歯科衛生士に向くのはどんな人?どうやってなるの?
2025年10月18日
歯科衛生士に向くのはどんな人?どうやってなるの?
こんにちは、つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井です。
前回に続き、今回も歯科衛生士についての話題です。
今回は
「歯科衛生士に向くのはどんな人?」
「歯科衛生士になる方法」
というテーマでお送りしたいと思います。
今回もちょっと長くなってしまったので
「歯科衛生士の長期キャリア形成」
は次回の記事で詳しく解説します!
前回の記事:
進路に迷う人に歯科衛生士をおススメしたい。求人倍率23倍!就職に困らない国家資格
1)歯科衛生士は超売り手市場!4大卒より給与水準は高い
前回の記事でも詳しく記載しましたが、歯科衛生士は初任給は全国的に高水準で、経験・技術に応じて昇給しやすい環境です。
求人倍率が高いので、ここ10年でかなり給与水準が上がりましたし、今後もあがっていくと予想されている職です。
2024年の4年制大学卒業のオフィスワーカー全体の初任給平均: 22.5万円
2024年の4年制大学卒業のオフィスワーカー(1000人以上の大企業)の初任給平均: 24.1万円
2024年の歯科衛生士(3年制の専門学校卒業)の初任給平均: 26万円
2025年の歯科衛生士(3年制の専門学校卒業)初任給相場 28万円程度
専門卒でこの給与水準の職は、なかなかありません。
専門学校卒で給与が高いイメージの看護師さんと比較してみましょう。
2025年の正看護師(3年制の専門学校卒業)の初任給平均:夜勤あり28万円程度/夜勤なし23万円程度
看護師さんは夜勤ありで歯科衛生士と同水準の給与となりますが、
「夜勤なし」の条件で言うならば、歯科衛生士の方がはるかに高い給与水準であることが分かります。
2)歯科衛生士に向くのはどんな人?
2-1)男女ともに活躍できる職業です
まだまだ女性比率が圧倒的に高い職種ですが、近年は給与水準の高さなどから、男性歯科衛生士も活躍するようになりました。
男性歯科衛生士は、3年制の専門学校よりも、4大の歯学部口腔保健学科などを卒業し、大学病院などで活躍するケースが多いイメージです。
また、4大の歯学部口腔保健学科を卒業後、大学院に進学して「衛生士学校の先生」「大学職員」を目指す人もいます。
歯科衛生士も男性が一生の仕事にできる職業になってきたと言えます。
2-2)ワークライフバランスを重視する人

参考に、看護師さんの夜勤のよくあるパターンを見てみましょう。
参考:看護師さんの夜勤
・2交代制(日勤/夜勤) 病院の主流で、8割が2交代制です
よくあるパターンは週1回夜勤 17:00–9:00(実働 ~16時間・途中に休憩/仮眠)
・3交代制(日勤/準夜勤/深夜勤)
よくあるパターンは週1.5~2回の夜勤・準夜勤で、準夜16:00–24:30、深夜0:00–8:30(各~8時間)
病院のお医者さん、看護師さんは少ない人数で病棟とオペと外来を維持していらっしゃることが良く分かります。
本当に頭が下がる思いです。
夜勤帯に働いてくださる看護師さんのおかげで、地域の医療は維持されているという側面もあり、社会から非常に求められている職業と言えます。
一方で、ライフワークバランスを重視したい、パートナーや家族と一緒の時間を多く過ごしたい、夕食は毎日一緒に食べたい…という方には夜勤は合わないかもしれません。
医科・歯科ともに民間医院には夜勤がありませんが、「夜勤なし」という条件ならば歯科衛生士の方が高待遇の職場が多いので、おススメです。
2-3) 一生働きたい人
- 何歳まで夜勤を頑張るか
- 何歳まで立ち仕事や力仕事を頑張るか
- 若い時に身に着けた知識や技術が、一生通用するか
- 老眼や体力の低下などがあっても、働き続けることができるか
女性である以上、男性よりは早くに体力的な曲がり角がやってきます(体験談)。
45 ~50歳で、急に「無理が効かない体になった」と感じるようになります(体験談)。
看護師さんは出世して管理職になる場合を除いて、現場メインで働く場合は力仕事は避けることが難しいと思います。
(ロボティクス化が進み、看護師さん介護士さんその他、力仕事の職場で体に負荷がかからなくなる日を待ち望んでいます。)
歯科衛生士はそもそも力仕事、立ち仕事が非常に少なく、精密な歯周治療や、歯磨き指導などがコア業務になります。
大昔には「老眼が来たら歯周治療は続けられない」と言われた時代もありましたが、現在はルーペやマイクロスコープなど機器の進化で老眼問題は解決されています。
年齢を重ねても精密で質の高い臨床を継続しやすく、長期キャリアを築けます。
2-4) スキルアップして収入を伸ばしたい人
- 同じ医院に勤務しながら、チーフ・教育担当リーダーなど管理職にキャリアアップ
- 半独立の業態で、院長がオーナーを務めるセミナー会社でセミナー講師にキャリアアップ
- 完全に独立してフリーランス歯科衛生士としてキャリアアップ
- コンサル会社や、歯科衛生士の技術セミナー会社に就職してキャリアアップ
ベテラン歯科衛生士には多彩な選択肢があります。
安定とライフワークバランスを重視しつつ着実なスキルアップをするも良し、
経験を生かして、組織にとらわれない自由な働き方をするも良し、
高所得を目指して挑戦するも良し、
努力が待遇に結び付きやすい職業といえます。
2-5) 看護専門学校の勉強・実習が「合わない!」と感じた人
せっかく看護学校に入ったのに、毎年6~7%程度の看護学生さんが中退しています。
理由は
-
学業面のつまずき…実習記録や課題量の多さへの適応困難も重なることが多い
- 実習ストレス・人間関係…実習での緊張、人間関係・指導体制とのミスマッチ、上下関係のストレスなど
が多いと言われています。
歯科衛生士専門学校でも、学業面でのつまずきによる中退は同じようにあります。
しかし、実習ストレスによる退学というのをほとんど聞いたことがありません。
おそらくは
- 歯科衛生士の実習が見学主体であること
- 大学病院などの実習の指導教官は歯科衛生士が少なく、学生指導に慣れている歯科医師が多いこと
- 民間歯科医院でも本格的な実技指導は就職後にという風土があること
- 歯科衛生士は逆求人倍率23倍という超売り手市場であるため「できれば当院に就職して欲しい」という熱い気持ちで学生実習を行う医院も多いこと
といった事情が背景にありそうです。
ザックリ言えば、看護師業界は体育会系、歯科衛生士業界は文系っぽいノリです。
看護実習(病院の人間関係)が合わないことが理由で看護学校を中退する場合、基礎科目の単位は歯科衛生士学校でもそのまま認められる形で編入可能であることが多く、3年ではなく2年で卒業可能であることも多いです。
せっかく看護学校で学んで得た経験・知識(基礎科目のみではありますが)をお持ちです。
それをそのまま活用して、歯科衛生士を目指すことが可能です。
2-6) リスキリングを考えている第二新卒・社会人の方
・医療とは無関係の専門学校や大学を卒業し、就職したけれども、今の職はいまいち将来が不安…
・転勤のあるパートナーと結婚しても、日本全国どこでも働ける職にリスキリングしたい
・給与が高水準の専門資格を取得してキャリアアップしたい
という方にも、歯科衛生士はおススメな職業です!
しかし歯科衛生士は国家資格が必要になりますので、専門学校での「学び直し」が必要になります。
既卒の専門学校や大学の教養課程の単位が認められた場合でも2年、そうでない場合は3年の学生生活を送らなければなりません。
そこで心強い支援となるのが、厚生労働省の「専門実践教育訓練給付制度」です。
教育訓練経費の50%が基本給付
この制度の基本は、厚生労働省指定の講座を受講・修了することで、教育訓練経費の50%(年間上限40万円・最長3年間)が給付されるというものです。つまり、学費の半分を国がサポートしてくれる仕組みです。
条件次第で最大80%まで給付
さらに条件を満たすことで、給付額は大きく増えます。
-
修了後1年以内に資格取得や就職などに結びついた場合:経費の20%(上限16万円)が追加
-
修了後に賃金が5%以上上昇した場合:経費の10%(上限8万円)が追加
👉 これらをすべて満たすと、合計で教育訓練経費の最大80%まで給付を受けられます。
制度を活用するための注意点
-
受講する講座が「厚生労働省指定」であることを必ず確認
-
受講前にハローワークで手続きを行う必要あり
-
雇用保険の加入期間など、受給条件は個々の経歴により異なる
制度の詳細は必ずハローワークや公式サイトで確認することが大切です。
参考リンク
実際に制度を案内している教育機関の例として、三宅学園 下松デンタルアカデミー 社会人サポートページ があります。
こうしたページを参考にしながら、自分に合った学び直しの選択肢を検討するのも良いでしょう。
なお、つぼい歯科クリニックでは、歯科助手や受付として入職されてから、歯科衛生士として国家資格を取り、スキルアップしたい方を支援する奨学制度をご用意しています(育英会奨学金の企業代理返還制度)。
歯科衛生士専門学校に在学中は、非常勤スタッフとして当院に勤務しながら、厚生労働省の「専門実践教育訓練給付制度」と当院独自の奨学制度を併用して、卒後の経済的負担が残らない形での歯科衛生士デビューをしていただける体制をとっています!
本当は専門学校に行きたかった、本当は歯科衛生士になりたかったけれど、事情があって社会人として働いている方が、安心して資格取得できるよう応援しています!(卒後、当院での歯科衛生士としての勤務が必要になります)
・ひとまずは就職を考えているけれど、将来的には進学したい高校生
・リスキリングを考えている社会人
上記の人で、ご興味があればぜひご連絡ください。
詳しいご説明をさせていただきます。
私たちと一緒に、患者さんの笑顔のために働きませんか?
ご興味をお持ちの方は、ぜひ当院の求人情報をご覧ください。
ご応募をお待ちしております。
3)歯科衛生士になる方法
歯科衛生士専門学校/短大で3年、もしくは大学の口腔保健学科などで4年
3年制の専門学校/短大が一般的ですが、大学の口腔保健学科(4年制)では教育・研究・公衆衛生寄りのカリキュラムや関連資格の幅が広がります。
4年制大学の場合は、教養課程や研究課程があることが多く、学校の保険の先生や保健所勤務などを目指すこともできます。
歯科衛生士業務を仕事にするだけならば、3年制の専門学校や短大で十分とも言えます(歯科衛生士の技能を学ぶ量はほぼ同等です)。
基礎課程・専門教育課程・臨床実習を経て卒業見込みになる
臨床実習先は、大学や専門学校と提携している歯科医院から選ぶことが多いです。
臨床実習といっても、ほとんどの場合見学が主体になることが多いです。
歯科衛生士の臨床実習は在学中(国家試験合格前)に行われるため、スケーリングなどを行うことはNGです。
治療の流れや技能について、見学することが重視されます。
また、国家資格を無事取得し、歯科医院に勤務してからも、入職すぐにスケーリングなどを任されることはほとんどありません。
理由としては、安全なレスト取れるようになる練習や、正しい姿勢の保持、器具の使い方を練習してできるようになる必要があるためです。
もしできなければ、患者さんに怪我をさせてしまったり、患者さんに痛い思いを我慢してもらったのに、歯石の除去が全然できていないということが起こるからです。
入職後は、難易度や危険性の低い業務から段階的に臨床経験を積んで、徐々に担当できる処置を増やしていきます。
国家試験合格後に資格取得できる
卒業見込みで国家試験を受験し、合格後に免許を申請します。
国家試験の合格率は91~96%
歯科医師、薬剤師の国家試験合格率が60%台。
放射線技師・臨床検査技師の国家試験合格率が76%~87%。
理学療法士・作業療法士の国家試験合格率が80%台。
看護師の国家試験合格率が87%~91%。
これらを比較すると、医療国家資格の中では歯科衛生士の国家試験合格率は高いことがわかります。
せっかく学校を卒業したのに、国家試験を通過できない…というケースが比較的少ない、コスパ良く取得できる国家資格と言えるでしょう。
多くの歯科衛生士学生さんは、3年目の夏~冬に就職先を決める方が多いようです。
見学してみたい歯科医院があれば、どの時期でも「見学させてください」と電話すると、ほぼすべての歯科医院がOKするはずです。
国家試験勉強に忙しくなる前に、就職先の医院見学を済ませておくと、後が楽ですよ。
4)まとめ 歯科衛生士という魅力的な仕事をおススメします
いかがでしたか?
・歯科衛生士は、確かな専門性と豊富な就業先、学び続けられる環境、そしてライフイベントに寄り添う柔軟性を兼ね備えた国家資格です。
・臨床の最前線で患者さんの健康を支えつつ、一生働ける仕事です。
次回は、
「歯科衛生士の長期キャリア形成」
について詳しく解説します!
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
私たちと一緒に、患者さんの笑顔のために働きませんか?
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