歯の強さは遺伝するの?
2018年6月28日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
季節も変わり、暑い日も増えてきましたね。
ジュースやアイスクリームに誘惑される季節ですが、気をつけてくださいね。
最近質問をお受けしたものの中に、以下のものがありました。
Q「うちの子は歯が弱いんです。気にしていない家庭もあるのにどうして?
私も歯が弱いので遺伝でしょうか?」
Aお答えとしては、一部は遺伝であり、一部は遺伝でないものがあります。
今回は歯の強さと遺伝というテーマでお話していきます。
具体的にどんなものがあるのか解説していきます。
遺伝するもの
1)歯の性質
実際に歯の性質が強い方は存在します。
しかし実際に診療室でお見かけするのは、親子で歯の弱い方で、その方たちのほうが遺伝要素が強いです。
エナメル質や象牙質の厚さや質、こういったものが遺伝しています。
2)噛み合わせ、歯並び、鼻炎などの体質
あごの大きさや歯の大きさは遺伝要素が強いため、結果的に歯並びやかみ合わせはかなり似てきます。
また、鼻炎などがあると、お口での呼吸(口呼吸)となり、口の中が乾燥しやすくなることで、虫歯にになりやすくなる原因となります。
3)唾液の性質
唾液の性質は年齢で変化していく部分が大きいのですが、遺伝も多少関係ありそうです。
唾液の量が少なく、さらに粘ついていると唾液の自浄作用(何もしなくても歯の清潔が保たれるという作用)が減り、虫歯になりやすくなります。
遺伝ではないもの(家庭環境によるもの)
1)生活環境
一緒に生活している以上、食べ物の好みや選択は、家庭によって大きく異なり、また家族で似てきます。
ご両親が飴などをよく食べる、間食が多い、お茶やお水でなくジュースが多い生活だと、お子さんも似てくる結果、虫歯が増えてきます。
小さいお子さんの場合だと、もともと生まれ持った歯が弱さより、良くない生活習慣によるものの方が、より口腔の状態を悪化させます。
2)虫歯菌の性質
虫歯菌は家族内で伝播する(伝わる)と言われています。
お子さんに伝わる約半分が母親から、20~30%が父親からと言われています。
菌の種類や組み合わせによっても、虫歯になりやすい部位などが変わっていくと言われています。
親子ですから似てくるものは多いのですが、環境の因子が多く、ある程度自分でコントロールできます。
その証拠に、オーストラリアでは、先住民族のアボリジニの方々は砂糖の無い、原始的な生活をしている時代はほぼ虫歯がありませんでした。
しかし、西洋式生活と砂糖の入った食生活になってからは、虫歯が非常に増えたという歴史があります。
つまり、遺伝よりも環境の方が虫歯への影響力が大きいということですね。
以上の理由から、
絶対に虫歯にならないとは言い切れませんが、虫歯になりにくい環境を作ることができます。
ご自分やお子さんのリスクを把握しながら、そういった生活を目指していくことをおススメします。
まとめ
いかがでしたか?
- 遺伝するものには、歯の性質、噛み合わせ、歯並び、鼻炎などの体質、唾液の性質などがある。
- 遺伝しないが、家族間で似てくるものには、生活環境、虫歯菌の性質などがあげられる。
- 虫歯への影響は、遺伝よりも環境の因子が強い。
- 従って自分のリスクを把握できれば、虫歯にならない生活を逆算できるので、それを目指しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
小学校の学校歯科健診の話
2018年5月28日
こんにちは!つぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
季節も変わり、暑いぐらいの日も増えてきましたね。
小学校の方でもいろいろな年中行事が実施されている時期だと思います。
その中の一つに歯科健診があり、健診結果を持って帰る場合があります。
今回は、検診結果の中から保護者の方によく聞かれる、わかりにくい用語の解説などを行っていきたいと思います。
そもそも健診と検診はどう違うの?
健診とは
学校健診などの健診は、集団としての健康を維持するということで、病気をもつ方をスクリーニング(選び出す)するということを目的としています。
状態の悪い人を見つけ出すことができれば成功ですので、個々人の状態を対象にしていません。
お口をさっと見るだけですから、小さな見逃しは当然ありえます。
検診とは
一方、検診とは特定の病気を早期に発見し、早期に治療することを目的としています。
がん検診などがそれに当てはまります。
歯科では、口腔内診査し、レントゲンなどで診査した結果、う蝕(むし歯)や歯周病と診断しています。
歯科医院でのお口の一連の診査、それが歯科では検診にあてはまります。
学校健診と歯科医院の検診は目的もやり方も大きく違うため、お口と全身の健康維持のためには、歯科医院での定期的な健康診断がおススメです!
学校健診よく使われるわかりにくい用語
その他、要観察歯と要注意乳歯というものがあります。
要観察歯
要観察歯は、着色などがあって虫歯っぽいけど、よくわからない歯です。
虫歯にも急性う蝕と慢性う蝕があり、着色している虫歯は慢性う蝕が多いです。
しかし鍾乳洞のように中で進行している場合もあり、レントゲン診査が必要です。
要注意乳歯
要注意乳歯は、生え変わりの時期で、乳歯の根がなくなっておりグラグラになっている場合や、歯の生え方が変で横や後ろから永久歯が生えている場合にチェックがつけられます。
虫歯になりそうな乳歯という意味ではありません。
定期的に歯科に受診しているけど、学校検診の紙をもらってしまった!?
学校健診はあくまで簡単なスクリーニングなので、個々の歯科医院の考え方の違いで、紙をもらうケースもあります。
例えば当院の場合、しばらく様子を見たい虫歯の時や削るほどでもない虫歯の場合
(つまり当院のMIの理念により、削ったらもったいないと歯科医師が判断した場合などです)、
サホライドという進行止めを塗布する場合があります。
サホライドを塗った場所は黒く変色しますが、虫歯の進行を止める一定の効果があります。
ただし、学校健診においては未処置歯(=虫歯)の扱いとなります。
当院でも「かかりつけの歯科医院で定期検診に通ってたのに、学校健診で指摘をうけた」
とご相談を受ける場合があります。
お子さまの状況や虫歯の状況から総合的に判断して、主治医があえて経過観察しているケースもありますので、学校健診の紙をもらったら、まずはかかりつけ歯科医院にご相談ください。
その他用語、状況等についてご質問があればお気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 学校健診と歯科医院の検診は、目的もやり方も大きく違います。
- 自分の健康を維持するためには、歯科医院での定期検診がおススメです。
- 要観察歯は虫歯かどうか微妙な状態の歯を指し、要注意乳歯は永久歯の萌出を邪魔しそうな歯を指します。
- かかりつけ歯科医は、お子さまの状況やライフスタイルなどを考え、総合的に判断して治療を進めますので、学校健診の紙をもらうケースもあります。
紙をもらったら、かかりつけ歯科医にまずご相談することをおススメします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2歳6ヶ月ぐらいと6歳ぐらいの子どもの前歯のケガの話
2018年4月26日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
桜の季節も終わり、新学期が始まり、これから!という感じですね。
しかし、4月~5月は心や体に無理が生じる時期でもあります。
実は、お子さまのお口の怪我もこの時期に多い、というデータがあります。
当院にもつい先日、1日で3件の外傷のお子さまが来院されました。
今回はお子さまのお口の怪我をテーマにお話ししていきたいと思います。
歯の外傷には季節性以外にどのような傾向があるのでしょうか?
子どもの歯の外傷の傾向
事故が発生しやすい年齢がある
よちよち歩きから、やや活発に歩けるようになった2~3歳ぐらいと、前歯が生え変った6歳ぐらい、スポーツを活発に行う中高生で多い傾向にあります。
また、幼稚園や小学生では、外傷は春に多い傾向があります。
歯科医師としては、慣れない建物、校庭などで、活発に動くようになるこの時期に事故が起こりやすいのかなという気がしています。
外傷しやすい歯がある
圧倒的に上顎前歯のケガが多いです。
意外なところでは、顎を非常に強く打った場合、奥歯に圧がかかり、欠けることがあります。
また、思いもしない場所に傷がある場合があります(顎の骨折など)。
再発(何度もぶつける)しやすい人がいる
何度も受傷してしまう人もいます。
体の運動能力や、転倒する際の手の使い方などに問題がある場合がありますし、スポーツの種類によっては怪我しやすいものもあります(いわゆるコンタクトスポーツ)。
そのため近年ではスポーツ時のマウスピースも推奨されるようになってきています。
関連記事 院長ブログ ぐっと噛みしめることでパワーUP! ~踏ん張りと噛みしめの不思議な関係~
また、最近は小さいお子さんの物を咥えた状態での外傷が増えています。
単純に転んだ場合と違って、歯だけではなく、命に関わる大きな怪我となるリスクがあります。
ご家庭での歯ブラシやスプーンなどを咥えた際の動きには特にご注意ください。

歯の怪我の治療法は?
一口に歯の怪我といっても、歯の状態によって治療法は大きく異なります。
歯を打ってグラグラしたり出血がある場合
歯を打って、動揺や歯の周りから出血が見られる場合、添え木をするように、固定することがまずは重要です。
歯の位置が変わったり、抜けた場合
歯の位置が少し変わっていたり、抜けてしまった場合も、できるかぎりもとに戻す努力をしてから固定します。また、このような場合、後日変色等が起きる場合が多いです。
そのため神経の処置も必要な場合が多いですが、後日で問題ありません。
歯が折れた場合
一方、歯が折れた場合、その傷面を修復することが重要です。
神経が出てない場合、レジンといわれる樹脂系の材料で修復していきます。
神経が出ている場合、神経の一部もしくはある程度の部分を取り除くことによって感染を防ぎ、修復します。
固定と修復、両方の処置が必要なことも多くあります。
また、外傷の場合、術後すぐに治ったとはなりません。3か月、半年、1年と経過を見ていくことが重要です。
歯の怪我をした時、保護者の方が気を付けることは?
外傷時の処置はできるだけ早く治療することが望ましいです。
なんとか対応することを心がけていますので、緊急の際はお早めにご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 歯や口の怪我にはある程度の傾向がみられます。
・歯の外傷を生じやすい年齢、時期がある
・外傷しやすい歯がある。
・再発(何度もぶつける)しやすい人がいる
- 歯の治療法は歯を打った場合、折れた場合で異なり、両方の処置が必要な場合が多い
- 外傷した歯の処置はできるだけ早く行い、その経過は半年、1年と見ていく必要がある
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
5歳6ヶ月ぐらいの子どもの口臭の話
2018年4月1日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
最近保護者の方からよく受けるご質問の中に、お子さんの口臭が気になるというのがあります。
卒業式や入学式など、別れと出会いのシーズンでもありますし、皆さん気にされておられますね。
診療室では、4歳から6歳ぐらいのお子さんで、急に口臭が気になりだしたというご相談や、思春期のお子さんに関してご相談を受けることがあります。
子どもだけに限りませんが、口臭の原因には下に挙げられるようなものが考えられます。
口臭の原因

1) 虫歯、歯周病
〇むし歯
虫歯があると、そこに食物のかす等が残って口臭の原因になることがあります。
特に、虫歯が大きく化膿している場合は、化膿部位から強い臭いが出ることがあります。
まずは歯科医院でしっかり虫歯を治療することが第一です。
〇歯周病
大人の口臭の最も大きな原因は歯周病です。
しかし子どもは大人とは口の状況や性質が異なり、ひどい歯周疾患になることはまずありません。
2) 体調からくるもの
口臭の原因として、胃などの消化器官の調子が悪い場合があります。
また、扁桃腺炎が原因となり、膿栓(匂い玉)と呼ばれる細菌の塊ができる場合があります。
副鼻腔炎についても口臭の原因になりえます。
上記の可能性が高い場合、歯科ではなく医科(耳鼻科、小児科など)にご相談ください。
3) 歯磨き不足+口呼吸や口腔乾燥に伴うもの

歯磨きが不足し、大量に古い歯垢(プラーク)が付着してくると、それ自体が細菌の塊ですので、臭いを発する場合があります。
また鼻が悪く、口で呼吸していると、口腔内が乾燥してプラーク自体が付着しやすく、量も増えていきます。
朝に口臭がひどくなる場合、歯磨き不足+口腔乾燥パターンが多いようです。
これは、夜間睡眠時に唾液の分泌量が減るため、菌やプラークが夜間にさらに増えることが原因と考えられます。
4)間違った対策によるもの
洗口剤などを用い、歯磨きついでに舌みがきをすると口臭対策に効果的な場合がありますが、あまりにやりすぎるとお口に傷をつけてしまったり、唾液量が減ってしまいかえって臭いが強くなる場合もあります。
口臭に関して悩みをお持ちの方は多く、ご本人だけでなくご家族が気にされてお子さまを連れてこられるケースも多いです。
つぼい歯科クリニックでは、ブレスチェッカーなどの機器を導入して、客観性を持った診断や説明を行います。
お気軽にお問い合わせください。
まとめ
いかがでしたか?
- 口臭は、4歳から6歳ぐらいのお子さんで急に気になりだす場合と、思春期で気になりだす場合があります。
- 口臭の原因には虫歯・歯周病の場合、体調からくるものの場合、歯磨き不足+口腔乾燥を伴うものがあります。
それぞれによって対策が異なります。
- 臭いというのは微妙なもので、他人から言われた場合、思春期などではお子さまがかなり気にする場合があります。
そのため、本人が傷つかないようにアプローチをしていく必要があります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
5歳ぐらいの子どもの歯ぎしりと顎関節症の話
2018年3月9日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
最近、保護者の方とお子さんとの添い寝期間が長めになってきているのもあり、お子さんの夜間の歯ぎしりが気になるとの相談をうけることがあります。
実際、僕も子供と一緒に寝る時や夜間に様子を見に行った時などに、甲高い音でキリキリと歯ぎしりが聞こえ、びっくりしたことがあります。
大人の歯ぎしりはストレスによるものが多い
歯科でよく相談を受けるのは、大人の歯ぎしりについてです。
大人の方の歯ぎしりの原因は主にストレスと関係があると言われています。
人間はストレスを受けると、それを解消するために無意識下に行う行動があり、その代表的なものが歯ぎしりです。
また、睡眠中に何らかの刺激で交感神経が昂る(要は眠りが浅くなる)と、歯ぎしりを起こすのもわかってきています。
つまり大人の歯ぎしりは、ストレスに対して体が対応してなんとか解消している、体の注意サインの一つとしてとらえることができますね。
ですから対処法としては、ストレスを減らすのがまず第一ですが、無理な場合はマウスピース(ナイトガード)を付ける治療が適していますので、お気軽にご相談ください。
子どもの歯ぎしりは生理的なものであることが多い
では、お子様の歯ぎしりの場合はどうでしょうか。

けっこうギリギリ音がするので、「きっと大人並みにストレスを感じており、いろいろ大変なのかも…」と心配にもなりますが、ちょうど5-6歳ぐらいでおきる歯ぎしりは、生理的なものである場合が多いようです。
子どもは5-6歳の時期に前歯が生え変わりを迎え、顎も一番大きく成長するので、歯と歯の間に隙間が生まれたりして、一時的に咬み合わせが不安定になります。
小児期ではその時期に無意識下で歯ぎしりすることで、よく噛める部位を自然に調整しているようです。
また、もともと下顎は頭蓋骨から筋肉と腱のみで釣り下がっているだけで不安定なものです。
乳歯から永久歯への生え変わるこの時期は、顔面周囲の筋肉や神経がたくましく、また鋭敏なものに作り替えられる時期でもあります。
歯ぎしりは、下顎の位置を筋や神経に覚えさせて噛み合わせを鋭敏かつ安定したものにしている、という効果があるようです。
したがって、生え変わりの時期だけの一時的な歯ぎしりであれば生理的なものなので、心配はありません。
子ども歯ぎしりで治療が必要な場合はどんな時?
乳歯であっても歯の神経が出そうなぐらい歯ぎしりをしている場合や、明らかにストレスや神経過敏な状態が原因となっている場合は、治療をすることもあります。
この場合もマウスピースが選択されますが、歯の交換が伴われるため、治療が大人ほどスムーズにいかない場合があります。もしかしたら、周りの環境を調整していただく方がいいかもしれませんね。
また一方で、咬み合わせに問題があると、歯ぎしりによって顎の関節や個別の歯にひどく負担がかかる場合があります。
例えば、上顎の前歯が一本だけ歯列の内側にあるような場合、その歯が噛み合わせの中で、釘が一本刺さったような状態となり、咬合のスムーズな動きを邪魔する場合があります(咬合性外傷)。
そこで歯ぎしりする癖が強いと、さらに歯や顎に負担がかかります。
このような場合は早めの矯正が必須となりますので、歯ぎしりと顎の痛み(顎関節症)、歯並びの3つに問題がある場合はお早めにご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 大人の歯ぎしりはストレス等が原因で、注意が必要であるが、子供の歯ぎしりは生理的なもので心配ないものである場合が多い。
- 小児期の歯ぎしりによって、顎の成長に伴う一時的な咬合の不安定さが解消し、より鋭敏な、安定したものに作り替えている。
- ただし、歯並びや咬み合わせに問題があり、顎関節にも何らかの症状がある場合や、歯に痛みなどを生じている場合は早めに治療が必要なことがある。
お子様のはぎしりに不安を感じる方は、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2歳ぐらいのこどもの虫歯の話
2018年1月25日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
2歳から3歳ぐらいのお子さまの保護者の方から、「歯に着色している」と相談を受けることがあります。
実際、お茶などによる着色で歯を磨いて様子を見る、という場合も多いのですが、残念ながら虫歯がすすんでいる、といった場合もあります。
今回は2歳~3歳のお子さまの虫歯治療と予防についてお話ししたいと思います。
2歳前後の子どもの虫歯の治療と予防
虫歯は感染症と生活習慣病の2つの要素があるのですが、低年齢児ではとくに生活習慣病の要素が強いです。
小児歯科学会などの報告によりますと、低年齢児の虫歯予防については以下の3つが有効とされています。
- 甘みの摂取量の制限
- フッ素塗布
- シーラント(歯の溝の予防的な処置)
特に砂糖の量と虫歯の数には強い相関関係があります。
低年齢児の虫歯の原因とは?
低年齢児で明らかな虫歯、となると原因は大きく2つと考えられます。
- 過去もしくは現在までの哺乳(母乳を含む)状態
- 現在の食生活
低年齢児の虫歯治療
まずは食習慣を見直しましょう
低年齢児で明らかなむし歯がある場合は、まずジュースやおやつなどの食生活習慣を見直していただくことが第一となります。
歯科医院で行う治療
歯の表面(エナメル質)だけの初期むし歯ならまずフッ素による進行止め
低年齢児の虫歯は、カルシウムが抜けてチョークのように割れやすく、欠けやすい状態であることが多いです。
食生活習慣の改善を行った上で、フッ化ナトリウムを何度か塗って、歯を強くします。
少し進行した歯の表面の虫歯にはサホライドによる進行止め
もう少し虫歯が進行してくると、サホライド(フッ化ジアミン銀)による進行止めをおすすめすることがあります。
サホライドを塗ると、歯に銀が定着して黒くなるものの、進行が抑えられる場合があります。
サホライド(フッ化ジアミン銀)でも進行が抑えられない大きさの虫歯は削ったりする治療が必要
フッ化ジアミン銀で進行を抑えられないくらいの大きさの虫歯となると、歯を削るような治療が必要になります。
2歳―3歳はエナメル質や象牙質が薄く、いざ治療となる場合、皆さんが考えるよりも状態が良くない場合が多いです。
子どもでも神経まで達している虫歯の治療はした方がいいの?
神経に達しているような大きな虫歯の場合はお子さんであっても、歯のことだけを考えてみると治療はした方が良いでしょう。
虫歯には大腸内と同レベル、あるいはそれ以上の細菌が存在します。
乳歯の奥歯や、今後生えてくる永久歯のことを考えると、虫歯を治療することが、新たなむし歯への予防策となりますので、治療をおすすめしています。
低年齢児の大きな虫歯治療は、お子さま、保護者の方、歯科スタッフの全員にとって大変!!
① 治療期間が長くなる
小さなお子さまの治療を安全に行うことは、歯科医院にとって容易ではありません。
1回は使用する器具などを説明し、トレーニングしますが、2-3歳ではあまり効果がない場合もあります。
② 麻酔を使うリスクがある
そして大きな虫歯の場合、麻酔を使用します。
つぼい歯科クリニックでは最新の電動の浸潤麻酔機器を使うことが多いので、痛みには配慮していますが、完全に無痛にはできません。
③ 安全性に配慮するために、人員が必要となり、予約が取りにくくなる
つぼい歯科クリニックでは、安全に、またお子さまになるべく楽に治療を受けていただくために、ベテランの保育士も診療室に同伴し、お子さまへのお声がけや安全管理を行うなど、人手を多く使うことがあります。
他の治療の患者さまと比較して2倍以上のアシスタントがいないと安全に治療が行えない、つまり、他の患者さまの治療と同じようにどの枠でもすぐに予約が取れる、というわけにはいかなくなります。
その他、パルスオキシメーターをつけた状態で診療を行い、血中の酸素飽和度をチェックしながら行うことで安全性に配慮していますが、大泣き大暴れのお子さまではつけてもすぐはずしてしまうこともあります。
治療の緊急性が高く、かつ、当院にはない設備による治療(薬を用いた鎮静など)が適する場合は、大学病院等の高度専門機関をご紹介することもあります。
④ 保護者の方が歯科医院にお子さまを連れてくることが大変になる
お子さまにとって歯科が「痛いことをされる場所」「押さえつけられる場所」になってしまうと、歯科医院に連れてくることそのものが大変になります。
歯科医院側もお子さまのために通常の診療の2倍の人員を確保していたのに、お子さんがぐずって来られないことが何度か続くと、「他のご予約を希望される患者さまにご迷惑をかけられないので、影響の少ないこの時間帯で…」となり、保護者の方はさらにお子さんを医院に連れてくるのが大変になります。
上記のような治療中心ではじまった歯科医院との出会いは、お互いにとって厳しい面もありますが、一方で、通院を重ねて治療が終了し定期健診に移行した場合、当院にも慣れて楽しく通院が出来るようになったお子さんも多くおられます。
また新たに治療が必要となった場合もスムーズな場合が多いです。
低年齢のお子さんは虫歯を作らず検診で通院してもらうと治療になってもスムーズ、みんなハッピー
虫歯ができる前に、虫歯ができないよう予防するために通院し、歯科医院が「ほめられるところ」「楽しく歯みがきするところ」となると、お子さまも保護者の方にも負荷がより少ないことは言うまでもありません。
当院では小さなお子さまにこそ、予防歯科をおすすめしています。
まとめ
いかがでしたか?
・ 小さなお子さまの場合、歯磨きも重要ですが、食生活習慣の方がもっと大事です。
・ まずはフッ素を用いた歯質強化や虫歯の進行抑制から試みます。
・ 象牙質まで至った虫歯の場合、進行が速いので治療した方がよいです。
・ 小さなお子さまの治療は最も大変なので、安全性の確保を含め、様々な準備が必要です。
虫歯がなく、削らないこと、それがかかりつけ歯科医の一番の幸せです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
3歳ぐらいの子どもとフッ素とキシリトールについて
2018年1月18日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
つぼい歯科ではよく定期健診をおすすめしておりますが、2歳から3歳ぐらいではよく歯磨きやフッ素についても質問を受けます。
また、最近はキシリトールの摂取の仕方について質問を受けることがあります。
(つぼい歯科でも昨年のクリスマスイベントでは、キシリトール入りのグミをクリスマスプレゼントにしました。)
今回はフッ素やキシリトールについて、保護者の方のよくある質問にお答えしていきたいと思います。
低年齢児の虫歯予防について
小児歯科学会などの報告によりますと、低年齢児の虫歯予防については、甘みの摂取量の制限、フッ素塗布、シーラント(歯の溝の予防的な処置)が有効とされています。
歯磨きについては、完全に有効性を求めるのであれば、歯科医院で20分ぐらいかけてプロフェッショナルな研磨(PMTC)が必要なようです。
また逆に、甘いものをそんなに摂取してない場合は、お子さんは唾液が多いので、朝晩の一日2回の歯磨きができればなんとかなります。
子どもが歯みがきを嫌がる場合は
小さなお子さんが歯磨きを嫌がる場合は、その原因を考えてみましょう。
歯磨きを嫌がる原因には「痛い」「怖い」「眠い」があります。
関連記事 こどもが歯みがきを嫌がってさせてくれません。どうしたらいいでしょうか?
ただこれは、服を着るとか、排せつの時などでもあり得ることです。
このような「習慣化」を目指す場面では、子供が保護者の求めに従う状況を作ることが重要です。
お子さんのちいさなお口に手や歯ブラシをいれる、それはたしかに最初は怖く感じるものですが、親御さんの「怖い」と言う感情はお子さんにも伝わってしまいます。
こういった親御さんの感情やちょっとした事が原因で嫌がられてしまう、ということがよくあります。
慣れればなんてことのない、ちょっとしたコツもありますので、お気軽に聞いてくださいね。
つぼい歯科ではフッ素塗布と共に、年齢にあわせた仕上げ磨きのコツを伝授させていただいております!
フッ素について
フッ素はご存知の方も増えてきましたが、自然界の成分の一つです。
歯のカルシウムが酸などで一部抜けてしまった後に、フッ素が適量入ることにより、歯を強くすることができます。
歯磨き粉に入っているフッ素について
フッ素は近年、歯磨き成分にも多く含まれています。
最近の歯磨き粉の使用説明書には、歯磨き後の含嗽(すすぎ)はごく少量と記載されています。
おちょこ1杯、最近認められたフッ素多めの歯磨き粉ではさらに減って大匙1杯程度の水が良いと書いてあるものがあります。
すすぎ過ぎていませんか?
キシリトールのタブレットについて

また、最近のキシリトールのタブレットには歯磨き後にもおすすめしているものがあるようです。
キシリトールの効果は、専門的には「無益回路」と言いい、砂糖に似ているために虫歯菌が間違って取り込むため、虫歯の原因である「酸」を作らないことにあります。
さらに食後にタブレット等を食べる事により、唾液の作用を正常に戻し、口の中のphを元に戻す効果が大きいようです。
従って食べる量や回数よりも、食べている時間(タイミング)が大切になります。
食後・おやつなど食事をした後に摂取する(食べる)事が望ましいのです。
ですから、キシリトールのタブレットやグミ、ガムなどは、甘いおやつ後にたべるのが、一番有効なようです。
寝る前に使用しても問題はありませんが、お子さんの場合は、歯磨き後は飲食はしないという生活習慣の方が好ましいでしょう。
このように最近は様々なものがメディアなどで勧められています。
今後も歯科的な解説を心がけていきますので、ご興味のある点などございましたら、お気軽にお問い合わせくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
- 小さなお子さんの場合、歯磨きも重要ですが、食生活習慣の方がもっと大事。
- お子さんが歯磨きを嫌がる場合は、原因を考えてみましょう。
- 最近のフッ素入り歯磨き粉では、あまりうがい(すすぎ)は推奨されておらず、ごく少量で十分となっています。
- キシリトールは量よりも食べるタイミングが重要で、食後(特におやつ後)が好ましいでしょう。就寝前はおススメできません。
歯磨きと共に歯に良いものを使って健康的にすごしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
5歳6か月(5歳半)頃の子どもの歯並びの話(反対咬合を中心に)
2017年11月28日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
現在、学校での歯科健診の中でも歯並びの項目がありますので、最近は歯並びについてよく相談を受けます。
5歳~6歳の早い時期でも、就学時検診などで歯並びについての指摘を受けますが、何を審査しているのでしょうか?
またそんなに早く治療した方がいい歯並びの問題ってあるのでしょうか?
歯並びが悪いと何が問題?
一般的に歯並びが悪いと以下のような問題が生じると言われています。
1.見た目が悪くコンプレックスになる
2.虫歯になりやすくなる
歯並びが悪いと歯垢(プラーク)が残りやすく虫歯になりやすくなってしまいます。
3.歯茎が下がりやすく、歯周病が進行しやすくなる
顎の中に歯が収まっていないと、支える骨が薄く、30代以降に歯周病になりやすく、また悪化することがあります。
4.顎関節症になりやすい
5.歳とともに、より歯並びが悪くなってくる
つぼい歯科クリニックでは、このうち4と5に関わりそうな場合、早めに指摘させていただいています。
上顎と下顎は例えると、靴と足の関係といわれており、靴である上顎と足である下顎は、相互に影響しあって大きくなっていきます。
そして、あまりにもバランスが悪化すると問題を生じます。
早く治療した方が良いケースは?
- 1・2本だけ咬み合わせが逆になっている(部分的な反対咬合:はんたいこうごう)
- 左右で噛み方が異なる(側方交叉咬合)場合

正常
画像:http://www.kyousei-shika.net/

交叉咬合
画像:http://www.kyousei-shika.net/

反対咬合
画像:http://www.kyousei-shika.net/
靴擦れのように若年者でも顎関節症を引き起こし、左右差が大きくなって顎自体が変形するため、早期に治療した方がよいです。
そのまま放置すると、大人での矯正を考える際には外科的な手術症例になる場合があります。
全体的に咬み合わせが逆になる反対咬合は、遺伝や成長の影響が強く、一番治療や管理が難しいとされ、長期間の治療と管理が必要なことがあります。
そして、一度治療しても成長期に1割から2割ぐらいの方が再発するといわれています。
しかし、治療によって上顎が下顎にかぶされば、上顎がストッパーの役目を果たすため、下顎の成長をコントロールできる可能性が高まります。

開咬
画像:http://www.kyousei-shika.net/
またしっかり咬み合えない開咬などは、舌の癖が原因の場合があります。
ただ、癖が原因で咬み合えないのか、咬み合えないので癖が悪化するのか、ニワトリとタマゴの関係的な問題点が指摘されています。
いずれにしても矯正治療して悪循環を改善することにより、咬み合わせが悪化するのを改善できます。
低年齢児に歯科医が指摘する歯並びは、そのまま成長すると治療がより大変になるケースが多い
このように、低年齢児の症例に関しては、習癖や成長の因子が大きく関係し、そのまま成長すると治療がより困難になる症例が多いです。
ただし、低年齢であれば短期間で改善する場合もあります。
気になる方はお気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 咬み合わせの問題の中には、成長に影響するため特に早めにアプローチした方がよいものがあり、歯科医師は咬み合わせと成長、習癖との関連を診査している。
- 成長に影響を与える悪い咬み合わせには①習癖に関わるもの(開咬)②それ以外(部分的/全体的な反対咬合・交叉咬合)がある。
- 低年齢で指摘する症例は、そのまま成長すると将来より治療が困難になる難症例が多い。ただし、低年齢であれば短期間で改善する場合もある。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
6歳半ぐらいの子どもの話~歯が生えていない・歯が過剰に生えている~
2017年11月6日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
今回は、6歳半くらいのお子さまのご家族の方からよくされる質問などについてお話していきます。
つぼい歯科クリニックでは、撮影可能なお子さまに対して、パノラマレントゲン撮影を行っています。

パノラマレントゲンは、顔の周りをぐるっと機械が回るタイプのレントゲンです。
生えている歯だけでなく、歯の芽(永久歯の歯胚)の状況や顔を構成している顎の骨の状況など、いろいろなことがわかります。歯科では欠かせない検査の一つです。
パノラマレントゲンで、歯がない/過剰歯があることがわかる
6歳前後で前歯の生え変わりをむかえたぐらいのお子さんの場合、永久歯の歯胚も見えます。
そこで、永久歯がない、もしくは過剰な歯があるということが明らかになることがあり、よくご相談を受けます。
最近の傾向として、歯が1本以上ないお子さんがいる
そこで最近の傾向を調べてみたのですが、小児歯科学会の2007-8年ごろの調査では、10人に1人程度というかなりの高確率で、1本以上の歯がない子どもがいるようです。
また、その部位は下顎で、中央から左右に向かって5本目にある第2小臼歯がないケースが最多で、2本目の側切歯がない子どもも多いようです。また、いい具合に親知らずがない場合もあります。
前歯がない場合
前歯がない場合、どうなるのでしょうか?
下顎の場合、歯が少ないと顎の成長も少し悪くなるため、噛み合わせが深くなることと、歯の位置がずれ、少しすきっ歯になることが考えられます。
ただし、最近は顎が小さいお子さんも多いので、一本少なくて丁度ピッタリ、となり経過を観察する場合もあります。
小臼歯がない場合
小臼歯の場合はどうでしょうか?

出典 小学館デジタル大辞泉
永久歯がない場合、乳臼歯は虫歯などにならなければ、なかなか抜けません。
30代~40代までもつ場合があります。その場合はブリッジをしたり、インプラントをしたり、状態に合わせて矯正したりとなります。
まずは今ある歯を大事にすること、がこの場合も大事ですね。
過剰歯がある子どもの最近の傾向
一方過剰歯は、100人に3人程度(つまりはクラスに1人程度)である子が存在します。
上あごの真ん中あたりにある場合が多く、稀には上下逆(逆性)で存在します。
ちょうど目立つ前歯の間にあるため、前歯の萌出や歯並びに影響することが多く、除去のためには外科的な手術が必要となる場合があります。
歯の欠損の場合はもちろんのこと、過剰歯も『痛む』などの自覚症状はありませんので、歯が生える時期にならないと気付きにくいものです。しかし、過剰歯も永久歯の欠損も歯並びに影響する場合が多くあります。(特に過剰歯は影響大の場合が多いですし、多くの歯がない(4-5本)といった場合は歯並び等への影響大です)。
ただ、どちらの場合もその悪影響を少なくすることは可能であり、場所や状態、時期によって、処置内容は変わっていきます。
定期的な検診の中で、最も良い方法を模索していきましょう。お気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 6歳ぐらいのお子さんの検診では、虫歯と共に、歯の数などをチェックしている。
- 一本以上歯がないお子さんの比率は全体の10%程度もあり、過剰な歯があるお子さんは3%程度ある。
- 永久歯の先天性欠損や過剰歯の場合、永久歯の歯並びに影響を及ぼす場合が多い。
- それらの場所や状態、時期によって、悪影響の程度や処置内容が変わっていくため、定期的な検診が重要となる。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2歳くらいの子どもの歯と食事の関係
2017年9月30日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
今回は、2歳くらいのお子さんの食生活とお口の状態についてお話していこうと思います。
お口の状態を歯科医師はどのように診査しているのでしょうか?
2歳ぐらいのやんちゃなお子さんの場合、お口の検診だけでも嫌がられますので、虫歯の好発部位である前歯の間、奥歯が萌出している場合は噛み合わせの面の溝の部分などを手早く見ていきます。
歯の表面の感触で子どもの食生活がわかる
そして、実は最も重要視しているのが、お口の歯の表面の感触(さっぱり感やねっとり感)です。
歯科医師や歯科衛生士は、口腔内の状態を歯の表面のプラーク(歯垢)や、プラークの足場となり、歯の表面にうっすらとある獲得被膜(ぺリクル)の状態を判断していきます。
糖の摂取が多いお口の場合、糊を薄めたような、ねっとりとした状態になっており、容易に判断できます。
そこでお口のねっとり感が強いお子様のおやつ等をお伺いすると、飴やジュースが多かったり、卒乳がまだだったりします。
現在のところ、ショ糖が多い飴等は虫歯リスクが高いのは間違いないです。
キシリトールなら食べても大丈夫?

ではキシリトールなどの糖アルコール(代用糖)などではどうでしょうか?
代用糖は消化されにくく以前に説明したGI値も0-10ぐらいで低いため、虫歯の観点からは問題ありません。
しかし、いつもたべると甘いものが習慣化されてしまうので、気をつけてください。
ジュースはどうなの?

ジュースはどうでしょうか?ジュースでは、含まれる砂糖の量と共にその酸性度が問題となります。
スポーツドリンクでは代謝を促進するためなどに、クエン酸、アミノ酸などが含まれます。
そのため㏗は2-3など歯が溶ける低さ(酸性)のものが多いです。
リンゴジュースなど100%のものでも㏗は3-4と低めです。
ジュースの後にはお茶などで洗い流すような工夫をしましょう。
母乳は歯に悪くないのでは?

では、母乳はどうでしょうか?
母乳には一部乳糖という糖が含まれますが、それのみでは酸を作る力、歯垢を作る力が弱く、臨床的に母乳のみではむし歯になりにくいと言われています。
実はこの母乳『のみ』というのがくせ者なのです。
母乳のみで生きている2歳児はおらず、皆さん日中はいろいろなものに挑戦しています。
また、どうしても母乳を飲みたくなるのは夜間のようです。
唾液は大量に出ることでお口の中を洗い流す自浄作用、酸性になった口腔内を中性に保つ緩衝作用があるのですが、母乳はタンパク質など沢山のものが含まれているので、唾液の作用を阻害するのです。
特に夜間は唾液が減少するので、最もいけない時間帯です。(ここだけの話、朝の方がまだましな様です。)
同じ理屈で寝る前の牛乳もおススメできません。
結局のところ、2歳児くらいの子どもの虫歯予防には何がいいの?
アメリカの公的な報告書によると、フッ素、シーラント、甘いものを控える、の3つが出ています。
実は歯磨きは入っていません。
むしろ食べ物、食べ方にこだわった方が効果が高いです。
2歳にもなるとお子様は食べるものの種類が増えますが、好き嫌いもあり、大変です。
ですが6歳くらいまで虫歯なしでこれた場合、一つの危険な時期を越えたこともまた事実です。
何とか乗り越えていきましょう!
まとめ
いかがでしたか?
- 2歳ぐらいのお子さんの健診では、虫歯とともにお口の状態をチェックする
- 『飴』『ジュース』『母乳』が虫歯リスクを上げている場合が多い
- 母乳のみでは虫歯リスクはそんなに上がらないが、唾液の作用を阻害することにより、虫歯が発生してしまう温床となる。
- 6歳ぐらいまで虫歯なしでこれた場合、一つの危険な時期は越えたといえる
最後までお読みいただき、ありがとうございました。