6歳半ぐらいの子どもの話~歯が生えていない・歯が過剰に生えている~
2017年11月6日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
今回は、6歳半くらいのお子さまのご家族の方からよくされる質問などについてお話していきます。
つぼい歯科クリニックでは、撮影可能なお子さまに対して、パノラマレントゲン撮影を行っています。
パノラマレントゲンは、顔の周りをぐるっと機械が回るタイプのレントゲンです。
生えている歯だけでなく、歯の芽(永久歯の歯胚)の状況や顔を構成している顎の骨の状況など、いろいろなことがわかります。歯科では欠かせない検査の一つです。
パノラマレントゲンで、歯がない/過剰歯があることがわかる
6歳前後で前歯の生え変わりをむかえたぐらいのお子さんの場合、永久歯の歯胚も見えます。
そこで、永久歯がない、もしくは過剰な歯があるということが明らかになることがあり、よくご相談を受けます。
最近の傾向として、歯が1本以上ないお子さんがいる
そこで最近の傾向を調べてみたのですが、小児歯科学会の2007-8年ごろの調査では、10人に1人程度というかなりの高確率で、1本以上の歯がない子どもがいるようです。
また、その部位は下顎で、中央から左右に向かって5本目にある第2小臼歯がないケースが最多で、2本目の側切歯がない子どもも多いようです。また、いい具合に親知らずがない場合もあります。
前歯がない場合
前歯がない場合、どうなるのでしょうか?
下顎の場合、歯が少ないと顎の成長も少し悪くなるため、噛み合わせが深くなることと、歯の位置がずれ、少しすきっ歯になることが考えられます。
ただし、最近は顎が小さいお子さんも多いので、一本少なくて丁度ピッタリ、となり経過を観察する場合もあります。
小臼歯がない場合
小臼歯の場合はどうでしょうか?
出典 小学館デジタル大辞泉
永久歯がない場合、乳臼歯は虫歯などにならなければ、なかなか抜けません。
30代~40代までもつ場合があります。その場合はブリッジをしたり、インプラントをしたり、状態に合わせて矯正したりとなります。
まずは今ある歯を大事にすること、がこの場合も大事ですね。
過剰歯がある子どもの最近の傾向
一方過剰歯は、100人に3人程度(つまりはクラスに1人程度)である子が存在します。
上あごの真ん中あたりにある場合が多く、稀には上下逆(逆性)で存在します。
ちょうど目立つ前歯の間にあるため、前歯の萌出や歯並びに影響することが多く、除去のためには外科的な手術が必要となる場合があります。
歯の欠損の場合はもちろんのこと、過剰歯も『痛む』などの自覚症状はありませんので、歯が生える時期にならないと気付きにくいものです。しかし、過剰歯も永久歯の欠損も歯並びに影響する場合が多くあります。(特に過剰歯は影響大の場合が多いですし、多くの歯がない(4-5本)といった場合は歯並び等への影響大です)。
ただ、どちらの場合もその悪影響を少なくすることは可能であり、場所や状態、時期によって、処置内容は変わっていきます。
定期的な検診の中で、最も良い方法を模索していきましょう。お気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 6歳ぐらいのお子さんの検診では、虫歯と共に、歯の数などをチェックしている。
- 一本以上歯がないお子さんの比率は全体の10%程度もあり、過剰な歯があるお子さんは3%程度ある。
- 永久歯の先天性欠損や過剰歯の場合、永久歯の歯並びに影響を及ぼす場合が多い。
- それらの場所や状態、時期によって、悪影響の程度や処置内容が変わっていくため、定期的な検診が重要となる。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2歳くらいの子どもの歯と食事の関係
2017年9月30日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
今回は、2歳くらいのお子さんの食生活とお口の状態についてお話していこうと思います。
お口の状態を歯科医師はどのように診査しているのでしょうか?
2歳ぐらいのやんちゃなお子さんの場合、お口の検診だけでも嫌がられますので、虫歯の好発部位である前歯の間、奥歯が萌出している場合は噛み合わせの面の溝の部分などを手早く見ていきます。
歯の表面の感触で子どもの食生活がわかる
そして、実は最も重要視しているのが、お口の歯の表面の感触(さっぱり感やねっとり感)です。
歯科医師や歯科衛生士は、口腔内の状態を歯の表面のプラーク(歯垢)や、プラークの足場となり、歯の表面にうっすらとある獲得被膜(ぺリクル)の状態を判断していきます。
糖の摂取が多いお口の場合、糊を薄めたような、ねっとりとした状態になっており、容易に判断できます。
そこでお口のねっとり感が強いお子様のおやつ等をお伺いすると、飴やジュースが多かったり、卒乳がまだだったりします。
現在のところ、ショ糖が多い飴等は虫歯リスクが高いのは間違いないです。
キシリトールなら食べても大丈夫?
ではキシリトールなどの糖アルコール(代用糖)などではどうでしょうか?
代用糖は消化されにくく以前に説明したGI値も0-10ぐらいで低いため、虫歯の観点からは問題ありません。
しかし、いつもたべると甘いものが習慣化されてしまうので、気をつけてください。
ジュースはどうなの?
ジュースはどうでしょうか?ジュースでは、含まれる砂糖の量と共にその酸性度が問題となります。
スポーツドリンクでは代謝を促進するためなどに、クエン酸、アミノ酸などが含まれます。
そのため㏗は2-3など歯が溶ける低さ(酸性)のものが多いです。
リンゴジュースなど100%のものでも㏗は3-4と低めです。
ジュースの後にはお茶などで洗い流すような工夫をしましょう。
母乳は歯に悪くないのでは?
では、母乳はどうでしょうか?
母乳には一部乳糖という糖が含まれますが、それのみでは酸を作る力、歯垢を作る力が弱く、臨床的に母乳のみではむし歯になりにくいと言われています。
実はこの母乳『のみ』というのがくせ者なのです。
母乳のみで生きている2歳児はおらず、皆さん日中はいろいろなものに挑戦しています。
また、どうしても母乳を飲みたくなるのは夜間のようです。
唾液は大量に出ることでお口の中を洗い流す自浄作用、酸性になった口腔内を中性に保つ緩衝作用があるのですが、母乳はタンパク質など沢山のものが含まれているので、唾液の作用を阻害するのです。
特に夜間は唾液が減少するので、最もいけない時間帯です。(ここだけの話、朝の方がまだましな様です。)
同じ理屈で寝る前の牛乳もおススメできません。
結局のところ、2歳児くらいの子どもの虫歯予防には何がいいの?
アメリカの公的な報告書によると、フッ素、シーラント、甘いものを控える、の3つが出ています。
実は歯磨きは入っていません。
むしろ食べ物、食べ方にこだわった方が効果が高いです。
2歳にもなるとお子様は食べるものの種類が増えますが、好き嫌いもあり、大変です。
ですが6歳くらいまで虫歯なしでこれた場合、一つの危険な時期を越えたこともまた事実です。
何とか乗り越えていきましょう!
まとめ
いかがでしたか?
- 2歳ぐらいのお子さんの健診では、虫歯とともにお口の状態をチェックする
- 『飴』『ジュース』『母乳』が虫歯リスクを上げている場合が多い
- 母乳のみでは虫歯リスクはそんなに上がらないが、唾液の作用を阻害することにより、虫歯が発生してしまう温床となる。
- 6歳ぐらいまで虫歯なしでこれた場合、一つの危険な時期は越えたといえる
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
5歳ぐらいの子どもの歯並びと舌の話
2017年8月25日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
本日は5歳くらいのお子さんの歯の話をしていきたいと思います。
五歳ぐらいになると早い子では乳歯から永久歯に生え変わってきます。
下の前歯から生え変わってくるのですが、永久歯が乳歯の少し後ろから生えてくることが多いので、皆さんからよくご相談を受けます。
乳歯の少し後ろから大人の歯が生えてきたら、歯科医院で抜いた方がいいの?
あえて抜く必要はないケース
下の前歯の交換に関しては、歯科関係者は『エスカレーター交換』と呼び、このような生え方がすべて異常というわけではありません。
下の図は、乳前歯の一般的な交換様式です。
この場合の前方に残っている乳歯を抜くか、抜かないかは、レントゲン検査の結果によります。
乳歯がもうすぐに抜けてしまうほどグラグラしている場合(つまり歯根が骨とくっついていない場合)、あえて抜く必要はないと考えます。
抜いた方が良いケース
しかしながらそうではない場合、乳歯はなるべく早期に抜く必要があります。
その場合、永久歯はやや後ろにありますが、スペースがあれば舌などにおされていい位置(適正な位置)に移動しますので、さほど心配ない場合が多いです。
舌の動きに問題があると、永久歯ににも問題が起こることがある
上や下の乳前歯が抜け落ちると一時的にしゃべりにくかったり飲み込みにくかったりしますが、舌の動き等に問題がなければ永久歯の萌出とともにすぐに改善します。
ただ、舌の動きに問題があったりした場合、永久歯にも問題が起こることが多くあります。
例えば、出っ歯になったり、前歯できちんと噛み切れない等、問題が明らかになることがあります。
舌の癖はいろいろなパターンがあるので、一度拝見させていただかないとわからない場合が多いのですが、なぜかチロチロと舌が見えるとか、ゲームに集中していると舌が出てしまっているとか、ラーメンやそばがすすれないとか、錠剤を飲み込むのが苦手で、むせてしまうなどが、生活でよくあるようであれば、舌の機能に問題がある場合があります。
さらに指が絡む、指しゃぶりや爪噛み等があれば問題があることがほぼ確実です。
舌や指が歯にかけている力とは?
舌や指が顎や歯にどれくらい力をかけているのでしょうか?
いろいろな報告がありますが、おおむね500-800グラムぐらいといわれています。
歯科での矯正の力は100グラムぐらいのことが多く、舌や指が歯を動かす力であることは一目瞭然ですね。
ただ治療となると大変です。人間はほぼ無意識で舌を動かしていますので、意識してその位置を修正していくか、矯正装置等で誘導していくかになります。
ここで実験です。
みなさん水を口に含み、上顎に触れることなく飲み込んでください。
・・・ほぼ間違いなくむせますよね。。
この逆を習得するわけなので、筋肉の動きを大きく変化させることになります。
このような話は高齢の方の嚥下やむせにも当てはまる場合もありますので、ご興味がありましたら、一度ご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 5-6歳で下の前歯から永久歯に生え変わるが、乳歯の後ろから生えてくることがある。
- 交換後、スペースがあれば舌等に押され正しい位置に動くので問題ないことが多い。
- 舌に癖があると歯並びに影響する場合がある。
- 舌の動きは歯並びだけでなく嚥下にも関係があるので、正しい位置に誘導するほうが良い。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2歳半ぐらいの子どもの食事、おやつと噛むことのかかわり
2017年7月22日
こんにちは。岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です!
生まれてから1年ぐらい経つと、歯が生え始めます。
そうなると、1歳半ぐらいから、卒乳、離乳食と食事形態が変わっていきます。
1歳半から2歳半ぐらいのこの時期は、お子様も言うこともなかなか聞いてくれないので、大変ですね。
この時期には、食べ物に関しては、形態、味覚ともに大きく変化していきます。
それまで摂取してきた母乳、人工乳、ともに乳糖といわれる糖成分が含まれるので、まずは甘いものがいわゆる口当たりのいいものになってきます。
また、それまで一日5回ぐらい食べたり、飲んだりしていますので、いわゆる小腹のすいた状態にすぐなりやすいです。
そこで、体がいわゆる血糖値が上がりやすい糖をずっとたべることを求めるのですね。
それが虫歯の原因になるのです。
GI値の比較的低い食品をおやつにするとむし歯になりにくい
食品にはそれぞれ、血糖値の上がりやすさによってGI値(ジーアイチ)という値があります。
砂糖が最強で、100を軽く越えます。
甘いものは手早く血糖値を上昇させますが、虫歯にもなります。
ですから、パンとか果物の一部とか、炭水化物の中でも比較的GI値の低いものを何回かに分けてあげるのが良いようです。
おやつイコール甘いものではない、を注意しましょう!
GI値の表が掲載されているHP
虫歯になると、どれくらいかむ力が落ちるのでしょうか?
乳歯のお子さんの研究では、奥歯が7-8本ぐらい虫歯になると、かむ力は三分の一程度まで下がってしまう結果が出ています!
かむことはあごの発達はもちろんのこと、脳の発達、唾液量など健康や発達に直結する因子に影響を及ぼすことが分かっています。
できてしまった虫歯はかめるようにしっかり治すこと、それ以前にまず虫歯にしないことがとっても大事ですね。
硬いものを食べた方が歯並びにはいいの?
最近、「歯並びが心配で、硬いのを食べた方が良いのか」という質問を良く受けます。
日本人全体で見ると、顎がだんだん細くなっているのは統計的にも明らかなようですが、個々人で見ると、個人のあごの大きさは遺伝をはじめとする先天的な要素が強く、残念ながら固いものを食べても目に見えてあごが大きくなる、ということはなさそうです。
ただし、固いものを食べると、お口の周りの筋肉は発達します。
歯並びは土台であるあごの大きさだけですべてが決まるのではなく、お口の周りの筋肉も大きく関わります。
最近お子さんのお口がよく開いている、という相談もよくうけますが、そういうお子さんは口の周りの筋肉が弱いので、しっかり食事することも大事です。
同じような意味合いで、お口周囲の筋トレ【あいうべ体操】が勧められています。
大きなお口をあけて、あ、い、う、べーと舌とお口の周囲筋を動かすようにする運動です!
お口での呼吸から鼻呼吸に変わっていくことも分かってきていますし、お勧めです!
あいうべ体操は院内でも指導を行っております。ご興味がある方はお尋ねください。
まとめ
いかがでしたか?
- 2歳半ぐらいのお子さんは、一日何回もおなかがすいてしまう。
- おやつは食べる必要があるが、甘いものであることは必要ない。
- 乳歯でも虫歯になってしまうと、かむ力がどんどん落ちていく。
- あごは固いものをたべてもなかなか大きくはならないが、口の周囲の筋肉は鍛えられる。
- お口だけでなく、その周囲を含めて適切に発達させていく意味合いで、噛むことは非常に重要です。
乳歯の虫歯を予防するために気を付けたい3つのこと
2017年5月16日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
口の中の細菌数はどれくらいかご存知ですか?
お口の中の細菌数は一兆個!?
大人のお口では300-400種類、虫歯の少ない人で2000億個、
口腔ケアのできてない人で、1兆個もの細菌がいるといわれています。
では、お子さんのお口の細菌数はどうでしょうか?
お子さんは個人差、年代差が大きく、細菌数は単純に比べられません。
しかし、お子さんの口の中の細菌の種類は大人と比べて、歯周病の原因となる菌の比率が少ないのですが、虫歯が多い子は大量のむし歯菌がいるといわれています。
私は広島大学で、日々の診療を行いながら口腔細菌の研究も行っておりました。
その時、診療で診るお子さま口の細菌数と虫歯の多さに相関性を感じていました。
むし歯は一種類の菌だけで作られるのではない
虫歯の原因菌はミュータンス連鎖球菌(みゅーたんすれんさきゅうきん)と言われていますが、実はその菌だけでは虫歯を作る力はそんなに強くありません。
けれども、近年ミュータンス菌以外の菌にも感染することで、より大きな虫歯を作ることがわかってきました。
- ミュータンス菌+ソブライナス菌(ソブリヌス菌)⇒歯と歯の間の虫歯が多くなる
- ミュータンス菌+ソブライナス菌+乳酸桿菌⇒真っ黒や茶色の、いわゆる大きな虫歯になる
菌もさまざまな種類の菌と協力して、虫歯を作る強力な菌の塊(=歯垢・プラーク)になっているのですね。
むし歯を治して、お口の菌を減らしてもむし歯菌がいなくなるわけではない
虫歯を治して、菌の量をへらしても、一度定着した菌の種類をかえることは難しく、どうしてもある一定の割合では残るといわれています。
つまり虫歯の原因菌の構成は残っているので、そこで少し気を緩めて、たくさん甘いものを食べてしかも磨かないと、再びむし歯菌が増殖してしまい、大きな虫歯を作っちゃうのです。
お口の細菌は家族にうつる
また、お口の細菌は家族にうつっていくといわれています。
歯の萌出と共に、口腔の細菌も定着しだすのですが、その由来は6割がお母さん、2-3割がお父さん等の家族と言われています。
ご家族に虫歯が無ければ、うつってくる細菌も虫歯になりにくい菌の構成になります。
ご家族にたくさんの虫歯があれば、すぐに虫歯になりやすいお口になってしまうのです!
参考 院長ブログ こどもの口の中の虫歯菌はどこからくるの?
むし歯になったら、その後の予防はホント大変
虫歯がゼロの方は、その後のむし歯予防は楽チンで今の生活を維持するだけでいいのですが、
虫歯が多い方は、むし歯ができた原因を取り除く、色々なむし歯予防が必要になります。
たとえば、虫歯になりやすい食生活の改善やハミガキ方法、使用する道具を工夫するなど色々とがんばらなければいけません。
それくらいがんばらないと細菌の構成は変わらないのです!
虫歯になったら、その後の予防がより難しく、大変になるのですね。
まとめ
いかがでしたか?
虫歯予防するために保護者の方が気をつけたい3つのこと
・ まだ虫歯が小さく、菌が少ないうちに、しっかり治療してきめ細かい予防をしましょう
・ お口の細菌は、人によって構成が異なるので、むし歯菌への予防対策は家族全員でしましょう
・ 生え始めの弱いむし歯や永久歯は、できる限りむし歯にしないようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
乳歯は生え変わるのに、なぜ治療が必要なの?
2017年4月28日
皆さんこんにちは。岩国のつぼい歯科に新たに加わりました、歯科医師の吉村剛です。
小児歯科の専門医の資格を持っていますので、時々お子様の治療などで登場します。
よろしくお願いいたします。
最近皆さんから、お子様の歯の治療や歯並びについて多くの質問が寄せられております。
お子様も成長するにつれ、お口の中もどんどん変化していきます。
歯科でもお子様の成長に応じて、その時に最適な治療の考え方や内容が変わっていくことが多くあります。
これからその時期に応じた、歯や治療について解説していこうと考えておりますので、よろしくお願いします。
そもそも乳歯ってなんでしょう?
歯は、生え変わるという特徴を持つ唯一の組織です。
しかし、すべての動物がそうなのでしょうか?
いえ、大きく3つに分けられます
①サメや魚
サメや魚は、たくさん歯があり、狩りなどで一部が簡単に抜けてしまいますが、またすぐに生え変わります。
なおその際には、歯だけでなく、歯並びごと生え変わります。
これらを多換歯性(たかんしせい)といいます。
魚類は体も永遠に大きくなっていくので、顎の大きさにあわせて歯が増えていきます。
うろこみたいなイメージですが、そもそも歯はうろこから進化した組織なのです。
②ネズミやリス
ネズミやリスなどの前歯は一生に一回しか生えませんが、永遠に延びていきます。
これを1生歯性(いっせいしせい)といいます。
前歯は硬いものを噛んで、少しずつ削れていき、長さを保っています。
爪みたいなイメージです。
③ヒトなどを含む多くの哺乳類(ほにゅうるい)
人間を含む多くの哺乳類は二生歯性(にせいしせい)です。
新生児の小さな顎(歯槽)には、どう折りたたんでも、乳歯のサイズの歯しか折りたたんでいれておけません。
また、成長するといっても子供の顎の大きさには限界があり、歯胚(歯の芽)のサイズは歯よりもずいぶん小さいのですが、それでも1回生え変わる個数分(28本~32本)のしか入れておけません。
そのため生え変わりも1回です。
つまり、そもそも乳歯のサイズと歯の生えかわりは、顎のサイズ調整のため決まっているのですね。
進化にともなって歯は大きく、複雑な形になりましたが、人類になってからは、体のサイズ、脳のサイズのために調整を受けることとなり、先天的に親知らずなどが無い人もいます。
動物においては、寿命=歯の存在であることが多く、ライオンなどは歯がなくなると死んでしまいます。
人間は食事に工夫が出来るため、死にこそしませんが、お子さんの脳の発育や老化の防止には歯から来る刺激が欠かせないため、歯がなくなると認知症等の問題が生じやすいといわれています。
人間が糖分を多く摂取し、虫歯になるようになったのはここ2000年ぐらいで、最近のことです。
動物としては、人間も歯を失うことを想定して進化していないのですね。
ただし、色々工夫して失った歯の代替手段を考えたのも、やはり人間だけです。
結局のところ乳歯でも永久歯でもオリジナルの自分の歯が一番なので、予防が一番なのですが、なくなってしまった場合はその修復(治療)を精いっぱいやっていきます。お口の健康維持を歯医者さんとやっていきましょう!よろしくお願いいたします。
まとめ
いかがでしたか?
- 歯は生え変わるが、動物によって生え変わる回数がちがう
- 人間を含む多くの哺乳類は1回生え変わる(乳歯から永久歯)
- そもそも乳歯のサイズや生え変わりの回数は、顎のサイズによってきまった
- 人間も虫歯になるようになったのはここ2000年ぐらいのことで、乳歯も永久歯も失うことは想定されていない
- だから乳歯も永久歯も早くに失うと健康にさまざまな影響を生ずることがある
最後までお読みいただきありがとうございました。