セラミック矯正で後悔しないために:メリット・デメリット徹底解説
2025年8月25日
セラミック矯正で後悔しないために:メリット・デメリット徹底解説
こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井です。
「短期間で歯並びや白さをきれいに整えたい!」──と思っている人に好評のセラミック矯正。
歯科医師は、「審美補綴治療(しんびほてつちりょう)」と呼んでいます。
正確に言えば、矯正ではなく、セラミックで矯正したかのように「被せ物で歯のガタガタを整える治療」のことです。
当院でも、
「半年おきに転勤の可能性があるため、歯列矯正ではなく治療期間の短い治療で歯並びを治したい」
「既に前歯には被せ物が入っているので、被せ物のやり替えで治したい」
「歯にプラスチックの大きな詰め物が入って変色してしまっているので、歯並びと一緒に色も綺麗にしたい」
といった理由で選ばれることがあります。
一方で、健康な歯を削ってしまうデメリットや若い人にとっては神経の治療になるリスクがあるといった注意点も無視できません。
今回はそんなセラミック矯正(審美補綴治療)を徹底解説したいと思います。
1. セラミック矯正とは?
歯を削ってオールセラミッククラウンやラミネートベニアを被せることで、歯の形・色・並びを同時に整える審美治療です。
矯正のように歯並びが綺麗になりますよ、というニュアンスで最近になって使用されるようになった言葉で、歯列矯正ではなく、被せ物で見た目を改善する「審美補綴治療」のことを指します。
1~4本程度の歯ならば、2~4回程度の通院(1~2カ月)で治療が完了します。
6本(上の前歯全部)、12本(上下の前歯全部)といった本数になると、もう少し回数がかかります。
普通の矯正(ワイヤー・インビザライン)との大きな違い
- 治療期間…ワイヤー/マウスピース:18〜24か月 / セラミック:1〜2か月
- 歯を削る量…ワイヤー/マウスピース:0~0.5㎜ / セラミック:1.5〜2.0㎜
- 適応範囲…ワイヤー/マウスピース:ほぼ全歯列 / セラミック:主に前歯6本
2. セラミック矯正のメリット
- 短期間:イベント・転勤などタイムリミットがある人でも間に合う
- 歯の形・色を変えることができる:歯の大きさ・形の左右非対称なども改善できる
- むし歯・補綴物の同時改善:既にかぶせ物が入っている歯なら、差し替えで審美性アップ
- 仮歯でシュミレーション可能:最終補綴を入れる前に、試作の仮歯で最終的な仕上がりを確認しながら治療を進めることが可能
- 矯正が向かない人でもできる:歯の根っこが短い、埋伏過剰歯があるなどの事情がある人でも可能です
- 少数歯ならば歯列矯正よりは費用が安く済むことも多い
3. セラミック矯正のデメリット
- 天然歯を削ってしまう:これが最大のデメリットです
天然歯を削って、セラミックを貼り付ける治療(ラミネートべニア)
歯を削らなければならないことが最大の欠点
- 歯髄損傷のリスク:削る量が大きい場合、神経を取る可能性がある
- マージンの経年変化:オールセラミックでも、加齢や歯肉退縮で境目が多少見えるようになることも
- 根っこの位置は変わらない:歯の位置が異なる場合、完全な左右対称は困難なこともある
歯医者の本音としては、
まずは、(健康な)歯を削る量が少ない歯列矯正を検討いただく。
そして、治療期間や費用などが条件に合わなくて難しい場合のみ、セラミック矯正も視野に入れる。
という順番でお考えいただけると嬉しいです。
やはり、天然の歯は、削らないで済むならば、削らない方が良いからです。
ブラケット矯正やマウスピース矯正の方が、健康な歯にはやさしい治療です。
ただし、既に前歯に被せ物が入っていて、既存の被せ物のやり替えだけで済む場合は、セラミック矯正がおススメです。
4. セラミック矯正が向いている人・向いていない人
向いている人
- 短期完了が最優先:転勤族・海外赴任・結婚式などタイムリミットがある
- すでに被せ物が入っている:差し替えだけで審美性と歯並びを同時に改善できる
- すでに歯が大きく擦り減っている・欠けているなどしている:被せ物で歯の形も同時に改善できる
- 軽度の歯列不正:ねじれ・すきっ歯・前突が前歯だけに限局している
- ホワイトニングが効きにくい歯:テトラサイクリン変色や失活歯の色調不良
- 気になる歯は1~2本で、費用を抑えたい方:少数歯の場合は通常の矯正治療より費用が少なくて済みます。
向いていない人
- 20代前半以下:歯頚部ラインや歯肉の位置がまだ変化するため、将来マージン(被せ物の縁)が露出しやすい
- 噛みしめ・歯ぎしりがある:セラミックが割れやすい
- 広範囲の不正咬合:骨格性出っ歯・開咬・受け口などの場合は根本的矯正が必要
- 歯を削るのに抵抗がある人:通常の矯正治療の方がおススメです
当院で審美補綴(セラミック矯正)を選ぶことが多いのはこんな人
・すでに前歯には全て冠が入っている
・2~3年で転勤がある職場勤務のために、矯正治療が難しい
・歯の色が(ホワイトニングではどうにもならないレベルで)変色している
ブラケット矯正しか矯正治療の選択肢がなかった昔は、40代以上の方は「矯正器具をつけて仕事ができない」とセラミック矯正を選ばれることが多かったですが、今はずいぶん減りました。
透明マウスピース矯正(インビザラインなど)ならば、会社員でも矯正しやすいためでしょう。
5. 噛みしめ・歯ぎしりがあるけれどセラミック矯正で綺麗になりたい場合の対策
噛みしめや歯ぎしりがあれば、セラミック補綴やラミネートべニアにはダメージが蓄積しやすくなります。
そのため、噛みしめや歯ぎしりがある人は、セラミックが割れたりはずれたりしやすいです。
しかし、噛みしめや歯ぎしりがあっても、歯の色や形をセラミックできれいにしたい、という場合はどうすればよいでしょうか?
よく使用される方法としては、マウスピースを装着して歯やセラミックの保護したり、ボツリヌス毒素注射を行って、咬筋の活動を低下させ、噛みしめる力をゆるやかにする方法があります。
マウスピース(ナイトガード)を使用する
- 就寝中に使用する:違和感、口腔乾燥などにより苦手と感じる方もいる
- プラスチック製マウスピースが削れることで歯とセラミックを守る:マウスピースはだんだん劣化する
- マウスピースは割れたら交換が必要:半年~1年で交換になることが多い
ボツリヌストキシン治療を受ける
- 咬筋の活動性を下げることで歯とセラミックを守る:歯科では美容目的のボトックスはやっていないので、あくまで咬筋の活動性を下げる目的。
- いわゆるエラボトックスと同部位・同薬剤:結果的にエラの張りも改善することがある
- 半年~1年で効果が減衰する:1回で終了はしない。半年おきくらいの定期的な注射が数回必要となるケースが多い。
- 繰り返し注射することで咬筋の活性が低下し、注射不要になることもある
- 妊娠中・授乳中はNG
6. よくある質問(FAQ)
- Q. 痛みはありますか?
A.麻酔下で行うため施術中の痛みはほぼありません。通常の虫歯治療と同じです。
- Q. 抜歯は必要ですか?
A.矯正治療とことなり、歯の位置は動かさないので抜歯しないケースがほとんどです。2本の歯が完全に重なっている場合などは抜歯することもあります。
- Q. セラミックが欠けた場合は?
A.それぞれの歯科医院で契約前にご確認ください。歯科医院ごとで条件が異なります。 - 当院の場合は、保証期間内(5年)なら無償で再治療しております。
保証期間が過ぎた後も、当院に3~4か月おきに定期管理での通院を継続されている場合は、当院規定の再治療の割引制度があります。
7. まとめ
いかがでしたか?
・セラミック矯正は「短期間」「美しい見た目」をかなえる一方で、「(健康な)歯を削る」というデメリットがあります。
・長期的なお口の健康を守るには、通常の歯列矯正(ブラケット矯正やマウスピース矯正)との比較を十分に行ったうえで選択することが大切です。
当院では、無料カウンセリングにてワイヤー矯正・マウスピース矯正・セラミック矯正の3つの選択肢を比較しながら、患者さま一人ひとりに最適な治療計画をご提案しています。
「2か月後のイベントに間に合わせたい」「前歯だけやり直したい」など、お悩みがあればお気軽にご相談ください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。