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一番虫歯になりやすい糖はどれ?

2019年10月10日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

まだまだ暑い日もありますが、秋らしくなってきましたね。僕にとっては食欲の秋でもあります。
秋は果物等にも旬の物が多く、美味しい時期ですね。

つぼい歯科ではお子様のお口の状態や食生活に合わせて、生活習慣に関する話をよくさせていただいています。
その結果、「じゃあ結局なにがおススメですか?」という話になります。

虫歯の原因は圧倒的に砂糖(ショ糖)が含まれるお菓子なのですが、糖にもいろいろな種類がありますので、一度調べてみることにしました。

僕は歯科に関する知識はありますが、食べ物や栄養に関する知識は専門外ですので、やや偏っているかもしれません。
その道の専門の方はご容赦くださいませ。

糖類にはなにがあるの?

糖は甘み成分を意味する漠然とした概念で、砂糖(ショ糖)などは糖類とよばれています。

単糖とよばれる環構造が最小単位で、ブドウ糖と果糖があります。
ブドウ糖と果糖がくっついたものがショ糖です。
それが3~10程度つながったものがオリゴ糖、大量に繋がったものが多糖と呼ばれます(図参照)。

糖と虫歯菌の関係は?

やっぱりダントツでショ糖が虫歯を作る

人間にとっても大事な糖ですが、虫歯菌にとっても重要な材料となります。

ミュータンス菌はブドウ糖から歯垢(歯の汚れ)の元である不溶性グルカンを作り、果糖からは歯を溶かす酸を作るのです。
両方の機能を助けてしまうショ糖は圧倒的に虫歯のリスクを高めてしまいます。

従って、ショ糖が分解されたブドウ糖と果糖は、ショ糖よりやや虫歯リスクが低いのですが(実験によっては20~30%減)、虫歯の原因になることが確認されています。

オリゴ糖になると相当リスクは下がります。
多糖であるデンプンぐらいまでなると、虫歯のリスクはほぼ気にしないでいいレベルになるようです。

一方、冠構造が少し異なる糖アルコールは菌が分解できないため、虫歯のリスクは完全に無いといえます。

食べ物に含まれる糖

ブドウ糖や果糖はその名の通り果物に多く含まれます。

果物は甘いのですが、特に果物に多く含まれる果糖は相当水に溶けやすく、また果物は繊維が多いので、虫歯にはなりにくいと言われています。
ただ、ドライフルーツなど加工したものは歯にねばりつき、ショ糖の濃度も高まるため、虫歯リスクは高いとの報告があります。
はちみつは果糖やブドウ糖が多く含まれるので、ショ糖を使うよりもリスクは相当低くなるようですが、粘り気もあり、多少リスクはあるようです。

また加工されたはちみつはショ糖が添加されている場合が多く、リスクは当然高まります。

糖アルコールは完全に虫歯リスクはなくなりますが、キシリトールは食べすぎるとお腹を下しやすく、それ以外のものはいわゆる人工甘味料なので、いろいろなデメリットも報告されています。

食品表示のラベルをみよう!

結局のところ経済性や安全性の面で、ショ糖(砂糖)を使わなくなることはありません。

ただ、ショ糖の量と虫歯は完全に相関関係が示されています。
食品表示は含まれる材料の多い順に書くことが決まっています。

おやつなどを選ぶ際には、最初に「砂糖」と書いてないものを選ぶだけでも、摂取量は大きく減少します。

食欲の秋です。美味しいものを上手に食べて、虫歯を予防していきましょう!

まとめ

いかがでしたか?

  • 糖類にはブドウ糖、果糖などの単糖、ショ糖に代表される二糖類、冠構造の数によってオリゴ糖、多糖と分けられる。また冠構造が少し異なる糖アルコールも含まれる。
  • 虫歯の原因菌は、ブドウ糖からネバネバの歯の汚れの元となるグルカンを作り、果糖から酸を作る。その両方をもつショ糖(砂糖)は最も虫歯リスクが高い。
  • 自然界の食べ物には果糖、ブドウ糖、ショ糖などの糖が様々な割合で含まれるが、加工して甘みを強くしなければ、リスクはさほど高くないと言われている。
  • ショ糖は、その摂取量と虫歯が完全に比例する。食品表示のラベルなどを確認しながら摂取量を減らすと良い。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

妊婦さんと歯について。妊娠中は口の中の環境が変わるので要注意!

2019年9月20日

こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。

当院には、小さなお子さまをお預かりできるベテラン保育士が在籍しておりますので、若いお母さん方がたくさんいらっしゃいます。
また、岩国市の行っている妊婦健診も月に3~4人ペースで来院されています。

今回は授乳期のお母さんや、妊婦さんのお口の中の変化について、お話したいと思います。

妊娠による口の変化

妊娠すると様々な変化が起こっていきます。

それによって、口の中でもいろいろな変化が起こっていきます。

つわりによる変化

つわりにより、ニオイに敏感になったり、特定の食事が苦手になったり、あるいは甘いものや酸っぱいものと好むようになったりすることがあります。

奥歯の方に歯ブラシを入れると吐き気をもよおす場合は、お口の清掃状態が悪化することもあるようです。

ホルモンバランスによる変化

妊娠中はホルモンバランスに変化が起こります。

女性ホルモンを餌に増殖するタイプの歯周病菌が活性化するので、妊娠期間~授乳中まで、歯ぐきの炎症が起こりやすくなります。
これを妊娠性歯周炎といいます。

なので、妊婦健診に歯科の項目があるんですね。

唾液の量も減ることがあるみたいで、これも虫歯のリスクをあげてしまう原因となります。

妊婦の歯科治療の時期はいつまで?

妊娠初期~4ヶ月

この時期はお腹の中の赤ちゃんの発育にとって大切な時期になります。

市販薬を含め、お薬の服用は極力控えたいところです。
ただし、お熱があったり、あまりにも強い痛みがある時は、ママさんが我慢するストレスが赤ちゃんに与えしまうストレスもあります。
限界まで我慢する前に医療機関にご相談ください。

また、つわりがある場合もあり、あまり積極的な歯科治療は行いにくい時期です。
歯科検診やクリーニングなどは可能ですので、妊婦健診はぜひ受けましょう。

ご自身のお口の中の問題点や、妊娠中のこれからの変化について、知っておくようにしましょう。

関連記事 院長ブログ 歯科の妊婦健診や、おとなの歯科健診って何のためにあるの?
院長ブログ 妊婦さんが歯周病や虫歯を予防した方がいい3つの理由

妊娠中期

安定期に入ると状況が変わってきます。
ほぼ全ての歯科治療が可能となります。

お薬に関してはやはり注意は必要ですが、比較的安心して使えるお薬もあるため大きな問題とはなりません。
なので、虫歯の治療などはこの時期に行うのが良いとされています。

なので、この時期までには虫歯治療にメドをつけておきたいですね。

妊娠後期

9ヶ月以降となると、治療が難しくなってくることもあります。

麻酔の種類にもよるのですが子宮の収縮を誘発したりするのもあるようです(当院は血管収縮剤不添加の、子宮の収縮を誘発しないタイプの麻酔を使用しております)。

体調的にもお腹にハリが出たり、仰向けになったときに、お腹の中の赤ちゃんの重さによって、血管が押し付けられ血圧に変化が起こってしまうこともあります。

また、痛み止めの服用も、妊娠後期から末期は赤ちゃんにとって、あまり良くないと言われています。
以上により、1回の治療が長時間に渡る処置は難しいかなと思います。

出産後

授乳が開始され、まだまだ女性ホルモンの分泌量も多く、歯ぐきが腫れやすい時期が続きます。
ただ、出産直後は、なかなか来院が難しい期間となるのではないかと思います。

出産後数か月は、お母さんは皆さん、お忙しいですからね。

最後に、お子さんの虫歯を減らすために家族全員で歯科健診を

お子さんが虫歯にならないようにはお父さん、お母さんのお口の中の環境が整っていることが重要です。

虫歯は虫歯菌が引き起こす感染症です。お子さんの虫歯菌への感染経路は母親が50%、父親が30%と言われています。
お父さんお母さんのお口に虫歯がないことが、お子さんの虫歯菌感染リスクをさげることに有効だと、研究により分かっています。

妊婦健診だけでなく、お父さんもご一緒に歯科医院でチェックを受けられるのが、お子さんのためにもより良いと言えます。

関連記事 院長ブログ こどもの虫歯はどこから来るの?

まとめ

  • 妊娠初期に妊婦健診を受けるのがベストです。
  • 妊婦検診で、治療が必要な部位はないか、もし治療が必要な場合は、安定期に治療を終えられるように計画するとスムーズです。
  • ママさんが妊娠中に、ご家族全員の健診と口の中の細菌数を減らしておいて、赤ちゃんにとって良い環境づくりをすることをおすすめします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

子どもの歯ぐきから出血が!?原因は何があるの?

2019年9月10日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

先日、とあるイベントに子供と参加した際に、イベントの一環として、獣医さんの最近の気になる疾患について聞く機会がありました。

それが偶然にも犬の歯周病に関するものでした。

犬も高齢化や食事内容の変化から、歯肉炎から歯周病に移行することが多いそうです。
犬の歯周病は処置も大変で、大きな問題となる場合がありるそうです。

「犬の歯周病の予防にも、ブラッシングと動物病院での本格的な掃除が重要である」という話でした。

考えたら、あり得る話ですが、知らなかったなあ。個人的には興味深かったです。

関連記事 院長ブログ 犬の口臭い原因!ペットも歯周病になるの?ケアの方法は?

最近受けたご相談に、「歯茎からの出血が心配です。」というのがありました。

人間でも壮年期を過ぎた場合の歯ぐきからの出血の原因のほとんどが歯周病です。
お子さんの場合は、歯茎からの出血はいくつかのパターンがありますので、解説していこうと思います。

子どもの歯ぐきからの出血の原因

歯肉炎

最も多いのが、歯磨きの不足による歯肉炎です。

歯と歯の間の歯肉は本来三角なのですが、炎症があるとその先端が丸く発赤し、簡単に出血します。

適切な歯磨きにより改善します。
また、プラーク(歯垢)を取り除く時の軽度の出血は気にしなくて大丈夫です。
適切な歯みがきがわからない時は、歯科医院に指導を受けにいらしてくださいね。

ヘルペス性歯肉炎

その次によくあるのがヘルペス性の歯肉炎です。

口腔内症状の出る2-3日前に、38-39度ぐらいのやや高熱が出て、かなり歯肉の発赤があり、お口全体が真っ赤という雰囲気になります。

また、口唇、舌に小水疱ができることもあります。

歯科ではなく、小児科での治療となります。

 

手足口病はこの夏にも大流行しましたが、原因となるウイルスは異なり、典型的な症状は口腔内や手足の水疱です。

けれども、歯肉の発赤や口内炎を伴う事も多く、ヘルペスと似たような症状になることがあります。

つまりは夏風邪の口腔内症状を伴うイメージですね。

萌出性(ほうしゅつせい)歯肉炎

歯磨きをしていても生ずるものに、歯の萌出に伴う萌出性歯肉炎があります。

これは萌出してきた歯と歯肉の間が不潔となり、炎症が起きることによっておこります。

乳臼歯の萌出時、大臼歯の萌出時におきます。
永久歯萌出時の方が痛みを伴う事が多く、体質によっては結構腫れて、膿が出る場合もあります。

その場合には少し外科的に切り取ってしまいます。

上記以外

本当にめったにありませんが、血液・造血器疾患つまりは白血病などの重篤な疾患の症状で歯肉の出血がみられることがあります。

夏風邪の歯肉の炎症がいつまでも治らない感じです。

 

歯肉の出血は、ほとんどが歯みがきが十分にできていない、仕上げ磨きが足りない、などの不潔性のものです。
しかし、それ以外にも子どもの全身状態を示すサインでもあります。

想定外の病気の症状であることもありますので、よく注意してください。

夏風邪の場合は、他のお子さまへの感染リスクが大きいので、小児科から受診していただけると嬉しいです。

まとめ

いかがでしたか?

  • お子さんの歯肉からの出血の多くは不潔性の歯肉炎です。
  • 歯磨きの指導と実践により、ほとんどの場合改善します。
  • ヘルペス性の歯肉炎では、かなり広範囲の歯肉炎となる場合があります。
  • 萌出性の歯肉炎は体質によって程度が異なりますが、一か月ぐらい頑張って歯磨きすれば収まります。
  • それ以外にも想定外の大きな病気の症状である場合があります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

母乳やミルクと虫歯の関係。寝る前や夜中にミルクをあげても良いのはいつまで?

2019年8月20日

こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。

今日は、母乳と虫歯の関係についてお話したいと思います。

卒乳が遅いと虫歯が多いことは疫学的には明らかであるとされています。

関連記事:院長ブログ 卒乳が遅くなると、こどもが虫歯になりやすいと聞きました。本当ですか?

母乳で虫歯になるの?

ちなみに、母乳単独では虫歯にならないことが分かっています。

虫歯というのは、口の中の細菌が「糖を分解して酸を作る」ことで、歯が溶ける現象です。

母乳には、乳糖という糖の一種が含まれていて、口の中の細菌の作用によって、歯を溶かす材料となります。
しかし、母乳に含まれている乳糖のみの場合は、濃度が低いために虫歯にはならないのです。

離乳食と母乳、両方を口にするようになると、虫歯のリスクが上がってしまいます。
よって、離乳食が始まったら食生活管理が大事になります。

子どもが1歳半を超えているけど、まだ卒乳できていない…

「1歳半を超えているけど、まだ卒乳できていない!どうしよう…。」という方もいらっしゃるかもしれません。

できるだけ早く卒乳に向かってチャレンジすることが、虫歯リスクを小さくすることは言うまでもありませんが、「食生活管理」のポイントを覚えていくことも重要です。

関連記事:ドクターズブログ 2歳くらいの子どもの歯と食事の関係

食生活管理のポイント 夜間授乳

子どもが夜泣きするので、夜間授乳がやめられない

母乳と虫歯の関係性としては、不規則な授乳や夜間授乳が不規則な食生活に結び付きやすく、それにともなって虫歯を作ってしまうのではと言われています。

特に、夜間授乳は非常に虫歯リスクが高いことで知られています。

関連記事 院長ブログ 1歳半頃に卒乳と言われますが、子供が泣くので心が折れそうです。どうしたらいいですか?

「でも、夜泣きがすごくて、そうも言っていられないんです」というお母さん。

わかります。現実問題として、すごく大変ですよね。

でも、いつかは卒乳しなければいけませんし、卒乳が遅れると虫歯になりやすくなります。
低年齢での虫歯治療は、泣いて暴れるのを抑えての治療になってしまいがちです。

また、泣いて暴れるお子さんの治療を行う場合、安全に治療するために介助スタッフが大勢必要となるため、大学病院をはじめ、多くの歯科医院で順番待ちがおきています。
当院も含め、3か月待ちというケースも少なくないのが現状です。

…それではかえって可哀そうですよね?

しかも4歳以下で虫歯になってしまったら、その後永久歯に全て生え変わっても、生涯虫歯リスクは(虫歯を低年齢で作らなかった人と比べて)高いままになってしまうと言われています。

「今日、いますぐ卒乳が難しい」と思われても、1歳を越えたら卒乳に向けて準備を始めていただくことをおススメします。

卒乳がまだだけど、離乳食が始まっている…どうしたらいいの?

では、卒乳が出来ていないけれど離乳食が始まったという時期は、どうすればよいでしょうか?

結論から言うと、歯を強くする、虫歯ができにくい環境をつくっていくことが必要です。

具体的には、フッ素の応用、虫歯の直接的原因となる砂糖の摂り方に注意するのが良いのではないかと思います。

母乳と虫歯の関係以外に、乳児期に注意しないといけないこと

離乳期は虫歯以外にも、舌の使い方が変わっていくことで、飲み込み方を学習していくとても重要な時期です。

おっぱいを飲むことと、固形物を食べることでは、舌の使い方が異なるからです。

赤ちゃんがおっぱいを飲む時、舌の動きとしては前後方向の動きが主体となり、舌の位置も口の中で低い位置にあります。
この飲み込み方を「幼児型嚥下」と言います。

赤ちゃんが離乳食を食べるようになると、舌を上顎に押し付けて飲み込む「成人型嚥下」を始めます。

しかし、乳児期~離乳期にかけて「正しい呼吸と嚥下」を獲得できず、「幼児型嚥下」がいつまでも残ってしまうことがあります。
幼児型嚥下が長く続くと、出っ歯になってしまいやすくなると言われています。

舌の使い方は、歯並びにも影響を及ぼしてしまうこともあるんです。

関連記事 院長ブログ 授乳や卒乳の方法や時期で、子どもの口呼吸を引き起こしてしまう!?

舌の使い方や、指しゃぶり、ぽかんとあいた口、…こうした「お口の悪い癖」は、一度身に付けてしまうとトレーニングしないとなかなか取り除けない、歯並びの難敵です。

卒乳しても、飲み込む時に舌を前に突き出してゴックンしていると気づかれたら、年齢に合わせた、「呼吸と嚥下を正常にする」トレーニングがあります。不安な方やご興味のある方は歯科医院でご相談ください。

まとめ

いかがでしたか?

  • 母乳だけ飲んでいる時は虫歯になりにくいが、離乳食が始まったら要注意
  • 卒乳は1歳半までをめざした方が良い
  • 夜間授乳は虫歯をつくりやすい
  • 虫歯だけでなく、卒乳時期は歯並びにも影響を及ぼすことがある

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

永久歯(6歳臼歯と前歯)のエナメル質形成不全が増えている!?その原因とは?

2019年8月10日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
暑い日が続きますね。
最近書いた記事で、一番反響があったのが、エナメル質形成不全症についてでした。

参考記事:エナメル質とその形成不全について~治療と原因~

気にされておられる方が多いことがよくわかりましたので、最近の学会での傾向や知見などを改めてまとめてみることにしました。

エナメル質形成不全とは?

エナメル質形成不全症とは、人体で最も硬く頑丈なエナメル質が、エナメル質石灰化不全の状態で生えてくることを言います。

そういった歯は、通常のエナメル質より軟らかく、色も白い歯に比べてクリームやブラウンがかったようであり、また表面も輝きがなく実際ボソボソとして柔らかいです。

原因は遺伝子に関連があるものと、関連がないもの(全身的な原因のものと部分的な原因のもの)に分けられます。

最近注目されているエナメル質形成不全「MIH」とは?

最近そのエナメル質形成不全にかかわることで、話題になっているのが、第一大臼歯(Molar)と前歯(Incisor)に限って発生するエナメル質形成不全症(Hypomineralization)で、頭文字を略して、MIHと言われるものです。

MIHは、大臼歯・前歯のエナメル部分に、境界がはっきりした色のエナメル質形成不全部分(透明感のないクリーム色やキャラメル色)が見られます。

前歯と、第一大臼歯によく起こるのですが、臨床でよく問題になるのは奥歯である、第一大臼歯の形成不全です。

生える途中の大臼歯は、歯茎に中途半端に覆われており、何もなくても炎症が起きやすく(≒いたくなり易く)、汚れが溜まりやすい(≒虫歯になり易い)です。

エナメル質が脆いと、大人の知覚過敏のように食事や歯磨き時に凍みる、みたいな感じで痛むことがあります。

そうなると、子供は自然に痛いところは避けるので、弱い歯がさらに磨かれないという悪循環に入ってしまいます。

また、生えたての歯は歯の頭(歯冠)部分が出来ていても、根が出来ていません。
そのため、治療はまず神経の治療にならないようにセメントもしくは必要に応じて歯冠全体を覆う既成の被せ(いわゆる銀歯)をすることが多いです。

不幸にして一部もしくは全体の神経の処置になれば、生えたての歯の神経の治療は痛みも激烈ですし予後も悪いため、歯医者にとっても本当に困難です。(本音ではしたくありません…)

MIHの子どもが増えている!?

MIHは、2001年のから言われた新しい概念で、それまでは実際虫歯になっていたことも多く、虫歯としてみなされていた様です。
2012年頃から日本小児歯科学会を中心に研究が盛んになりましたが、その報告からすると子供の11%~20%の頻度でMIHがみられると報告されています。
これは5人~10人に一人の割合であり、歯科医師からするとかなりの頻度であると言えます。

MIHの原因とは?

では最後に、MIHの原因についてです。
いまだに、特定の原因は明らかになっていませんが、関連が疑われているものは下のように色々と挙げられています。

*International journal of Clinical Pediatric Dentistry, Sep-Dec 2012;5(3):190-196 から主に抜粋

  • 呼吸系アシドーシス;呼吸不全により二酸化酸素が体内に蓄積し過ぎて体液が酸性に傾く状態
  • 妊娠中の高熱・糖尿
  • 長く続く悪阻や体調不良
  • 周産期における、様々な薬剤(子宮筋弛緩薬など)によりもたらされる低カルシウム血症や低酸素症
  • 早産
  • 乳児期における、中耳炎・肺炎・喘息・尿路感染・水疱瘡などによる抗生剤投与
  • 母乳を介してのダイオキシン汚染

この論文以外では、最近増えてきている、くる病との関連が指摘され、ビタミンDや日光との関連も指摘されています。

つまりは、第一大臼歯のエナメル部分が形成され始める、出産前28週と出産後10日の間の何かもしくは複合要因ではないかと言われていますが、現在研究中としか言えない状態です。

MIHを含むエナメル質の形成不全は人によって程度の差が大きく、処置内容もそれによって大きく異なります。
まずは精査が重要ですので、気になった方は、悪化する前にお気軽にご相談ください。

まとめ

いかがでしたか?

  • 最近言われるMIHといわれるエナメル質の形成不全では、大臼歯・前歯に、境界がはっきりした色の変化部分(透明感のないクリーム色・キャラメル色)が見られる。
  • 第一大臼歯では部位非対称な形成不全であることが多く、程度にも差がある
  • 知覚過敏のようなしみる痛みが出やすく、痛みにも過敏であるため、完全な沈静化は困難である
  • 急速な虫歯の進行がみられることがあり、特に注意が必要である。
  • 原因は複合的で不明であるが、5-10人に一人程度とかなり頻度が高い

気になることがあれば、まずは一度ご相談ください。

2歳と4歳ではどう違うの?年齢に合わせた虫歯や歯並び対策

2019年7月19日

こんにちは、つぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。

前回は2歳くらいまでの虫歯予防についての話をしてみました。
乳児の虫歯予防のポイントは?歯磨きは何歳からがんばればいいの?
今回はその続きとなる年齢について考えていこうと思います。

2歳半くらい~3歳

お口の中には全ての乳歯が生えて、いわゆる乳歯列が完成してくる時期になります。

早い子だと、お菓子デビュー、甘いものデビューしている子もいるでしょうね。

2~3歳の虫歯予防ポイント

食生活管理>フッ素による歯の強化

歯磨きは習慣づけをする重要な時期ではありますが、虫歯との関連が低い時期でもあります。

こちらの記事もぜひ参考にしてください。

卒乳が遅くなると、こどもが虫歯になりやすいと聞きました。本当ですか?

2歳くらいの子どもの歯と食事の関係

2歳半ぐらいの子どもの食事、おやつと噛むことのかかわり

3歳ぐらいの子どもとフッ素とキシリトールについて

乳歯は虫歯に対する防御力が永久歯に比べると弱く、お菓子などをだらだらと食べてしまうと、非常に虫歯リスクが高くなってしまいます。

フッ素で溶けにくい歯をつくっていきましょう。

ホームケア用のフッ素を毎日使用することは効果的です。

 

歯磨きの習慣を定着させるためには重要な時期です。

自分でなんでもやってみたいお子さんもいますね。

まずは自分で磨いてみて、その後に保護者の方が仕上げ磨きをしていきましょう。

この時期は、奥歯の咬む面が虫歯になりやすいです。

定期的に歯科医院にて虫歯チェックと、濃度の高いフッ素でしっかりと歯を守りましょう。

4歳~6歳

乳歯が生えそろって安定したお口のなかの状態が続いています。

骨の中では静かに永久歯が成長してきて、乳歯から永久歯への生え変わりが近づいてきています。

奥歯の歯と歯の間が虫歯の危険地帯です。

可能であれば、保護者の方がデンタルフロスで奥歯の間のお掃除をするのが望ましいです。
なかなか毎日フロスまでするのは難しいとは思うのですが、歯ブラシでは届かないような部分が危ないんですよね…。

乳歯は前歯に隙間がある「空隙歯列」のお子様が多いので、一般に奥歯よりは虫歯リスクが低くなります。
もっとも、歯と歯の間に隙間のない「閉鎖歯列」のお子様は奥歯同様に前歯も虫歯リスクがあります。

この「閉鎖歯列」のお子さまは、将来的に歯並びがガタガタになりやすいとことが多いです。

というのは、永久歯の前歯は、乳歯の前歯よりかなりサイズが大きいので、乳歯のときに隙間が十分にないと、永久歯が綺麗に並ぶスペースが無いことがほとんどなのです。

虫歯チェックのついでに、歯科医院で歯並びチェックも受けることが好ましいでしょう。

6歳~小学校

6歳臼歯という大人の奥歯と、下の前歯が生えてくる時期になります。

歯は生え始めから完成まで約3年かかることが多く、6歳臼歯もとてもゆっくりと、歯肉から出てきます。
この、生えてくる途中は汚れが溜まりやすく注意が必要です。

保護者の方による仕上げ磨き小学校低学年のうちは必須です。
可能であれば10歳くらいまでは続けていただきたいのですが、独立心の強いお子様の場合は難しいかもしれませんね。

歯の汚れに色をつける染色液(歯垢染色液)や液体歯磨きなどもおススメです。

当院も、受付で歯垢が染まる液体歯磨きを扱っておりますので、ご興味がおありの方はスタッフまでおたずね下さい。
汚れを視覚的に見てどこが磨けているか磨けていないか親子でチェックしてみるのもいい方法かと思います。

中学校~

永久歯が生えそろう時期となります。

保護者の方の仕上げ磨きがなくなる時期になり、虫歯が増えることも多いです。

部活動などでスポーツドリンクを頻繁に飲むような環境では、虫歯リスクがうんと高くなってしまうので注意が必要です。

https://tsuboidental.com/2018/07/28/dr-14/

部活に塾にと何かと忙しくなってくるでしょうから、定期的に受診するのが難しいとは思いますが、虫歯が増える時期でもあります。
なんとか受診して頂けたら歯科医師としては嬉しく思います。

まとめ

いかがでしたか?

2回に分けて、乳幼児~中学生までの虫歯予防のポイントをお話させていただきました。
どの年齢も、痛みがなくても定期健診をおススメします。
定期健診を行うことで、虫歯チェックも磨き残しの癖や、歯並びのチェックなど、重症になる前に予防できます。

虫歯も生活習慣病の一つです。
生涯通して、しっかりと虫歯を予防していきたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました

子供にホワイトニングさせたいんですけど・・・

2019年6月29日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

雨の日も少しずつ周期的になっていき、梅雨入りなどのキーワードが出てきましたね。
こういう時は夏風邪も流行ったりして、体調も崩しやすいので、皆さんお気をつけください。

子どもにホワイトニングをさせたいんですけど

最近患者さんからご相談を受けて、気になったのが上のご質問です。

つぼい歯科クリニックでは、大人のご希望の方には、自宅でのマウスピースを使った歯の漂白(ホームホワイトニング)を行っています。
このご質問は、当院でのホワイトニングに、ご満足いただいた保護者の方からのものです。

日本では未成年に、歯科医院でのホワイトニングはできない?

最近流行のセルフホワイトニングと異なり、歯科医院でのホワイトニングは漂白です。
歯科医院でのホワイトニングは、サロンやエステでは扱えない薬剤を使用します。
そのため、セルフホワイトニングとは別物で、効果が高いものとなっています。

日本では歯科医院で使用する、ホワイトニングの薬剤は、基本的に18歳未満の方には使用できないことになっています。
なぜでしょうか?

日本で未成年に歯科医院でのホワイトニングが推奨されないワケ

1)そもそも生えたての永久歯は黄色く見えます。

実は、乳歯と永久歯は色合いが違います。

乳歯は青白色と言われており、少し青っぽい色をしています。
一方、永久歯は黄色っぽい色をしています。

これは歯の中の象牙質が、薄いエナメル質(表面)から透けて見えているからです。
ただ、永久歯の歯の色は他の乳歯も永久歯に生え変わることによって、お口全体の全体の色調が統一され、気にならなく(≒白く見えるように)なります。

2)日本人は歯が黄色い?

正解です。

日本人を含めた黄色人種は、白人や黒人の方と比べてエナメル質がやや薄く、柔らかく、透明感が強いという特徴があります。
従って、日本人では象牙質の黄色みが透けて見えやすく、歯が黄色く見えます。

これは「虫歯が進行しやすい」という特徴とも重なりますので、ぜひ覚えておいてください。

3)歯はいつ頃成熟するの?

永久歯は生え始めてから何年かかけて徐々に表面が成熟し、固くなっていきます。

しかし、萌出時期や成熟の早さは個人差があり、成熟の確定診断は難しいと言われています。
ホワイトニングは歯質を少し弱めて、薬を入り込ませて脱色するのですが、未成熟な歯での安全性は確率していません。
そのため未成年でのホワイトニングは適応外とされています。

4)そもそもホワイトニングの適応症とは?着色している歯とは?

そもそもホワイトニングの適応症は、加齢による黄ばみ、軽度のテトラサイクリン変色歯、失活歯などの変色歯です。
これに当てはまる未成年者は、あまりいません。

多くの小児の場合、ほとんどの着色は外来性のものが多いです(麦茶や色の濃いお菓子など)。

この場合においては、歯面は研磨において十分キレイになりますので、それで十分だと考えます。
従って小児の場合、基本的にはホワイトニングよりも、健康な歯肉と歯を獲得することを目標とした定期健診、歯面研磨などの口腔ケアの方が大事です。

ただ外傷等によって歯の色が変わってしまった場合、お子さんが思春期などに、ひどく悩まれる場合があります。
歯科医師としてはこの場合、上記の様な原則にこだわることなく解決する努力をいたしますので、なにかあれば個別にご相談ください。

まとめ

いかがでしたか?

  • 日本では18歳未満の方へ、歯科医院での薬物を用いたホワイトニングは適応ではありません。
  • 日本人の生えたての永久歯はエナメルが薄いため、少し黄色みががかっています。
  • 多くのお子さんにおける歯の着色は、外来性の色素である場合が多いです。
  • 基本的には定期健診と、その時に行う歯面清掃によってキレイな状態を保つのがおススメです。

気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。

乳児の虫歯予防のポイントは?歯磨きは何歳からがんばればいいの?

2019年6月6日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦和則です。

虫歯予防は生涯にわたって必要なことですが、今回は特に低年齢の虫歯予防について話を進めて行ってみようと思います。
第一回の今回は、乳幼児期についてです。

年齢別虫歯の予防方法について

乳児(0歳児)期

歯みがきより食生活が大事

この時期は、歯磨きよりもフッ素や食生活管理のほうが、確かな予防効果があります
授乳、卒乳の影響も大きいとされています。
卒乳が遅いと虫歯になりやすいということが、疫学的に分かっています。

食生活管理がちゃんとできていれば、この時期に虫歯になることはあまりありません。

ですから、この時期の歯磨きは「習慣づけ」の側面が大きいと言えます。

保護者の方が、赤ちゃんの口に指を入れて、お口の中をしっかり見ることが出来るよう、慣らしてあげましょう。

「どうしても泣いてしまって難しい」と言う場合は、歯磨きシートで代用することも可能ですが、少しずつ歯磨きトレーニングは始めて行きましょう。

また、低濃度フッ素の活用も効果的です。
赤ちゃん用のフッ素スプレーやジェルもありますので、ご興味がおありの方はお試しください。

離乳食が始まると、ミルクの飲ませ方が大事になる

虫歯というのは、お口の中の細菌の作用によって、「歯が溶ける」ということです。

母乳には乳糖という、糖の一種が含まれていますが、母乳の乳糖濃度のみでは虫歯はできないと言われています。
野生の動物の赤ちゃんが、母乳で虫歯にならないのと同じですね。

ただ、離乳食が始まれば話は別です。

離乳食に含まれる糖分と母乳の糖分が合わせ技で、虫歯をつくってしまうことは、珍しくありません。

母乳はお母さんと赤ちゃんの大切なスキンシップです。
しかし、離乳食が始まったあとは「だらだら飲み」になりやすく、特に、夜間授乳は非常に虫歯のリスクを高くしてしまうことで知られています。

また、1歳半を超えての夜間授乳は、歯科医師としては
「難しいのは承知ですが、それでも、できれば避けてください」と申し上げたいところです。

遅くなれば遅くなるほど、虫歯のリスクが上がってしまいます。
そして、4歳未満で虫歯を作ってしまうと、生涯を通して虫歯リスクが(乳歯が永久歯に生えかわった後も)高いままであることが、研究で分かっています。

でも、今日からすぐに卒乳は無理ですよね。
そんな時は、「歯を強くする、虫歯ができにくい環境をつくる」ということが、重要だと思います。

具体的には2つです。

  • 赤ちゃん用のフッ素を使う
  • 食事やおやつ、飲み物からの砂糖の量に気を配ること

ぜひお試しください。

1歳半~2歳

歯みがきトレーニングをしましょう

お口の中には前歯と横の歯あわせて16本程度の乳歯が生えてくる時期になります。
1歳半~2歳にかけての虫歯は上の前歯がほとんどです。
歯磨きに慣れながら虫歯予防をすすめていきましょう。

虫歯菌は、常在菌といって、お口のなかに定着している菌のひとつです。
3歳までに80%のお子さんで虫歯菌の定着がおこってしまいます。
虫歯菌の定着は遅いほうが虫歯予防には有利なので、保護者の方とお子様が1本のスプーンを共有して、お食事されるようなことは、避けた方が良いでしょう。

参考:院長ブログ こどもの虫歯菌はどこから来るの?

この時期も、まだ歯磨き(仕上げ磨き)より飲食習慣の管理の方が重要であるとされています。
お兄ちゃん、お姉ちゃんが甘いおやつを既に食べる時期になっていて、1~2歳の下のお子様が、上のお子様のおやつを欲しがるようになり、低年齢でアイスやチョコや飴を口にし始める…というケースもありますので、要注意です。

参考:末っ子は虫歯が多い!? 兄弟がいるお子様にありがちな虫歯のできる理由

この時期に市販のお砂糖たっぷりのオヤツを食べると、あっという間に虫歯になってしまいます。
「おやつは上のお子様が、下のお子様に合わせる」ようにすると良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

  • 低年齢では、歯磨きより食生活管理が大事
  • 離乳食が始まると、夜間授乳による虫歯リスクが高くなります
  • 赤ちゃんと保護者の方のスプーンは分けましょう

次回は、3歳以上のお子様の虫歯予防について、お話していく予定です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

永久歯の本数のトラブル(先天性欠損歯や過剰歯)について

2019年6月1日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村剛です。
長い連休が終わり、今は暑くもなく寒くもなく丁度良い季節ですね。

5月は幼稚園、小学校などでも検診が行われ、皆さんから歯並びの相談などを受けることがあります。
その中で、最近増えているのが、歯の数の問題です。

今回は永久歯の本数によるトラブルをテーマにお話ししていきます。

歯数の問題には、永久歯の歯の数が足りない先天性欠損と、余分な歯の芽である過剰歯が存在するという大きく二つが挙げられます。

1)永久歯が生えてこない!?先天性欠損歯について

先天性欠損歯については、2010年に日本小児歯科学会の大規模な調査が行われました。

その調査では10%、つまり10人に1人ぐらいに一本以上の先天性欠損(欠損歯)が存在することが明らかになりました。
10人に1人は歯科医師としてはかなり多い頻度に思います。

先日、つぼい歯科クリニックでも、学会の研究協力の一環で、当院における先天性欠損歯の頻度を調べました。
結果は、やはり日本小児歯科学会の大規模な調査と変わらない頻度(7%)でした。

欠損部位について

欠損部位としてよくあるのは、下の前歯(前から1-2番目)と小臼歯(前から4-5番目)です。

下の前歯が少ないと、下顎の前方部の成長が少し悪くなるので、咬み合わせが深い歯並び=出っ歯になることが多いです。
また、上下の歯の真ん中(正中)が少しずれますが、気になるほど目立つことはあまりありません。

小臼歯がない部位で乳歯が抜けると、大臼歯(6番目)が倒れる場合が多くなります。時間の経過とともに咬み合わせが低くなり、顎関節症をおこす原因にもなり得るので、何らかの矯正治療か補綴治療(歯列の隙間を冠やブリッジ、入れ歯などでうめる治療)が望ましいです。

その一方で、虫歯でない場合、乳歯も意外と維持できる(30~40代まで)ので、抜けるまで様子を見るケースもあります。

2)過剰歯について

過剰歯は近年まだ決定的な調査はなされてはおりませんが、2-5%の頻度であると言われています。
当院でも先日併せて調査を行いましたが、2%ぐらいでした。
40-50人に一人、つまりはクラスに1人ぐらいの割合ですね。

過剰歯の場合、圧倒的に上の前歯の間に存在します(70%程度)。

過剰歯には上向き、水平、下向きの3パターンが存在し、上向きの場合、生えてくることがあります。

 

過剰歯はイメージとして、上顎の真ん中に釘が刺さっているようなもので、前歯の永久歯はそれを避けて生えようとします。

そのため、歯並びが相当悪化する場合があります。
歯並びに影響する場合、過剰歯の抜歯は必須ですし、矯正もかなりの確率で必要です。

3)それら以外の歯の萌出障害

その他にも何らかの原因で、歯の萌出障害(生えてこない・傾いて生えてきた等)を生ずる場合があります。

多いのは、上顎前歯と犬歯(前から3番目)です。
原因によっては、手術込みの矯正治療が必要となる場合があります。

4)治療について

先天性欠損歯は、基本的に今ある乳歯や永久歯を維持し、咬み合わせを保っていく、いわゆる「待ち」の状態で考えます。
一方、過剰歯・萌出障害は処置のタイミングが大事で、手術込みの矯正を行う場合があります。

どちらにしても詳しい診査が必要ですので、歯の数について何かお気づきのことがありましたら、早めにご相談ください。

まとめ

いかがでしたか?

  • 永久歯の本数についてのトラブルには、先天性欠損歯や過剰歯が挙げられます。
  • 先天性欠損歯は10%、過剰歯は2-5%と、頻度は意外と高く、最近よく相談をうける問題です。
  • 先天性欠損歯の場合、基本的には今ある乳歯や永久歯を維持し、咬み合わせを保っていくことが重要です。
  • 過剰歯や、萌出障害の場合、手術込みの矯正が必要となる場合が多く、タイミングが重要で、詳しい精査が必要です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

フッ素入りの歯みがき粉や洗口剤などについて

2019年5月17日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
そろそろ企業や学校の歯科健診のシーズンですね。

今回はむし歯予防のための、フッ素についてお話していきます。

フッ素について

フッ素といえば、テレビCMなどでも、虫歯予防の代名詞のように言われていますね。

 

実際、フッ素は虫歯予防に対して、しっかりとした効果が得られることが明らかになっています。

参考 ドクターズブログ:フッ素は危険?3歳~6歳ぐらいの子どものフッ素についての話

フッ素が歯を丈夫にするメカニズム

フッ素の作用としては、歯の表面構造を丈夫で安定なフルオロアパタイトという構造に変化させて溶けにくい歯、虫歯に強い歯にするというものです。

 

虫歯を予防するという点からすると、欠かせない存在であることは確かです。
フッ素は食品にも含まれており、紅茶などにも含まれています。

参考 院長ブログ:お母さんが妊娠中に赤ちゃんの歯を丈夫にできる食べ物とは?

歯みがき粉とフッ素

フッ素はほとんどの歯磨き粉に配合されています。

市販品の約9割がフッ素配合みたいです。

逆に、フッ素入りではない歯磨き粉を探す方が困難なようです。

高濃度フッ素含有の歯みがき粉について

フッ素濃度が950ppm程度である歯磨き粉がほとんどでしたが、最近では高濃度フッ素と言われる1450ppm程度まで認可されました。

濃度が高い方が虫歯の予防効果は高いです。
しかし、注意も必要です。

高濃度のフッ素による副作用リスクもあるため、6歳未満のお子さまへは使用させない、また、保管も6歳未満のお子さんの手の届かないところにするように、厚生労働省より各歯科医院に通知が来ています。

小さなお子様がいるご家庭では、注意してご使用ください。

 

歯みがき後うがいをするとフッ素が洗い流されます。

フッ素入りであることを意識するのであれば、歯磨き後のうがいはほどほどにして、お口の中にフッ素が残る方が効果的です。

もっと確実な方法として、歯磨き後普通にしっかりうがいをして、唾液の分泌の少ない寝る前にフッ素入りのジェル歯に塗って寝るという方法もおススメです。

歯科医院でのフッ素塗布と自宅でのフッ素を併用しても大丈夫なの?

作用機序が違うので、併用して問題ありません。

歯科医院で使用しているフッ素の濃度は9000ppmです。

毎日ご自宅でフッ素で虫歯予防をして、あとは定期的に歯科医院で高濃度のフッ素を用いて予防を行っていくのがベストではないかと思います。

フッ素入りの洗口剤について

他にも洗口剤と言ったうがい薬のようなものによるフッ素の応用もオススメです。

 

洗口剤は歯磨き粉やフッ素入りジェルよりも細かい部分にフッ素が入り込んで虫歯を予防してくれるので、予防効果が高いです。

つぼい歯科クリニックではミラノールという洗口剤をおすすめしています。

就寝前にうがいをします。

お口の中にフッ素が残っている状態において、歯の表面構造が変化していきます。

先ほどの歯磨きの後のうがいもそうですが、お口の中にフッ素が残っているということが重要なんです。

寝る前洗口剤でうがいをして、そのまま寝るというのは理にかなっているように思います。

 

年齢やお口の中の状態によっても、より良いフッ素の使い方が異なりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

  • フッ素とは歯の表面に作用し、歯を丈夫にします。
  • 高含有量のフッ素入り歯磨き粉が発売されましたが、6歳未満のお子さまのいるご家庭では注意が必要です。
  • フッ素はお口の中に長時間残っていることが大事なので、寝る前にフッ素入り洗口剤の使用がおススメです。

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