの時期(特に初期)には、正常であっても歯並びが心配に見える時期があります。
  • 上の前歯ではすきっ歯に見える時期があり、下の前歯では乳歯の後ろから生えて歯並びが悪く見えるのが典型的です。
  • 経過観察してるとよくなることが多いですが、本当に歯列不正の場合もあり、抜歯や矯正が必要になる場合があります。

「うちの子は大丈夫かな?」とご心配の方は、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

したはうえに(舌は上に)!

2019年11月21日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

朝晩はもはや寒い感じになり、秋も深まってきておりますね。季節の変わり目は風邪などを引きやすく、今年はインフルエンザが早めに流行しているらしいので、注意しましょう。

 最近気になった患者さんの相談に、お口がポカンとよく空いている、前歯が噛めていないというものがありました。実際にお口をみると前歯が噛めていない状態で、舌がチロチロと見え、いわゆる開咬(かいこう)といわれるものでした。最近よく相談を受ける不正咬合の一つでもありますので、今回はその原因と対策についてお話していきます。

1)開咬(かいこう)の原因は?

 開咬の原因は大きく2つに分けられ、指、爪、ものしゃぶりなどの『モノ』を常にお口に入れることによって発生するものと、口呼吸、舌小帯(舌の下の筋)の付着が原因となって、舌が低位になることにより生ずる『舌癖(ぜつへき)』でおきるものがあります。その両方が並行して起きている場合もよくあります。

2)指しゃぶり、ものしゃぶりの場合

 指しゃぶり、ものしゃぶりは不安や緊張を和らげる心理作用があると言われ、1歳半から2歳ぐらいまではある程度しょうがないものです。ただ、3歳以上ではその後の歯並びに影響するといわれておりますので、そのあたりまでには中止できるようにしましょう。

指しゃぶり、ものしゃぶりの対策とは?

 対策としては、ある程度周囲の話が分かるようになったら話して聞かし、眠い時に指が入るのであれば、手をつないで眠るとか、手にテーピングしたり、ミトンをはめたりして、物理的に入れにくくするなどの地道な対策が有効です。ただ、心理的な面の影響も強いので、その子の性格や発達状態によっては、スムーズに中止するのが難しい場合もあります。おしゃぶりは指よりも柔らかいので、影響はやや少なめにはなりますが、お勧めはできない習慣です。

3)舌癖の場合

 上下の歯の間に舌を押し付けるような習慣を舌癖と言います。本来の正しい舌の位置は上顎の前歯の後ろから、口蓋(口の天井)に舌全体を軽く押し付けているのが正しい姿勢です(したはうえに(舌は上に)!)。その位置にないと、舌の姿勢が悪いということになります。その結果、歯並びに影響したり、発音(サ行、タ行)の発音がおかしくなる場合があります(例:サクラがさいた→タクラガタイタに聞こえる)。

舌癖の原因とは?

 原因としては、指しゃぶりなどの残存、卒乳の遅れ、舌小帯が強いこと、口呼吸などがあります。指しゃぶりは(2)で説明した通りです。母乳の摂取は舌を使って搾り取る、幼児嚥下の典型ですので、2歳以降では悪影響の面が強くなります。

 口呼吸は、舌小帯が強いことと表裏の関係です。呼吸に用いる筋肉、つまりは舌を含めた口周囲の筋肉が発達していないことによって生じます。筋肉ですので、トレーニング次第によっては発達する可能性もありますが(したはうえに(舌は上に)!)、一度も経験していないところに、舌を意識的に持っていくのは難しいと思います。

ある程度、矯正器具を用いることも必要ですし、呼吸筋のトレーニングのために、お口にテープなどを軽く張って、鼻呼吸を意識させることも効果的です。
また、舌や上唇の小帯が強そうな場合は、付着部分を少し切除し、筋トレを頑張ることが結果的には最も効果的です。

いずれにしても、お口の状態はいろいろと診査してみないとわかりません。そのうえで、メニューや矯正装置を選択しますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

いかがでしたか?

  • 開咬(かいこう)の原因は指しゃぶりなどの『モノ』を常にお口に入れることによって発生するものと、『舌癖(ぜつへき)』でおきるものがある。また、両方併発している場合も多い。
  • 指しゃぶりなどの場合は、3歳ぐらいまでに中止できたら、影響は少なめであると言われている。
  • 舌癖の場合は、原因を追究したうえで、その改善と舌の姿勢の改善(お口の筋トレ)の併用が重要。

具体的にお子さまの状態などが気になる、という保護者の方は、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

5-6歳のお子さんの自宅でできる歯並び矯正とは?

2019年3月3日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
まだまだ寒い日もありますが、暦の上では春になり、花粉情報なんかも出始めましたね…。
アレルギー性鼻炎のある僕も、つらいシーズンです。

最近、歯並び相談などを受ける際によく聞かれるのが「家庭でできることないですか」というのがあります。

ご家庭でできること・・実はたくさんあるんです。

歯並びは歯列(しれつ)と咬合(こうごう)に分けられます。

1)歯並びは歯列と咬合(咬み合わせ)に分けられます。

歯列とは

叢生(そうせい)や八重歯など

咬合とは

歯の咬み合わせ(出っ歯や受け口、開咬、噛み合わせのズレ(交差交合))など

特に咬合に問題がある場合は、口の機能全体に影響が出る場合があります。

2)歯並びを治療するには順番がある

歯科医が歯並びを治療するには、鉄則ともいえる順番があります。

  1. 機能的な異常の問題
  2. 前後的な問題
  3. 上下的な問題
  4. 幅の問題

まず、手をつけなければいけないのはお口の機能的な問題です。

Ⅰ.機能的な問題(お口の悪い癖)

指しゃぶり、頬杖、舌の動きの異常、左右の咬み合わせが違う交差交合、鼻詰まり(口呼吸)などがあげられます。

Ⅱ.前後的な問題・上下的な問題

出っ歯や受け口と言われる前後的な問題、咬み合わせが深い過蓋咬合(かがいこうごう)などの上下的な問題を治療することとなります。

※開咬(かいこう)は機能的な問題の要素が多いので、そちらに含まれます。※

幅の問題は(叢生〔そうせい〕や八重歯などの歯列)は最後です。

3)機能的な異常の治療は、家庭でも治せるものもある

機能的な問題の中には、先ほど挙げた指しゃぶり、頬杖、鼻詰まり(口呼吸)などが含まれます。

頬杖

家庭で正しい姿勢で過ごすことなどや座り方などで改善することがあります。

指しゃぶり

精神的な要素が多く、歯科のみでは改善しません。
また鼻詰まりもアレルギー体質であれば難しい問題であり、耳鼻科で治療する必要があります。

4)スマホで歯並びも悪くなる?

また最近多くみられるのが、お口が開いてるお子さんです。

この場合、原因はいくつか考えられます。

鼻が悪い、舌が下の歯に当たっている(低位舌)。

そういった問題がある子もいますが、関係あるのがスマホの見過ぎです。

ゲームすると下を見るためにストレートネックとなり、首が前に落ち込み、舌も下に落ち込み、その結果お口が開いている…

お子さんはそんなことになっていませんか?

5)結局は体も心もバランスが大事です。

僕も姿勢が悪く、歯並びも矯正して直しましたので、大きなことは言えませんが、最近特に、歯並びと姿勢には深い関連性が示されています。

また指しゃぶりや癖には心の動きが関連しており、歯科だけでは治せない問題が多く含まれます。お子さんの歯並び以外に問題がないか、歯並びを見る際に少し考えてみませんか?

まとめ

いかがでしたか?

  • 歯並びは歯列と咬合に分けられる。
  • 歯並びを治すには順番があり、まず機能的な異常が問題となる。
  • 機能的な問題の中には、癖や習慣などは家庭で注意すれば解決できることもある

「うちの子はどうかな…?」と思われる方は、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

6歳ぐらいの子どもと矯正治療について

2018年12月25日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村剛です。

 

今年も年の瀬になりました。

今年一年皆様には大変お世話になり、ありがとうございました。

いい子のみんなのところにはサンタさんがやってきたよね⁉

 

つぼい歯科クリニックでは、定期的に健診を行い、皆さんの歯の健康を保つ努力をしておりますが、虫歯の心配と共に、よくあるのが歯並びの心配です。

最近も保護者の方から「遺伝で歯並びが悪くなる可能性が心配です」「現在の乳歯の隙間が狭いのが心配です」というご相談をよく受けます。

そこで、今回は歯並びをテーマにお話ししていきます。

歯並びが悪くなる原因とは

歯並びはいろいろな要素がありますが、やはり家族の中で似通ってきます。

ご家族で似たような歯並びになる原因としては、遺伝と、同じような生活習慣をしていることがあげられます。

遺伝によるもの

・歯の大きさ

・顎のバランス、大きさ

生活習慣によるもの

・口呼吸

・指しゃぶりなどの癖

・姿勢

 

歯の大きさと、顎のバランスで歯並びは半分決まります。

その他のアレルギー・体質・性格・姿勢などの因子や食生活も、家族間ではなにかしら似通っているので、家族間で似たような歯並びになりやすいです。

 

次に、歯並びに関するご相談でよく受けるものに

「歯並び治療はいつごろから行うのがよいのでしょうか?」というものがあります。

歯並び治療を行うのに適した時期とは?

こちらは歯並びの状態や、お子さまの年齢、治療への協力度などによって変わってきます。

 

不正咬合にも、様々な状態や種類があるので、一概にも言えませんが、かなり重度な場合、中程度な場合、軽度な場合に分けられ、治療法も異なります。

軽度~中程度な場合

顎の拡大や簡単な矯正装置で改善する場合もあります。

重度な場合

顎の拡大だけでは無理で、抜歯を伴う矯正が必要となるケースも多いです。

2~4歳

早期治療ではマウスピースを用いたり、低年齢から始めることができる歯並びを良くするトレーニングを行うこともあります。

6歳~7歳ぐらい

下顎4本、上顎2-4本の前歯が交換する頃だと、歯並びも将来的な予測ができますので、かなり精度の高い治療が可能となります。

軽度や中程度の不正咬合の場合、それだけで治療が完了する場合もあります。

12歳ぐらい

永久歯に生え変われば、もはや咬合としては95%ぐらい完成しているので、抜歯を含めたすべての治療が可能となります。

 

以上のように、矯正治療はお子さんの状態と時期の組み合わせにより、治療パターンは少なくとも10~12通りぐらいありえます。

我々歯科医師はその中でなるべくベストなパターンを診断し、そのメリット、デメリットをお伝えします。

 

そういう私も矯正治療を受けた経験があり、今となってはよかったなと思っています。

治療としては、健康保険がきかず自由診療となりますが、その成果は一生ものの価値があると思います。

 

いずれにしても、お子さまの歯並び矯正治療は、保護者の方の積極的な協力がないと難しいケースも多いです。

そのため、保護者の方にもしっかりとした説明をさせていただいております。

歯並びの矯正にご興味のある保護者の方は、まずはお気軽にご質問ください。

まとめ

いかがでしたか?

  • 歯並び・咬合は遺伝要素と生活習慣がかなり強く表れてくる。
  • 不正咬合の程度や年齢によって治療のパターン、やり方はいろいろあり得る。
  • 適切なやり方の矯正をタイミングよくするのが重要ですので、定期検診を行いながら、適切なタイミングを待って矯正を行うのが良いでしょう。

 

まずはお気軽にお問合せください。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

ムーシールドを嫌がる場合、上手に使うコツは?

2018年11月29日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。

当院では複数の矯正用マウスピースを扱っておりますが、その中でも受け口のお子さま用の「ムーシールド」というものがあります。

 

参考記事 子どものマウスピース矯正~お子様の歯並びを取り外しできるマウスピースで治す~

 

すこし昔はお子さまの受け口用マウスピースといえばムーシールド!という感じだったのですが、今は色んな種類があります。
今、受け口用のマウスピースと言えば、プレオルソが一番流行っているかな?という印象はありますが、私個人としては、ムーシールドのとても壊れない丈夫なところは大好きですし、インターネットなどで調べて来られるの保護者の方からのリクエストも多かったりします。

一方で、ムーシールドを「子どもが嫌がる」とお困りの保護者の方も多いようです。

今日は、ムーシールドの正しい使い方と、お子様が嫌がった場合の対処についてお話しようと思います。

ムーシールドの正しい使い方

口の中に入れて、装置の上に舌を置き、唇が閉じにくいところを、頑張って、唇を閉じる

唇を閉じることで、口輪筋という口の周りの筋肉が下顎を後ろにひっぱり、装置の上に舌を置くことで、舌を上に持ち上げる筋肉が刺激されます。

ムーシールドを使うと、口の周囲や舌の筋肉がちょっと疲れます。
しかし、疲れるので正解です。

ムーシールドに限らず、マウスピース矯正の装置は「口に入れると歯並びが治る魔法の装置」ではなく、口の中に入れて正しく使うと呼吸や歯並びを整えるための筋トレが出来る「筋トレ補助装置」だからです。

参考記事 歯並びが悪いのは遺伝ですか?その1 受け口編

この「疲れる」のがポイントで、ムーシールドを入れた状態で口を開けてしまうと「楽ができてしまう」のです。
楽をしてしまうと、口輪筋や舌筋を鍛え、お鼻で呼吸するトレーニングにはならないので効果が出ません

お子様が「楽をしている」「嫌がった」場合の対応は?

子どもの自尊心をくすぐってやる気を引き出す

上手に出来た瞬間に「さすが!スゴく上手!嬉しい!」と保護者の方が盛り上げてあげましょう。

低年齢のお子さまには良く効きます。

口の中に装置を入れると「どう?えらいでしょ?」という顔で保護者の方に見せにきてくれるようになったらしめたもの。
毎日、満面の笑顔で褒めてあげる限り、几帳面に続けてくれるようになります。

軟式のマウスピースから慣れさせる

プレオルソやマイオブレイスは軟式マウスピースなので不要ですが(その代わり、チューイングガムのように噛んで遊ばれてしまうと壊れてしまいますが)、ムーシールドは硬くて慣れないうちは不快感が強いです。

抵抗感が強い場合は、ムーシールドに入る前に柔らかいシリコン製のマウスピースで慣れていただくこともあります。

起きている時の短時間から挑戦する

腹筋だって初日から何十回も出来る人はいません。
少ない回数から始めて、慣れていきますよね。

ムーシールドも「筋トレ」の一種なので、短時間からはじめましょう。

ここで重要なのが「寝ている間から始めるのはNG」ということです。
起きている間にちゃんと使えるようになったら、寝ている間も使えるようになります
(ただし起きている時ほどの効果はありませんので、寝ている間「」使うことで、より効果を増強する感じです)。

勉強やテレビ、ゲームなどの時間にムーシールドを必ずするよう習慣づけする

面倒くさいこと、嫌なこと、疲れることを毎日するのは大変です。
保護者の方も最初は毎日声かけするのですが、だんだんと忘れがちになってしまいます。

おススメは「毎日の習慣に何かとセットで組み込む」ことです。
例えばゲームは1日30分まで、というご家庭のルールがあるなら、40分までOkにする代わりにゲーム中はムーシールドをやる、とかです。お子さまにとってお楽しみの習慣とセットだと習慣化しやすいでしょう。

あとは根気!

…最後のは身も蓋もありませんが、筋トレの一番のポイントかもしれませんね。

 

いかがでしたか?
多少なりと、口腔内装置を継続するにあたり難しく感じておられる方のヒントになると、うれしいです。

まとめ

ムーシールド、プレオルソ、インファント、マイオブレイス…小児矯正用の装置に上手に慣れる方法とは?

Q:矯正用マウスピースのムーシールドを子供が嫌がります。どうしたらよいですか?

A:

  1. 子どもの自尊心をくすぐってやる気を引き出す
  2. 軟式のマウスピースから慣れさせる
  3. 起きている時の短時間から挑戦する
  4. 勉強はテレビやゲームなどの時間にムーシールドを必ずするよう習慣づけする
  5. あとは根気です

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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5歳6か月(5歳半)頃の子どもの歯並びの話(反対咬合を中心に)

2017年11月28日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

現在、学校での歯科健診の中でも歯並びの項目がありますので、最近は歯並びについてよく相談を受けます。

5歳~6歳の早い時期でも、就学時検診などで歯並びについての指摘を受けますが、何を審査しているのでしょうか?
またそんなに早く治療した方がいい歯並びの問題ってあるのでしょうか?

歯並びが悪いと何が問題?

一般的に歯並びが悪いと以下のような問題が生じると言われています。

1.見た目が悪くコンプレックスになる

2.虫歯になりやすくなる

歯並びが悪いと歯垢(プラーク)が残りやすく虫歯になりやすくなってしまいます。

3.歯茎が下がりやすく、歯周病が進行しやすくなる

顎の中に歯が収まっていないと、支える骨が薄く、30代以降に歯周病になりやすく、また悪化することがあります。

4.顎関節症になりやすい

5.歳とともに、より歯並びが悪くなってくる

つぼい歯科クリニックでは、このうち4と5に関わりそうな場合、早めに指摘させていただいています。

上顎と下顎は例えると、靴と足の関係といわれており、靴である上顎と足である下顎は、相互に影響しあって大きくなっていきます。
そして、あまりにもバランスが悪化すると問題を生じます。

早く治療した方が良いケースは?

  • 1・2本だけ咬み合わせが逆になっている(部分的な反対咬合:はんたいこうごう)
  • 左右で噛み方が異なる(側方交叉咬合)場合

正常

 

画像:http://www.kyousei-shika.net/

 

 

交叉咬合

 

画像:http://www.kyousei-shika.net/

 

 

 

反対咬合

画像:http://www.kyousei-shika.net/

 

 

靴擦れのように若年者でも顎関節症を引き起こし、左右差が大きくなって顎自体が変形するため、早期に治療した方がよいです。
そのまま放置すると、大人での矯正を考える際には外科的な手術症例になる場合があります。

  • 全体的にかみ合わせが逆になる反対咬合

全体的に咬み合わせが逆になる反対咬合は、遺伝や成長の影響が強く、一番治療や管理が難しいとされ、長期間の治療と管理が必要なことがあります。

そして、一度治療しても成長期に1割から2割ぐらいの方が再発するといわれています。
しかし、治療によって上顎が下顎にかぶされば、上顎がストッパーの役目を果たすため、下顎の成長をコントロールできる可能性が高まります。

  • しっかり咬み合えない開咬(かいこう)

 

開咬

画像:http://www.kyousei-shika.net/

 

 

またしっかり咬み合えない開咬などは、舌の癖が原因の場合があります。

ただ、癖が原因で咬み合えないのか、咬み合えないので癖が悪化するのか、ニワトリとタマゴの関係的な問題点が指摘されています。
いずれにしても矯正治療して悪循環を改善することにより、咬み合わせが悪化するのを改善できます。

低年齢児に歯科医が指摘する歯並びは、そのまま成長すると治療がより大変になるケースが多い

このように、低年齢児の症例に関しては、習癖や成長の因子が大きく関係し、そのまま成長すると治療がより困難になる症例が多いです。

ただし、低年齢であれば短期間で改善する場合もあります。
気になる方はお気軽にご相談ください。

まとめ

いかがでしたか?

  • 咬み合わせの問題の中には、成長に影響するため特に早めにアプローチした方がよいものがあり、歯科医師は咬み合わせと成長、習癖との関連を診査している。
  • 成長に影響を与える悪い咬み合わせには①習癖に関わるもの(開咬)②それ以外(部分的/全体的な反対咬合・交叉咬合)がある。
  • 低年齢で指摘する症例は、そのまま成長すると将来より治療が困難になる難症例が多い。ただし、低年齢であれば短期間で改善する場合もある。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

6歳半ぐらいの子どもの話~歯が生えていない・歯が過剰に生えている~

2017年11月6日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

今回は、6歳半くらいのお子さまのご家族の方からよくされる質問などについてお話していきます。

 

つぼい歯科クリニックでは、撮影可能なお子さまに対して、パノラマレントゲン撮影を行っています。


パノラマレントゲンは、顔の周りをぐるっと機械が回るタイプのレントゲンです。

生えている歯だけでなく、歯の芽(永久歯の歯胚)の状況や顔を構成している顎の骨の状況など、いろいろなことがわかります。歯科では欠かせない検査の一つです。

 

パノラマレントゲンで、歯がない/過剰歯があることがわかる

6歳前後で前歯の生え変わりをむかえたぐらいのお子さんの場合、永久歯の歯胚も見えます。
そこで、永久歯がない、もしくは過剰な歯があるということが明らかになることがあり、よくご相談を受けます。

最近の傾向として、歯が1本以上ないお子さんがいる

そこで最近の傾向を調べてみたのですが、小児歯科学会の2007-8年ごろの調査では、10人に1人程度というかなりの高確率で、1本以上の歯がない子どもがいるようです。

また、その部位は下顎で、中央から左右に向かって5本目にある第2小臼歯がないケースが最多で、2本目の側切歯がない子どもも多いようです。また、いい具合に親知らずがない場合もあります。

前歯がない場合

前歯がない場合、どうなるのでしょうか?

下顎の場合、歯が少ないと顎の成長も少し悪くなるため、噛み合わせが深くなることと、歯の位置がずれ、少しすきっ歯になることが考えられます。
ただし、最近は顎が小さいお子さんも多いので、一本少なくて丁度ピッタリ、となり経過を観察する場合もあります。

小臼歯がない場合

小臼歯の場合はどうでしょうか?

出典 小学館デジタル大辞泉

永久歯がない場合、乳臼歯は虫歯などにならなければ、なかなか抜けません。
30代~40代までもつ場合があります。その場合はブリッジをしたり、インプラントをしたり、状態に合わせて矯正したりとなります。
まずは今ある歯を大事にすること、がこの場合も大事ですね。

 

過剰歯がある子どもの最近の傾向

一方過剰歯は、100人に3人程度(つまりはクラスに1人程度)である子が存在します。

上あごの真ん中あたりにある場合が多く、稀には上下逆(逆性)で存在します。
ちょうど目立つ前歯の間にあるため、前歯の萌出や歯並びに影響することが多く、除去のためには外科的な手術が必要となる場合があります。

歯の欠損の場合はもちろんのこと、過剰歯も『痛む』などの自覚症状はありませんので、歯が生える時期にならないと気付きにくいものです。しかし、過剰歯も永久歯の欠損も歯並びに影響する場合が多くあります。(特に過剰歯は影響大の場合が多いですし、多くの歯がない(4-5本)といった場合は歯並び等への影響大です)。

ただ、どちらの場合もその悪影響を少なくすることは可能であり、場所や状態、時期によって、処置内容は変わっていきます。

定期的な検診の中で、最も良い方法を模索していきましょう。お気軽にご相談ください。

まとめ

いかがでしたか?

  • 6歳ぐらいのお子さんの検診では、虫歯と共に、歯の数などをチェックしている。
  • 一本以上歯がないお子さんの比率は全体の10%程度もあり、過剰な歯があるお子さんは3%程度ある。
  • 永久歯の先天性欠損や過剰歯の場合、永久歯の歯並びに影響を及ぼす場合が多い。
  • それらの場所や状態、時期によって、悪影響の程度や処置内容が変わっていくため、定期的な検診が重要となる。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

歯並びが悪いのは遺伝ですか?その2 出っ歯編②お口ポカンについて

2017年9月25日

こんにちは 岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です♪

前回は、出っ歯(上顎前突)の原因になる悪い癖について、特に指吸いについてお話しました。

参考 歯並びが悪いのは遺伝ですか?その2 出っ歯編①指吸癖について

今回は指吸い以外の、出っ歯の原因となる悪い癖についてお話していきます。

「指吸い」以外の代表格は「咬唇癖」と「舌突出癖」「口呼吸」

下唇を噛む「咬唇癖(こうしんへき)」

下唇を噛んでいる咬唇癖(こうしんへき)のイラスト

 

 

 

飲食時や唾を嚥下したときに舌を前に突き出す「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」

飲食の時に舌を前に突き出す舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)のイラスト

 

 

 

 

鼻ではなく口で呼吸する「口呼吸(くちこきゅう)」

 

 

 

 

下唇を咬む「咬唇癖」

 

イラストをご覧ください。

自力で癖を治すのが難しいケース

上の歯がかなり前方にズレていて、歯が見えないように唇を閉じることが難しい場合。

普段から下唇を咬むようになると、上の前歯はより前へ、下の前歯はより後ろに移動してしまい、出っ歯はさらに悪化していきます。

 

<下唇をかんでしまう悪習慣を治すための方法>

リップバンパーと呼ばれる装置で上下の前歯の間に下唇が入らないようにする装置を用いて、下唇を咬むことで出っ歯になってしまう流れを断ち切ることもあります。

舌を前に押し出す形で嚥下する「舌突出癖」

歯がまだ生えていない赤ちゃんは、お母さんのおっぱいを舌を前方に突き出して飲みこみます。
これを「幼児性嚥下(ようじせいえんげ)」と言います。

生後約6か月で前歯が生えてくると、徐々に飲みこみ方が変わります。
舌を前ではなく、上に押し付けるようにして飲みこむようになります。

ところが、上顎の形によっては、舌を上顎につけにくいお子さまもいて、飲み込み方が変化しない場合があります。
それが「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」と言われる癖で、小学生になっても舌を前に突き出すようにして飲みこみます。

舌突出癖のイメージ写真(写真は成人の歯です)

 

 

 

前歯は舌に押されることで、どんどん前に倒れていき、出っ歯になったり、奥歯を噛みしめても上下の前歯の間に隙間ができる「開咬(かいこう)」と言われる状態になることがあります。

<舌突出癖の治療法>

  • タンクリブ
  • MFT(筋機能訓練)

治療法としては、タンクリブと呼ばれる矯正装置で舌が前に出ないようにしたり、舌を上にぐっと持ち上げられるように筋トレ(MFT:筋機能訓練)などがあります。

「舌突出癖」は子供のうちに治さないと、大人になってからは改善が困難と言われています。
矯正装置は自由診療になりますが、舌の筋トレはお金をかけずにご自宅でできる場合もあります。

上下の前歯に隙間がある、飲み込む時に舌を前に出す癖をお持ちのお子さまは早めに歯科医院にご相談ください。

いつでもお口がポカンと開いている「口呼吸」

鼻炎や蓄膿症、花粉症などで、鼻ではなく口で呼吸をされる方は要注意です。

口で息をする「口呼吸」は以下の症状を引き起こすことがあります。

  • 歯並びが崩れる(出っ歯、開咬(かいこう))
  • 鼻腔が十分に成長できなくなる
  • 風邪をひきやすくなる(免疫力が下がる)
  • ドライマウスになる
  • 虫歯になりやすくなる
  • お子さまの場合、脳の発達にマイナスとなることも
  • 喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患になりやすくなるという報告がある

歯科以外に、耳鼻科領域でも「口呼吸」の改善は重要視されていて、軽度であれば筋トレで治すことができます。

口呼吸を改善する!「あいうべ体操」

あいうべ体操は、耳鼻科の医師が開発した、鼻で呼吸をする筋肉を鍛えるトレーニング法で、1~3か月ほど続けると効果を感じられることが多いと言われています。

<方法>

「あ~、い~、う~、べ~」と1日30セット、大きく口を舌と表情筋を動かすように声に出します。
「べ~」は思いっきり舌を出してください。

<注意>
これはあくまで「筋トレ」なので、可愛く「あ、い、う、べ♥」とやってもダメです。
顔芸をする勢いで、おおき~く筋肉を動かさないと意味がありません。
最初の頃は15セットもやると顔と舌の筋肉がひきつるように疲れるはずです。

<上手に行うコツ>

お子さまの場合は
「ちゃんとやっておきなさいよ」という保護者の方の声かけだけで、毎日やってくれることはありませんので(手を抜かれちゃうんですよね…)、まず保護者の方がしっかりやり方をマスターして、お子さまと一緒にトレーニングするようにしてください。

長期間の口呼吸によって、鼻の骨と上顎の骨の横幅がせまくなってしまっている場合は

矯正装置によって物理的に歯列を矯正してあげると、いっきに鼻の通りがよくなることが多いです。
筋トレで済む状態か、矯正した方が良いかは、歯科医院でご相談ください。

まとめ

いかがでしたか?

  • 出っ歯を作ってしまう癖として「指吸い」の他に「咬唇癖」「舌突出癖」「口呼吸」などがある
  • 軽度の場合は筋トレで改善できることもある
  • 症状によっては矯正装置を用いた方が良い場合もある

お子さまのお口の癖で、気になる点がおありの場合は、お近くの歯科医院でご相談ください。

次回は「上の入れ歯が気持ち悪い!どうしたらいいの?」をテーマでお話しさせていただこうと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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